週刊映画鑑賞記(2017.12/25~2017.12/31)
CATEGORY週刊映画鑑賞記
トガジンです。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
大晦日にこれを書くのもどうかと思いましたが(笑)、当ブログの決まり事ということでどうか笑ってお付き合い下さいませ。
12/25(月)
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(吹替版)🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

「瞬き一つしてはならぬ」というセリフから始まるこの映画。
本当に瞬きすることも忘れて全編見入っておりました。
人形を少しづつ動かしながら一コマ一コマづつ撮影するストップ・モーション・アニメーションで作られた作品です。
特撮ものでも同様ですが、やはりレンズの前に被写体が実存していた映像って生命感があっていいですね。
『スター・ウォーズ』のエイリアンやクリーチャーも一時期CGばかりになっていたのが、『フォースの覚醒』では着ぐるみとアニマトロクスに戻してくれて安心感がありました。
CGアニメが全部駄目というわけではないですが、映画にはこういった職人芸というものが絶対に必要なのだと思います。
映画にCGが使われるようになってもう四半世紀くらいになりますが、ぐるっと回ってこういったアナログ技術が再興してくれると嬉しいですね。
今回は「映像をしっかり堪能したい」ということから吹替え版を選択しました。
俳優のピエール龍さんと声優として高評価を得ている小林幸子さんはともかく、元AKB48の女の子が吹き替えに参加しているということで若干の不安はありました。
語調が固い印象がありお世辞にも上手とは言い難かったですが、担当キャラがラスボスの操り人形的なキャラクターということもあって世界観をぶち壊しにするようなことはなかったと思います。
ピエール龍さん演じる陽気なクワガタの正体が本当に意外なもので、映像だけでなくストーリーも楽しめるものでした。
少年の成長ストーリーというよりは、子を想う父母の物語であったように思います。
クボのガールフレンドでも登場すればまた違った印象になったかも知れません。
しかし、ラスボスの処置があれで正しかったのか疑問が残ります。
彼が独善的な考えでクボの両親を殺したことは確かですし、その手先となってクボたちを追った二人の娘(闇の姉妹)も死んだというのに。
子供向け作品として主人公が肉親に手をかけるようなことは避けたかったのだろうと思いますが、やはり彼は何らかの形で死なせてあげるべきではなかったかと思います。
この後、クボがひたすら老人介護に縛られ続ける運命にあることを考えると、とてもスッキリした終わり方とは思えません。
映像面で唯一残念だったのはエンドクレジットです。
「CGじゃないよ」とアピールしたかったのか、モデルアニメーションの制作風景を挿入していてせっかくの幻想気分から醒めさせられてしまうのが残念です。
12/27(水)
『ゴジラ2000<ミレニアム>』
(ホームシアター:WOWOW録画)

このブログを立ち上げた時からやりたかった企画、『ゴジラ』シリーズ全作品レビュー。
しばらくお休みしていましたが、年明けから再開しようとこの『ゴジラ2000<ミレニアム>』を観返しておりました。
実のところ、メインスタッフが『VSシリーズ』とほとんど変わらないことから元より期待はしていなかった作品です。
本作は昭和29年の初代『ゴジラ』以外は全て「無かったこと」にして制作されたわけですが、それはつまり『ゴジラの逆襲』や『84ゴジラ』と同じくあの名作『ゴジラ』第一作の直接の続編という立ち位置になるわけです。
あの名作の続編と呼ぶにはあまりにも時代差がありすぎてしっくり来ませんし、そのうえクライマックスでは宇宙怪獣まで登場するのですから違和感しか残りません。
脚本も問題多いですが、演出もケレン味が感じられず実に淡白で盛り上がりに欠けるものです。
社員監督としてゴジラに関わり続けてきた大河原孝夫監督ですが、彼はゴジラを撮ることに喜びとか誇りといったものを感じていらっしゃったのでしょうか?。
しかしそれ以前に、この作品を語るには何か大事なピースが欠けている気がしてなりません。
『ゴジラvsデストロイア』について書くにあたり、その10か月前に公開された『ガメラ:大怪獣空中決戦』の話を避けて通れなかったのと同じく、この作品もまた平成『ガメラ』シリーズへの対抗意識に満ち満ちているのです。
というわけで、先日の記事にも書きましたが『ゴジラ2000<ミレニアム>』の前に『ガメラ2』『ガメラ3』について書かせていただきます。
12/28(木)
『美しい星』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

