週刊映画鑑賞記(2018.11/26~2018.12/2)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
11/26(月)
『GODZILLA 星を喰う者』🈠
(劇場:テアトルサンク)

半年ごとに一作づつ、一年かけて公開されてきたアニメ版ゴジラシリーズ完結編。
第1作『怪獣惑星』は壮大なSF設定と登場人物の説明に明け暮れたため、物語進行の足取りが重くなり一本の映画としての面白さには欠けていた気がします。
第2作『決戦機動増殖都市』では、意外すぎるメカゴジラの形態やビルサルドの超合理的思考に驚き感心しつつも、「これ、ゴジラである必要があったのだろうか?」という疑問は拭えませんでした。

それでも、アニメ『ザ・ウルトラマン('79)』もれっきとしたウルトラシリーズの一つであるのと同じように、アニメ版ゴジラもまたゴジラ映画の一部であることに変わりはありません。
それに、毎年毎年ワンパターンの怪獣バトルを繰り返し垂れ流し続けただけの後期平成VSシリーズよりよっぽど志が高い作品であるとも思っています。
公開からかなり時間が経ってしまいましたが、その結末をこの目で確かめるため劇場に足を運びました。

遅まきながらではありますが、異星人種「ビルサルド」と「エクシブ」について初めて知ったことがあります。
メカゴジラを地球に持ち込んだ「ビルサルド」の名は『ゴジラ対メカゴジラ('74)』の「ブラックホール第3惑星人」をもじって名付けたものなのだそうです。
彼らは前作『決戦機動増殖都市』で昭和のオリジナルと同じくゴジラを退治した後に最終的には力で地球を支配することを目論んでいました。

一方の「エクシブ」は『怪獣大戦争('65)』に登場したX星人のもじりです。
となれば、地球人に対して友好的な態度をとっていたエクシブの神官メトフィエスがキングギドラを操って地球人類に牙を剥くのは火を見るより明らかです。
実際、本作のストーリーは全くその通りに展開しました。

異次元世界からのギドラの攻撃に手も足も出ないゴジラ。
しかし、主人公:ハルオがメトフィエスを倒したことでギドラの無敵状態が解けて見事逆転勝利!。
この点においても昭和の『怪獣大戦争』に準じている気がしました。
だとしたら、主人公の名前は”ハルオ”(由来はゴジラ初代スーツアクター中島春雄さん?)ではなく”アキラ”がふさわしかったのではないでしょうか?。

だって『怪獣大戦争』でX星人の怪獣コントロールを撃破する役を演じたのは宝田明さんと久保明さんの二人のアキラでしたから。

実は私、最後には地球人ハルオと地球最強最大の生命体ゴジラ・アースとが融合して外敵:キングギドラに立ち向かうのではないかと想像していたのですよ。
(その融合とは物理的現象に限らず平成ガメラと草薙浅黄のような精神的なものも含みます。)
前作『決戦機動増殖都市』の冒頭で「俺の名前はハルオ」というセリフがやたら何度も出て来たことからそんな考えを持ったのですが・・・

しかし、ハルオが融合した相手はゴジラではありませんでした。
そのお相手はなんと・・・(以下自粛)。
まあ、こうして『スター・ウォーズ』みたいに次の展開を想像して楽しむのもまたシリーズものの楽しみ方の一つですね。

ただ、最後まで残念だったのは「ゴジラ・アースの巨大さが最後まで実感出来ないまま終わってしまった」こと。
1作目のゴジラ・フィリウス(体高50メートル)はホバーバイクに乗った人間との比較でその大きさを実感することも可能でした。
しかし2&3作目のゴジラ・アースは体高300メートル以上という小山のようなサイズで、その大きさを比較出来るような建物や乗り物が登場しないこの作品世界においては直感的に大きさを把握することは出来ずじまいでした。
なんだか(予算の都合で)南の島を舞台にしていた『南海の大決闘』のようなイメージです。
往年のゴジラファンとしては「やっぱり人間の文明社会の象徴たる大都市を破壊してこそのゴジラなのだ」と再確認したシリーズでありました。
11/27(火)
『惑星大戦争』
(ホームシアター:WOWOW録画)

