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映像学科22番

映画と日常

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週刊映画鑑賞記(2022.6/20~2022.6/26)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20220626 「週刊映画鑑賞記」トップ画像
今週は『スター・ウォーズ』スピンオフドラマ『オビ=ワン・ケノービ』全6話と、カンヌ映画祭で「ある視点」賞を獲得した『PLAN75』の2タイトルです。

今回の記事には2作品ともネタバレが含まれています。
未見の方はご注意願います。




6/20(月)~6/22(水)
『オビ=ワン・ケノービ』(全6話)🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)
『オビ=ワン・ケノービ』ポスター画像
『スター・ウォーズ』サーガEpisode3とEpisode4の間の出来事を描くスピンオフドラマ『オビ=ワン・ケノービ』。
同じスピンオフドラマの『マンダロリアン』が想定外に面白かったため本作の配信開始を心待ちにしておりました。
全話が出揃うまで観るのを我慢していましたが、今週22日に最終話が配信開始されるとのことで月曜から水曜まで一日2話づつ3日かけて視聴しました。

『オビ=ワン・ケノービ』
1本あたり40~50分程度(1話のみ55分)なので、2本続けて観ても映画1本分くらいですし朝と夜に1本づつ観るのも自由です。
音声は英語+日本語字幕版を選択しました。
映像仕様は4K+HDR、音声はドルビーアトモス立体音響です。

『オビ=ワン・ケノービ』隠居生活
オーダー66から生き延びたジェダイ・マスター:オビ=ワン・ケノービは、惑星タトゥイーンでベン・ケノービと名を変えてかつての弟子だったアナキンの息子:ルークの成長を見守り続けていました。
しかし、10年の歳月はかつてのジェダイマスター:オビ=ワン・ケノービの気力と体力を大きく削いでいたようです。
ジェダイの生き残りを探す帝国の尋問官からはひたすら逃げ隠れ、オビ=ワンと同じく生き延びていたジェダイの仲間を冷たく見放したのには正直驚きました。

中年オビ=ワンと幼レイア
そのオビ=ワンが再びライトセーバーを手にとって立ち上がることになったきっかけは、アナキンのもう一人の子:レイアの誘拐事件でした。
レイアの養父:ベイル・オーガナの要請を受け、オビ=ワンは10歳のお転婆娘レイア・オーガナの救出に向かいます。

『SW EP4』ベン・ケノービも一緒
このドラマを見ていて、『スター・ウォーズ(EP4)』を最初に見たときから44年間疑問に思っていたことの一つが解消しました。
その疑問とは、レイアを救出に来たルークが「ベン・ケノービも一緒だ」と言ったとき、レイアは「ベンも?」と初対面のはずのルークに着いていきます。
レイアは何故「ベン・ケノービがオビ=ワンの偽名である」と知っていたのでしょうか?。
この件について私は、「レイアは養父のベイルから「オビ=ワン・ケノービというジェダイの生き残りがベン・ケノービと名乗ってタトウィーンに隠れ住んでいる」と聞かされていたのだろう」と勝手に脳内補完しておりました。
でも、実はレイアは幼い頃にオビ=ワン(ベン)と会っていて、彼のジェダイとしての実力と優れた戦闘指揮力を知っていたのですね。

『SW EP4』助けてオビ=ワン・けのーび
しかし、それは同時に別の違和感も生み出してしまいました。
その新たな違和感とは、大人になったレイアが『EP4』冒頭でR2-D2に託したメッセージ内容のことです。
「クローン戦争のときのように今一度父を助けてください。オビ=ワン・ケノービ、貴方だけが頼りです。」
ベン・ケノービとオビ=ワン・ケノービが同一人物と知っているなら、どうして幼い頃に自分を助けてくれたことに一切触れなかったのでしょうか?。
それは最終回でも回収されることはなく、「ああ、後付けで作ったスピンオフではどうしてもこんな綻びが出てしまうのだな」と少しガッカリしました。
メッセージの件については、「ベイダーの襲撃を受けている最中に大急ぎで録画したため子供の頃の話は割愛したのだろう」と、再び脳内補完することにします(笑)。

『オビ=ワン・ケノービ』リーヴァ
視聴者が抱くそれらの疑問点から目を逸らさせるためか、本作はオビ=ワンとベイダーではなく元ジェダイ候補生の復讐者:リーヴァを軸に物語が進行します。
なんだか胡麻化された気分です。
ずっと楽しみにしていた反動もあって消化不良感が半端ありません。

ちびレイア
内容的には不満が残りましたが、幼い頃のレイア姫を演じた子役さんが小生意気だけどとても可愛くて、しかも故・キャリー・フィッシャーさんの面影も感じさせてくれる好演を見せてくれました。
最終回まで気持ちが萎えることなく見ていられたのはこの子のおかげです。



23日(木曜)は叔父の7回忌法要に参列するため早朝から大阪へ行っておりました。
法要は午前中だけで終わったため、福井では上映予定が無いこの映画を見て帰ることにしました。

6/23(木)
『PLAN75』🈠
(劇場:なんばパークスシネマ)
『PLAN75』ポスター画像
カンヌ映画祭で「ある視点」賞を獲得した近未来SF作品です。
”PLAN75”とは「75歳を超えた老人は自らの生死を”自分の意志で”決定してよい」という日本政府が制定した法制度です。
それはつまり「安楽死」の奨励ということでもあります。
あくまでも「本人の自由意志による」とのことですが、現実的には75歳以上の老人に部屋を貸してくれる不動産屋は皆無で、ハローワークで仕事を探しても適合する求人は0(ゼロ)・・・。
そんな行き場を無くした独居老人たちの淋しく残酷な日常を淡々と描いているのがかえって怖いです。
そのドライさはまるで星新一先生の短編SFや藤子・F・不二雄先生の大人向けSF漫画のようでした。


劇中で流れるTVCMを見ていると、まるでたちの悪いブラックジョークのようです。
この映画の中の日本ではPLAN75は当たり前のように受け入れられているということなのでしょうか?。

『PLAN75』角谷ミチ
主人公:角谷ミチ(演:倍賞千恵子さん)は、仕事も住む場所も失い、挙句は友人の孤独死を目の当たりにして、まるで保護施設にでも入るかのようにPLAN75に応募してしまいます。

成宮とミチ
安楽死を受け入れたミチのメンタルサポートを担当する若い女性オペレーター:成宮瑶子(演:河合優実さん)。
決められた時間内では親しく話し相手を務めますが、制限時間が過ぎると途端に事務的口調に変わります。
しかし、ミチとの会話を重ねるうち、成宮はいつしか彼女に対して少しづつ情が移ってしまいます。

そして執行前夜。
「いつもお喋り出来るのが嬉しかった。」

このミチの最後の言葉に成宮は冷静さを失い思わず声を震わせます。
単に仕事として割り切って携わってきたことが、実は他人の人生の終焉に深く関わるものであったのだと実感したのでしょう。

全体的に乾いたトーンの映画でしたが、このシーンにだけは私も涙腺が緩みました。
賠償千恵子さん。本当に素晴らしい女優さんです。

『PLAN75』林檎
この映画ではリンゴが重要なモチーフとして使われています。
まず、ミチと仕事仲間の高齢女性たちが一緒にリンゴを食べるシーンがありました。
中には傷んだものも混じっていましたが「食べてしまえば一緒よ」と皆で笑い合います。

