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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2017.7/10~2017.7/16)

トガジンです。

毎週日曜日の夜は、この一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き連ねております。

7/10(月)
『メアリと魔女の花』🈠
(劇場:イオンシネマ新小松)
メアリと魔女の花
「後継者育成に失敗した」とされるスタジオ・ジブリ出身の米林宏昌監督が、同じくジブリで『かぐや姫の物語』を担当した西村義明プロデューサーと組んで世に送った新作アニメーション映画です。
本作にはジブリを離れた(解雇された)アニメーターや美術スタッフが大勢参加しており、ジブリのそれと遜色ない高水準のアニメーションと綺麗にまとまったストーリーテリングにより100分間を特に不満なく楽しませてくれました。

しかし、正直なところスタジオ・ポノックのカラーというか非ジブリ感というか、あるいは米林監督の本性といったものがまるで見えません。
ジブリの時には宮崎駿御大や鈴木敏夫プロデューサーが口を出すことによって「ジブリらしさ」が加味されたものと思っていましたが、その呪縛から離れたにも関わらず以前の作品とティストが変わっていないのです。

その原因は、本作も含めて米林監督作品の全てが海外の児童文学を原作としている点にあるように思います。
『借りぐらしのアリエッティ』と『思い出のマーニー』は舞台を日本に置き換えてはいましたが、海外のファンタジーを翻案することばかり3作連続で行ってきたことになりますが、いずれも米林監督自身の言葉で語った物語ではありません。
ジブリ育ちの映像センスや作劇テクニックを駆使してはいても、まだ米林監督自身には作家性というか語りたいものが無いように感じます。

師匠の宮崎監督は、後年『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』などで日本を舞台にしたオリジナル作品を数多く作っていますが、それはディストピアSFや古き良き時代のファンタジーばかりでは日本の子供たちに伝わらないと感じたためではないでしょうか。
海外の原作という鎧を脱いで、日本独自の風土・文化を背景に日本人としての米林監督の生の思いをぶつけてくる作品を提示しない限り、スタジオ・ポノックは所詮ジブリの亜流という誹りからは逃れられないと思います。


7/12(水)
『X‐コンタクト』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
Xコンタクト
カニ漁船:ハービンジャー号に乗り込んで深海調査を行っていた大学生グループが、旧ソ連の人工衛星の残骸を発見した。
凍りついた宇宙飛行士の死体には謎の生命体が寄生していることが判明し、北極の氷に閉じ込められたハービンジャー号クルーは想像を絶する恐怖に見舞われる。

『エイリアン』と『遊星からの物体X』をブレンドしたような作品です。
先日も似たような内容のB級SF『インフィニ』を観たばかりでしたが、今作では『エイリアン2』のアンドロイド・ビショップ役のランス・ヘンリクセンが出演していることでこの手の亜流映画の中では僅かながら格上に思えます。

オリジナルとも呼ぶべき前述の2作品との違いは、登場する謎の生命体の正体が近年その生命力の強さに注目が集まっているという微生物”クマムシ”であるということです。
80年代に旧ソ連が宇宙飛行士に放射線耐久力を持たせるために寄生させたクマムシが宇宙線を浴び、さらに多様な生物のDNAを吸収して巨大化したという設定(らしい)ですが科学的根拠は何一つ描かれていません。
この基本設定自体も相当無理がありますが、要所要所でやらかしてしまう雑な演出のために「え?ちょ、ちょっと待って」と画面に突っ込んでしまうことが度々でした。
特に、イルカの生態調査が専門の女子大生が遺体の肉片を一目見ただけで「クマムシだわ!」と見抜いてしまうシーンにはコケそうになりました。
せめて顕微鏡で見て書物やネットで調べてから断定しましょうよ。
このように、B級SFとしてツッコミどころには事欠かない作品ではあります。

WOWOWの番組解説によりますと「CGを極限まで排除した特殊効果が見どころの本格SFホラー」とのことでしたが、元ネタとなった過去の名作たちは元よりCGなど一切使っていません。
巨大化して人間やカニと同化したクマムシの化け物が登場するときは必ず停電するのはご愛敬で、クリーチャーの安普請ぶりがハッキリ見えないように腐心しているのが分かります。
結局のところは斬新なアイデアと見せる工夫なのですね。