1977年(昭和52年)。
この年、巷のSFファンや特撮映画ファンの間ではアメリカで絶大な人気を博しているというSFX大作『スター・ウォーズ』の噂で持ち切りでした。
夏にはTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を再編集した映画版が公開され、日本(のごく一部の人種)は史上空前のSFブームに沸き返っておりました。
その両者の人気にあやかろうと、東宝が制作期間わずか2ヶ月という突貫工事でこしらえた和製『スター・ウォーズ』。
それがこの『惑星大戦争』であります。
当時中学一年だった私も、同じSFや特撮・アニメ好きの友達T君と一緒に観に行きました。
その時の私の率直な感想は・・・

「まるで『宇宙戦艦ヤマト』の実写版や」
この頃はまだ日本に流れ込んでくる『スター・ウォーズ』の情報量もそれほど多くはなかったように思います。
そのため、私の目に映る『惑星大戦争』の第一印象は「『スター・ウォーズ』を真似た」というより「『宇宙戦艦ヤマト』の模倣」でしかありませんでした。
黄色の生地に黒のラインが入った隊員服は森雪の艦内服とよく似たデザインですし、轟天の艦橋内部もヤマト第一艦橋や『スター・トレック』のブリッジみたいです。

先日、その『惑星大戦争』がWOWOWで放送されましたので、久しぶりに襟を正して鑑賞することにしました。
3年ほど前までの私は「あ~あ、やっぱり2~3か月のやっつけ仕事でこしらえた特撮なんてこんなものか。」とか「この頃の日本映画の安普請ぶりが画面に出てるなあ。」とかその残念さを逆に楽しんでおりました。
しかし、一昨年の『シン・ゴジラ』がそんな私の荒んだ心を完全に癒してくれました。
「本当に見たい怪獣映画」をリアルタイムで見ることが出来た今、もう「ないものねだり」をする必要はないのです。
今の私には日本のありとあらゆる特撮映画に対し寛容な気持ちで接することが出来る自信があります。
もちろん、『惑星大戦争』も『宇宙からのメッセージ』も例外ではありません(笑)。

中学生の時、思わず「おおー」と声を出して感心してしまったのがこの轟天のリボルバー式艦載機発射カタパルトです。
効率が良いうえに何より絵的にカッコいいのです。
ただ、「着艦はどうするんだろう?」という疑問があることと、パイロットが誰一人ヘルメットを着用していないのはいかがなものかと思いますが(笑)。

今回見直すまで完全に忘れていましたが、ラストはかなりビックリしました。
轟天建造の過程で「宇宙を構成するエーテルを破壊する超強力爆弾」を作ってしまった滝川艦長(演:池部良)は、これが悪用されることを案じ続けていた。
しかし、金星大魔艦の猛攻の前に轟天号は矢尽き刀折れてしまう。
滝川は自らの命と引き換えに最後の切り札「エーテル爆弾」を搭載したドリルミサイルで特攻する。
轟天に残した愛娘とその恋人の幸福を願いながら・・・。

これ、昭和29年の『ゴジラ』のラストと全く同じです。
自ら生み出してしまった悪魔の兵器:オキシジェン・デストロイヤーを抱えて東京湾に潜むゴジラに立ち向かっていった芹沢博士そのものじゃないですか!。
さすがは田中友好プロデューサー。
たとえ『スター・ウォーズ』便乗企画と笑われようとも、わずか2ヶ月しか製作期間が無い中であっても、初代『ゴジラ』から連綿と受け継がれてきたテーマを盛り込むことを忘れてはいなかったのです。
私が初代『ゴジラ』を初めて観るのはこれより6年後のことです。
『ゴジラ対ヘドラ』で初めてゴジラに接して以来、私は「ゴジラ=人間の味方」と思い込み続けていました。
中学に入った頃「最初のゴジラは人間の敵で物凄く恐ろしい怪獣だった」「一作目のゴジラには戦争や原爆などの深いテーマが込められていた」と先輩映画ファンの話を聞かされるようになり、昭和29年の『ゴジラ』第一作に対して憧れのような感情さえ抱いていたのです。
当時の私は、それとは知らず『ゴジラ』第一作と同じテーマを同じ製作者から受け取っていたのですね。
このことが分かっただけでも今回『惑星大戦争』を再鑑賞した価値がありました。

制作期間は短くても、出演者はかなり豪華です。
現職千葉県知事(森田健作)とスコッチ刑事(沖雅也)に加え、我らが仮面ライダーV3=風見史郎こと宮内洋さん。
そして紅一点の浅野ゆう子さんは当時弱冠17歳。
後に80年代から90年代にかけてトレンディドラマの女王の名を欲しいままにする彼女のまだ初々しい頃の姿です。