PLAN75で安楽死した人たちは個別に埋葬はされず、遺品も遺骨も参加者分をまとめて一緒に”処分”されます。
見終わってから考えると「食べてしまえば一緒」とはそのことを暗示するセリフだったような気がします。

『PLAN75』りんご
その仲間たちとのカラオケでミチが歌ったのは「リンゴの木の下で」でした。
さらに、そのレコード(あるいはレーザーディスク?)が入っているダンボール箱は津軽リンゴの箱でした。


リンゴの木の下で 明日また会いましょう
黄昏 赤い夕陽 西に沈む頃に

楽しく頬寄せて 恋をささやきましょう
真っ赤に燃える想い リンゴの実のように


『PLAN75』リンゴの木の下で♪
そして、安楽死を寸前で思い止まったミチが夕陽を見ながら歌ったのもやはり「リンゴの木の下で」でした。

やはりこの映画は「リンゴ」を重要なモチーフにしているようです。
そこから私はこう考えてみました。

アダムとイブとヘビとリンゴ
アダムとイブが蛇にそそのかされて食べた禁断の知恵の実とはリンゴであったと言われます。
リンゴを食べた二人は「知恵」を得た代わりに「不死」を失うことになります。
「知恵」によって人間の寿命が大きく延びたことで老人が増えすぎ、今度は自ら「死」を選択する必要に迫られる・・・といった寓意を込めた映画だったように思います。

この映画が海外(カンヌ映画祭)にすんなり受け入れられたのは、もしかすると旧約聖書のアダムとイブ伝説を下敷きにしていたからかも知れません。

2022-06-23 なんばパークス・ロビー
今回の劇場は大阪ミナミのなんばパークスシネマ。
福井では当初『PLAN75』の上映館が無かったため、この日の大阪行きのついでに観て帰ることに決めていました。

2022-06-23 なんばパークス『PLAN75』チケット
以前もなんばパークスシネマで映画を見たことはありますが、ここ数年は大阪の映画館といえば109シネマズ・エキスポシティしか行っていないため、ここへ来たのは7~8年ぶりだと思います。

2022-06-23 なんばパークスシアター3
私が取った座席はE-8。
この劇場のほぼ中央部です。
ここは音響設備がかなり良いらしくセリフや効果音がとても聴き取りやすくて、特に老人のセリフが重要なこの映画を鑑賞するのに適した劇場だと思いました。

『PLAN75』上映館(福井でも上映)_矢印
あと、帰宅してこの記事を書いているとき気付いたんですが、いつの間にか公式HPの上映館情報が更新されていて福井でも7月下旬からメトロ劇場さんで上映してくれることになっていました。
おおっ、流石はメトロ劇場さん!。
時間さえ合えば地元でもう一度見返したいです。


<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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ロケハンしてきました

CATEGORY映画全般
トガジンです。

突然ですが。

本日(23日)、叔父の7回忌に参列するため早朝から大阪へ行っておりました。
567禍も大分収まってきたとはいえ、やはり皆が揃っての会食などは無しということで12時前には終了しました。
私はそのあと日本橋の電気屋街を少しブラブラして16時20分からなんばで『PLAN75』を観て帰るつもりだったんですが、急な思いつきで日本橋行きはキャンセルし大阪市内のとある映画館を下見しに行くことにしました。

その映画館とは・・・
2022-06-23 シネ・ヌーヴォ(2)
大阪市西区九条にあるシネ・ヌーヴォさんです。

なぜシネ・ヌーヴォさんをロケハンする必要があったのか?。
海獣特撮映画上映会移転
これまで京都みなみ会館で開催されていた怪獣・特撮映画の定期上映やスタッフや俳優をゲストに呼んでのイベント上映会が、諸事情によりこの6月からこちらのシネ・ヌーヴォさんに移転することになったからです。
私もシネ・ヌーヴォさんには今後怪獣・特撮映画のイベント上映でお邪魔することがあると思います。
そのため、この日の空いた時間を使って下見(ロケハン)してきたのです。

特撮映画と大阪城
つい先日行われた土日の定期上映では、大阪移転を記念してか『ゴジラの逆襲』が上映されたそうです。
しかも、みなみ会館の吉田(元)館長もゲストとして参加されたとか!?。
なんか凄く惜しいことした気がします(笑)。



2022-06-23 地下鉄九条駅
最寄り駅は地下鉄中央線「九条駅」。
地下鉄といいつつも途中で地上に出る路線です。
近くに阪神の駅もあったので「梅田から直接行けるのかな?」と思いましたが、路線が違うらしく大阪駅から九条へは地下鉄で行くしかないようです。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォへの道 この道から
九条駅を出たら、このお店のある路地に入っていきます。
(少なくともグーグルナビはそう指示してきました)

2022-06-23 シネ・ヌーヴォへの道 九条千日通商店街
「九条千日通商店街」と書かれた立派なゲートを潜り抜けてしばらく行くと・・・。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォへの道 途中案内が・・・
ご親切にシネ・ヌーヴォへの道案内が!(笑)。
でも、なんで電子レンジと冷蔵庫・・・?。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォ(1)
案内通りに角を曲がってしばらく行くと、無事シネ・ヌーヴォに到着しました!

うーむ。
表の映画ポスターが無ければ映画館とは分からないかも?。
もっとも、旧・京都みなみ会館も建物自体はパチンコ屋そのものでしたが(笑)。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォ・入口
流石に中には入りませんでしたが、地下へ通じる入り口は昭和の時代の名画座を思わせる趣があって良い感じです。
ただ、地震が起きたとき慌てて外に逃げるのは避けたほうがよさそうです。
上部に飾られた金属製のオブジェが脳天直撃する恐れがありますから(笑)。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォ 周辺は住宅街
ちょっと気になったのは、シネ・ヌーヴォの周辺が普通の住宅地であったことです。
これではオールナイトのイベント上映は難しそうですし、大勢の客が外で並んだりするとご近所迷惑になりかねません。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォ駐車場1 2022-06-23 シネ・ヌーヴォ 駐車場2
あと、駐車場は私が見た限り周辺にコインパーキングが数か所あるだけなので、自家用車で行くのは控えるのが無難です。

2022-06-23 シネ・ヌーヴォ正面
なにはともあれ、これからお世話になります。
シネ・ヌーヴォさん。


それにしてもこの日は暑かった~!。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

週刊映画鑑賞記(2022.6/13~2022.6/19)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20220619 「週刊映画鑑賞記」トップ画像
今週観たのはこの4本。

午前十時の映画祭開催中
今年度も無事開催された「午前十時の映画祭12」。
しかし「午前10時から一日一回限りの上映」という形体がネックとなってなかなか見たい作品に時間が合わず、今年はまだ一度も見に行けていません
そんなわけで今までなかなか機会に恵まれなかった「午前十時の映画祭12」ですが、今回ようやくスクリーンで見たい作品と休日とが合致しました。

4Kデジタル修復版『大魔神』三部作一挙放送
それと、日本映画+時代劇4Kチャンネルの『大魔神』三部作連続放送です。
本当は3作品とも先月放送されていますが、一作目の放送中に「緊急地震速報」が入ったため視聴を中断して次の機会を待っていたのです。
今回ようやく邪魔が入らない状態で視聴&BD-R保存することが出来ました。



