花と映画と母への手紙
今日の仕事は午後1時集合に変更になりました。
急遽手に入った自由時間ということになりますが、「映画一本見てからお仕事」というには中途半端な時間です。

そこで午前中のわずかな時間ながら軽くお花見をしてから職場に向かうことにしました。

場所はいつも通っている国道8号線から東に少し逸れた場所にある丸岡城です。

丸岡城は、天正4年(1576)一向一揆の備えとして織田信長の命により柴田勝家が甥の勝豊に築かせた城です。
現存する天守閣としては最古の建築様式を持つ平山城です。

別名「霞ヶ城」とも呼ばれており、満開の夜桜の中にライトアップされたその姿は実に幻想的であります。
(ライトアップ画像は「ジョルダンの季節特集」さんより引用)

今日の日中は20度を超える暑さで、4月に入ったばかりだというのに半袖姿で一日過ごしておりました。
春休みのせいか、平日だというのに家族連れが大勢詰めかけていてこのクソ暑い中駐車場の空きを探すのが大変でした。

予報では満開はもう少し後だと聞いていたのですが、なかなかどうして十分綺麗でした。
階段を上ると頭のすぐ上に垂れ下がっている枝があったりもして、青空バックに桜を撮るには絶好の場所です。

うん!。
やっぱり桜の背景は青空に限りますね。

ところで・・・。
当『映像学科22番』は映画カテゴリーに属するブログであります。
「花見の話なんぞダラダラ書きおって映画の話はどうした?」
「これはカテゴリー違いではないか?」
と、頭のお堅い天の声が聞こえてきそうです。
いいえ、問題ありません。
映画ファン歴47年のこのトガジンが、ただのお花見見聞録なんて書くわけありません。

見てください!。
非現実的過ぎるこの場面を。

これは昭和56年公開の角川映画『戦国自衛隊』の一場面です。
この映画の中で長尾景虎(演:夏八木勲)の主君の居城に見立てて登場したのが丸岡城なのです。
映画では景虎が主君に対して謀反を起こし、協力関係にあった自衛隊のヘリコプターで脱出するというとんでもないけど面白い場面でした。
私は当時高校生でしたが、残念ながらこのロケのことは全く知りませんでした。
もし情報を知っていたら学校をサボってでも見学に行っていたと思います(笑)。

丸岡城に行こうと決めた時点で、こうして『戦国自衛隊』の丸岡城のカットをキャプチャーして印刷しておきました。
暇な奴ですねー(笑)。

でも、こうやって場面写真と実景を見比べながら当時のカメラポジションを想像するのがロケ地巡礼の楽しみというものなのです。
これが映画のシーンと現在の丸岡城。
この写真では分かりにくいですが、昭和56年(37年前)の映画にはあった画面右側の高い樹木が無くなっていました。

あと、天守閣からスタントマンがバタバタ落ちていくシーンもありましたが・・・

同じアングルから見上げるとその高さにゾッとします。
でも、「多分この場所にマットを置いてここを目がけて飛び落りたんだろうな」などと想像するのもまた楽しいものです。
ちなみに、今回天守閣には登っていません。
時間が限られていたのと、体力的に自信が無かったからです(笑)。

こんな楽しみ方が出来るのも地元ならではだと思います。
映画としては大嫌いなジャンルの『北陸代理戦争』(ヤクザ映画)の時でさえ、ロケ場所探しはとても楽しかったくらいでしたから。

それにしても・・・。
国の重要文化財である古城の上をヘリコプターで飛び回り、天守閣からスタントマンが飛び降りるSF映画によく撮影許可が下りたものだと思います。
この前年に黒澤明監督の『影武者』が話題になったことから、福井県庁や丸岡町もああいった真面目な時代劇だと思い込んでいたのでしょうか?。

お城と桜に加えてもう一つの見所がこちらです。
平成5年から毎年開催され続けている「一筆啓上、日本一短い母への手紙」です。
これは福井県丸岡町が単なる町興しの為ではなく、手紙文化の復権及び昂揚の一環として企画したものです。

通路に掲げられた入選作を一つ一つ読みながら丘の上のお城へと向かいます。
そしてその頭上にはたわわに咲いた桜の花。
なんて無駄のないロケーションなんでしょう(笑)。

中でも幼い子供が書いた作品には思わずホロリとさせられるものが多かったです。

桜の季節に福井へお越しの機会がありましたら、是非丸岡城にもお立ち寄り下さい。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。