7/15(土)
『ゴジラvsメカゴジラ』
(ホームシアター:WOWOW録画)
vsメカゴジラ ポスター(生頼版)
前作『ゴジラvsモスラ』のレビューから一か月以上も間が空いてしまいました。
『ちはやふる』続編へのエキストラ参加が相次いで決まった事と、メインPCの故障(しかも重症)というトラブルが重なったことは確かですが原因はそれだけではありません、
この時期のゴジラ映画に対して、私には語るべきものが見出せないでいるのです。
『ゴジラvsモスラ』から『ゴジラ2000<ミレニアム>』までの5作品に関しては「コレじゃない感」が大きく、また、当時の自分の環境による感じ方の変化もあってなかなか筆が進みません。

私にとっての原体験である『ゴジラ対ヘドラ』を含む「東宝チャンピオンまつり」シリーズは、初代『ゴジラ』や『キングコング対ゴジラ』などの黄金期を知る先輩方から毛嫌いされ続けてきました。
今はその気持ちがなんとなく分かったような気がしています。
私には価値を見出せないVSシリーズ後期のゴジラですが、子供の頃にこれを観てゴジラ・ファンになった後輩たちがいる事もまた確かなのです。
この時期のゴジラは私の世代にはフィットしないゴジラなのだと割り切ったうえで、『ゴジラvsメカゴジラ』のレビューは現在執筆中であります。


7/16(日)
『ほんとにあった!呪いのビデオ73』
(自室32インチ液晶テレビ:レンタルDVD)
ほんとにあった!呪いのビデオ 73
ビビりのくせに性懲りもなく、またこのシリーズを借りてきてしまいました。
本物の心霊映像を単発で見せつつ、それを元にした長尺の疑似ドキュメンタリーとで構成されるさじ加減は私くらいのヘタレオカルト好きには丁度良いバランスです。

ほん呪73 一番
今回一番面白かったのは、打ち上げ花火を数百メートル上空から撮影していたドローンに突然掴みかかる謎の手です。
いや~、これには驚かされました。
仮にこれがフェイクであったとしても、そのアイデアには感心します(笑)。

ほん呪73 絶妙なカメラアングル
とはいえ、現在3巻連続で展開中の『おくりもの』はやや作りすぎの印象があります。
突然攻撃的な行動をとる人たちの顔が一瞬奇怪な姿に変化するのですが、これがどうしても合成に見えて仕方がありません。
また、咄嗟の出来事にも関わらず、スタッフが足元に置いたカメラのアングルが必要な要素を撮るのに最適なレイアウトになっていたりして、なんだか『ほん呪』が『パラノーマル・アクティビティ』化しつつあるような気がします。
現在、演出チーフとして指揮を執っている福田陽平氏は、これまでの菊池氏や岩澤氏らと違って現役の映画監督ですから、長尺になればなるほど作り物感が出てしまうのかも知れません。

ほん呪73 新演出補
今回から3人の新人演出補が参加しましたが、やはりそのうちの一人は前回投稿者として登場したキョトキョトと視点が定まらない挙動不審な青年でした。

ほん呪73 挙動不審君
この挙動不審君、やっぱり変なヤツでした。
他人が吐いたゲロの中に虫を発見し、それを平然と素手でつまみ上げていくのです。
普通、もう少し躊躇するもんでしょ・・・、引くわ~。

ほん呪73 KY女とオタク
他にも、「私、常識無いですから」と言いながら不躾な取材をガシガシ敢行する女と、情報収集力に長けたパソコンオタク風の男と、妙にキャラがハッキリした連中ばかりです。

ほん呪73 魔術堂?
さらに、今回から魔術堂のKATORさんなるオカルトの専門家まで出てきました。
往年の東宝特撮怪獣映画で言うなら、平田昭彦さんや小泉博さんが演じた科学者のような存在で、ビデオの中の事象にお墨付きを付けてくれる役回りです。

彼らが実際のスタッフなのか俳優さんなのかは分かりませんが、なんだか『ほん呪』スタッフ側も作為的なキャラクター配置になってきた気がします。
今後どうなるのか分りませんが、川居尚美さんのような常識人が怪異現象を追う姿のほうがリアリティがあって面白いと思うのですがねえ・・・。


今週もお付き合いいだきありがとうございました。
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