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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2018.12/17~2018.12/23)

トガジンです。
明日はクリスマス・イブであります。
・・・が、当ブログはそんなこと一切お構いなくこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めます。
これは2年以上一度も欠かさず続けてきた、毎週日曜日のレギュラー記事なのですから(笑)。



12/18日(火)
『アナイアレイション -全滅領域-』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)
『アナイアレイション -全滅領域-』ポスター(NETFLIX)
今週最初に観たのは『アナイアレイション -全滅領域-』。
日本では劇場未公開の作品であり、現在のところNETFLIX配信でしか見ることは出来ません。
『エクスマキナ』のアレックス・ガーランド監督作品、豪華な出演者、そして評価の高いSF作品ということで以前から期待していた作品の一つです。
実際見始めると115分の上映時間があっという間でした。

ただ、今回ネット配信という制約上せっかくの映像美が損なわれている部分も散見されて残念だったのも事実です(後述)。

『アナイアレイション -全滅領域-』トップ画面キャプチャ
本国アメリカでしか劇場公開されておらず、他国ではNETFLIXの配信でしか見る術がないこの作品。
「もっと分かり易く作れ」という映画会社側の要求をガーランド監督が突っぱねて難解なまま仕上げてしまい、海外興行に不安を感じた会社側は権利をNETFLIXに売り飛ばしてしまったという事らしいです。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)ナタリー・ポートマン
主演はナタリー・ポートマン。
『レオン』のマチルダ、『スター・ウォーズⅠ~Ⅲ』のパドメ、『ブラック・スワン』では精神を蝕まれていくバレリーナ役でオスカーを受賞し、『マイティ・ソー』ではアメコミヒーローもののヒロイン役。
そんな彼女が主演するSF映画というだけで、『アナイアレイション -全滅領域-』は私にとって十分観る価値がある映画です。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)オスカー・アイザック
特異な環境下の任務で常軌を逸していく彼女の夫役は『スター・ウォーズⅦ、Ⅷ』のポー・ダメロンことオスカー・アイザック。
そういえば、彼は『エクス・マキナ』にもドーナル・グリーソン(ハックス将軍役)と一緒に出演していました。
もしかして、アレックス・ガーランド監督は『スター・ウォーズ』の監督をやりたがっているのかも・・・?。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より) テッサ・トンプソン
もう一人、私の目を引いた女優さんがテッサ・トンプソン。
『クリード チャンプを継ぐ男』で耳が不自由な歌手:ビアンカを演じた人です。
来年1月公開の『クリード 炎の宿敵』にももちろん出演しています。 

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)ゴー●トバ●ターズ?
ある日突然、とある灯台を中心に発生し徐々に範囲を広げつつある謎の異空間「シマー」。
その調査に向かうのはそれぞれ脛に傷持つ5人の女性チーム。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)廃屋
廃屋を調査したり・・・

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)エグいシーンも・・・
前任者の遺品を発見して調査の手掛かりにしたり・・・

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)痕跡
時々グロい映像が出てきて思わず手で目を覆ったり・・・

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)エイリアン?
特殊な環境の中で突然変異したクリーチャーに襲われたり・・・

・・・あれ?。

この感覚、これまで何度か体験したような気がします。

PSゲーム『バイオハザード』
最初に思い当たったのはプレイステーションの傑作ゲーム『バイオハザード』
舞台は悪徳製薬会社の研究施設。
その調査に向かった警察の特殊部隊が、ウィルスによって発生したクリーチャーを倒しながら脱出するという内容です。

異空間:シマ―を研究施設、ワニや熊の怪物をリッカーやタイラントになぞらえて考えると映画『アナイアレイション -全滅領域-』とゲーム『バイオハザード』の構造は思わず笑ってしまうほどソックリであることが分かります。

さらに、不謹慎を承知で書かせていただくなら・・・。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)シマ―
この異空間:シマ―は、1986年に原発事故が起こった旧・ソ連のチェルノブイリや2011年の福島第一原発事故の被災地がモチーフになっているのではないかと感じました。
高濃度の放射線汚染に見舞われたこれらの地域はゴーストタウン化しており、そこに残された動植物が未知の生体変化を起こしていたとしても決して不思議はありません。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)画が綺麗
映画は「主人公とその夫がどうなったのか」を明確にしないまま終わります。
しかし、これの原作小説は全3部作構成になっており『アナイアレイション -全滅領域-』はその第一部だけの映画化だそうです。
出来れば同じ監督と同じキャストで残り2作も映画化して欲しいところですが、今作の状況では難しいかも知れませんねえ。


