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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2017.9/4~2017.9/10)

トガジンです。
毎週日曜日の夜は、この一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き連ねております。

前回、「来週は己が魂の欲するままに好きなジャンルだけをチョイスしていきたい」と書いたものの、思ったより仕事が忙しくて自由になる時間があまり取れませんでした。
例年では、お盆過ぎから9月初旬頃までしばらくヒマになるはずなのですが、今年はクライアント側の事情がいろいろと変わってきているような気がします。


9/4(月)
「毎週月曜日=メンズ・デー(男性は1,100円)」
大阪・京都など都市部ではいつの間にか廃止されてしまったようですが、福井県と石川県の映画館は(一部劇場を除いて)今も継続実施してくれています。
いかに私が映画好きといえども通常料金(1,800円)ばかりでは懐具合が心細くなってしまいますので、出来るだけこういったサービスデーを利用することにしています。

仕事が休みだったこの日も、石川県まで足を延ばして映画2本ハシゴして来ました。
その一本目はこちら。

関ヶ原』🈠
(劇場:イオンシネマ新小松)
関ケ原
司馬遼太郎原作、原田眞人監督作品。
2時間40分の大長編ですが、非常にテンポが良くて時間を気にすることも全く無くラストまで一気に楽しめました。

何故この『関ケ原』をチョイスしたかといいますと、実は知り合いが石田光成側の足軽役で初めてのエキストラ出演をしているのです。
『関ケ原』の合戦シーンはそのほとんどが滋賀県で行われていて、私も興味があったものの仕事の都合でどうしても日程の折り合いがつかずにエキストラ参加を諦めた作品です。
彼の話を聞いていると、初めての映画撮影体験ということで本当に楽しそうに語っていたのが印象的でありました。

で、彼がどれくらい映っていたかと言いますと・・・。
初日に観に行った本人曰く「一瞬」とのことでした(笑)。
撮影時にはどのあたりの場面なのかも東軍・西軍のどちらの陣営かすらも知らされていなかったものの、岡田准一が近くにいたことで西軍であることだけは分かったとのこと。
また当日現場で聞こえてきた石田光成や島左近のセリフからみて、関ケ原合戦の開戦直前か直後であろうと当たりをつけて注意深く見ていたところ1カットだけ自分が映っているところを発見出来たということでした。
それがどんなショットだったかを予め聞いておいたので「おっ、これやな?。」と注目はしたものの、本当に1、2秒のカットでそこに映っているはずの彼の姿を視認することは出来ませんでした。
他にも「うぉー!」と大声を張り上げて突進する場面を何度も撮ったものの、それがどのカットなのかは全く判別出来なかったと彼は残念そうに語っておりました。

いやいや、心の友よ。
私が『シンゴジラ』に映った総秒数よりは確かに短いが、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』で自分の出演部分が丸ごとカットされていた無念さを思えばはるかにマシだと思うぞ。
エキストラ・デビューとしては上々です。
いずれブルーレイが出たら、コマ送りで探してみながら彼とじっくり語り合いたいものだと思います。

有名な関ケ原の合戦を描いた作品ですが、時代背景や各武将の立ち位置などを分かり易く描いてくれてはいません。
作者(司馬遼太郎)視点のナレーションはあるものの、基本的には登場人物同士の会話劇の積み重ねで状況説明が成され物語が進行していきます。
もしかすると、関ケ原の合戦に関する予備知識が無い人にはついていけないかも知れません。
個人レベルのエピソードが多くマクロな視点が少ないため、まるで大河ドラマの総集編を観ている気分でもありした。

その会話劇ですが、まるで『シンゴジラ』みたいにセリフが早口です。
そういえば原田眞人監督の前作は、『シン・ゴジラ』の(演出面における)元ネタの一つ『日本のいちばん長い日』のリメイク版でした。
原田版『日本の~』は観ていないので断定は出来ませんが、早口の会話劇をたたみかけることで物語の全体像を浮き彫りにするという演出方法は旧『日本のいちばん長い日』と『シン・ゴジラ』の影響かも知れません。

関ケ原 初芽
光成とくノ一:初芽(演:有村架純)との間のほのかな想いが縦軸になっていましたが、光成の妻や側室などの姿を全く見せないなど、少々、石田光成(演:岡田准一)を美化しすぎのような気はします。

