週刊映画鑑賞記(2018.8/27~2018.9/2)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。

今週一番のニュースは漫画家:さくらももこさんの訃報でありました。

ふと思い出してBDレコーダーの録画リストを見てみると、2年ほど前にWOWOWで放映された劇場版『ちびまる子ちゃん』3作品がそっくりそのまま残っておりました。
さくら先生を偲び、毎週一本づつ劇場版『ちびまる子ちゃん』を鑑賞していくことにいたします。
8/28(火)
『映画 ちびまる子ちゃん』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

まずは1990年12月公開の劇場版第一作から。
映画のタイトルは『ちびまる子ちゃん』ですが、後に「大野君と杉山君」というサブタイトルが付け加えられています。
(『ルパン三世』の「ルパン対複製人間」みたいなものですかね)
さくらももこさんは私より一つ年下とのことで、彼女が小3だった昭和49年(1974年)のお話みたいです。
劇中で「紅白歌合戦とレコード大賞」の話題とか「山口百恵が可愛かった」というセリフがありましたが、私くらいの世代の者にはこれもノスタルジーを感じさせてくれますね。
どことなく高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』とも通じるものがありますが、こちらのほうがほとんど同じ世代であるせいか親近感が高いです。
お話としてはまる子の目から見た二人の男子の物語でした。
二人のあまりの仲の良さになんとなくB.L.っぽい雰囲気が感じられたりもしますが(笑)、小学3年生くらいの男の子ってこんな風に「友情」に酔いしれる年頃だったかも知れません。
私としては内容そのものより、オープニングテーマの「おどるポンポコリン」とおじいちゃん役の故・富山敬さんの声にノスタルジーを感じておりました。
「おどるポンポコリン」は1990年に大流行りしたノリノリの楽曲で、当時「花博」開催とバブル景気に沸く大阪で若手TV制作スタッフとして連日連夜あちこちの現場を駆けまわっていた私にとって格好のアゲアゲBGMでした。
そして富山敬さん。
私にとっては『タイガーマスク』の伊達直人、『宇宙戦艦ヤマト』の古代進、『タイムボカン』シリーズのナレーターなどで、幼いころからお声が耳に馴染んでいる声優さんのお一人です。
特に『宇宙戦艦ヤマト』第一作は数年に一度全話を観返すくらい好きなアニメだったので、その訃報はとてつもなくショックでした。
そういえばルパン三世の山田康雄さんも富山さんと同じ年(1995年)に亡くなられたのでしたなあ。
このタイミングでこの映画を観ていると、どうしても故人のことばかりが思い出されていけません。
そういえば5月に西城秀樹さんが亡くなられた時、エンディング曲「走れ正直者」を歌っていた関係で『まる子』のアニメ映像が何度もTVで流れていました。
まさかそのわずか4ヶ月に原作者の訃報が報じられることになるとは・・・。
さくらももこ先生のご冥福をお祈り申し上げます。
・・・と、故人のご冥福をお祈りした直後にこの映画の話を書くのは実になんとも不謹慎な気がして恐縮なのですが。
9/1(土)
『カメラを止めるな!』🈠
(劇場:ユナイテッドシネマ金沢)

今、映画ファンの間で話題沸騰中の『カメ止め』であります。
昨日、ある理由があって急いで金沢まで出向いて観てきました。
実は福井でも9月7日から上映開始が決まっているので、ネタバレにだけ気を付ければ特に急いで観る必要はないはずでした。
ところが先日、突然大きく事情が変わってしまったのです。
映画の宣伝のため上田慎一郎監督が福井にいらっしゃることになったのですが、なんとこの私めが上田監督へのインタビュー撮影(カメラマン)を担当させていただくことになったのです。
これは大変名誉なことでありますが、一つ心配な事がありました。
監督へのインタビューともなれば現場で映画のネタバレが炸裂することは必至であります。
監督はうまくネタバレを避けて話してくれると思うのですが、試写を見たインタビュアーの女子アナが思わず口を滑らしてしまうのではないか?という不安があります。
かくなるうえは、金沢まで足を延ばして一足早く映画を見てしまう以外に方法はありません。

というワケで、この日の仕事を終えてすぐ金沢に向かって車を走らせ19時35分からの回を観てきました。
ネタバレに気を使いつつ感想を述べるとするなら・・・
「冒頭37分の1ロール撮影は実にお見事でした!」
まず、この一言に尽きますね。
私は仕事柄、どうしてもそういう部分に目が行ってしまうのです。
一度もカットを割ることなくシーンを持続させ続けるには、演出・俳優の演技・照明・大道具・小道具・メイク・そしてカメラワークと全てのセクションが完璧に仕事することが不可欠です。
(この映画ではまるで失敗したように見える変な箇所がいくつかありますが、実はそれらは全て後半のための伏線です)
いや、ここは正直に申し上げます。
学生時代に自主制作映画にうつつを抜かしていた頃の自分を懐かしく思い出させてくれる作品であり、同時にその脚本の巧みさと難易度の高い撮影を実現した技量に対して私は心のどこかで嫉妬を感じておりました。
後半の展開は冒頭の1ロール撮影部分と緻密にリンクしていて、その伏線回収の気持ち良さに感心しながら他のお客さんと一緒になって大笑いしていました。
そして「表現すべきものを表現するため」監督・スタッフ・俳優が一丸となって作り上げたラストの人間●●●ッ●には、大笑いしながらも思わず拍手を送ってしまいました。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、”本当のエンディング”まで見届けた後には
「冒頭37分だけもう一回見てえぇぇぇぇぇ!」
と、狂おしいほどの渇望を感じました。
福井で上映が始まった時には、私は間違いなく2回目を観るために足を運ぶことでありましょう。
ところで・・・。
映画の内容とは関係ないところで一つ気になった・・・いや、とても不愉快だったことがありました。
それはこの日の観客の鑑賞マナーの悪さです。
ほぼ満員の劇場内には上映中もペチャクチャと喋り声が多く、斜め後ろの席の若い男は笑うたびに前の席をドンドンと蹴って前の席の男性に注意されていました。
さらに最悪だったのは上映中にピロピロと携帯が鳴ったうえに、それに「もしもし~」と普通に出たバカがいたことです。
近年は上映前に鑑賞マナーのビデオが上映されるおかげでこんな小学生以下のマナー知らずはもう絶滅したものと思っていましたが、今回のような異常な大ヒット作の際にはまだまだどこからか湧き出てくるようです。
これはおそらく、マスコミが「今、『カメラを止めるな!』という映画が面白い!。」と持ち上げたために普段は映画館に行かないような連中までもがわんさかと押し寄せて来たせいだと考えます。
彼らは家でDVDやTV番組を見るのと同じ感覚で劇場の席に座り、TVや雑誌で聞きかじった情報をひけらかして「にわか映画通」を気取っていたのでしょう。
また、この日が土曜日だった事も要因の一つだったかも知れません。
私はこういう手合いと一緒になるのがイヤで映画を観に行くのは極力平日の日中にすることが多いのですが、今回はどうしてもこの日のこの回しか選択肢が無かったのです。
せっかく面白かった映画なのに、あの無作法な連中のせいで心底楽しい気分で福井まで帰ることが出来ませんでした。
最後は愚痴になってしまいました。
お目汚しでスミマセン・・・。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。