『カツベン!』 〜どないしよう 活動写真に写ってしもうた〜
トガジンです。

月曜日(16日)は仕事が午後からのスタートだったため、朝のうちに映画『カツベン!』を観ていくことにしました。
上映開始は9時半(予告編含む)からですから遅くとも12時過ぎには終わりますから、それから昼飯を食べても13時の集合には十分間に合います。

私、この映画は少しでも早く見たかったのですよ。
なぜならば・・・。

実は私、映画やドラマのエキストラ出演が趣味なのですが、昨年9月19日と23日の2度に渡り東映太秦撮影所で『カツベン!』の撮影に参加してきたのです。
特に23日の撮影ではかなりカメラに近いポジションで、しかもレンズが自分のほうを向いている機会も多かったので結構写ってるんじゃないかと期待しておりました。
まあ、私が映っていたかどうかとかエキストラ参加時の話は後回しにするとして、まずはざっくりと映画の感想から・・・。

いきなり笑わせてくれたのが無声映画の撮影風景です。
セリフは全て字幕か弁士の語りになるため、役者たちは全員「いろはにほへと~ちりぬるおわか~」としか喋りません。
このことは昔大学(大阪芸大映像学科)で聞いたことがあるのですが、こうして実際に「いろは~」で撮っているところを見ると滅茶滅茶可笑しいです。
ひょんなことから幼い俊太郎と梅子も撮影に乱入してしまいますが、なんと監督はそのまま撮影続行しただけでなくこの闖入者たちをも映画の一部にしてしまっていました。
後になってこの監督さんが「1:スジ(脚本)、2:ヌケ(映像)、3:ウゴキ(芝居)」の映画三原則を唱えたマキノ省三だったことを知りました。
かつてこの三原則を基本に自主映画に打ち込んでいた私としてはちょっと複雑な気持ちであります(笑)。

映画『カツベン!』は主人公とヒロインの子供時代から始まります。
「なんだかNHKの朝ドラみたいな始まり方だな~」と思いながら見てましたが、実はこの冒頭部分に『カツベン!』の全ての伏線が組み込まれていました。
しかも、子役の二人の演技が本当に素晴らしいのです。

特にヒロイン:梅子の少女時代を演じた藤田りんかちゃんの可愛いこと!。
初めて食べたキャラメルの味に目を輝かせ、半分だけ食べて残りを大事そうに仕舞ういたいけな仕草。
そして、いつまでたっても戻ってこない俊太郎を健気に待つ時の切ない表情。
この子を見ているだけで十分元が取れた気がしました。

話術ひとつで悲劇も喜劇に変え、デタラメにつないだフィルムの中にさえ物語を紡ぎだしてしまう活動弁士。
「日本には本当の意味でのサイレント映画時代は無かった。なぜなら日本には活動弁士が居たから。」という言葉が出てきますが、この映画を見れば納得です。

子供のころから活動弁士になることを夢見ていた俊太郎(演:成田凌)は、その後いろいろあってニセ弁士として泥棒一味の片棒を担ぐようになっていました。
しかし、本物の弁士になる夢を捨てきれない俊太郎は盗んだ金を持ち逃げして人手不足の映画館:青木館に雑用係として雇われます。
そこでまたいろいろあって、修太郎はひょんなことから活動弁士の才能を発揮することに・・・。

この映画の肝となる成田さんの活弁が実にお見事でした。
おそらくかなりの量の練習と研究を積んで臨んだものと思います。
正直なところ、これまでは「最近ポッと出てきたチャラ男タレントの一人」くらいにしか思っていなかったのですけど、なかなかどうして役者根性のある方でした。
ナメてました。
ごめんなさい、成田さん。

一方、大人になって念願の女優になった梅子(演:黒島結菜)は裕福な悪徳実業家の娘に「幸せ」について尋ねられてこう言い切ります。
「幸せっちゅうのはキャラメルの味や!」
この映画はキャラメルが一つの柱になっていますが、それをしっかり支えていたのは子供時代を演じた藤田りんかちゃんのきめ細かい演技でした。