公開当時に劇場で見そびれてしまった作品です。
ある日突然、TVの気象予報士が何かに憑りつかれたかのように地球の環境破壊に警鐘を鳴らす発言を繰り返すようになります。
さらにその娘は金星人の子を孕み、息子は水星人の政治家秘書の下で働くことに。
全員本当に異星人に乗り移られたのか、あるいはただの思い込みなのかハッキリしないまま、ラストは迎えのUFOに乗って地球を去っていくことになります。
これが『未知との遭遇』へのオマージュであることは間違いないと思いますが、見ていて私が思い出していたのは黒澤明監督の『生きものの記録』でした。
三島由紀夫の原作では地球壊滅をもたらす要因は「核兵器」でしたが、本作品では「地球温暖化」に変更されています。
『生きものの記録』も現代を舞台にリメイクするとしたらやはり環境破壊がテーマになるかも知れません。
水星人を名乗る佐々木蔵之介のまばたき一つしない宇宙人演技がハマり過ぎてて怖いです(笑)。
多分、この男だけは本物の宇宙人だったのでしょう。
12/30土)
『シンクロナイズド・モンスター』🈠
(劇場:メトロ劇場)

『シンクロナイズド・モンスター』という軽妙な語感とポップなポスター・イメージから受ける印象から『ウルトラマンタロウ』の一遍のように楽しげな怪獣映画と思って楽しみにしていた作品です。
しかし、実際は人間の心の闇をえぐるドロドロとした物語でありました。
<あらすじ>
アメリカから遠く離れた韓国ソウル市に奇妙な動きを見せる怪獣が出現。
仕事を干されて故郷に帰っていたグロリアは、その怪獣の動きが自分が公園の一角で行った動きと全く同一であることに気付いてしまう。
相談を受けた幼馴染オスカーのアイデアで、グロリア(の怪獣)はソウル市民に謝罪して逆に好感を得るまでに至ったが、なんとそのオスカーもまたロボットの姿でソウルに現れた。
ここから、それまでグロリアに協力的で良い人だったオスカーの態度が豹変します。
彼はロボットとして暴れ始め、それをグロリアの怪獣が諫めたことでソウル市民のみならず世界中が彼女(の怪獣)に好意的になってくれるのですが、その豹変ぶりが唐突すぎて面喰ってしまうのです。
最初は、童話『泣いた赤鬼』みたいに自分が悪役を演じることでグロリア(の怪獣)を民衆に受け入れさせて、彼女の罪の意識を緩和させるという彼の思いやりかと思っていたのですが・・・。
残念ながら、私はこの先の展開にはとてもついていけませんでした。
ところで。

今回『シンクロナイズド・モンスター』を観た映画館は、福井市の繁華街にあるメトロ劇場さんです。
『エクスマキナ』の時もそうでしたが、メトロ劇場さんはこういうマイナーなSF作品も拾い上げてくれるので本当に有難いです。

私がここで最初に観たのは『宇宙怪獣ガメラ』と『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』という気絶しそうなカップリングでありました。
18禁作品の『カリギュラ』を高校生の分際でドキドキしながら観に行ったり、『ルパン三世カリオストロの城』の再上映の時には他校の映画・アニメ好き連中と知り合ったという思い出もあります。

この日映画が終わって外に出ると、どうやら近くで火事があったらしく映画館のど真ん前に消防車が停められておりました。
幸い火事自体は大したことなかったようですが、これはこれでなかなか得難い体験でありました。
今年一年、当ブログにお付き合いいただき誠にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様方が良いお年を迎えられることをお祈りしております。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
大晦日にこれを書くのもどうかと思いましたが(笑)、当ブログの決まり事ということでどうか笑ってお付き合い下さいませ。
12/25(月)
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(吹替版)🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