・・・が、しかし。
この時代の人間としてはふっくらしすぎの感はあるものの(笑)、有村架純を見るだけで十分元は取れたと思える作品でありました。


そして2本目がこちら。

『ワンダーウーマン』🈠
(劇場:イオンシネマ新小松)
ワンダーウーマン
『ワンダーウーマン』については当初この項目内で書き進めていましたが、途中でアメリカ大統領選挙との関連性について考えがふくらんだため単独記事としてアップしております。
8日(金)の記事「ヒラリーとドナルドとワンダーウーマン」をご覧ください。


9/5(火)
キングコング:髑髏島の巨神
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)
キングコング 髑髏島の巨神
劇場公開時に鑑賞してはいるものの、福井県では字幕版上映が一切無かったため泣く泣く吹き替え版で観た作品です。

その時の印象はあまり芳しいものではありませんでした。
GACKTの気取った声が鼻について映像や物語に没入することが出来ず、この映画に対して不満点ばかりが目に付いてしまったのです。
しかし、今回はオリジナル言語&字幕版で鑑賞したことで、次のジェームス・ボンド候補とも噂されたトム・ヒドルストンの頼り甲斐も素直に感じ取ることは出来ました。

ところでこの映画、編集といいますかカット割りが妙に雑なのが気になります。
例えば、メイソンが巨大水牛を助けようとしているところに突然現れたコングが手を貸すシーン。

キングコング 髑髏島の巨神 煽りの人間込みショットがあれば
メイソン視点による煽りショットでコングの巨大さとその臨場感を楽しませてくれていたのですが、その直後・・・

キングコング 髑髏島の巨神 お間抜けなフルショット
唐突にこんないかにも説明的で間抜けなフルショットが挿入されてしまい興醒めです。

コングのサイズを表現したかったのだろうとは思いますが、このタイミングで引きの絵(第三者の視点)に切り替えられたのでは観ているこっちの気持ちまで引いて(醒めて)しまいます。
コングの巨大さはこれまでのシーンで既に描かれているのですから、ここはケレン味ある絵をたたみかけて欲しかったところです。

とは言え、そんなことは吹き替えの違和感にイライラしてついつい突っ込みたくなった些細な部分でしかありません。
この映画には何度見ても決定的に不愉快な気分にさせられる描写があって、私にとってはそちらのほうが大問題です。

それは登場人物たちの死に方(殺され方)の表現です。
明らかに作者(監督)がキャラクターを殺すことを面白がって撮っています。
「見て見て、こんな人の殺し方思いついちゃった~\(^o^)/」みたいな調子で一般兵たちが次々と無残に殺されていきます。
それはまるで中途半端なB級ホラーでも見せられている気分でした。

巨大蜘蛛の脚で串刺しになる兵士。
翼竜の群れに連れ去られ八つ裂きにされる科学者。
切々と息子への思いを綴っていたにもかかわらず、怪獣に食われて無残な頭蓋骨を晒すことになる兵士。

怪獣映画で人が犠牲になるシーンがあるのは必然です。
しかし、たとえ名もなき一兵卒や一般人であってもその犠牲に対して「哀悼」とか「尊厳」を表現することも大事ではないでしょうか。
この映画にはそうした「心」がありません。

キングコング 髑髏島の巨神 囮になろうと
その最たるものは、仲間を逃がすため囮になろうと覚悟を決め、自ら手榴弾を持って怪獣に立ち向かって行った兵士の最期です。
なんと怪獣がしっぽの一撃で彼を吹き飛ばし、岩肌に激突して爆死させられてしまうのです。
その死を悲しむ戦友がいたことがせめてもの救いでしたが、結局彼の死は無様な犬死にでしかありませんでした。
もし、これをギャグのつもりで作ったのだとしたら、この監督の精神状態は異常です。
そして、この場面で観客席から笑いが起こったことに対しても不愉快さと気味の悪さを感じたものでした。

ベトナム戦争とキングコングを組み合わせるというアイデア。
ダイナミックな怪獣アクション。
GACKTの吹き替えを別にすればとても面白い怪獣映画だったはずなのですが、残念ながら私にはこの監督の幼児性とか無意識の邪気といったものがやたら目に付いてしまって素直に楽しむことは出来ませんでした。


最後はちょっと愚痴っぽくなってしまいました(反省)。
お付き合いいただきありがとうございました。
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