6/13(月)
『ライト・スタッフ』(午前十時の映画祭)
(劇場:鯖江アレックスシネマ)
『ライト・スタッフ』ポスター画像
大学時代に一度劇場で見て以来です。
日本公開は1984年(本国アメリカでの公開は1983年)。
当時『スター・ウォーズ』シリーズなどファンタジー系宇宙SF映画にやや食傷気味だったこともあり、甘いお菓子の次はピリ辛系のものが食べたくなる感覚で観に行きました。
そのとき見た日本初公開版は実は30分近くもカットされた短縮版であったことはずいぶん後になってから知りました。

『ライトスタッフ』レンタルDVD
その後全長版のLDやDVDが発売されましたが、3時間12分という長さが壁となってなかなか見ることがありませんでした。
一度DVDをレンタルしたことはあったのですが、結局見る時間が取れないまま1週間過ぎてしまって観ないまま返却したことがあり、それ以来全長版『ライト・スタッフ』を観る機会は失っておりました、

2022-06-13 『ライトスタッフ』鯖江アレックスシネマにて
それが今回「午前十時の映画祭12」のおかげで映画館のスクリーンで見られることになりました。
初期の「午前十時の映画祭」でも上映されていたはずですが、やはり時間の関係で観には行けませんでした。
38年ぶりの再見ということと、3時間12分の大長編ということでちょっと気を引き締めて見始めたんですが、「あれ?こんなにコメディタッチの映画だったっけ?」と思ったくらいハイテンポで笑えるところが多い映画でした。

アメリカ宇宙開発映画
その後、数年を経て『アポロ13』(1995年)、『ドリーム』(2016年)、『ファースト・マン』(2018年)、『アポロ11』(2019年)と、近年実録アメリカ宇宙開発ものが続々作られますが、そのルーツとも言えるのがこの『ライトスタッフ』です。

『ライトスタッフ』ジョン・グレン
『アポロ13』(「午前十時の映画祭」次回上映作品)には、本作でジョン・グレン飛行士を演じたエド・ハリスさんがジーン・クランツ(フライトディレクター)役を演じています。
そのジーン管制官はマーキュリー計画にもNASAのミッションスタッフとして従事しており、この映画でもコントロールルームに居たはずです。
また、ジョン・グレン飛行士は『ドリーム』にも登場し、優れた資質を持つ女性黒人スタッフに対し素直に信頼を寄せる好人物として描かれていました。
これは自らもマーキュリー7の一員として”ライトスタッフ”となり得たジョン・グレンだからこそ描けたことです。

『ライトスタッフ』ガス・グリソムと妻
マーキュリー計画の2番目に飛んだものの脱出ハッチの誤作動で着水に失敗して世間的に評価されなかったガス・グリソム飛行士のエピソードは4年後の彼の運命を知ったうえで見ると心が痛みます。
このときは奥さんを「大統領夫妻に会えないの?」「祝賀パレードも無いの?」とガッカリさせてしまっただけで済みましたが、『ファースト・マン』ではアポロ1号の火災事故のため犠牲になってしまうのです。
皮肉にもその原因の一つはマーキュリー時代の反省からハッチが頑強に作られていたため脱出出来なかったことでした。

『ライトスタッフ』チャック・イェーガー
このように他のアメリカ宇宙開発映画と連動させて見ると最高に面白い映画でありますが、他に『ライトスタッフ』にしかない独自の視点が存在します。
それは世界で初めて音速の壁を越えたチャック・イエーガー(演:サム・シェパード)をもう一人の主人公としていることす。
チャックはパイロットとして優れた資質を持っていながら「大学卒ではない」というただそれだけの理由でマーキュリー計画から外されます。
しかし、この映画はそのチャックのエピソードをもう一つの話の軸としながら物語を進行します。

有人宇宙飛行とは言っても単に人間を地球周回軌道上に送って安全に帰還させることだけが目標だったため、当初のロケットはパイロットが何かを操作する部分は一切無く名称も飛行機とかロケットではなくポッド(容器)と呼ばれていました。
口の悪いパイロットの中には「あんな仕事はサルにでも出来る」と蔑む者さえいましたが、その男に対しチャック・イェーガーは「サルはあの任務の危険さを理解していない。死を覚悟で任務に挑む彼らは勇敢だ」と称賛します。

なぜマーキュリー7に選ばれなかったチャック・イェーガーを話の軸に置いたのかをこの場面で初めて理解出来ました。
あの7人は自分たちが持つ資質について自ら自慢するような真似はしません。
それはとてもカッコ悪いことだからです。
そしてマスコミがいくら彼ら7人を持ち上げようとも嘘くさいだけです。
それを言葉にすることを許される人物は、彼らと同じ技量と精神(ライトスタッフ)を持ちマーキュリー計画を客観的に見ていたチャック・イェーガーだけなのです。

『ライトスタッフ』ジョンの電話
今回一番印象に残ったのは家族との物語でした。
例えばグレンの打ち上げ時。
聾唖者であるグレン夫人にマスコミが殺到し、しかも副大統領が(人気取りのため)会いたいと接近してきますが、グレンが電話で「副大統領だろうが誰だろうが君の思うとおりにすればいい」と言い切るところは最高に痛快でした。

『ライトスタッフ』マスコミども
マスコミと言えば・・・。
この映画に登場するマスコミ連中は、報道関係者というよりただのマナー知らずなパパラッチといった感じでまさに今で言う「マスゴミ」そのものです。
(私もローカルとはいえその一員であることが恥ずかしくなるくらいです・・・)
そのマスコミ共が画面に登場するときには何故かシャカシャカシャカシャカと何か落ち着きの無い不快な音が常に流れます。
実に不愉快な連中であると同時に、その変な音のおかげでどこか漫画チックにも見えました。



6/14(火)
『大魔神』(ピュア4K)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4Kチャンネル)
『大魔神』ポスター画像
幼い頃テレビ放映で見たのが最初ですが、その後何度も夢に出てくるほど怖かったです。
その夢とは、家の軒先に隠れて上を見上げると緑色の顔の巨人が頭上から自分をじーっと睨みつけているという夢です。
体調が悪い時とか、親に嘘をついたり友達に酷いことを言ってしまったり心に疚しいことがあるときよくこの夢を見たものです。

初めて映画館のスクリーンで観たのは大学に入ってからでした。
劇場は今は亡き大阪梅田東映会館(の中のどれか)。
多分、同じ年に開催された東宝の「ゴジラ復活フェスティバル」の成功に刺激を受けて『大魔神』3部作を連続上映したのではないかと思います。

『大魔神』無理のないサイズ感
本編の人間ドラマと巨大クリーチャーが共存する特撮映画としては、東宝の円谷特撮作品をも凌ぐ完成度を持っているとさえ思っています。

それを支えたのは本編と特撮の両方の撮影を一人で手掛けた森田富士郎さんと美術の内藤昭さんの力が大きいと私は確信しています。
東宝特撮の場合は本編のカメラマン(主に小泉一さん)と特撮班のカメラマン(有川貞昌さん富岡素敬さん)と分かれていますが、いかに綿密に打ち合わせしていたとしても、映像の空気感に不一致が生じます。
それが『大魔神』三部作ではほとんど感じることが無いのです。

『大魔神』無理のないサイズ感_精密なセット
また、『大魔神』シリーズでは魔神の大きさを4.5メートル(人間の約2.5倍)に設定し、それに合わせてミニチュアも2.5分の1で作り撮影スピードも2.5倍としたことで、特撮映像のリアリティを高めています。
「大魔神の大きさを的確に表現出来て、かつ力強くリアルに動いて見えるのはこのくらいが限度だ」と、その縮尺を決めたのも森田撮影監督でした。