「瞬き一つしてはならぬ」というセリフから始まるこの映画。
本当に瞬きすることも忘れて全編見入っておりました。
人形を少しづつ動かしながら一コマ一コマづつ撮影するストップ・モーション・アニメーションで作られた作品です。
特撮ものでも同様ですが、やはりレンズの前に被写体が実存していた映像って生命感があっていいですね。
『スター・ウォーズ』のエイリアンやクリーチャーも一時期CGばかりになっていたのが、『フォースの覚醒』では着ぐるみとアニマトロクスに戻してくれて安心感がありました。
CGアニメが全部駄目というわけではないですが、映画にはこういった職人芸というものが絶対に必要なのだと思います。
映画にCGが使われるようになってもう四半世紀くらいになりますが、ぐるっと回ってこういったアナログ技術が再興してくれると嬉しいですね。
今回は「映像をしっかり堪能したい」ということから吹替え版を選択しました。
俳優のピエール龍さんと声優として高評価を得ている小林幸子さんはともかく、元AKB48の女の子が吹き替えに参加しているということで若干の不安はありました。
語調が固い印象がありお世辞にも上手とは言い難かったですが、担当キャラがラスボスの操り人形的なキャラクターということもあって世界観をぶち壊しにするようなことはなかったと思います。
ピエール龍さん演じる陽気なクワガタの正体が本当に意外なもので、映像だけでなくストーリーも楽しめるものでした。
少年の成長ストーリーというよりは、子を想う父母の物語であったように思います。
クボのガールフレンドでも登場すればまた違った印象になったかも知れません。
しかし、ラスボスの処置があれで正しかったのか疑問が残ります。
彼が独善的な考えでクボの両親を殺したことは確かですし、その手先となってクボたちを追った二人の娘(闇の姉妹)も死んだというのに。
子供向け作品として主人公が肉親に手をかけるようなことは避けたかったのだろうと思いますが、やはり彼は何らかの形で死なせてあげるべきではなかったかと思います。
この後、クボがひたすら老人介護に縛られ続ける運命にあることを考えると、とてもスッキリした終わり方とは思えません。
映像面で唯一残念だったのはエンドクレジットです。
「CGじゃないよ」とアピールしたかったのか、モデルアニメーションの制作風景を挿入していてせっかくの幻想気分から醒めさせられてしまうのが残念です。
12/27(水)
『ゴジラ2000<ミレニアム>』
(ホームシアター:WOWOW録画)

このブログを立ち上げた時からやりたかった企画、『ゴジラ』シリーズ全作品レビュー。
しばらくお休みしていましたが、年明けから再開しようとこの『ゴジラ2000<ミレニアム>』を観返しておりました。
実のところ、メインスタッフが『VSシリーズ』とほとんど変わらないことから元より期待はしていなかった作品です。
本作は昭和29年の初代『ゴジラ』以外は全て「無かったこと」にして制作されたわけですが、それはつまり『ゴジラの逆襲』や『84ゴジラ』と同じくあの名作『ゴジラ』第一作の直接の続編という立ち位置になるわけです。
あの名作の続編と呼ぶにはあまりにも時代差がありすぎてしっくり来ませんし、そのうえクライマックスでは宇宙怪獣まで登場するのですから違和感しか残りません。
脚本も問題多いですが、演出もケレン味が感じられず実に淡白で盛り上がりに欠けるものです。
社員監督としてゴジラに関わり続けてきた大河原孝夫監督ですが、彼はゴジラを撮ることに喜びとか誇りといったものを感じていらっしゃったのでしょうか?。
しかしそれ以前に、この作品を語るには何か大事なピースが欠けている気がしてなりません。
『ゴジラvsデストロイア』について書くにあたり、その10か月前に公開された『ガメラ:大怪獣空中決戦』の話を避けて通れなかったのと同じく、この作品もまた平成『ガメラ』シリーズへの対抗意識に満ち満ちているのです。
というわけで、先日の記事にも書きましたが『ゴジラ2000<ミレニアム>』の前に『ガメラ2』『ガメラ3』について書かせていただきます。
12/28(木)
『美しい星』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

