『シン・ゴジラ』唯一にして最大の不満は”音楽”
CATEGORY『ゴジラ』シリーズ
トガジンです。

『シン・ゴジラ』は
庵野秀明が他人のカネで作った自主映画である
我ながら貧困なボキャブラリーに身悶えするばかりです。
エキストラとして一部の撮影に参加し、今日まで合計12回観たうえでプロトンビームの如く吐き出した言葉がこれです。
もちろん、誉めてます。
怪獣映画が大好物で、かつては映画監督を志した私にとっては最高にねたましい・・いや、うらましい映画なのです。
以下は『シン・ゴジラ』における庵野監督の肩書の数々です。
総監督、脚本、編集、音響設計、画像設計、ゴジラコンセプトデザイン、プリヴィズ企画・監督、予告篇演出、D班監督・撮影・録音
一本の映画で、一人の人物がストーリーから映像・音響の隅々に至るまでのあらゆる決定権を掌握していることになります。
しかも予告編演出まで自らこなし、映画公開前の観客の期待をあおるところから関与しています。
『ライジング・ドラゴン』において一人で15の役職をこなしたというジャッキー・チェンにはさすがに及びませんが、自分の好きなように作りたいという想いにおいては根は同じなのかもしれませんね。
『シン・ゴジラ』は、『エヴァンゲリオン』のヒットによって全幅の信頼を得た庵野総監督が、盟友の樋口真嗣の協力のもと、プロの映画制作スタッフ・400人近い出演者・さらには無数のエキストラをも縦横無尽に使って誰にも口出しさせずに自らのイメージを具現化した作品です。
それはまさに「俺(庵野秀明)のゴジラ」です。
しかもその製作費は東宝が単独出資していますから、スポンサーの横槍もありません。
他人のカネで好きな作品を存分に作ることが出来たのです。
ああっなんて羨ましい!
その一方で、庵野監督の個人映画的な作り方が悪い方向に出てしまった部分があります。
音楽に関しては不満だらけです
映画冒頭においては鷺巣詩郎氏の楽曲によって新しいゴジラ映画の音楽イメージが彩られていきます。
ところがゴジラ第2形態(蒲田くん)から第3形態に変化するところで、突然初代『ゴジラ』の初上陸シーンの音楽が鳴り響きます。
しかも音源はオリジナルそのままのモノラルで、それまでの音場イメージも一変してしまいます。
さらに、クライマックスの「ヤシオリ作戦」の攻撃をたたみかけるシーンでは『宇宙大戦争』のマーチが延々使われました。
エンディングで次々流れる伊福部音楽も「キングギドラ」や「メカゴジラ」のテーマが入り混じっていて、「なんでもええんかい!」と突っ込みたくなってしまいます。
また、鷺巣詩郎氏の新作楽曲においても一部『エヴァンゲリヲン』と酷似したメロディのものがあり困惑しました。

中学生の頃、お小遣いをはたいてLPレコード『交響組曲・宇宙戦艦ヤマト』を買いました。
その解説の中で西崎義展プロデューサーがこのような一文を書いていました。
「映画音楽は映像とリンクして記憶されるもの。音楽を聴けば映画の場面が蘇る。」
西崎プロデューサーは色々と問題のある人物でしたが、この言葉だけは実感として記憶に残っています。

『シン・ゴジラ』はサントラCDを聴いていても、チグハグさが耳について楽しめません。
確かに、鷺巣氏のオリジナル楽曲を聴いている時は『シン・ゴジラ』の場面を思い浮かべることができます。
でも『宇宙大戦争』マーチになると、「ヤシオリ作戦」のシーンではなく池部良さんの顔が浮かんできてしまうのです。
過去の東宝特撮を知らない人たちはどう感じたのでしょうか?。
私も、学生時代は自主制作映画に没頭していました。
拙いながらもアンドロイドを主人公にした短篇SF映画を制作して、最後の音楽を入れる段階になりました。
当時ヴァンゲリスの『ブレード・ランナー』のテーマがカッコ良くて、使いたくて使いたくてたまりませんでした。
「同じテーマのSFだ。これしかない。これで行こう!」と全員一致で決めました。
ところが完成後、上映中に音楽が流れると客席からヒソヒソ声や失笑が聞こえるのです。
作った時には憧れの楽曲を使えた満足感でいっぱいでした。
しかし実際には、イメージ通りではあっても有名すぎる楽曲を当てたことで自分たちの作品を台無しにしていたのです。
私如きの失敗談を引き合いに出して恐縮です。
しかし『シン・ゴジラ』の音楽の使い方は、あの頃の自分の過ちを見ているような気がしてなりません。
庵野総監督は、映像面では今までにない新しいゴジラ像を創り上げました。
音楽においても、「ゴジラだから伊福部サウンド」「作戦会議だからエヴァのあの曲」といった固定観念は捨てて、長年コンビを組んだ鷺巣詩郎氏と一緒にゼロから新しいイメージを作って欲しかったです。
それだけが本当に残念です。
お付き合いいただきありがとうございました。
好きすぎて全然まとまりません。
書きたいことがまだまだ残っています。
いずれBlu-rayが発売されたら、また改めて評価をしたいと思っております。