『大魔神』無理のないサイズ感_スモークで一体感増し
また、本編と同じく特撮場面にも同じようにスモークを焚いて空気感を統一したり、ズームを使わずフィックス(カメラ固定)で撮影することでミニチュアが安っぽく見えないようにも腐心したそうです。
その全ての成果が映画『大魔神』の本編と特撮の完璧に近い融合を生んだのです。
それは今回の4K修復版で見返しても色褪せることは全くありませんでした。

森田先生
『大魔神』に関して私がこれほど森田富士郎撮影監督と内藤昭美術監督を持ち上げているのにはもう一つ理由があります。

実は・・・。
森田さんと内藤さんはお二人とも私の大学(大阪芸術大学映像科)時代の恩師なのです。
私は森田先生や宮川一夫(黒澤映画や溝口映画を支えた名キャメラマン)先生の映画撮影の授業が一番楽しみでした。

森田先生と内藤先生は映像科の教室の一つに段ボール紙で作った2.5分の1の簡単なミニチュアセットを用意されていて、そこに生徒を歩かせたりお互いに撮影させたりしてかつてご自分が作り上げた『大魔神』の撮影トリックの数々を教えてくださいました。
また、段ボールセットの一部は奥と手前とで尺度を変えてあるものもあって、カメラ側から見て手前に居る者は普通に見えますが奥のほうに立つ人間は巨人に見えるという合成無しで大魔神と人間を画面に収めた種明かしをしてくれました。
また、それを逆方向から撮影すると手前の人物は巨人になり奥の人物は小人に見えますが、これは2001年公開の『ロード・オブ・ザ・リング』でホビット(小人族)の表現にも使われた技法です。

また、森田先生は当時撮影を担当していた『極道の妻たち』の撮影現場の見学に連れて行ってくれたこともありました。
私はヤクザ映画は大嫌いなので『極妻』シリーズは今だに一本も見ていません(汗)が、大の大人たちが1カット1カットに真剣に取り組む姿と、撮影前に照明や音声など各部署から「本番!」「本番!」「本番!」と声がかかったときの緊張感は今でも思い出すたび身が引き締まります。
後に森田先生が「そりゃ全部のカット毎に緊張してるよ。もし自分のミスで撮り直しにでもなったら監督や役者さんだけでなく他のスタッフ全員に申し訳ないからね。」と笑いながら言っていたことも忘れられません。
「この大学に入って本当に良かった」と心の底から思いました。
森田先生の授業は一生忘れることは無いでしょう。

『大魔神』高田美和さん(小笹)
4Kの高画質により、今まで何度も見た『大魔神』の中でも今回の高田美和さん(小笹)が一番美しく可愛いです。
彼女が登場する全てのカットに撮影者(森田先生)の愛を感じます(笑)。

あと、今回4Kリマスターの高画質により今回初めて気付いたことがありました。
・・・いや、別にたいしたことではないのですが(笑)。

『大魔神』小笹の傍に猿が二匹
川の水で髪を洗っている小笹のすぐ近くに野生の猿が映っていたのです。
それも2匹!。
なんか普通にウロウロ動き回っています。

『大魔神』小笹の傍に猿が二匹(拡大)
野生の猿がいることに気づかないまま撮影したのでしょうか?。
あるいは、当初「野生の動物たちと育った小笹は動物と心を通わせることが出来る」とかいう設定があってあえて猿を配置したのでしょうか?。
(ちなみに次に同じアングルが出た時には猿は2匹ともいなくなっています)
謎であります。
森田先生がご健在のうちに訊いてみたかったなあ。



※2作目『怒る』と3作目『逆襲』については昨年暮れに日テレ4Kで観たときの感想記事を一部改訂して再録しています。

6/16(木)
『大魔神怒る』(ピュア4K)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4K)
『大魔神怒る』ポスター画像
前作公開からわずか4ヶ月で作られたとはとても思えないハイクオリティです。
「ストーリーが前作の焼き直し」と揶揄する声もありますが、山が湖に変わったことで画的にも大きく変化しています。
『十戒』を思わせる海割れシーンやより広範囲に作られたミニチュアセットなど、前作より確実にグレードアップしています。

『大魔神怒る』色鮮やかなオープンロケシーン
大映映画の場合、レストアが上手い以前にフィルムの保存状態が良いのでしょう。
オープンロケの青空も緑も人肌もとても色鮮やかで、4Kリマスターの威力が最大限発揮出来ている気がします

『大魔神怒る』神の島セット
セット撮影部分も全体的に暗部のデティールが克明になって、神の島の石像前の空間が今までになく広く感じられました。
それでいて画面全体のバランスは崩れていません。
難があるとすれば、時々岩石が明らかに作り物に見えてしまうことくらいです。

『大魔神怒る』遠近法
「ゴジラ」や「ガメラ」に比べるとミニチュアや特撮セットが大きめに作られていることと、デティールや奥行き感の見せ方の上手さからまるで実景かと騙されそうになる部分も多々あります。
画面の端っこに小さく映るだけの瓦の汚しにも手抜きがありません。

ところで、最後にお国自慢を一つ。
『大魔神怒る』ロケ地は福井(小浜市)
実は、神の島の実景部分は我が福井県で撮影されているのですよ。
千草十郎(本郷功次郎さん)と部下の隼人(平泉成さん)が小舟で出ていくこのシーンなどがそうです。

蘇洞門
場所は小浜市北東部の内外海(うちとみ)半島の北側にある蘇洞門(そとも)という県内屈指の景勝地です。
映画ではこの写真中央の柱の間から小舟が出ていきました。

『大魔神怒る』福井がロケ地
二人が敵兵に追われるのを早百合(藤村志保さん)と下男のどど平が柱の陰から心配そうに見守るシーン。
この場面も同じ蘇洞門で撮っていることがお分かりいただけると思います。

『大魔神怒る』タイトルバック
そして、実はタイトルバックの岩も蘇洞門の岸壁です。
これが福井ロケである事実を知ってからというもの、一作目と同じかそれ以上に『大魔神怒る』が好きになりました。



6/17(金)
『大魔神逆襲』(ピュア4K)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4K)
『大魔神逆襲』ポスター画像
前二作は荒神を封じるハニワ顔の武神像に悪人どもが悪さをしたことがキッカケで大魔神が出現するという共通のパターンがありましたが、今作だけ武神像は破壊を受けることなく純真な少年の願いに応えて大魔神が出現します。
でも、それだと『大魔神逆襲』というタイトルは内容と合っていないような?。

『大魔神逆襲』少年たち
前2作はどちらも「乙女の涙を受けて大魔神が悪行の限りを尽くす領主を成敗する」という同じパターンのお話でしたが、3作目では乙女を少年に変更することでマンネリ化を防いでいます。
ただ、ヒロインが不在という点において少々画面に華が無いことは否めません。

『大魔神逆襲』大魔神動く
合成技術は前二作に比べて大幅に進歩しています。
この場面など、背景で動く魔神(着ぐるみ)と手前の人物との一体感が完璧で、まるで同じ空間に存在している両者をそのまま撮影したかのように自然です。
両者のサイズ、照明の統一感、そして俳優さんたちの的確なリアクション演技。
これらが完璧に融合されていることが分かります。

ただ・・・。
『大魔神逆襲』金太が犠牲に
実は私、この『大魔神逆襲』は子供が死ぬ場面があるため、前2作と違って見終わってもカタルシスを感じることがありません。
そのため見返す機会も少ないです。
たとえ「ご都合主義」などと誹られようとも、友達を救うため犠牲になった金太にも奇跡を起こしてあげて欲しかったです。