ところで・・・先に述べた画質の話ですが・・・。

『アナイアレイション -全滅領域-』(予告編より)森の中
『エクス・マキナ』のガーランド監督らしく映像美が見事な作品だったはずなのですが、残念ながらネット配信のビットレート制約のせいでその画質にはかなりの不満を感じておりました。

『アナイアレイション -全滅領域-』の舞台はそのほとんどが森の中で、生い茂る樹木や草木の中を登場人物たちが歩き回ります。
こういった細かなオブジェが画面内で動き続ける映像を破綻させずに圧縮するには多くのビットレートを必要とします。
ところがフルハイビジョン解像度(1920x1080)の『アナイアレイション -全滅領域-』の映像ビットレートはわずか4,640kbpsしかありません。
一般的な映画のブルーレイが約30,000kbpsですからその6分の1以下です。

そのため、草木の細部はペタッと潰れてしまい画面全体も平坦に見えてしまいます。
また、暗い場面で暗部諧調が全く出ていないため、登場人物も闇夜のカラス状態でした。
せっかく監督がこだわりぬいて作った映像もこれでは台無しです。

ちなみにNETFLIXのビットレート確認方法は以下の通り。

NETFLIXのビットレート
PCの再生画面でキーボードの[Shift] + [Ctrl] + [Alt] +[D]を同時押しするとこんな風に映像・音声データが表示されます。
まあ、これを知ったからと言ってどうなるわけでもないのですがね(笑)。

ちなみに、先週見た同じNETFLIXの『DEVILMAN Crybaby』にはこんな不満は感じませんでした。
ネット配信には高ビットレートが要求されるような実写映画は向かないのですかね?。

今回の低画質が『アナイアレイション -全滅領域-』だけの(エンコードの)問題なのか、再生に使用したハードウェア(ソニー:BDP-S6700)の問題なのかはわかりませんが、原因究明と解決を急ぎたいところです。
来年NETFLIXで独占配信されるという『ダーク・クリスタル/エイジ・オブ・レジスタンス』だけはなんとしてでも高画質で楽しみたいですから。




12/19日(水)
『公式長編記録映画 日本万国博』
(ホームシアター:日本映画専門チャンネル録画)
『公式記録映画 日本万国博覧会』録画BD
翌20日(木)に太陽の塔内部見学に行くことになったため、それに先駆けてこの映画を観て気分を盛り上げることにしました。

私が視聴したのは8年ほど前に日本映画専門チャンネルでハイビジョン放送された録画ディスクです。
この映画はどういうわけか未だにレンタル解禁されていません。
DVDも現在は廃盤で、オークションなどではビックリするような高値で売買されているようです。
2025年に2度目の大阪万博('90年の花博も含めると3度目?」)が」決まったのですから、この記録映画も早くブルーレイ化して欲しいところです。

もっとも翌日は早朝に家を出るため、3時間近いこの作品を最後まで見ているわけにはいきませんでした。
不本意ながら、この日は太陽の塔とかつて私たちが訪れた(と思われる)住友童話館の部分だけをつまみ見しました。

妹と住友童話館前にて
この写真は48年前万博に連れて行ってもらった時の私と3歳年下の妹です。

背景に写っている円盤状の建物は住友童話館です。
父がわざわざこんなアングルで写真を撮ったということは、当時私たち家族が住友童話館に入ったことは間違いないと思います。
しかし、悲しいことに私も妹もこのパビリオンで見聞きしたはずの中身を全く覚えていないのです・・・。

その記憶の空白を少しでも埋めたいと、『公式長編記録映画 日本万国博覧会』を(倍速で)見ていたのですが・・・。

『公式長編記録映画 日本万国博覧会』より 住友童話館
ありました!。
住友童話館です!。

『公式長編記録映画 日本万国博覧会』より 住友童話館内部
嬉しいことに他のパビリオンに比べて内部の映像も多めに収録されていました。
子供向けに特化した展示内容だったので入場者数も多かったのかも知れません。

『公式長編記録映画 日本万国博覧会』より 住友童話館 内部
光と音楽の演出と動く人形たちとで表現される童話の世界。
そしてそれを一心に見つめる子供たち。
「48年前、私たち兄妹もあの場所に居たのだ」と思うと、なんだか狂おしいほどに切なくなって、そのことを覚えていないことが身悶えするくらい歯痒く感じてしまうトガジンでありました。



12/22(土)
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』🈠
(ホームシアター:Amazon プライム・ビデオ )
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI』
1979年春に放送スタートしたTVアニメ『機動戦士ガンダム』。
(もう40年も経つのですね)
そのキャラクターデザイナーだった安彦良和監督が独自の解釈で漫画化した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の中から、前日譚に当たる部分だけをアニメ化した全6話シリーズの最終回です。
『スター・ウォーズ』シリーズに例えるならオリジナル・シリーズ(Ⅳ~Ⅵ)に対するプリクエル・シリーズ(Ⅰ~Ⅲ)のようなものです。
更に今回の第6話に関しては、エンディング後に『機動戦士ガンダム』第一話「ガンダム大地に立つ」に直接繋がるシーンが続くことから『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と同じ位置づけになっています。

