週刊映画鑑賞記(2018.9/24~2018.9/30)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
今週観た映画は一本だけでしたが、実はこれが非常に珍しい状況においての鑑賞でありました。
9/26(水)
『散り椿』🈠
(試写:東宝名古屋支社)

日本映画界の名カメラマン:木村大作監督が黒澤時代劇を意識して作り上げたという岡田准一主演の時代劇『散り椿』。
原作は昨年逝去した小説家:葉室麟の同名小説。
脚本は黒澤明監督の遺稿『雨あがる』で監督デビューを果たした小泉堯史監督。
4年前の『蜩ノ記』が、原作:葉室麟/主演:岡田准一/監督:小泉堯史の組み合わせによるものであったことから、おそらくは同じような経緯で企画が進行したものと想像しています。

ありがたいことに、今回の映画は仕事の一環としてタダで観せていただきました。
実は、先日の『カメラを止めるな!』の監督・キャストインタビューの時と同じ仕事で、『散り椿』主演の岡田准一さんのインタビュー撮影の仕事をいただいたのです。
ところが、ディレクターもインタビュアーもまだ『散り椿』を観ていないため何をどう訊けばいいのかサッパリ分かりません。
そのため東宝の計らいで先に試写を見せてくれることになったのです。
インタビュー撮影は午後からですが、先に名古屋で映画を観るために早朝6時に福井を出発する羽目にになってしまいました。
しかし、元々観に行くつもりでいた映画をタダで見られたのですから良しとしなくては。
ちなみに、名古屋東宝の試写室は50〜60席ほどの小さなシアターですがとても快適な空間でした。
座席全体が雛壇状態になっているうえに前後の席が互い違いになっているので、前の席の人の頭が邪魔になることはありません。
ただ座席に対してスクリーンが小さめなのが残念なところで、私好みのサイズ感で観ようとすると最前列がベストポジションでした。
<YouTUBEより:予告編映像>
映画の感想としては、まずなんといっても映像の見事さに引き込まれました。
パンやチルト、移動撮影などといったカメラワークはほとんど使わず、そのシーンに必要な被写体・背景・そして空気感をフィックス(カメラ固定)の一枚絵に封じ込める絵作りで勝負している姿勢が伝わってきます。
ただし、全く不満が無いわけではないのですよ。
(※以下閲覧注意)東宝さん、タダで見せていただいたのにゴメンナサイ
セリフによる説明がやたら多い(監督の前作『春を背負って』も同様でした)
とか。
主人公の義弟という重要な役を任された池松壮亮の演技があまりにもお粗末
とか・・・。
しかし、特に気になったのは
絵作りに力が入っている分、不自然なスローモーションや特殊効果がやたら目につく
という点でした。
絵作りにこだわるあまり細部を強調するアップを撮っていなかったのか、編集時に無理矢理加工したかのような印象です。
監督が黒澤組出身の名カメラマンというだけあって余計に気になりました。

しかし、そんな不満を全て吹き飛ばしてしまうほど岡田准一さんの殺陣(たて)は本当にお見事でした。
瞬時に剣を抜き、低い姿勢で相手の懐に飛び込み素早く斬る!。
そのスピードと動きの正確さを見た時、お世辞でなく「三船敏郎の再来か?」と思ったくらいです。
しかも、クライマックスシーンを除いて彼は決して人を殺そうとしません。
相手の手首や足を傷つけて戦闘不能にするのみで、それが異様にカッコ良いのです。
出来れば最後までその姿勢を貫いて欲しかったのですがね・・・。
(ラストの血飛沫の多さには見る人を選ぶかも知れません)

実は私、岡田准一さんのインタビューを撮影するのは『SP』劇場版前後篇に続いて今回が3回目です。
前回もそうだったのですが、岡田さんには「ジャニーズのアイドルが役者にも挑戦してみました」みたいな中途半端な印象は全く無く、しかも今回は映画俳優としての半端なく強いオーラを感じました。
人柄もとてもおおらかな方でした。
岡田さんは過去にも『蜩ノ記』と『関ケ原』で時代劇出演歴があるのですが、同行したインタビュアー(女子アナ)は「初めての時代劇出演はいかがでしたか?」などという不勉強丸出しのバカな質問をしてしまったのです(恥)。
ところがそんな間抜けな質問にも「あれ?初めてだったっけ」と怒ったり笑ったりすることなく真面目に答えてくれました。
この人柄こそ、最近なにかと騒がれることの多いジャニーズアイドルの中にあってただ一人主演映画が途絶えることがない理由なのでしょうね。
仕事の話も少々・・・。
昨日(9/29)、ついに福井国体が始まりました!。
・・・が。

昨日は台風接近の影響であいにくの雨・・・いや、土砂降りでした!。
私は屋根なしのカメラマン席で、朝から夕方まで立ちっぱなしで開会セレモニーを撮り続けておりました。
無配慮で理不尽極まるこの仕事環境もさることながら、フィールド内を行進する選手の皆さんが気の毒になっておりました。
私たちカメラマンや運営スタッフは防水・防寒のアノラックを着込んでいられますが、選手やイベント出演者の皆さんは晴天時しか想定していないユニフォーム姿で長時間冷たい雨に打たれ続けていたのですから。
こんなことで選手の皆さんが体調を崩したりして今後の競技に支障が出ては本末転倒です。
私は常々、国体やオリンピックの開閉会式をショーとして必要以上に盛り上げようとする事を常々疑問に思っていたのですが、今回の地元開催の国体で改めてその無意味さを痛感しました。
台風接近と大雨の可能性は数日前から分かっていたのですから、福井県の責任者(知事)には屋外競技場での開催を諦めて体育館での開催に変更する勇気も必要ではなかったかと思います。
私自身も滅多にない大型イベントの仕事で楽しみにしていた部分もあったのですが、終わってみれば為政者の自己満足に付き合わされた印象しか残っていません。
選手の皆さんにはこれから約10日間それぞれの競技に集中して頑張っていただきたいです。
自分の仕事としてその姿をしっかり撮って報道・記録していくことに関しては、私の気持ちはいささかも萎えてはおりません。

そして、今まさに強力な台風24号が日本列島を蹂躙しています。
こんな時にこんな呑気な話をアップするのはいかがなものかとも思いますが、本ブログ開設以来休むことなく続けてきたレギュラー企画を休むことはいたしません。
我ながら律儀なことだと感心しますが(笑)、実はこれも大雨の中屋外競技場でのイベント開催に拘った国体関係者と同じことをしているのかも知れません・・・。
「こだわり過ぎるのも考えもの」
今週の教訓です(笑)。
お付き合いいただきありがとうございました。