<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。

週刊映画鑑賞記(2022.`6/6~2021.6/12)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20220612 「週刊映画鑑賞記」トップ画像
今週は大林宜彦監督作品2本と4K放送版『フランケンシュタイン対地底怪獣』の3本です。



6/7(火)
『フランケンシュタイン対地底怪獣』(4K放送)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4K録画)
『フランケンシュタイン対地底怪獣』ポスター画像B
先週木曜に放映されたものですが、今週に入ってようやく観る時間が取れました。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』は4年前にも日本映画専門チャンネルがデジタルリマスター版を放送してくれています。
今回の記事はその時に書いたものに一部改訂&加筆したものです。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』戸上季子と
私と『フランケンシュタイン対地底怪獣』との出会いはテレビ放映で(途中まで)観たのが最初でした。
時期はうろ覚えですが、『帰ってきたウルトラマン』放映開始の前後だったように思います。
新聞のテレビ欄に「怪獣」という文字を見つけた私は、それこそ『ウルトラマン』みたいな明朗特撮怪獣映画を期待してワクワクしながら観始めたと思います。
当時はまだ小学校に入って間もない頃でしたが、なぜか「怪獣」とか「仮面」とか「帰ってきた」とか特撮やアニメに関係する漢字だけは読めたのです(笑)。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』檻の中
ところがこの『フランケンシュタイン対地底怪獣』は6歳の幼児が期待した怪獣ものとはあまりにもかけ離れた映画でした。
当時の記憶としては「とにかく怖かった」ということしかありません。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』窓からぬっと
幼い私の恐怖心を猛烈に煽ったのは、窓の外からフランケンがぬっと顔を出すこの画でした。
「うえひゃああああああ!」
その時同じ部屋にいた母の話によると、私は周りがビックリするくらいの悲鳴を上げて何か汚いモノでも触るかのようにテレビのスイッチを切ってしまったそうです。
そしてしばらく何も映っていないブラウン管をじ~っと見つめた後、「もう怖い場面は終わったかな・・・?」と恐る恐るもう一度テレビのスイッチを入れたのだそうです。

しかし、その時画面に映っていたのは・・・。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』手首が~
よりにもよって、ちぎれたフランケンの手首が勝手にうねうねと動いているこの場面でした。
私は速攻でTVのスイッチを切り、もう二度と見ようとはしませんでした。

母の話では、私はその日の夜から窓の外を見るのを怖がってカーテンを閉めっぱなしにしたそうです。
それを聞いた親戚の人たちに「男の子のくせに意気地がない」と笑われましたが、父母はその人たちに「怖いと思うのは想像力が豊かな証拠だ!」と反論してくれていました。
その両親の言葉だけは今でもはっきり覚えています。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』バラゴンとの戦い
この映画を全編通して観たのは大学に入ってからでした。
確かレンタルビデオで観たと記憶しています。
20歳を越えた私の目には「怖い」という印象はまるで無く、むしろフランケンのあまりに哀しい生涯に切ない気持ちになりました。
バラゴンのせいで「人を喰う怪物」という濡れ衣を着せられたフランケンは、事情を知らない人間たちから殺処分されそうになります。
フランケンを育て研究してきた三人の科学者のひとり川地(演:高島忠夫)にさえ「貴重な研究材料」としか見なされなくなっていました。
でも、その川地をバルゴンから救ったのは他ならぬフランケンでした。

フランケンシュタイン対地底怪獣 大ダコバージョン
ただし、この時私が見たのはバルゴンを退治したあと唐突に大ダコが出てきて地割れに引きずり込まれて終わるバージョンでした。
「なんでタコが山の中に???」
そのため見終わったあとの余韻はかなり微妙でした(笑)。

タコが出ないオリジナル公開版を観たのは90年代以降で、やはりレンタルビデオで観たと思います。
やはりこちらのほうが納得いく終わり方でしたが、逆にタコに気を取られなかった分ラストでボーエン博士(演:ニック・アダムス)までもが「彼は死ぬべきだ」と言っていたことに軽くショックを受けました。
これでフランケンの理解者は戸上季子(水野久美)ただ一人となったわけですが、彼女にしても単に母性本能からの一時的感情に過ぎなかった可能性もあるのです。
だとしたら・・・人類にフランケンの真の理解者は一人も居なかったという悲し過ぎる結末だったことになります。

フランケンシュタイン対地底怪獣 フランケンスチール
ヒト型の巨人が怪獣と戦うというスタイル、そしてと初代『ウルトラマン』放映の前年の作品であることから、「ウルトラマンの原型」とも言われるフランケンシュタイン。
ただ、あまりにも孤独な彼の姿は、万人に愛されたウルトラマンよりどちらかといえば最初期の仮面ライダーに近い気がします。
あるいは”人の姿をしたゴジラ”とでも呼ぶべきかも知れません。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』以外の古畑弘二さん
フランケン役を演じた古畑弘二さんは、元々劇団四季の役者さんだったそうです。
私たち特撮ファンはフランケン役の古畑さんしか知りませんが、60年代前半には特殊メイク無しの普通の映画やドラマにもいくつか出演されていました。

フランケンシュタイン対地底怪獣 フランケンと円谷英二
その後重度の難聴を患ってセリフが喋れなくなったため俳優を引退する決意をされたとき、「最後の一本」としてこの哀しき巨人の役を引き受けたのだそうです。
セリフは無く、唸り声や叫び声のみで、表情と全身の動きでフランケンシュタインの哀愁を完璧に表現した日本映画史に残る名演でした。

サンダ対ガイラ お茶目な兄弟
来年の4Kリマスター化特集には姉妹編『サンダ対ガイラ』を是非お願いしますよ、日本映画専門チャンネルさん!。



6/9(木)
『ふたり』
(ホームシアター:WOWOW録画)
『ふたり』ポスター画像
新・尾道三部作の一作目。
大林宣彦監督の命日に合わせて4月にWOWOWで放送されていました。
『ふたり』は劇場公開時とレンタルDVDとでこれまで2回見てますが、ハイビジョン画質で見るのは今回が初めてです。
他に『廃市』と『青春デンデケデケデケ』も放送してくれましたが、どうせなら新・尾道三部作の2本目『あした』も放送して欲しかったです。

『あした』ハイビジョン合成
元はNHKの長編ドラマだったものを再編集して劇場公開したものです。
そのため第九やマラソンのシーンでハイビジョン合成が使用されていますが、当時の技術ではフィルム撮影場面との整合性が低いためかなり不自然に見えるのが残念です。
ただし、最初から劇場公開を想定して35ミリフィルムで撮影していたため合成シーン以外の画質に不満はありません。

『あした』姉妹
主演は石田ひかりさん・・・の筈ですが、大林監督の視線は姉の幽霊役を演じる中島明子さんにばかり向いているように思えます。

『あした』妹
ラストカットは姉が亡くなった坂を胸を張って歩いていく妹の姿を見せて終わり・・・かと思いきや?。

『あした』姉
カットが切り替わるとなぜかその後ろ姿は姉役の中島明子さんに変わっています。
石田さんは「ラストを飾るのは主役の私なんだ」と自分に言い聞かせながら頑張っていたそうですが、完成した映画のラストショットを見たときの彼女の気持ちはいかばかりだったでしょうか?。

