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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2017.10/16~2017.10/22)

トガジンです。
毎週日曜日の夜は、この一週間に観た映像作品について徒然なるままに書き連ねております。


10/16(月)
猿の惑星 聖戦記』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)
猿の惑星 聖戦記
リブート版『猿の惑星』シリーズは過去2作とも劇場で見ていて続編を楽しみにしていた作品です。
前2作はストーリーや各キャラクターを人間サイドの視点で追いかけて見る作品だったと記憶していますが、今回の『聖戦記』は完全に猿側視点の物語になっています。
そのため、これまでで最も毛深い作品・・・もとい、人間より猿の割合が圧倒的に多い作品です。
人語を話すシーザー(演:アンディ・サーキス、名演!)は別として、他の猿たちはごく一部を除いて「ウホッウホッ」と手話みたいにコミュニケーションするだけで種別以外にはキャラクターの判別が付きにくいのが難点でありました。

そのせいかどうか分かりませんが、この完結編では滅びていく人類の描写が希薄すぎるのが残念です。
出てくる人類はマッククロウ大佐率いるアルファ・オメガ部隊と彼らと敵対する軍隊、そしてウィルスのため口がきけない美少女のみ。
そのため全編がシーザーの一人芝居のようにも見えて、三部作最終章としてはスケールダウン(尻すぼみ)感が激しいです。


<以下、ネタバレ注意>
猿の惑星 聖戦記(2)
このストーリーと世界観で本当に1968年の『猿の惑星』オリジナル版に繋がるのか?という疑問を感じていましたが、今回そこに対する答えも出たように思います。

ポスターに映っていたこの謎の美少女ですが、ウィルスのせいで言葉が喋れなくなったこの子は終盤「ノヴァ」と呼ばれるようになります。
猿の惑星』でノヴァと言えば・・・。

猿の惑星 ノヴァとテイラー
あの『猿の惑星』第一作目(1968年)で未来からやって来たテイラー(演:チャールトン・ヘストン)と番になる口のきけない美少女の名前です。
なるほど、この作品の数年後に『猿の惑星』一作目に繋がることを考えると、ここで一作目に出てくるキャラクターを顔見せしておく演出は理解できます。
しかし、よく考えるとこれはおかしいのです。
なぜならば、あの美少女に「ノヴァ」と名付けたのは他ならぬテイラーだったはずだからです。
この時点で彼女がノヴァと呼ばれるのは辻褄が合いません。

猿の惑星 猿とテイラー
もう一点。
本作品は、唯一人間の言葉を話す猿:シーザーの死をもって幕を下ろします。
それにより、群れにはもう流暢に人間の言葉を喋る猿はいなくなってしまいました。
これではテイラーがやって来た時に言葉を発する猿が一匹もいないことになってしまいます。
せめてシーザーの息子:コーネリアスくらいは人語を解する設定にしておく必要があったのではないでしょうか?。
それと、コーネリアスと同じく旧シリーズで重要な役割を担うことになるジーラの存在も仄めかしておいても良かったはずです。

最後に来て、『スター・ウォーズ』プリクエル・トリロジーを観た時のような砂を噛むような気分になってしまいました。
こういう前日譚ものというのは、オリジナルとピタッと繋がった時に最高に気持ちよくてそれだけでも感動を覚えるものなのですが、今回の『猿の惑星』はその点において非常に残念な結果です。

『猿の惑星』新3部作は、旧『猿の惑星』5部作の前日譚としては成立していないように思います。
これは「人間の驕りによる自滅と猿の世界の黎明」を描いた独立したSF作品です。
そもそも、この世界観に「過去の世界から人間がタイムスリップしてくる」というストーリーは噛み合わない気がします。


10/17(火)
ギヴァー 記憶を注ぐ者』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
ギヴァー 記憶を注ぐ者
完全管理された箱庭世界で、感情も記憶もコントロールされる未来の理想郷・・・と言えば、私は竹宮恵子の名作SF『地球へ・・・』冒頭の惑星アタラクシアを思い出してしまいます。
ある年齢に達したとき管理者の指示に従い定められた職業に就くという設定からは『ダイバージェント』も連想され、そこから支配体制に疑問を抱いて脱出し世界と人間をあるべき姿に戻す・・・という展開は『地球へ・・・』とも共通します。