公開当時に劇場で見そびれてしまった作品です。
ある日突然、TVの気象予報士が何かに憑りつかれたかのように地球の環境破壊に警鐘を鳴らす発言を繰り返すようになります。
さらにその娘は金星人の子を孕み、息子は水星人の政治家秘書の下で働くことに。
全員本当に異星人に乗り移られたのか、あるいはただの思い込みなのかハッキリしないまま、ラストは迎えのUFOに乗って地球を去っていくことになります。
これが『未知との遭遇』へのオマージュであることは間違いないと思いますが、見ていて私が思い出していたのは黒澤明監督の『生きものの記録』でした。
三島由紀夫の原作では地球壊滅をもたらす要因は「核兵器」でしたが、本作品では「地球温暖化」に変更されています。
『生きものの記録』も現代を舞台にリメイクするとしたらやはり環境破壊がテーマになるかも知れません。
水星人を名乗る佐々木蔵之介のまばたき一つしない宇宙人演技がハマり過ぎてて怖いです(笑)。
多分、この男だけは本物の宇宙人だったのでしょう。
12/30土)
『シンクロナイズド・モンスター』🈠
(劇場:メトロ劇場)

『シンクロナイズド・モンスター』という軽妙な語感とポップなポスター・イメージから受ける印象から『ウルトラマンタロウ』の一遍のように楽しげな怪獣映画と思って楽しみにしていた作品です。
しかし、実際は人間の心の闇をえぐるドロドロとした物語でありました。
<あらすじ>
アメリカから遠く離れた韓国ソウル市に奇妙な動きを見せる怪獣が出現。
仕事を干されて故郷に帰っていたグロリアは、その怪獣の動きが自分が公園の一角で行った動きと全く同一であることに気付いてしまう。
相談を受けた幼馴染オスカーのアイデアで、グロリア(の怪獣)はソウル市民に謝罪して逆に好感を得るまでに至ったが、なんとそのオスカーもまたロボットの姿でソウルに現れた。
ここから、それまでグロリアに協力的で良い人だったオスカーの態度が豹変します。
彼はロボットとして暴れ始め、それをグロリアの怪獣が諫めたことでソウル市民のみならず世界中が彼女(の怪獣)に好意的になってくれるのですが、その豹変ぶりが唐突すぎて面喰ってしまうのです。
最初は、童話『泣いた赤鬼』みたいに自分が悪役を演じることでグロリア(の怪獣)を民衆に受け入れさせて、彼女の罪の意識を緩和させるという彼の思いやりかと思っていたのですが・・・。
残念ながら、私はこの先の展開にはとてもついていけませんでした。
ところで。


今回『シンクロナイズド・モンスター』を観た映画館は、福井市の繁華街にあるメトロ劇場さんです。
『エクスマキナ』の時もそうでしたが、メトロ劇場さんはこういうマイナーなSF作品も拾い上げてくれるので本当に有難いです。

私がここで最初に観たのは『宇宙怪獣ガメラ』と『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』という気絶しそうなカップリングでありました。
18禁作品の『カリギュラ』を高校生の分際でドキドキしながら観に行ったり、『ルパン三世カリオストロの城』の再上映の時には他校の映画・アニメ好き連中と知り合ったという思い出もあります。

この日映画が終わって外に出ると、どうやら近くで火事があったらしく映画館のど真ん前に消防車が停められておりました。
幸い火事自体は大したことなかったようですが、これはこれでなかなか得難い体験でありました。
今年一年、当ブログにお付き合いいただき誠にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様方が良いお年を迎えられることをお祈りしております。
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