【悲報】福井シネマさん閉館~私が映画に出会った場所~
昨日(8/7)の福井新聞にこんな残念すぎる記事が出ていました。

↓Web記事参照
福井新聞(8月7日)「福井シネマが100年の歴史に幕」

福井シネマ。
現在はシネマ1~4の4スクリーンによるシネコン形態をとっていますが、1992年までは福井東映・福井東宝・東映パラス・みゆき座という東映&東宝系劇場が同居する映画専門ビルでした。
そして・・・
その中の一つ「シネマ2」こそ、かつて私が映画館デビューを果たした「福井東宝」でした。

今からちょうど47年前の夏、私が生まれて初めての映画(『ゴジラ対ヘドラ』)を観に連れて行ってもらった劇場です。
それ以降、春・夏・冬の休みには必ずといっていいほど祖母が映画に連れて行ってくれましたが、「東宝チャンピオンまつり」「東映まんがまつり」など小学校低学年の間に私が観た映画のほとんどはこの劇場で上映されたものでした。

大通りから映画ビル(福井シネマ)へと向かう歩道。
(現在は改築工事のため無くなっていますが)当時画面右側に建っていた福井銀行の壁には上映中の映画のスチル写真がズラリと貼られていたものでした。
つまり、ゴジラ映画上映期間中には当然ゴジラの写真が並んでいたのです。
想像してみてください。
「今日は新しいゴジラが見られる!」
そんなワクワクした気分でやって来た7~8歳の男の子が、壁に並んだゴジラ・ヘドラ・ガイガン・ジェットジャガーなどのスチル写真を一枚づつ眺めながら劇場へと向かうのです。
それはもう、映画館へと向かうまでの期待値を十倍にも百倍にも高めてくれる素敵な演出でありました。

そして福井映画ビルこと福井シネマに到着です。
閉館間近のせいか現在は何もありませんが、当時は切符売り場の上の角部分に縦長の大きな看板が飾られていました。
当時、そこに巨大なゴジラやウルトラマンを見た私のはしゃぎようは相当凄まじいものだったそうです。
後年、祖母はその時の私の様子を何度も何度も繰り返して懐かしそうに語ってくれたものでした。

現在では自動販売機やネットでチケットを買う映画館がほとんどですが、この福井シネマをはじめテアトルサンクやメトロ劇場など福井市街地内にある映画館は昔ながらの窓口販売を続けています。
窓口で見たい映画のタイトルを伝えるわけですが、それがエロいタイトルの映画だったり、いい歳をしてアニメや特撮作品を観に来た時などにはちょっとした度胸が必要となります(笑)。

高校一年の春(昭和55年)このカップリングを観に来た時には、一緒に行った相棒のT君とどっちが窓口で切符を買うかジャンケンで決めたものでした。
結局私が負けて、小さな子供を連れたお父さんお母さんに混じって「高校生2枚!」と言って注目を浴びたことを今でもよく覚えております(笑)。

ちなみに、私が福井シネマで最後に観た映画は4年前の『キカイダー REBOOT』でした・・・。
この時も中のおばちゃんに「キカイダー、大人ひとり。」と声をかけたのですが、おばちゃんの耳が遠いのか私の声が小さかったのか「え?キカイダー?キカイダーやね?」とでっかい声で訊き返されてしまいました(笑)。
こんなこともあって「窓口で直接チケットを買う」行為が煩わしくなり、いつしか郊外のシネコンにばかり行くようになり市内の映画館からは足が遠のいていきました。
また、福井シネマでしか上映されない作品はお隣石川県まで足を延ばすようになりました。
観客サービスという点では明らかに時代に取り残された映画館でしたが、私みたいな客が増えたせいで福井シネマさんが閉館を迎えることになってしまったのかも知れません。

時間表はこの通り、パソコンで印刷したものと映画のチラシをマグネットで張り付けただけの簡易的なもの。
終息感が半端ないです(哀)。
ところで・・・。
昔の福井東宝に当たるシネマ2の案内がどこにも無いことに気付きました。
↑の切符売り場にも「シネマ2」の表示は紙で隠されいてしまっています。

シネマ2の上映作品ポスターが飾られていたスペースもこの通り。
どうやらシネマ2は一足早く閉館してしまっていたようです。
9月10日の営業終了までに、かつて私が映画館デビューを果たした福井東宝(シネマ2)で何か映画を観ておきたいと思っていたのですがね・・・。
あ~~~~~~ッ、寂しいなああああああああああ・・・・

中学生や高校生になると、映画やアニメ好きの友達と連れ立って『宇宙戦艦ヤマト』シリーズや『銀河鉄道999』『1000年女王』などを観に来たものでした。

少し奥へ行くとシネマ3と4が入ったビルがあります。
私は70年代後半はここが東映パラスとみゆき座だったと思い込んでいたのですが、新聞記事によるとこの建物は1997年に新設した新ビルであると書かれていました。
となると、当時は正面の建物の中に東映・東宝・東映パラス・みゆき座という4つの劇場が同居していたことになります。
東映パラスに入るのに階段を駆け上った事だけは覚えているのですが、あんなに何度も行った劇場なのに案外覚えていないものですね。

小学生の頃は、映画を観終わると祖母に連れられてこの百貨店の屋上遊園地で遊び、駅のレストランでご飯を食べて帰るのがいつもの楽しみでした。
幼い私は見てきたばかりの怪獣映画に大興奮して、好物のオムライスを頬張りながら祖母に対して必死にストーリーや自分の感想を語り続けていたそうです。
喋った内容は全く覚えていませんが、そんな私を微笑みながら見ている祖母の優しい顔だけは今でもはっきり覚えています。
これらの事柄も、福井シネマで見た映画と一対の思い出として私の脳裏にしっかり刻み込まれているのです。

昨夜、新聞で福井シネマ閉館を知ったことで矢も楯もたまらずに今日は建物を見に行ってしまいました。
細かな記憶違いはありましたが、初めて祖母に連れられてゴジラを観た47年前の自分の感情だけは驚くほど鮮明に思い出すことが出来ました。
ここ数年は足を運ぶことはほとんど無かったものの、亡き祖母や一緒に映画を観た友達との大事な思い出の場所であることは確かです。
8月8日現在、福井シネマ完全閉館まであと33日。
まだちょっと早いけど・・・
福井シネマさん、ありがとう!。
本日は、福井のローカル映画館への個人的思い出話にお付き合いいただきありがとうございました。