一応ハッピーエンドではありますが、観終わったあと非常に後味の悪い印象が残ります。
原作はベストセラーにもなった児童文学だそうですが、むしろ幼い子供たちには見せたくない映画です。

キヴァーと主人公
コミュニティの長老(演:メリル・ストリープ)から「レシーヴァー(記憶を受け継ぐ者)」という謎の役目を仰せつかった主人公:ジョナスは、「ギヴァー記憶を注ぐ者)」と呼ばれる老人(演:ジェフ・ブリッジス)から封印れた人類の記憶を受け継ぐことになります。
そして理由も仕組みも分かりませんが、ジョナスがコミュニティの外の世界のある地点にタッチダウンすると全人類に記憶が戻るというお話です。
途中まではJ・ブリッジスの演技に引っ張られて興味を持続させていられましたが、終盤のあるシーンのためにとにかく胸クソ悪い気分にさせられてしまいました。

ギヴァー 記憶を注ぐ者 最悪!
特撮がチャチいとかストーリーが支離滅裂だとか、ケイティ・ホームズの劣化が激しすぎるとか、そんなことはもうどうでもよいのです。
赤ん坊を●すシーンだけは絶対に許せません。
制作者の良識を疑います。
これさえなければ・・・せめて表現をもう少し考えてくれていれば、B級ディストピアSFとしてかなり無理矢理なハッピーエンドもそれなりに楽しめたかも知れません。

キヴァーのメリル・ストリープ
それはさておき・・・。
あのアカデミー賞常連の名女優:メリル・ストリープが、長老(!)役として出演していたのは意外でした。
しかも、シワだらけの顔をどアップで晒してOKとは、実に大した女優魂であります。
このメリル・ストリープとジェフ・ブリッジスの演技合戦は、時間を割いてこの映画を観るだけの価値がありました。


10/20(金)
スターダスト
(ホームシアター:WOWOW録画)
スターダスト
『ロード・オブ・ザ・リング』、『ライラの冒険』、『パーシー・ジャクソン』、『ナルニア国物語』等々、『ハリー・ポッター』のヒットを受けてファンタジー映画が続々作られていた頃の一本だったと思います。
前述の作品はどれも長すぎたり、子供向けすぎたりしてあまりしっくり来なかったのですが、この作品には意外にハマりました。
個人的には、こういったダーク・ファンタジーものはアメリカよりもヨーロッパ・・・特にイギリス作品が味があって好みです。

今回二度目の鑑賞だったわけですが、実は観始めた当初はきれいさっぱり忘れておりました。
とある強烈な印象を残すキャラクターが登場した瞬間に思い出しました。
「あ?この映画、見たことあるわ!。」

スターダスト デ・ニーロ
主人公たちを助けてくれる、女装趣味を持つ海賊船長:シェイク・スピアを演じているのはなんとあのロバート・デ・ニーロ!。
女装姿で喜々としてカンカンを踊る名優の姿もさることながら、それを目撃して唖然とするセプティマス王子(演:マーク・ストロング)も最高です(笑)。

スターダスト 名優と名女優
さらに、映画冒頭で息子たちを内輪揉めさせてニンマリしながら息を引き取る王様役が『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥール。
二人を追い回す魔女役にミシェル・ファイファー。
名優・名女優の見事なまでの無駄使いっぷりです(笑)。

スターダスト クレア
少々残念だったのは主演女優のクレア・ディンズ。
『ロミオ+ジュリエット』の頃はあんなに可愛かったのに、眉毛が薄くてヤ●キーみたいなキツいお顔になっていました。
喜んだり恋に落ちて後光が差すときはいいのですが、通常モードの残念な表情を見ていると(失礼ながら)やはりミス・キャストだったように思います。
『キック・アス』でクロエ・グレース・モレッツをブレイクさせたマシュー・ヴォーン監督作品ですが、この映画は最初にクレア・ディンズありきだったのでしょうか?。


振り返ってみると今週は女だらけ・・・いや、女性キャラクターと女優さんと女装の話でした(笑)。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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