週刊映画鑑賞記(2018.4/30~2018.5/6) 『フランケンシュタイン対地底怪獣』『ほんとにあった!呪いのビデオ 76』
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
5/2(水)
『フランケンシュタイン対地底怪獣』
(ホームシアター:日本映画専門チャンネル録画)

日本映画専門チャンネルの新生「東宝特撮王国」第3弾、『フランケンシュタイン対地底怪獣』オリジナル劇場公開版です。
ラストに大ダコが出てこないバージョンです。
この映画との出会いは、テレビ放映で(途中まで)観たのが最初でした。
うろ覚えですが、初めての映画館で『ゴジラ対へドラ』に大興奮するより少し前、そして『帰ってきたウルトラマン』放映開始の直後ではなかったかと思います。
新聞のテレビ欄で「怪獣」という文字を見つけた私は、それこそ『ウルトラマン』みたいな明朗特撮怪獣映画を期待して観始めたのでした。
まだ小学校に入ったばかりの頃でしたが、なぜか「怪獣」とか「大作戦」とか「仮面」とか特撮・アニメに関係する漢字だけは読めたのです。

ところがこの『フランケンシュタイン対地底怪獣』は6歳10ヶ月の少年が期待していた怪獣ものとはあまりにもかけ離れた映画でした。
当時の記憶としてはとにかく怖かったということしか覚えていません。

私の恐怖心を強烈に煽ったのは、窓の外からフランケンがぬっと顔を出すこのシーンでした。
「うえひゃああああああ!」
その時同じ部屋にいた母の話では、私は周りがビックリするくらい大声を上げて何か汚いモノでも触るかのようにテレビのスイッチを切ってしまったそうです。
そしてしばらく何も映っていないブラウン管をじ~っと見つめた後、恐る恐るもう一度テレビのスイッチを入れたのだそうです。
「もう怖い場面は終わったかな・・・?」
あの時の私はそんなことを考えていたように思います。
しかし、その時映った場面というのが・・・。

ちぎれたフランケンの手首が勝手にうねうね動いているこの場面でした。
速攻でスイッチを切り、もう二度と見ようとしませんでした(笑)。

実はこの時のテレビ放映が「ラストに大ダコが出てくる」海外版の初出だったのですね。
特撮映画界における一つの”事件”を怖さに負けて見逃していたとは、一生の不覚であります。
映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』を全編通して観たのは大学に入ってからのことです。
レンタルビデオで観たのですが、フランケンのあまりにも哀しい生涯に思わずウルッときてしまいました。
人を食うバラゴン被害の濡れ衣を着せられたフランケンは、事情を知らない人間たちに殺処分されそうになります。
でもその人間たちをバルゴンから救ったのは、他ならぬフランケン自身でした。
この感動は、後の『ガメラ 大怪獣空中決戦』のガメラの孤軍奮闘ぶりに繋がるものです。
ラストシーンの唐突にしてかつ強引な幕引きにはさすがに唖然としましたが、総じて見応えのある怪獣映画の傑作でした。

『ウルトラマン』放映前年の作品であることから「ウルトラマンの原型」とも言われるフランケン。
彼の孤独なマイノリティぶりは、万人に愛されたウルトラマンよりむしろ最初期の仮面ライダー(理解者は立花藤兵衛ただ一人)に近い気がします。

フランケンを演じた古畑弘二さんは、難聴を患って俳優を引退する前に「最後の一本」としてこの哀しき巨人の役を引き受けたのだそうです。
”人の姿をしたゴジラ”とも呼ぶべきフランケンシュタインの哀愁を完璧に表現した日本映画史に残る名演でした。

このビデオソフト版を含め『フランケンシュタイン対地底怪獣』は大ダコが登場する海外版がスタンダード仕様になっていたため、長らくオリジナル公開版を観ることは出来ませんでしたが、21世紀に入ってようやくDVDに収録された『フランケンシュタイン対地底怪獣』オリジナル劇場公開版の全編を観るに至りました。
タコが出ようが出まいが唐突な終わり方であることに変わりはないですが(笑)、雄叫びを上げながら一人地割れに消えていくオリジナル版のほうがフランケンの哀しい末路にふさわしい気がします。
日本映画専門チャンネルさんは、過去「大ダコ入り海外版」と「オリジナル版」両方を放送してくれたことがありますが、今回はオリジナル版を更に画質向上させたデジタル・リマスター仕様です。

水野久美様
日本映画専門チャンネルによる新旧リマスターの比較です。
全く同じフレームを切り出してみました。
今回のデジタルリマスター版を見た後だと、旧バージョンの水野久美さんはお化粧の乗りが悪いように見えてしまいますね。
窓の外の雨の量も、フィルムの傷のせいかまるで違って見えます。

『怪獣大戦争』にも出演していた沢井桂子さんのアップ映像です。
もっと分かり易い画面として、フィルム編集による接合ノイズが目立つコマを取り出しました。
旧バージョンはノイズが乗って綺麗なお顔が台無しですが、新リマスター版では丁寧なレストアによりフィルムの傷や汚れはほとんど見られません。