地球司令部で指揮を執るのは芹沢博士(平田昭彦)とキリヤマ隊長(中山昭二)。
自ら生み出した悪魔の兵器:エーテル爆弾とともに特攻する轟天艦長役は、池部さんではなく平田さんが演じるべきではなかったかと思います。
『惑星大戦争』に不満を感じるのはたったの3点。
もっとも、この3つがどれもダメージ大きいのですがね(笑)。

不満その1:敵(ヨミ惑星)のスケールが小さすぎる
『ヤマト』のガミラス人を意識したに違いない睦五郎氏の青塗りメイクとチューバッカもどき。
彼ら以外は全員ブカブカのマスクで顔を隠しただけの雑魚兵士のみ。
彼らがたった一隻の宇宙船に乗って2万2千光年の彼方から地球を侵略しに来たというというのもあまりにも寂しい話です。

しかも、全員男です。
地球侵略を果たしたところで繁殖はどうするつもりだったのでしょうか?。
・・・あ?、だから拉致したジュン(演:浅野ゆう子)にあんな官能的な服を着させていたのですかね?(笑)。
ちなみに浅野ゆう子が着ているこの衣装は彼女の自前だったそうです。
当時彼女は17歳。
一体何があったのでしょうか・・・?。

不満その2:沖雅也演じる室井の最期がおマヌケすぎる
愛する婚約者が無事救出されたと知り「良かった・・・」とニコニコしながら帰投中のところを背後から撃たれて撃墜死・・・。
スコッチ・・・じゃなくて室井、気抜きすぎでしょ!。
「俺が死んだら彼女を頼む」と死亡フラグもしっかり立てたのですから、もう少し見せ場というものを用意してあげるべきではなかったかと思います。

不満その3:音楽が軽すぎて作品イメージに合っていない
公開当時も今回も一番気になったのが音楽です。
全体に「タンタカタンタカ」「ピロロンピロロン」と低音部がほとんど無い軽い楽曲ばかりで映画の内容とまるで合っていません。
なにも伊福部昭先生や佐藤勝先生を起用しろとは言いませんが、もっと勇壮で重厚な音楽が付けられていればこの映画の印象も大きく違っていたはずです。
『スター・ウォーズ』と『宇宙戦艦ヤマト』の共通点の一つに、オーケストラによって奏でられる音楽が映像の魅力を数倍に高めている点が挙げられます。
その二作品を意識して作ったのなら、『惑星大戦争』も音楽にもっと力を注ぐべきでした。

・・・とまあ、脱力ポイントは多かったものの、54歳になって再見した『惑星大戦争』は思った以上に楽しい空想科学特撮活動写真でありました。
田中友幸プロデューサーは宇宙版『海底軍艦』の企画をかなり前から温めて続けていたそうです。
もしも『惑星大戦争』が『スター・ウォーズ』や『ヤマト』ブーム到来より先に作られていたとしたら?。
もしも恋愛映画と伴映ではなく、例えば「東宝チャンピオンまつり」の一遍として子供たちに向けて公開されたとしたら?。
『惑星大戦争』は極上の和製SFスペースオペラとして(私を含めた)子供たちの心の中に残り続けたかも知れません。
11/28(水)
『宇宙からのメッセージ』
(ホームシアター:WOWOW録画)

前日の『惑星大戦争』が思いのほか楽しめたことに気をよくして、この日は東映の『宇宙からのメッセージ』を鑑賞しました。
滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を宇宙ものに置き換えたスペース・ファンタジーです。

監督は『仁義なき戦い』シリーズの深作欣二。
深作監督はこのわずか一年ほど前、現在も私が住んでいる福井の田舎町で実録やくざ映画『北陸代理戦争』を撮っていました。
『北陸代理戦争』は主人公のモデルである地元やくざの組長が映画の内容そのままに射殺されるという事件が起きたことで有名になった作品です。
>「『北陸代理戦争』~世界でいちばん身近な映画~」(2018/3/8)

そのわずか一年後にこれであります(笑)。
なんという節操のなさ・・・じゃなくて懐の深さでありましょうか!。
『宇宙からのメッセージ』に対する東映の姿勢は、東宝の『惑星大戦争』よりも意図が明確・・・というか露骨でした。
「『スター・ウォーズ』日本公開前に行きがけの駄賃で稼ぐぞ!。」
これは当時の東映社長の企画時のコメントですが、ここまで言い切られてしまうとむしろ清々しいですね(笑)。