この映画を観たらキャラメルが食べたくなることうけあいです(笑)。

青木館の主を演じるのは周防監督作品レギュラーの竹中直人さん。
私も太秦での撮影の時すぐ近くにいたのですが、竹中さんは待ち時間の間もずっと呼び込み口上の練習をされていました。
また、時々私たちエキストラにも声をかけて緊張をほぐしてくださったりしてあののびのびとした現場の雰囲気を作り出してくれていたように思います。
そういえば、周防監督作品の竹中さんの役名には青木が多いです。
『シコふんじゃった』と『Shall we ダンス?』での役名はどちらも青木富夫でしたし、『舞妓はレディ』では富さんと呼ばれてましたからフルネームはやはり青木富夫だったのかも?。
周防監督の次回作での竹中さんの役名が楽しみです(笑)。

映画を汚すものを絶対に許さない映画好きな木村刑事。
その標的はニセ弁士として窃盗団に加担していた過去を持つ俊太郎も例外ではありませんでした。
しかし俊太郎の活弁に感動していた木村は、逮捕の瞬間に粋な言葉を投げかけます。
「人生にも続編があっていいんじゃないか?」
いいですね~。
『ルパン三世 カリオストロの城』で銭形が言った「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」に匹敵するくらい素敵なセリフです。
竹野内豊さんには『シン・ゴジラ』の赤坂や『太平洋の奇跡』の大場大尉など沈着冷静なイメージしか無かったのですが、こうした粋でコミカルな役柄も似合うのですね。

なんだかとりとめない感想記事になってしまいましたが、この私が心の底から満足した活動写真であることだけはお判りいただけたのではないかと思います。
活動写真『カツベン!』はただいま絶賛上映中です。
ここからは2018年9月19日と同23日に『カツベン!』の撮影に参加した時の記録です
(実は参加直後の昨年9月にも短く記事にしていますが、今回は映画公開後ということでその完全版です)
【9月15日】
この日の夜、私はPCの前で小躍りしておりました。

周防正行監督最新作のエキストラ募集に当選したのであります。ヽ(≧∀≦)ノやっほう

さらに翌日20日の追加当選メールも!。
20日当選者の中に辞退した人がいたため繰り上げ当選になったのです。(ง°`ロ°)งよっしゃあ
【9月18日】

京都太秦撮影所への集合時間は19日朝6時半となっていました。
車だと福井から4時間近くかかるため深夜2時には家を出て徹夜で運転しなければなりません。
これでは撮影本番に入る頃には眠くて実力(あるのか?)を発揮出来ませんし、京都での駐車場の心配もありました。
そのため今回の移動には電車(JR北陸本線)を利用しました。

宿泊は烏丸通りにあるカプセルホテル「ファーストキャビン」。
当選メールが来た時点で19、20日の一泊二日分を予約しました。
ここは受付に着物姿の若い女性がいてくれたり、カプセルホテルと言いながらも部屋が広くて快適なので気に入っています。
京都で宿泊するときはよくここを利用するのですが、現在はリニューアル工事中のため来年春まで休業中とのことです。

この通り、人が中で立って過ごせるほど部屋が広いです。
これでお値段2泊でなんと5,020円(税込み)!。
一泊あたり2,510円で、これは普通のカプセルホテルより安いです。
ただし、これは閑散期の平日価格で土日や観光シーズンには一泊1万円くらいに跳ね上がります(笑)。
【9月19日】

翌朝は5時にホテルを出て太秦に向かいます。(-_ゞゴシゴシ
普段は賑やかな烏丸通りですがさすがにこの時間は御覧の通り閑散としています。

始発に乗って烏丸から西院へ。
西院で嵐電に乗り換えて太秦へ。

撮影所前駅。
この時間ここに降り立ったのは私一人でした。
他の方はJRや車で来るのでしょうか。

駅から1~2分歩いて東映太秦撮影所に到着。
ここへ来たのは’99年に阪本順治監督の『新・仁義なき戦い』メイキングビデオの仕事で来たとき以来ですから19年ぶりということになります。
それ以前だと、大学の講師だった森田富士郎キャメラマンのコネで『極道の妻たち』(第一作)の撮影見学に来たことがありました。

