週刊映画鑑賞記(2018.10/29~2018.11/4)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
ここひと月ほど早朝~深夜の仕事が続いたせいでまるで農家のような朝型と化していた体内時計も元に戻りました。
これでまた、劇場やホームシアターで好きな映画をじっくり楽しむことが出来そうです。
というわけで、今週劇場で観た映画とは・・・。
11/1(木)
『若おかみは小学生!』🈠
(劇場:イオンシネマ新小松)

どうか笑わないでやってください。
白状します。
こんな可愛らしい絵柄のアニメ映画に、54歳のこのおっさんが思わずホロリとさせられました。
全くノーマークだったこのアニメを強く薦めてくれたのは妻でした。
今からおよそ一か月前、私が福井国体の仕事に忙殺されてゆっくり映画を楽しむ時間など全く取れなかった頃、妻はこの映画を観て化粧が崩れて顔がドロドロになるほど(笑)泣いてしまったというのです。
妻「あなた、騙されたと思って『若おかみは小学生!』観て!。」
私「いや~、この絵柄はちょっとな~。」
妻「めっちゃいいから!。絶対泣くから!。」
私「え?そうなん?。それなら・・・って、やっぱ無理!。」
妻「そんな食わず嫌いしたらあかん。恥ずかしいんならあたしが一緒について行ってあげてもいいから!」
私「そんなん言われても今めっちゃ忙しいしな~。」
彼女が一本の映画をこれほど熱心に薦めてくるのはとても珍しいことです。
そういえば、2年前にもこんなふうに彼女が推してきたアニメがありました。
公開されてまだ間もないあの『君の名は。』でした。
もちろんあんな記録的大ヒットになるなんて誰も思わなかった時期の話です。
彼女はことアニメや少女マンガに関する限り、私など足元にも及ばない優れた嗅覚を持っているのです。
妻「これ見ないと絶対損するから。あなた「『この世界の片隅に』が良かった」って言ってたやろ?。あれくらいいいんやざ」
私「・・・え?、監督は誰?。」
そんなやり取りの末、ネットで調べて驚きました。
なんと監督は高坂希太郎さんだったのです。

高坂監督は、あの宮崎駿監督の一番弟子と呼ばれるほどの方です。
元スタジオ・ジブリの主力アニメーターであり、『風立ちぬ』では作画監督を務めています。
監督としても『茄子 アンダルシアの夏』という短編映画を見たことがあって、ブエルタ・ア・エスパーニャという普段全く馴染みのない自転車ロードレースを舞台にしていながら、いつの間にか引き込まれて最後まで見入った記憶があります。
なるほど、この人の監督作品なら観て損はありません。
・・・とはいえ、その頃は国体で忙しかった時期です。
そのままズルズルと毎日が過ぎ去ってしまいました。

あれから一ヶ月あまり経った11月1日木曜日。
映画の日(毎月1日は一律1,100円)ということもあり、今までずっと気になっていたこのアニメ映画を観に行くことにしました。
しかし、福井テアトルサンクでの上映は既に終了しており、鯖江アレックスシネマではまだ上映してるものの残念ながら時間が合いません。
そこで、お隣石川県小松市のイオンシネマ新小松まで足を延ばしてきました。
ちなみに、この日妻は終日仕事があったため残念(?)ながら夫婦同伴とはなりませんでした。
腹の出た短髪のいかついおっさんが一人で『若おかみは小学生!』のチケットを提示して劇場に入ったわけですが、ここは地元ではないので知り合いに出くわす心配はありません(笑)。

確かに喰わず嫌いは一生の損ですね。
「花の湯温泉のお湯は誰も拒まない。すべてを受け入れて癒してくれる。」
様々な登場人物の口から繰り返し語られるこのセリフを、成長したおっこが胸を張って言い切ったあのラストシーンには思わず鳥肌が立って目がウルウルしてしまいました。
彼女を支える2人の幽霊と一匹(?)の魔物の存在も意外に良かったですね。
お子様たちが見る分には『オバケのQ太郎』みたいな感じで楽しめるでしょう。
私は彼らを、両親を亡くしたおっこのイマジナリー・フレンドと思って見ていました。
おっこを励まし続けてくれた彼らがいつしか見えなくなり、やがて成仏して去っていくことでストーリーが完結するという見事なシナリオでした。
妻よありがとう。
『若おかみは小学生!』は本当に良い映画だったよ!。

でも、この初期ポスターやエンドクレジットに流れる高坂監督のジブリ風ティストで作られていたら、また違った印象の作品になっていたかも知れません。
私としてはこの(ジブリ風)絵柄で作って欲しかったと思うのですが、おそらく大勢の子供たちが馴染んでいる原作児童文学の挿絵イメージを尊重したのでしょうね。
これから当分の間、ホームシアターでは劇場で見そびれた映画を後追い体験していくことになりそうです。
土曜の夜に観たのはゲオのネット宅配レンタルで届いたこの作品でした。
11/3(土)
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

私、「宇宙ものSF」は大好物なんですが、これがリュック・ベッソン作品となると『フィフス・エレメント』を思い出してしまってついつい身構えてしまうんですよね~(笑)。

『スター・ウォーズ』に似てると言われているこの作品。
原作は1967年に出版されたフランスのSFコミックです。
『スター・ウォーズ』より10年も前に発表されたこの漫画には、ミレニアム・ファルコンそっくりの円盤型宇宙船がヴァレリアンたちの乗機として登場しています。