当時中学2年生だった私もまんまとこれに引っかかってSFやアニメ・特撮仲間のT君と一緒に見に行きました。
その初見の感想は・・・
『スター・ウォーズ』の日本公開まであと2ヶ月・・・
無駄使いしないで大人しく待つべきだった。
この悔恨の念以外、私の頭の中にこの作品の記憶はほとんど残っておりません。

内容を覚えていない理由は明白です。
私たち二人はこの日映画館を数一軒ハシゴして、最後にブルース・リーの『死亡遊戯』も見て帰ったからです。
初めてスクリーンで見たブルース・リーのアクションにシビれまくった私と相棒は、帰りの電車に乗った頃には『宇宙からのメッセージ』のことはすっかり忘れて『死亡遊戯』の話ばかりしていました(笑)。
あの時以来、私は『宇宙からのメッセージ』を一度も見返していません。
そんなわけで今回は40年ぶりの再見となります。

深作監督はおそらくSFだのファンタジーには興味はなく、単に宇宙を舞台にした東映チャンバラにしたかったのだろうと思います。
なにせ千葉真一演じるハンス王子のセリフが
「その罪、万死に値する!」ですから(笑)。
でも、それが妙にハマって見えるから不思議です。

でも、よくよく考えてみればパクリ元の『スター・ウォーズ』だって宇宙船の中でオビ・ワンとダース・ベイダーがチャンバラしていたではありませんか。
そればかりか、ジョージ・ルーカスは黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』にヒントを得て『スター・ウォーズ』を作ったと公言しています。
日本の時代劇を元にして作った『スター・ウォーズ』をパクった日本映画が宇宙チャンバラものになったのも、いわば先祖還りのようなもので至極当然のことかも知れません。

特撮の面では『惑星大戦争』に比べるとかなり劣って見えます。
当時まだ珍しかったビデオ合成を取り入れたものの、この通り画質が荒くなってしまっています。
しかも、普段着にマスクを着けただけで宇宙遊泳・・・。
いかにスペースファンタジーと言えども、1978年の時点でこれは無理です。

一方、出演者の生きの良さは明らかにこちらの方が勝っています。
(8人の勇士のうちいかにもやくざ映画なチンピラが混じっていたのが気になりますけど(笑))

中でも最高だったのが、敵のガバナス皇帝の母上様。
なんと天本英世さんが演じているのですが、これがもう全然違和感がありません(笑)。

そして『八犬伝』の伏姫にあたるエメラリーダ姫役は永遠のビジンダー:志穂美悦子さん。
アップショットの多さといい、そのアングルの絶妙さやフィルターワークの巧みさといい、スタッフの彼女への愛を感じられるゴールデンショットが揃っています。
12/1(土)
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

この日は嫁のリクエストでこの映画を一緒に見に行きました。
『ハリー・ポッター』のスピンオフシリーズ『ファンタスティック・ビースト』 の2作目です。

毎月1日は「映画の日」。
老若男女を問わず映画が1,000円で見られます。
加えてこの日は土曜日ということで、劇場はほぼ満席でした。
客層は若いカップルが多かったですが、字幕版ということで小さい子供さんの姿はありませんでした。
50代の夫婦ものは私たちくらいしかいなかった気がします。
公開からまだ一週間程度しか経っていない作品ですので、ネタバレ防止も兼ねて簡素に済ませます。
これから見に行く人は
必ず前作をおさらいしておきましょう
私も前作は劇場公開時に一度だけ見ていますが、詳しい内容はもうほとんど覚えていません。
そんな私にとって今回の『黒い魔法使いの誕生』は敷居が高過ぎました。
正直言って「もう何が何だか誰が誰だか」状態で全くお話についていけません(涙)。

例えば前作で死んだと思われていたというこの男は誰だったっけ?、とか。

あれ?、こいつはラストで魔法使いに関する記憶を消されたんじゃなかったっけ?、とか。

あと、”ポッタリアン”を自称する嫁の話によれば、今回登場したヘビ女の名前が『ハリー・ポッター』のラスボス:ヴォルデモートの大蛇と同じ名前だとのこと。
インディ・ジョーンズばりに蛇嫌いの私には全くどうでもいい話でありますが、今後のストーリーを追うためには大事なポイントかも知れません。
ゴジラと東宝特撮の話になるとやたら長くなっていけません(笑)。
長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。