門の前で待っていたスタッフさんに「周防監督作品のエキストラで来た者ですが」と伝えると、ここでしばらく待っていて欲しいと言われました。
待ってる間に撮影所を背景に一枚パチリ。( ー`дー´)キリッ
この写真は後からやって来た初対面の方にお願いして撮ってもらったものです。

十人ほど集まったところで撮影所の中へ入ります。
学校の体育館ほどもある大きな建物(スタジオ)が立ち並ぶその手前にプレハブ小屋があり、その入り口には大きく「周防組」と書かれていました。
私たちの前にもすでに何人か来ていて、男女に分かれて衣装やカツラなどを衣装さんに着せてもらっていました。

手続きと全体説明を終え、それぞれ助監督さんに役を割り振ってもらいます。
私が拝命したのは「行商の男性」の役でした。
これまで何度かエキストラの経験はありますがそれらは全て現代ものばかりだったので、専用の衣装を着て撮影に臨むのはこの時が初めてです。

ちなみに当選メールにはいくつかの要望が書かれていました。
さすがに大正時代風の服は持っていませんが、VネックのTシャツくらいならお安い御用です。

「行商人」ってきっとこんな(↑)だろうな~」とワクワクしていたのですが、いざ着付けが始まってみると私のサイズ(特にお腹まわり)に合う行商人の衣装が無いとのこと。(; ̄Д ̄)ェェェェ

そんなわけで、私の役は「店舗商人」に急遽変更となりました。
見てください、この格好。
なんだか活動写真好きなどこかの道楽旦那って感じですね。
(ていうか、それって私そのものです)
この時はまだ胸元からTシャツが見えていますが、本番では担当の方が衣装に縫い付けて目立たなくしてくれました。

ついでに後ろ姿も。
これらの写真は待合い室でたまたま隣り合わせたベテランエキストラの方が撮ってくれました。
話を聞くと、彼も私と同じく奥さんから「道楽者」&「変人」扱いされているとのこと。ヽ(´∇` )ノ オォ~ココロノトモヨ!
そんなわけで私たちはこの日初めて会ったというのにすぐ意気投合して、出番が来るまでお互いの今ままでのエキストラ体験を熱く語り合っておりました。
京都の人である彼は『のみとり侍』や『銀魂』など映画の他、『科捜研の女』など京都で撮影されるドラマにも多数参加されているそうです。
時代劇の所作(武士の歩き方)のこととか、衣装の裃が壊れやすいため何度も衣装さんに叱られたこととか、私が知らない映画撮影の話をいっぱい聞かせてくれて時間が経つのも忘れて話し込んでいました。

反対に私のエキストラデビューが『シン・ゴジラ』であることを言うと「わざわざ東京まで行ったんか?、凄いなあ。」と驚いて特撮映画の撮影現場の話を面白そうに聞いてくれました。

また、私と同じく『ちはやふる-結び-』の試合シーンの撮影にも参加しておられたそうで、私と彼とは知らないうちに共演もしていたことが分かりました。
この日は『ちはやふる』で知り合った他の方たちとも再会出来て、なんだか同窓会みたいでとても楽しいひと時でした。
そうして初対面同士で笑いながら話し込んでいると、横から警官役の扮装をした若い男性が恐る恐るというかんじで声をかけてきました。
男「あのう、僕もお仲間に入れてもらってよろしいですか?」」
彼は今回が初めてのエキストラ体験で誰とも会話できずにいたところ、初対面同士なのに楽し気に会話している隣の二人組に思い切って声をかけてみたのだそうです。
私たちは「どうぞどうぞ」と彼を迎え入れ、3人で好きな映画の話やエキストラの体験談を語り合ったのでした。
この『カツベン!』への出演が彼にとって最高の思い出になってくれることを願うばかりです。

しかし、いつまで経っても我々エキストラの出番がきません。
11時を過ぎた頃、少し早めですがお弁当が配られ始めました。
助監督さん曰く「お食事が終わったらいよいよ皆さんの出番で~す。」