『シン・ゴジラ』は
庵野秀明が他人のカネで作った自主映画である
我ながら貧困なボキャブラリーに身悶えするばかりです。
エキストラとして一部の撮影に参加し、今日まで合計12回観たうえでプロトンビームの如く吐き出した言葉がこれです。
もちろん、誉めてます。
怪獣映画が大好物で、かつては映画監督を志した私にとっては最高にねたましい・・いや、うらましい映画なのです。
以下は『シン・ゴジラ』における庵野監督の肩書の数々です。
総監督、脚本、編集、音響設計、画像設計、ゴジラコンセプトデザイン、プリヴィズ企画・監督、予告篇演出、D班監督・撮影・録音
一本の映画で、一人の人物がストーリーから映像・音響の隅々に至るまでのあらゆる決定権を掌握していることになります。
しかも予告編演出まで自らこなし、映画公開前の観客の期待をあおるところから関与しています。
『ライジング・ドラゴン』において一人で15の役職をこなしたというジャッキー・チェンにはさすがに及びませんが、自分の好きなように作りたいという想いにおいては根は同じなのかもしれませんね。
『シン・ゴジラ』は、『エヴァンゲリオン』のヒットによって全幅の信頼を得た庵野総監督が、盟友の樋口真嗣の協力のもと、プロの映画制作スタッフ・400人近い出演者・さらには無数のエキストラをも縦横無尽に使って誰にも口出しさせずに自らのイメージを具現化した作品です。
それはまさに「俺(庵野秀明)のゴジラ」です。
しかもその製作費は東宝が単独出資していますから、スポンサーの横槍もありません。
他人のカネで好きな作品を存分に作ることが出来たのです。
ああっなんて羨ましい!
その一方で、庵野監督の個人映画的な作り方が悪い方向に出てしまった部分があります。
音楽に関しては不満だらけです
映画冒頭においては鷺巣詩郎氏の楽曲によって新しいゴジラ映画の音楽イメージが彩られていきます。
ところがゴジラ第2形態(蒲田くん)から第3形態に変化するところで、突然初代『ゴジラ』の初上陸シーンの音楽が鳴り響きます。
しかも音源はオリジナルそのままのモノラルで、それまでの音場イメージも一変してしまいます。
さらに、クライマックスの「ヤシオリ作戦」の攻撃をたたみかけるシーンでは『宇宙大戦争』のマーチが延々使われました。
エンディングで次々流れる伊福部音楽も「キングギドラ」や「メカゴジラ」のテーマが入り混じっていて、「なんでもええんかい!」と突っ込みたくなってしまいます。
また、鷺巣詩郎氏の新作楽曲においても一部『エヴァンゲリヲン』と酷似したメロディのものがあり困惑しました。

中学生の頃、お小遣いをはたいてLPレコード『交響組曲・宇宙戦艦ヤマト』を買いました。
その解説の中で西崎義展プロデューサーがこのような一文を書いていました。
「映画音楽は映像とリンクして記憶されるもの。音楽を聴けば映画の場面が蘇る。」
西崎プロデューサーは色々と問題のある人物でしたが、この言葉だけは実感として記憶に残っています。

『シン・ゴジラ』はサントラCDを聴いていても、チグハグさが耳について楽しめません。
確かに、鷺巣氏のオリジナル楽曲を聴いている時は『シン・ゴジラ』の場面を思い浮かべることができます。
でも『宇宙大戦争』マーチになると、「ヤシオリ作戦」のシーンではなく池部良さんの顔が浮かんできてしまうのです。
過去の東宝特撮を知らない人たちはどう感じたのでしょうか?。
私も、学生時代は自主制作映画に没頭していました。
拙いながらもアンドロイドを主人公にした短篇SF映画を制作して、最後の音楽を入れる段階になりました。
当時ヴァンゲリスの『ブレード・ランナー』のテーマがカッコ良くて、使いたくて使いたくてたまりませんでした。
「同じテーマのSFだ。これしかない。これで行こう!」と全員一致で決めました。
ところが完成後、上映中に音楽が流れると客席からヒソヒソ声や失笑が聞こえるのです。
作った時には憧れの楽曲を使えた満足感でいっぱいでした。
しかし実際には、イメージ通りではあっても有名すぎる楽曲を当てたことで自分たちの作品を台無しにしていたのです。
私如きの失敗談を引き合いに出して恐縮です。
しかし『シン・ゴジラ』の音楽の使い方は、あの頃の自分の過ちを見ているような気がしてなりません。
庵野総監督は、映像面では今までにない新しいゴジラ像を創り上げました。
音楽においても、「ゴジラだから伊福部サウンド」「作戦会議だからエヴァのあの曲」といった固定観念は捨てて、長年コンビを組んだ鷺巣詩郎氏と一緒にゼロから新しいイメージを作って欲しかったです。
それだけが本当に残念です。
お付き合いいただきありがとうございました。
好きすぎて全然まとまりません。
書きたいことがまだまだ残っています。
いずれBlu-rayが発売されたら、また改めて評価をしたいと思っております。
スポンサーサイト
TAG: シン・ゴジラ