『あした』別れ
でも、私も50代になってようやく大林監督の意図が分かった気がします。
主人公の北尾実加は姉と比較されてばかりいたためいじけた性格に育ってしまった少女です。
しかし、新人の石田さんにはまだその複雑なキャラクターを自然に演じる技量はありません。
そのため、撮影現場で姉役の中島さんばかりを徹底的に贔屓して、新人女優:石田ひかりを主人公と同じ環境に追い込むことでリアルな実加役の演技を引き出していたのではないでしょうか。
その証拠に、原作では死んだ姉は声しか聞こえない設定になっていますが、映画では実加にだけ姿が見える幽霊として描かれています。
この変更の理由は、撮影現場の石田さんの傍らに常に中島さんが居る必要があったからに他なりません。

『あした』行こうぜ!
もう一人、大林監督お気に入りの女優さん、実加の親友:真子を演じた柴山智加さんが最高に良いです。
実加を侮辱したクラスメート(中江有里)の家に討ち入りしようと「行こうぜ!」と着物の裾をたくし上げた姿の凛々しさ!。

『あした』親友
「お姉ちゃんじゃなく自分が死ねばよかった」と自暴自棄になった実加を引っ叩いて励ます気迫の演技!。
途中からもう彼女しか見えなくなりました。(#^.^#)


エンディングに流れる主題歌「草の想い」。
劇場で初めて聴いたときは思わずコケそうになりました。
詞もメロディも凄く良い曲なのに、なんでおっさん(大林監督)の声なんだ???。
ここは普通に石田ひかりさんの歌声でいいじゃないか!。
最後の最後に大林監督のナルシズムや少女趣味が出てしまったように思えて、ひどく気恥ずかしくなりました。

・・・と、以前観たときはそう感じたのですが・・・。
でも、今聴くと大林監督のおじさん声で聴く「草の想い」に飾り気のない味わいを感じてしまうのです。
これは単に私が歳を取ったせいなのでしょうか?。
考えてみれば大林監督が『ふたり』を撮ったのは監督が53歳のときでした。
つまり、今の私よりもっと若い頃だったのです。
おじさん目線で『ふたり』を見ているうちに、制作時の大林監督の心境に少しだけ近づけたような気がしました。



6/10(金)
『青春デンデケデケデケ』
(ホームシアター:WOWOW録画)
『青春デンデケデケデケ』ポスター画像
私が一番好きな大林宜彦監督作品です。

ユニークで個性的な仲間たち。
テンポの良い会話劇。
メタ要素も含んだ独特の映像表現。
等々、見どころはいろいろありますが、私が一番シンパシーを感じるのは映画の内容そのものです。

『青春デンデケ』合宿
なぜならば。
この映画のバンド活動を映画作りに入れ替えて見ると、そっくりそのまま私の高3時代と重なるのです。

やりたいことが見つからないまま無為に高校生活を過ごしていた自分たちが、ふとしたキッカケから「映画作ってみよう」と思い立ち、秋の文化祭での上映を目指して高校最後の夏休みに七転八倒した懐かしくもほろ苦い思い出が蘇ります。
参加メンバー以外にも、人を紹介してくれたり美術部部室での上映機会を用意してくれたりと色々協力してくれた人もいて、この映画を観ていると彼らの姿が被って見えて仕方ないのです。

ただ、私の場合は撮影時のトラブルが原因で文化祭での上映が出来なくなってしまい不完全燃焼に終わってしまいました。
それでも、仲間たちと一緒に初の映画作りに挑んだあの楽しさは一生忘れません。

『青春デンデケ』白井清一
この映画、バンドメンバー全員が強烈な個性を放っています。
甘いマスクに天才的なギターテクニックを持つ白井清一。
主人公ちっくんは彼との出会いをきっかけにロックバンド結成に動き始めます。
演じるは今や日本映画を背負って立つ俳優の一人‎浅野忠信さんですが、今見ても最初浅野さんとは気付かないほど大人しくて控えめな少年の役です。

『青春デンデケ』合田富士男
お寺の跡継ぎでありながら実に世渡り上手で、将来どんな生臭坊主になるのかと思わせてくれる合田富士男。
演じたのは『瀬戸内少年野球団』のバラケツ役が記憶に新しかった大森嘉之さん。‎
白井にまとわりつくストーカー女を諦めさせるため彼が吹聴したホラ話は白井自身にも迷惑千万な内容でしたが、それでも「ほんにわしは名僧じゃ!」と自画自賛するところが最高でした。

『青春デンデケ』先生
バンドを部活動(第二軽音楽部)にするよう提案し、その顧問も引き受けてくれたのは元々外国音楽が好きだったという寺内先生(演:岸田一徳)。
「なんだか贔屓されてるみたいで・・・」と遠慮するちっくんに「やる気のある奴は贔屓するんじゃ、わしは!。」と言い切るところが素敵過ぎます。
私のときにはこんな先生は居なかったなあ・・・。

『青春デンデケ』唐本幸代
本作にも大林映画常連の柴山智加さんがご出演。
今回はちっくんたちをサポートしてくれるクラスメートの役ですが、やはり笑顔が最高にチャーミング!。
海辺のデートシーンでは水着姿も披露してくれて、ちっくんは思わず前のめりに(笑)。

『青春デンデケ』男なら覚えがあろう?
カメラ(観客)に向かって「男なら覚えがあろう?」と困惑した顔で語りかける場面では劇場で大笑いしてしまいました。

映画の登場人物が観客に向かって語りかける手法を「第四の壁を壊す」と呼びますが、私はこの作品で初めて見ました。。
日本映画では黒澤明監督が『素晴らしき日曜日』ですでに実験済みの手法ですが、私は「こんな見せ方があるのか?」とかなり驚きました。

『青春デンデケ』本番
文化祭で大成功を収めたロッキング・ホースメンの演奏。
ここがクライマックスかと思いきや、本当のラストはその後でした。

『青春デンデケ』巡礼
文化祭から半年後、進学のため都会に出ることになったちっくんは一人高校時代の思い出の地を巡り歩きます。
このシーンを観た人の中には「文化祭の大盛り上がりで終わればいいのに」とか「女々しい」と思った方もいるかも知れません。
でも、私にはこのラストのちっくんの気持ちが痛いほどよく分かります。
今でも高校時にロケした現場(小学校跡や駅前など)を通るたび、そこで「あーだこーだ」と言い合いながら撮影した当時の記憶が鮮明に蘇ってくるのです。
そして、「あのときの熱さはもう二度と戻ってはこないのだな~」などと、ついセンチな気分に浸ってみたりします。


<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。

週刊映画鑑賞記(2022.5/30~2022.6/5)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20220605 「週刊映画鑑賞記」トップ画像
今週観た長編映画は劇場2本とホームシアター1本の合わせて3本でした。
初見の作品は『トップガン マーヴェリック』のみ。
『シン・ウルトラマン』は3回目。
旧『トップガン』は劇場初公開時以来なので実に36年ぶりの再見です。

『フランケンシュタイン対地底怪獣』ポスター画像
あと、土曜日帰宅後に見るつもりだった4K放送版『フランケンシュタイン対地底怪獣』は、仕事が予期せぬ時間延長となったためまだ見れていません。
とりあえず、『大魔神』のときみたいに緊急災害速報が入っていないことを祈るのみです。



5/31(火)
『トップガン』
(ホームシアター:AMAZON PRIME VIDEO)
『トップガン』ポスター画像B
金曜日に今話題の『トップガン マーベリック』を観に行くことに決めたので前作を観返しておくことにしました。