バラゴンの最初の被害者の一人、高橋紀子さんのアップです。
特撮ファンには『南海の大決闘』に主演するはずが体調不良で途中降板したことで知られています。
同じ接合部のコマですが、こちらは画面下部に次フレームの一部が見切れていました。
フィルムの傷も多く痛みが激しかったこのコマも、デジタルリマスターでスッキリしています。
また画面のガタツキも修正されていて安定した状態で映画を楽しめるようになりました。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』はつい最近ブルーレイが発売されたばかりですが、この画質で手元に置けるのであればもう買う必要は無さそうです。
問題は次の『サンダ対ガイラ』。
実は私、東宝のブルーレイを持っているんですよね~。
『ラドン』の画質差を考えると少々複雑な気分で放映を待っているところであります。
5/4(金)
『ほんとにあった!呪いのビデオ 76』🈠
(自室32インチ液晶テレビ:レンタルDVD)

ゲオのネットレンタルで早くから予約していたにも関わらずなかなか借りられずにいた『ほん呪76』。
前日の仕事帰りにふらっと立ち寄ったツタヤ(リアル店舗)であっさり見つけて速攻ゲットしました。
この日の仕事は午後からということで、日光が差し込む明るい室内での鑑賞です。
「真昼間から何見てんだ?」という声が聞こえてきそうですが、私にはこういうビデオを夜中に見る度胸など持ち合わせていないのであります(笑)。
1:インディアン水車
普通、最初に出してくる投稿映像は「掴み」の意味合いもあって一目で分かるものを持ってくるものですが、この「インディアン水車」に映る霊体はスローモーションになるまで全く判別不可能でした。
う~む、初っ端から失速感でいっぱいです。
2:孤独死

参加者全員が室内にいながら厚着をしているのも変ですが、そんなに寒いのに窓全開って不自然過ぎやしませんか?。
カメラフレームも(後に人影が映る)奥のアパートを常に入れ込もうとしているみたいで変ですし、カメラを大きく横に向けようとしない動きからも何かしら作為を感じます。
窓の上に張り付いた人影(?)も映っているのは2、3フレームだけで、しかもやけにハッキリしたゲームのCGみたいです。
断定はしませんが、9割9分作り物だと思われます。
3:雪道
霊体は二度ハッキリ映っています。
しかし、問題はこの映像の撮影状況です。

撮影者は雪道で車の運転をしながらスマホを持って撮影しているのです!。
しかも、ちらっと映った右手には煙草まで持っていました。
雪国に住む私には、幽霊がどうとかよりこの投稿者の運転態度のほうが気になって仕方ありません。
4:誰がために(前後編)
4年前に仲の良い男女8人で行ったカラオケで撮った映像の中から、後に亡くなったという一人の女性の姿だけが忽然と消えてしまっていたというものです。
投稿者のメンバーだった女性二人は極端に怯えていて、「一刻も早くお祓いして欲しい」と願い出ます。
よくよく調べてみると亡くなった女性の死因は「自殺」、当時付き合っていた彼氏と別れさせようとするSNSでの中傷を苦にしてのものだったことが判明します。
その中傷書き込みをしていた中心メンバーというのが実は・・・?。
「幽霊よりも生きてる人間のほうがよっぽど怖い」
そんな作品です。

映像から加工した印象は感じられないうえに、4年前のビデオに映っていた高校生たちが相応に年を取って出てくることからも心霊ビデオとしての信憑性は極めて高いと思います。
まさか4年前に俳優を集めて素材を撮影しておくなどしてこの話を準備していた・・・なんてことはないはずです。
5:シリーズ監視カメラ 彷徨う
「シリーズ監視カメラ」というと白黒映像で無音というイメージがありましたが、こちらはカラーで音声付きです。
芝居の稽古中に気になることがあったため固定カメラで舞台を撮影したとのことですが、これを「監視カメラ」として扱うのは違う気がしますね。
ついつい「投稿映像の数が減ってきているのか?」と邪推してしまいます。
6:温泉旅行
これをトップに持ってくれば良かったのに。
今回一番ビックリしたエピソードです。
窓の外、押入れの中、そして彼女の背後と次第に明確になってくる女の霊。
投稿者と恋人の女性の関係の怪しさが、このストーリーの信憑性を高めていた気もします(笑)。
7:料理
料理する女性を撮った固定映像。
彼女の背後に、壁から這い出ようとしている人の姿が写り込んでいます。
「壁の中から声がするので壊してみると人間の死体が出てきたという夢を見た」とか、この撮影の一ヶ月後に行方不明になったとかいった情報は蛇足です。
『ほん呪』スタッフはこのアパートがどこなのかを探し出して調査するべきでした。
さて。
このところ忙しさにかまけて気が付くのが遅れてしまいましたが・・・
2016年10月19日にスタートしたこのブログですが、いつの間にか1万アクセスを超えておりました。
ご来訪いただいた全ての皆様に心より感謝いたします。
この趣味丸出しブログにお付き合いいただきありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願い申し上げます。