『ガンダム・オリジン』カメラ移動ショット
冒頭からおよそ30分間に渡って繰り広げられる宇宙戦闘シーン(ルウム戦役)は実に見応えがありました。
カメラポジションをぐりぐり移動させて見せる演出を見ていると「ああ、安彦さんは40年前の旧作の頃からこういう画を作りたがっていたのだな」と感じます。
なぜならば、昔安彦さんご自身が監督した『クラッシャー・ジョウ』『アリオン』『ヴィナス戦記』には必ず「背景動画」で描かれたカメラ移動のカットが含まれていたのです。
セルアニメの時代には手描きで表現するしかなかった「回り込み」の表現も、今ならCGで質感を変えることなく表現出来ます。
安彦監督はおよそあ30年ぶりのアニメ制作をさぞかし楽しまれていたことでしょう。

『ガンダム・オリジン⑥』フラウ
また、1970年代後半から'80年代にかけてアニメにどっぷりハマった者としては、安彦良和さんの描くしなやかで表情豊かなキャラクターに懐かしさというか安心感のようなものを感じます。
シリーズ開始当初は「無駄に動かしすぎ」とか「演技がいちいちオーバー」という違和感が否めませんでしたが、それも昔のTVアニメよりも余裕がある時間と予算を「動くアニメ」作りに注ぎ込んでいると思えば・・・これはこれで楽しく見ていられます。

・・・が、しかし。

『ガンダム・オリジン⑥』シャア
やっぱりオリジナルキャストの老齢化には最後まで違和感を拭いきれなかったシリーズでもありました。
シャア役は池田秀一さん以外考えられません。
それは確かにそうなんですけど、今回の『THE ORIGIN』のシャアはどう聴いても20歳そこそこの青年の声ではないのですよ。

『ガンダム・オリジン⑥』アムロ
一方、アムロ役の古谷徹さんは奇跡のように同じ声質を維持しておられます。
しかし、逆にそのせいで絵柄の違いが際立ってしまいました。

だからといってシャアやアムロを他の声優さんに変更されたりしたら、『ガンダム』ビジネスの根底を支えている50歳以上のオールドファン(私もその一人)を全て敵に回すことになってしまいます。
劇場版『機動戦士ガンダム』三部作の音声を5.1チャンネルにリニューアルした際も「脇役の声優さんが違う!」とか「BGMが入るタイミングが違う」とか「効果音が別物」とか文句ばかり言う面倒くさい連中(私もその一人)ですが、そのくらいファースト『ガンダム』に対する思い入れが強い世代が居るのです。。

そもそも論ですが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は今どうしても作らなければならないアニメだったのでしょうか?。

『ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』アムロとララァ
『ファースト・ガンダム』は、作品としての生命力も商品価値も決して衰えていません。
したがって、まだフルリメイク(『THE ORIGIN』全編アニメ化)する必要も感じません。

しかし、現在のデジタル塗色による綺麗なキャラクターや3DCGを利用した滑らかな動きに慣れた今の若い人たちが40年前のTV用セルアニメのクォリティに満足できないこともまた事実。
実際、『ファースト』の画面を一目見ただけで「しょぼい!」と突っぱねてしまう子供も大勢いるのです。

個人的には、'81年から'82年にかけて公開された『機動戦士ガンダム』劇場版三部作のオリジナル音声(モノラルで十分!)をそのまま使い、映像だけを現在の安彦監督の画で全編リライトしたものなら見てみたい気がします。
内容的には何も足さず何も引かず、オリジナルに愛着がある世代は旧作の絵のまま、最近のアニメ技術でなければ物足りない若い人はリライト版を選べばよいのです。
・・・と、こんな企画はどうでしょうか?、サンライズさん(笑)。

今、AMAZONでガンダムオリジン見放題
ところで・・・。
これまでの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は5作ともレンタルDVDで視聴してきたのですが、今回はアマゾン・プライム・ビデオ見放題サービスでの鑑賞となりました。

圧縮映像には不利な森の中のシーンが多い実写映画『アナイアレイション -全滅領域-』では画質にかなりの不満を感じてしまいましたが、この『ガンダム』ではほとんど気になりませんでした。
先週見たNETFLIXの『DEVILMAN Crybaby』といい、アマゾンの『ガンダム』といい、ビットレートをそれほど必要としないアニメはネット配信に向いている媒体なのかも知れません。
NETFLIXがアニメに力を入れている理由の一部が分かった気がしました。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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