『トップガン』実物の戦闘機
やはり本物の戦闘機を使ったドッグファイトの迫力と、トニー・スコット監督の映像美と編集センスは今見てもカッコ良いです。

前作『トップガン』はまだ旧・ソビエト連邦が存在していた1986年の作品です。
冷戦期のアメリカ映画であり敵機の名も「ミグ28」となっていますが明確な敵国名は出してません。
この頃のソ連は、ゴルバチョフ大統領がペレストロイカ(政治体制や社会体制など国家の立て直し)やグラスノチ(情報公開)に取り組み始めた頃で、アメリカ映画界もそうしたソ連の政治情勢に配慮したためと思われます。
敵の正体をぼかして描いたことによってリアルな戦争映画とはならず、単にスリリングでスタイリッシュなゲーム感覚の映画に転化されたのかも知れません。
だからこそ、ソ連が解体された後も古びることなく愛され続ける作品になれたのでしょう。

『トップガン』オープニング 小躍りする甲板員
オープニングでは、花形のパイロットではなく空母の飛行甲板員やメカニックマンなど裏方さんにスポットを当てているのが良いですね。
着陸を成功させて小躍りしてる奴なんか最高です。

『トップ・ガン』バイクでデート
でもストーリーは・・・。
う~む。
今見てもアメリカ海軍を舞台にしたド派手なトレンディドラマって感じですね(笑)。
この頃のトムさんは終始モテモテでニヤけてばかりいて正直あんまり好きではありません。
むしろ、ライバルのアイスマンや相棒のグースのほうがよっぽど魅力的なキャラクターでした。

オレは弾丸(笑)
そういえば日本でも当時人気のトレンディ俳優を使った『ベスト・ガイ』とかいうパクリ映画が作られてましたっけ。
あの頃の日本映画ってホントに志が低かったなあ・・・。



6/3(金)
『トップガン マーベリック』🈠
(劇場:イオンシネマ白山)
『トップガン マーヴェリック』ポスター画像(空)
主演のトム・クルーズさん本人が「絶対に映画館で観て欲しい」と呼び掛けていた作品です。
私も本当は大阪エキスポシティのレーザーIMAXで観たかったんですが、先月立て続けに長野と京都へエキストラ遠征が続いたため流石に妻が許してくれませんでした(涙)。

2022-06-03 イオン白山8
それでも、現在北陸圏で最も優れた音響設備と大画面上映システム(ウルティラ)を有する隣県のイオンシネマ白山へ足を運んできました。
観客は、平日の午前中だというのに半数近くが埋まっていたように思います。
座席は間引き販売されていたことを考えると、これは「満席」と呼んで差し支えないレベルだった気がします。

『トップガン マーヴェリック』トム・クルーズ
流石にIMAXには及びませんが、かなり前方寄りの席(4列目中央部)で観たため、視界の全てが映像で埋め尽くされて空中戦シーンでは思わず身体が一緒にぐりんぐりんと動いてしまいました。
4DXだったらマジで酔うかも?(笑)。

『トップガン マーヴェリック』敵機
前作と同じく今回も敵国の名は明示されません。
そのため、この続編もゲーム感覚の映画になっています。

とは言え、司令官が「勝手に核兵器開発を進めている”ならず者国家”」と呼んでることから北●鮮をモチーフにしているのは間違いありません。
あの国のデブ兄と陰険妹がこの映画を見たら何を言い出すか・・・(以下自主規制)。
もし3作目が作られるとしたら、シベリアのどこかに隠れているというプ●●ン大統領をターゲットにする話になるかも知れません。

『トップガン マーヴェリック』バイクでデート
正直に言えば、マーヴェリックの超人的大活躍と終盤の出来過ぎな展開には少々食傷気味でした。
しかも、その合間にちゃっかり彼女とバイク二人乗り(しかもノーヘル)でデートというところも相変わらずです(笑)。
まあ、ゲーム世代にはこの上なく面白い映画だと思います。

『トップガン2』元相棒
ネタバレ防止のため詳細は割愛しますが、ストーリーは完全に前作から地続きです。
マーヴェリックが教官として舞い戻ったトップガンチームの一員に、前作でマーヴェリックの相棒だった故・グースの息子がいたのです。
彼との確執がこの続編の縦軸になっていました。

『トップガン マーヴェリック』かつてのライバル
この映画で唯一マーヴェリックに人間味を感じたのは、かつてのライバル:アイスマンとの再会シーンでした。
流石のマーヴェリックも、絶望的に成功率の低い作戦に若者たちを送り出さねばならない苦悩と、かつての相棒の息子との関係に悩み苦しんでいました。
そんな中、かつてのライバルにして親友の前でだけは見栄も体裁も忘れて涙ながらに弱音を吐露します。
しかしアイスマンは末期の咽頭がんで余命僅かとなっており話すこともままならない状態でした。
そのため最初は筆談で会話していましたが、最後は絞り出すような自分の声でマーヴェリックにエールを送ります。

アイスマンを演じたヴァル・キルマーさんは実際に咽頭がんを患って一時は声が出せない状態でしたが、今はA.I.技術で自分の声で話せるようになっているそうです。
最後のセリフはこの技術を使ったものと思われます。

『トップガン マーヴェリック』絶対に映画館で観るべし
あと(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)最後に僚機を守るためマーヴェリックがとったある行動が鳥肌ものでした。
私はああいう場面に弱いのです。
(まだ観てない人にはなんのことかまるで分からないですよね。スミマセン)



『シン・ウルトラマン』
(劇場:イオンシネマ白山)
『シン・ウルトラマン』ポスター画像A
午後からはもう一回これを見て帰ることにしました。
『シン・ウルトラマン』3回目の観賞です。

イオンシネマ白山 座席予約画面
今回、ネットで座席予約していたときふと魔が差しました

いつもだったらDからFの11番か12番(センターライン)を選ぶのですが、私は先日も同じ席で『シン・ウルトラマン』を2回観ているのです。
それを繰り返しても意味はありません。
しかし、実はこの劇場には、私が今まで体験したことのないある特殊な席があるのです。
今回はそれを試してみることにしました。

2022-06-03 イオン白山5コンフォートシート
それは、劇場最前列でほぼ寝そべった状態でスクリーンを見る(見上げる)コンフォートシートというものです。

2022-06-03 イオン白山5 最前列席(パノラマ写真)(1)
初めてこのシアターに来た時からず~っと気になっていたこの座席。
試すなら今です!。

2022-06-03 チケット
そう考えた次の瞬間、私は中央部のコンフォートシートをポチっておりました。
もう後へは引けません(笑)。
スクリーンのほぼ真下から見上げるウルトラマンや怪獣の雄姿はいかなるものか?。

2022-06-03 イオンコンフォートシート この距離感!
これがコンフォートシートとスクリーンとの距離感です。
まさに仰ぎ見るという言葉がぴったり!。

2022-06-03 見た目(パノラマ写真)(1)
座った(寝そべった)状態で仰ぎ見たスクリーンはこんな感じです。
パノラマ撮影なので凸状に歪んでますが、その圧倒的な威圧感は感じていただけるかと思います。

2022-06-03 027コンフォートシート 目の前にウーファー!
また、私の目の前にはこの劇場ご自慢の高さ2.5mのサブウーファー群がずらりと並んでいます。
今回はここから出る重低音を全身に浴びることになりました。
いつもの4~6列目あたりでは前の座席に遮られて重低音は弱まりますが、ここでは腹にズシズシと直撃してきます!。