撮影現場は映画村のオープンセットでした。
このとき撮影所(待合室)から映画村まで歩いて移動するのですが、その道中で映画村に来ている大勢の観光客の前を通ることになります。
なんだか誇らしい気持ちになって手を振ってみるとお客さんたちも喜んで手を振り返してくれました。(◎´ω`〃)ノ゚
中には外人さんも大勢いて「オー、サムライ?」とか言いながらカメラを向けられてしまいました。(侍じゃないけど)
また、この日は終日好天に恵まれました。
ていうか、暑い!。
気温は30度超えの夏日でした。
そして眩しい!。
向きによっては西日の直撃を受けるため、しかめっ面にならないよう気を付けながら演技していました。

私の役は舞台となる映画館「青木座」がある大通りの一角にあるふとん屋の店主でした。
周防監督の「よーい、スタート!」のかけ声を合図に、セットの中から座蒲団を運び出したり道行く行商人に声をかけたりと街の賑わいを醸し出す一端を担っておりました。
ただし、この時の私の位置はカメラからは最も遠いセットの端のほうでした。(´·ω·`)ショボーン
私はカメラが遠くても自分の存在が分かるようにと、道の真ん中まで商品を持って通行人に売りつけようとしたり、屋根の上の看板に手を伸ばすなどして出来るだけ大きな動きをしてアピールしておりました。
これは待合室で親しくなったエキストラ仲間に教えてもらったテクニックの一つです。

しかし、やがて周囲のエキストラさんからは「この辺は全然映らんね~」と不満そうな声が聞こえてくるようになりました。
更にカメラの位置を逆向きにして同一シーンを撮る(専門用語で「返す」というらしい)時は完全に出番が無くなります。
私も正直「これで終わりだったら来た甲斐がないなあ」と思っておりました。
しかし、このシーンの撮影が終わるとすぐ状況が一変しました。
助監督の一人がセットの奥にいた私たちのところにやってきて「次に撮るシーンではこの場所は全く映らなくなるため、ここにいる全員で通行人役をやっていただきたい」と言ってくれたのです。 (๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!
通行人ならカメラに映る確率は絶対的に高いはずです。
そんなわけで後半は青木館前の賑わいカットとして各エキストラがそれぞれ思い思いに街を歩くシーンを撮影しました。
私は「映画好きの道楽者」という役柄を自分で勝手に設定して、ただ歩くだけでなく劇場前のスチール写真を眺めたり看板を見上げたりしながら「ほぉ~新しいシャシンが入ってるな~」という表情で袖口に手を突っ込んで切符を買おうとする男を演じてみました。
あと、青木館から飛び出してきた渡辺えりさんに成田凌さんがどやされるのを見て驚く通行人役を間近でやらせていただきました。
しかし残念なことにこれらの場面はカットされてしまったらしく、この日撮影されたシーンの中に私の姿を見つけることは出来ませんでした・・・。_| ̄|○ ガックリ

夕方、この日の撮影は無事終了。
記念品(買い物バッグ)をもらって全員解散です。
そしてその直後、良い知らせと悪い知らせが同時に飛び込んできました。

悪い知らせは翌日20日の撮影が中止になったことです。Σ( ̄□ ̄;)
理由は天気や撮影スケジュールの都合などではなく、この日の撮影が順調に進みすぎて翌日の分まで撮影出来てしまったからだそうです。
確かに残念ではありましたが、この理由にはそこにいた全員笑うしかありませんでした。
私はすでにホテル代2泊3日分を支払い済みだったため翌日は一日京都で遊んで帰りました。

良い知らせは、もう一件エントリーしておいた23日(日)の撮影に当選したことです。(ง°`ロ°)งおっしゃー!
土日はいつも競争率が高いため諦め半分でエントリーしていたのですがこれはラッキーでした。
【9月22日】

今度もまた6時半に集合とのこと。
7時までなら遅れても良いとのことですが、少しでも早いほうが良い役をもらえる確率が高いです。
ただ、前回はカプセルホテルの予約を格安で取れましたが、今回は土日であるためどこも部屋が空いていません。
まあ、土日祝日の京都はいつもこんなものですが・・・。

そこで今回は前日のうちに大津まで移動し、大津京駅の駐車場で車中泊することにしました。 ( ˘ω˘ ) スヤスヤ
【9月23日】

翌朝、京阪・JRと電車を乗り継ぎ6時20分頃JR太秦駅に到着です。

そして再び東映太秦撮影所へやって来ました!。

今回も私が拝命した役は店舗商人でした。
ということは衣装は前回みたいな着流し姿だろうと思っておりました・・・が!?。

じゃ~~~~ん。
今度はなんとふんどしチラ見せスタイルでした~。(*ノωノ)キャッ
恥ずかしい?。
確かに最初は周りの(特に女性の)目が気になりましたがすぐ慣れました。
だって周りにはこんな格好の人がいっぱいいましたから(笑)。