でも、私が連想していたのは『スター・ウォーズ』よりもこちらです。
『コブラ』
それも1982年に出崎統監督によって制作されたアニメ版のイメージです。

ほら、『コブラ』にこんな奴出てきませんでしたっけ?
確か”ダック”だったかな・・・?。

あとヴァレリアンが腕に取り付けた武器で相手を吹き飛ばしていくシーンがありましたが

これってサイコガンのイメージではないかと(笑)。
と、ビジュアル的にはいろいろ楽しい映画ではありましたが・・・

冒頭に出て来た『アバター』みたいな裸族宇宙人が気味悪かったのと・・・

ミッション遂行に協力してくれた傭兵部隊をあっさり見殺しにする主人公がどうしても好きになれなくて、結局最後まで乗れないまま終わってしまいました。
う~ん、やっぱりリュック・ベンソンのSFものは合わないなあ・・・。
11/4(日)
『リメンバー・ミー』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

ゲオのネット宅配レンタルで借りたもう一枚は、今年3月に劇場公開されたピクサー・アニメーション作品『リメンバー・ミー』.。
当時観に行く気満々でいたにも関わらず、結局見そびれてしまった映画です。
私はどうしても「字幕スーパー版」で観たかったのですが福井では字幕版上映が最初の2週間しかなくて、気が付いた時には吹替え版しか残っていなかったのです。
そんなわけで、今回ようやく『リメンバー・ミー』をオリジナル言語+字幕版で初鑑賞する運びとなりました。
最初のうちはいろいろとツッコミどころの多い作品でした。

例えば、ヘクターが持っていた自分の写真。
彼は一体どうしてあの写真を持っていられたのでしょうか?。
これが家族と一緒に写ったスナップ写真であれば家を出た時も肌身離さず持っていたとも考えられますが、1ショットでこんな満面の笑顔の自分の写真を持ち歩いているなんて・・・よほどのナルシストです(笑)。

そして、あの世の写真認証システム。
これって、昔、写真というものが無かった時代には一体どうしていたんですかね?(笑)。

あと、最近のディズニー/ピクサー作品の特徴として「最も信頼していた人物が実は真の敵だった」という物語パターンがあるのですが、これは今作でもそのまま踏襲されています。
『アナと雪の女王』も『ベイマックス』も『ズートピア』も、そして今年の『インクレディブル・ファミリー』も同様でした。
さらに今回は早い時点で先の展開が読めてしまったのも残念です。
しかし。
映画の中盤であるセリフを聞いた瞬間から、そんな些細なツッコミなどどうでもよくなってしまうほど見入ってしまいました。

映画『リメンバー・ミー』の中で描かれる死者たちは決して永遠の存在でありません。
生きている家族が写真を飾ってくれなければ死者の日(日本でいえばお盆)に帰ることは許されず、自分のことを覚えている人が一人も居なくなったら”この世界から完全に消滅”してしまうというとても残酷なお話です。

私は最初、8年前に他界した父や幼い頃私を可愛がってくれた亡き祖母のことを思い出しながら観ることになるだろうと思っていました。
しかし、実際に映画を観ながら思いを馳せたのは父や祖母のことだけでなかったのです。
それは・・・私が生まれてすぐに亡くなったという父方の祖父のことでした。

身内の恥を晒すことになりますがしばしお付き合いください。
私の祖父は、父が中学生の頃に別の女性と浮気して家庭を捨てて名古屋へ行ってしまった人でした。
それでも祖母は決して離婚届に判を押さず、祖父の籍を福井の家に置いたままにして別居状態を貫いたのだそうです。
その後、祖父は相手の女性に捨てられたうえ重い病気にかかりましたが、祖母はそんな夫を福井の病院に入院させてそのまま最期を看取ったという話です。
父はそんな自分の父親が許せなかったそうで、私にも妹にも一度として祖父の話を聞かせてくれたことはありませんでした。
そんなわけで、現在に至るも我が家の仏壇には祖父の写真はありません。
父が亡くなった今、祖父のことを覚えているのはおそらく大阪の叔父(父の弟)一人だけと思われます。
母は会ったことがあるそうですが、それも祖母が引き取ってから亡くなるまでの数か月間だけで顔もよく覚えていないそうです。

祖母と父の事ならば、私も妹も母を囲んでいくらでも思い出話がすることが出来ます。
我が家の仏壇には常に祖母と父の笑顔の写真が飾ってあります。
父についてはお爺ちゃんっ子だった甥たちも忘れることはないでしょう。
しかし、家を捨てて、さらに父の沈黙によって家族の記憶から消し去られた祖父はあの世でどんな扱いを受けているのか?。
ヘクターの歌を聴きながら消えていく天涯孤独の男の哀しい姿を見てると、「もう一度家じゅうのアルバムから祖父の写真を探してみようかな・・・」なんて考えてしまいました。
ところで、こうして書き終えてみて今週観た3本の映画には共通点があることに気付きました。
『若おかみは小学生!』は、幽霊に励まされながら頑張る一人の少女の物語。
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』の主人公は死んだ異星の王女の魂に導かれて正義を成す。
そして、『リメンバー・ミー』は死者の世界と生者の世界が交錯するお話。
なんという偶然・・・
3本とも死者の魂とか幽霊がモチーフになっている映画でした!。
なんまんだぶなんまんだぶ・・・
今週もお付き合いいただきありがとうございました。