禍威獣の咆哮。
ウルトラマン着地時の衝撃波。
山の形を変えてしまうほどのスペシウム光線の威力。

どれも全身に響いてきます。
入場前にトイレを済ませておいて本当に良かったです。
そうでなければ振動で上映中何度も尿意を催したに違いありませんから(笑)。

↑ちなみに、シュレックみたいな緑の5本指靴下を履いた足の主が私です。(〃´∪`〃)ゞ

『シン・ウルトラマン』仰ぎ見る効果大なアングル
このアングルで仰ぎ見る怪獣映画は最高です。
もしかすると元々これくらいの距離感で見ることを想定して画作りしているのかと思ったくらいです。
そして、最高なのはウルトラマンや怪獣(禍威獣)だけではありません。

『シン・ウルトラマン』女優アップ多め
今回妙に顔アップやローアングルが多い長澤まさみさんも、前回普通の席で見たときより数倍肉感的に見えてトキメキました。
彼女が気合を入れるたびにバチンと叩くお尻が視界いっぱいに映ったときとか、巨大化した彼女がローアングルショットで迫ってくる場面なんかもう・・・(以下自粛)。

『シン・ウルトラマン』意外にコンフォートシート向きな画
あと、こういう画も低い位置から見上げると異様に立体感が増して見えました。
改めて見ると、元々『シン・ウルトラマン』はローアングルショットが多いんですよね。
そのためかコンフォートシートで観てもそれほど疲れることはありません。
ただ、総理役の島田久作さんの正面どアップだけは勘弁して欲しかったですけど(笑)。

今回は、コンフォートシートを試すこと以外にもう一つ注意して見ていた部分がありました。
それはウルトラマンの顔・・・特に口元の変化です。

ウルトラマン ABC
特撮ファンなら知らない者などいないと思いますが、一応説明しておきます。
オリジナルTVシリーズではウルトラマンの顔とスーツは大きく分けて3回変化しています。
その理由は演出や設定上の理由によるものではなく、単に劣化のため作り直すたびに様々な改良を加えたためでした。

最初のものはAタイプと呼ばれるラテックス製のマスクで口が動くように作られていました。
そのため回を重ねるごとに口元が徐々にグニャグニャになってしまい、時々中の人の歯が見えてしまうことさえありました。

そのAタイプマスクと同じ型を使いプラスチックで生成し直したのがBタイプマスクです。
口の動きは演出上生かされることが無かったため廃止されましたが、その代わり生き物感が失われた気がします。

最終のCタイプは口の幅が大きくなり目の角度も優しい感じになりました。
実相寺昭雄監督はこのCタイプウルトラマンを「仏様のようだ」と評したそうです。

『シン・ウルトラマン』初期タイプ
『シン・ウルトラマン』でもこうした顔の変化は再現されています。
最初地球に来たばかりのときはAタイプマスクのように口元にしわがある顔つきでしたが・・・。

『シン・ウルトラマン』2度目の登場時
2度目に出現したとき・・・つまり神永シンジと同化した後のウルトラマンは口元が固定されたBタイプもしくはCタイプに近い顔に変わっています。
私はこの変化を、単に「オリジナルの要素(マスクデザインの変化)を取り入れたリスペクトの一つ」としか見ていませんでした。

ところが!。
先日、相互リンクさせていただいているmikaidouさんのブログ「老嬢の鼻眼鏡」を拝読したところ、女性ならではの観点に思わず膝を打ってしまいました。

http://mikaidou789.blog.fc2.com/blog-entry-1865.html

「タクミさまと一体化してラインがレッドになってからはお顔(特に下唇にあたる辺り)が見事に「タクミさまの造形」に変わってて良きでございました。」

この表現に思わず笑ってしまうと同時に、自分がこの映画をガチガチのオタク脳でしか見ていなかったことに気付かされました。

確かにウルトラマンの顔つきは神永と同化してからは大きく変化しましたが、その後も微妙に顔が変わり続けているように思えたのです。
(静止画で見比べられないのであくまでも主観ですが・・・)
つまり、来たばかりで地球のことも人間のことも何も知らない素の状態がAタイプ。
神永と同化して、コミュ障ながらも人間という不可解な生物について懸命に学んでいるときはBタイプ。
そして人間を信頼して仲間として共に戦うことを決意してからはCタイプ(つまりオリジナル版の完成形)という流れになっているように思えました。
だからこそ、今回の観賞ではラストのゾーフィの言葉「そんなに人間が好きになったのか。」がより深い意味を持って聞こえました。

『シン・ウルトラマン』斎藤工
正直言いますと、私の目からは斎藤工さんの口元がウルトラマンの口元に似ているかどうかは微妙なところではあります(汗)。

『シン・ウルトラマン』口元変化
でも、早見の質問「あなたは地球人?それとも外星人?。」に対し、神永が「両方だ!。」と即答した瞬間から私にはウルトラマン=神永シンジとして見えるようになりました。

ラストシーンで目を覚ましたのは、元の人間としての神永なのかそれともウルトラマンなのか?。
(神永の遺体は途中で消滅しましたがあれはウルトラマンに吸収されたということなのか?)
いずれにせよ、続編制作を切に願います。



『PLAN75』早川千絵監督
先日早川千絵監督の『PLAN75』がカンヌ映画祭でカメラドール特別賞を受賞されました。
是枝裕和監督やアカデミー賞の濱口竜介監督の時と同じく日本人として誇らしい気持ちでいっぱいです。

『PLAN75』ポスター画像
ただ、恥ずかしながら私はこの映画の内容についてはニュースを見るまで全く知りませんでした。
紹介映像を見ても、単に「うわー、さくらさん(倍賞千恵子さん)老けたな~」と思っただけでありました(汗)。

ところがよくよく聞いてみるとかなり思い切ったストーリーではないでですか!。
単なる老人問題のお話かと思っていたら、超高齢化社会となった近未来の日本で75歳以上になると自ら生死を選択する制度<PLAN75>が施行されるという近未来SFだったのです。

藤子F不二雄『定年退食』
このストーリーを知った瞬間、私は即座に藤子・F・不二雄先生の『定年退食』という短編SF漫画を思い出しておりました。
もちろん『PLAN75』が『定年退食』のパクリだなどと言うつもりは毛頭ありません。
それどころか、今まで日本人が目を背け続けてきたこの切実な問題に真正面から切り込む映画が日本人自身の手で作られたことに感動と嫉妬を感じます。
しかも主演は山田洋二監督作品常連の名女優:倍賞千恵子さん。
倍賞さんは脚本を読んで「この結末なら」と納得して出演することを決められたそうです。

これは何が何でも絶対見たい!。
いや、見なければならない映画です。

なのに・・・
『PLAN75』上映館(福井無し)
公式HPの上映館情報には福井の映画館が載っていません!。
このうち一番近いのはユナイテッドシネマ金沢ですが、ここは高速使っても1時間くらいかかるんですよね~。
6月下旬に大阪へ行く用事があるのでそのとき向こうの劇場で見てこようかな。

それにしても・・・。

福井の映画興行主たちよ。
あんたらは何をボンヤリしてるのだ?。
こういう優れた映画は私みたいな物好き・・・じゃなくて映画好きは県外へでもさっさと観に行ってしまうのだぞ。
「商機を逃す」とはこのことだ!。



<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。