前回の撮影後すぐ散髪に行ったため頭髪は短く刈り上げています。
こんなヘアスタイル(笑)の人は他にいなかったので、この頭が映っていれば「あれが自分だ」とすぐ判別出来そうです。
今回大変だったのは履物が下駄だったことです。
現場での動きはもちろん待合室から現場への移動も下駄履きだったため、慣れないために指の間が痛くなってしまいました。
そして、後にこの下駄がとんだトラブルの元になろうとはこの時の私には知る由もありませんでした。

午前中の撮影は青木館が火事で焼け落ちた後のシーンでした。
私は「うわ~えらいこっちゃ」とか言いながら焼け跡に寄ってきて、周りの人たちとあれこれ噂話をする野次馬の役です。
このシーンでは短いながらも現場を見ながら隣の男性と喋っている私の姿をはっきり確認することが出来ました。(*ゝ▽・)b
これで自信を持って嫁と一緒に2回目を見に行くことが出来るというものです(笑)。

午前の撮影が終わってお昼休み。
昼食はやはり待合室に移動して食べることになります。
その間にスタッフさんは現場のセットや照明などを組み替えていたのでしょう。

ただ、19日の時と違って今度の私はふんどしチラ見せスタイルです。
さすがにこの格好で観光客の前を歩くのはちょっと恥ずかしかったです。(*´pq`)モジモジ

午後からの撮影はちょっとしたアクションシーンでした。
自転車で逃げる俊太郎(演:成田凌)と彼を追う昔の泥棒仲間(演:音尾琢真)、そしてさらにその二人を追う映画好きの刑事(演:竹野内豊)の3者が通行人を押し退けながら大通りを駆け抜けます。
私はそれらを慌てて避ける町人の役でした。
俳優さんだけでなく我々エキストラもしっかり段取りを確認して挑まなければなりません。

ところがこの時思わぬハプニングに見舞われました。
何度もリハーサルを重ねて各々の立ち位置や移動ルートを確認して本番に入ったのですが、なんと肝心の本番中に私が履いていた下駄の歯が片方折れてしまったのです。
そのままの状態で無理に段取り通りに動こうとすると猛スピードで迫ってくる人力車を避け切れなってしまいます。
身の危険を感じた私は仕方なくリハーサルとは違う動きをせざるを得ませんでした。
「カット!」と声がかかって、助監督さんや小道具さんたちが私のほうに近寄ってきます。
私のせいでNGになってしまった(本当は下駄が壊れたせいですが)と思って小さくなっていると「ああ、下駄が壊れたんですね。すみません!。」とすぐに修理を始めてくれました。

私はこの『カツベン!』に至るまでに『シン・ゴジラ』をはじめ4本の映画と1本のTVドラマの撮影に参加しましたが、周防組の雰囲気はそのいずれとも違っていました。
大らかで常にユーモアが飛び交っていて、それでいて末端の若手スタッフの指示や動きに無駄や迷いがありません。
また、映画制作に協力しようと集まってきたボランティア・エキストラに対する配慮もきめ細かく、「せっかく来たのに1カットも画面に映れなかった」人がいないよう極力気を使ってくれていました。
しっかりとした面白い脚本がある事と、監督のイメージに迷いが無いことがあの現場の雰囲気を生み出していたのだと思います。
問題のシーンは次のテイクでばっちりOKになったのは言うまでもありません。
そして、映画本編では一瞬ながら私の姿もしっかりと映っておりました。ヽ(≧▽≦)ノ

記念品は前と全く同じ買い物バッグでした。
出来れば何か違うものが欲しかったなあ。(´·ω·`)

こうして2度に渡った私の『カツベン!』エキストラ参加は終わりました。
「それじゃまたどこかの現場で!」
これが共に一つの作品に参加した仲間同士の合言葉です。
長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。m(_ _)m