週刊映画鑑賞記(2017.8/28~2017.9/3)
毎週日曜日の夜は、この一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き連ねております。
9月に入って急に涼しくなってきました。
暑がりの私にとっては、過ごしやすく頭もちゃんと働くので助かります。
この夏は酷暑の屋外でのロケや中継の仕事がやたら多かったように思います。
何度も熱中症の危機にさらされたうえに、顔や腕に水膨れが出来るほど日焼けしてしまいました。
こんなに焼けたのは中学生以来のような気がします。
8/30(水))
『ボヤージュ・オブ・タイム』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

AVアンプ復帰後の第一回鑑賞作品として、このIMAX用に制作されたドキュメンタリーをチョイスしました。
「宇宙の誕生と死を探求する」という気宇壮大なテーマと、IMAX制作という画質・音質面でのクォリティに期待しての選択だったのですが・・・。
<視聴後>
う~ん。
大失敗でした。
『2001年宇宙の旅』の冒頭、猿が骨を空に放り上げるまでを1時間30分かけて延々ダラダラと見せられた気分です。
IMAX撮影映像部分は確かに綺麗でした。
しかし、時折挿入される昔のホームビデオや携帯電話で撮ったような雑な映像はどうしても必要だったのでしょうか?。
地球の歴史と人間の世界とを対比させているのでしょうが、せめて使う映像はもっと慎重に選んでもらいたかったです。
あと原始人を俳優に演じさせるのもいかがなものかと。
すっぽんぽんの俳優が、局部が見ないよう巧みに身体をひねりながら演じているのが分かってしまって興醒めでした(笑)。
Yahoo!映画の総合評点が2.7という低評価を真摯に受け取るべきでありました。
残念!。
8/31(木)
『タイム・ライン』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

『ジュラシック・パーク』のマイケル・クライトン原作。
監督は『スーパーマン』のリチャード・ドナー。
出演は『ワイルド・スピード』シリーズの(今は亡き)ポール・ウォーカー、ジェラルド・バトラ―(『パッセンジャー』のアンドロイド)に『ハリー・ポッター』のルービン先生ことデヴィッド・シューリス。
今から十年以上前の作品ですが、スタッフ・キャスト共なかなかの顔ぶれです。
ヒマつぶしに程良いタイムトラベルSFでも・・・と思って見始めたかなり以前の録画ですが、小品ながらもカッチリまとまっていて面白かったです。
タイムトラベルものに不可欠な現代世界での伏線の見せ方も実に手際が良く、流石はベテランのリチャード・ドナー監督と思わせてくれます。
ここ最近ハマっているB級SF映画漁りの一環のつもりでしたが、これは思わぬ佳作でありました。
9/1(金)
『影武者』(4Kデジタルリマスター版)
(ホームシアター:日本映画専門チャンネル)

<画質>
初代『ゴジラ』(昭和29年)に『キングコング対ゴジラ』、『東京オリンピック』に『乱』。
このところ、邦画の名作が徐々に4Kリマスター化されつつあり大変喜ばしい限りであります。
(そういえば、昨年の、「午前十時の映画祭」で上映された『生きる』と『七人の侍』も4Kリマスター版だったと思いますが、この春BSプレミアムで放映された両作品は明らかに従来画質の素材だったためガッカリでした。)
今回の『影武者』は、『キンゴジ』や『東京オリンピック』と同じく日本映画専門チャンネルの主導で4Kリマスタリングされたようです。
しかし、非常に残念なことに日本映画専門チャンネルの放送仕様ではその映像の良さを存分に堪能することは出来ませんでした。
実は同局の放送は、WOWOWやNHKに比べて解像度もビットレートもかなり低めなのです。
WOWOWやBS-hIはフルハイビジョン規格の1920x1080解像度に20Kbps前後のビットレートですが、日本映画専門チャンネルは地上デジタルと同じ1440x1080解像度でビットレートも約15Kbpsと少なめです。
そのためビスタサイズの画面いっぱいに駆け回る武田の騎馬隊や足軽たちの突撃がブロックノイズまみれでぐしゃぐしゃになってしまうのです。
動きの少ないシーンは確かに明るく見通しの良い映像になってはいますが、クライマックスがああなってしまったのでは台無しです。
<内容>
何度見てもやはりテンポの悪い映画です。
意図不明な信長の乗馬カットの繰り返し。
他国の間者が山の上から武田軍の前に姿を現す信玄(影)を見下ろす俯瞰ショットの異常な長さ。
高台に続々と集まる武田軍を雑なパンで延々撮り続ける1ロールショット。
敗北した武田軍の死屍と馬の悶絶を延々4分間ほぼ無音のまま見せ続けるラスト。
・・・等々、まるでOKテイクを台本通りに並べただけのオールラッシュを見せられているような気分です。
黒澤明監督作品に対してこんな事を言うのは不遜の極みではありますがあえて言います。
この国内上映版『影武者』は<未完成品>です。
本作のために、かつての名作群を知らない若い世代からは「黒澤映画はダルい」というレッテルを貼られてしまいました。
私は本作公開直前にTVで放映された『七人の侍』を初めて観て感激したばかりでしたので、このダルさを「名監督の老い」と解釈していましたが、どちらにせよ「天皇クロサワと言っても、もう大したことねえべや」という印象が根付いてしまったように思います。
東宝が公開日を早い時期に決定してしまったため、編集時間が十分に取れなかったのが原因と言われています。
「クロサワさんにもっと編集時間をあげるべきだ」とルーカスやコッポラが東宝に抗議したというエピソードが残っていますが、映像業の端くれの私の目からも「無理やり納期に間に合わせただけ」観が半端ないです。
この作品がカンヌ映画祭でパルムドールを獲得したのは2時間30分ほどの再編集バージョンですが、そちらのほうが監督の意図に近いとのことです。
しかしながら、現在それを見る方法がどうしても見つかりません。
海外盤ブルーレイやDVDを扱うショップサイトを見ても、ラインナップにあるのは180分バージョンばかりです。
一時期、「ディレクターズ・カット」とか「特別編」とか称して劇場公開時にカットされたシーンを付け加えた長尺バージョンが出回ることが流行りましたが、それらがオリジナルより面白かったためしはほとんどありません。
むしろ『ブレードランナー』のように、劇場公開バージョンから余計なシーンを削除してさらに編集を追い込んだ短縮版的なもののほうがよっぽど良いものになっている気がします。
現代はお金よりも情報と時間が貴重な時代です。
ダラダラといたずらに長尺化するよりは、不要なシーンを潔くカットして面白さを凝縮した映画のほうが好まれるように思います。
『影武者』については、不遜ついでに自分で再編集してみようかと考えているところであります。
9/2(土)
『デューン:砂の惑星』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

大学時代に話題にはなっていたものの、口コミで伝え聞いた酷評を受けて結局観ることのなかったこのSF大作映画。
先日『ツインピークス』新作放映に合わせてWOWOWで放映されたことで、実に34年を経ての初鑑賞となりました。
・・・いやあ、しんどい。
実にしんどい2時間17分でした。
映画全体の間の悪さに加えて登場人物たちのボソボソとささやくような独白が眠気を誘います。
33年前の映画という事実も免責にはなりません。
1984~85年といえば『ターミネーター』や『ゴースト・バスターズ』など面白いSF映画が目白押しだった年です。
とてもじゃないですが評価出来る代物ではありませんでしたね。
・・・と、いうワケで、今週は『タイム・ライン』以外はハズレ続きの映画ライフでありました。
来週は、己が魂の欲するままに好きなジャンルだけをチョイスしていきたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。