週刊映画鑑賞記(2018.12/31~2019.1/6)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品について徒然なるまま書き留めております。
1/2(水)
『ブレードランナー』(劇場公開版)
(ホームシアター:ブルーレイ)

2019年最初にチョイスしたのはこの作品。
理由はもちろん「時代設定が2019年」だからであります(笑)。
相互リンクさせていただいている「へろん&しろのつれづれブログ」のへろんさんが元旦の記事に『ブレードランナー』の事を書いておられて、それを読んでるうちに猛烈に見たくなってしまったのがきっかけです。

『ブレードランナー』には大きく分けて4つのバージョンがありますが、今回あえて一番最初の劇場公開版を選びました。
デッカードのボソボソ声のナレーションが付いていて社長の目が潰れるところは見えないバージョンです。
今見るとやはり解釈が強制されてしまう感がありますが、これはこれで悪くはないですね。

1982年公開のこの映画の中で、2019年のロサンゼルスには酸性雨が降りしきり車が空を飛んでいます。
そして街の広告塔に大々的に映し出されていたのは(実在する)日本企業のCM。
現実では中国企業が強くなってしまって中国語の宣伝がいっぱい溢れているのが日本人として歯痒いところです(笑)。

たとえ現実の時間が映画に追いついてしまっても、たとえ制作当時の未来予測が外れたとしても、優れたイマジネーションによって作られたSF映画は決して輝きを失うことはありません。
そのことはすでに『2001年宇宙の旅』が証明しています。
そして、2019年に観る『ブレードランナー』もまた当時と変わらぬ傑作SF映画のままでした。
『学校の怪談』
(ホームシアター:WOWOW録画)

昨年夏WOWOWで4作一挙放映された時に録画しておいたものの、なかなか見る機会がないまま放置していたものです。
この連休中に4本とも観てしまうことにしました。

私はこの良質なジュブナイルがとても可愛くて、そして切なくて仕方がありません。
なぜならば・・・。
高校3年の夏、私が仲間たちと初めて作った・・・いや、作ろうとしたビデオ映画が
小学生時代に流行っていた都市伝説を元にした学校の怪談ものだったからです。
脚本と監督、そして撮影・編集に加えて出演までした私の処女作(になるはず)でしたが、私の認識不足と軽率な行動のせいで撮影はストップしてしまい結局完成には至りませんでした。
撮影に協力してくれた仲間や従兄妹たちの尽力を全て無駄にしてしまったことを今も悔やみ続けています。
この苦い思い出話は自分史の一部として近日このブログにて書き残すつもりです。
<閑話休題>

映画『学校の怪談』シリーズを見ていると、子役たちの一所懸命な演技が可愛くて仕方がありません。
中には現在も俳優・女優として活躍されてる方もいて公開から何年経っても見返す楽しみがあります。

一作目では、既にこの世の存在ではなくなっている少女に恋してしまった少年があまりにも切な過ぎます。
「苺牛乳とコーヒー牛乳、どっちが好き?」
ああ~っ!。
なんかもう、身悶えするくらい恥ずかしくなりますね~。
自分が小学生の時、好きな子の隣に座ったら絶対こんな事言ってそうです(笑)。
1/3(木)
『学校の怪談2』
(ホームシアター:WOWOW録画)

2作目の公開は前作から一年後でした。
監督:平山秀幸と脚本:奥寺佐渡子のコンビは前作からのスライド登板で、一部のキャストも引き続いて出演(役は別人)しています。
そのためか、1作目の焼き直し感が強くて新鮮味に乏しく「きっとシナリオを練り上げる時間が足りなかったのだろう」と思いながら見てました。
映像面ではCGを大々的に使い始めていますが、今見ると質感がプラスチック的で実在感が皆無です。
その反面、俳優やカメラの前に実物が存在したアナログ特撮シーン(例えばテケテケや巨大昆虫、大時計の化け物など)は子供たちのリアクションが自然で白けることなく見ていられました。

これなんかもCGではなくアナログ特撮で見せたほうが面白かったと思うのですがね。
あと、岸田今日子はそのままでも十分・・・いや、失礼。

見どころは何といっても前田亜希の可愛さ!。
「お相撲さんにサインもらっちゃうぞ!」
???、ワケ分からん。
分からんけど、まだ独身だったこの頃の私は「こんな娘が欲しい」とか思ってました・・・。

なんだかんだ言いながらも、結局ノンストップで最後まで観てしまいました。
しかも、ラストでは涙がポロポロ・・・。
それはガキ大将ツカサが少女時代の姿の祖父母と別れるこのシーンでした。

「ツカサ、あんまり悪さするんじゃないよ。」
「ばあちゃんだろ?、俺のばあちゃんハルエだもん!。」
あかん、もう涙腺決壊・・・。
小さい頃おばあちゃんっ子だった私は、こういうシチュエーションにからきし弱いのであります。
まさか、よりによってこの悪ガキに泣かされるとは思いませんでした。
『デイブレイカー』🈠・・・グロ描写に耐え切れず視聴中止
(ホームシアター:アマゾンプライム)

2019年が舞台となっているSF映画は『ブレードランナー』以外に『アキラ』もあるのですけど、他に何かないかと探してみたところアマゾンプライムでこんなのを見つけました。
吸血鬼が増えすぎて人間が残り僅か僅かになってしまい、バンパイアたちはいわゆる「食糧難」に陥っているというお話。
人間の血液が不足するとバンパイアは理性を失い、コウモリみたいな化け物になってしまう。
主人公は代用となる人工血液の開発に従事しているが失敗続きで前途多難。
そんな中、バンパイアから人間に戻ることが出来たという男に出会い物語は意外な方向へ・・?。
出演は『ガタカ』『プリデスティネーション』のイーサン・ホーク。
『イベント・ホライゾン』『ジュラシック・パーク』のサム・ニール。
そして『スパイダーマン』『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』のウィレム・デフォー。
いずれもSF映画に必要不可欠なセンス・オブ・ワンダーを持ってる人たちです。
しかも、監督は傑作SF『プリデスティネーション』のスピエリッグ兄弟(双子)ではないですか!。
「おっ?、これは面白そうや!」と見始めたのですが・・・スプラッタが苦手な私にはかなり敷居が高かったです。

捕らえた人間を採血機に繋いで保存する人間飼育機。
これもかなり悪趣味な画ですが、これはまだなんとか耐えられました。
・・が。

人工血液の実験に失敗して顔が破裂する被験者とか、元知り合いのコウモリ男を首チョンパするとか流血ドバドバ状態になってくるともう駄目です。
ウィレム・デフォーの秘密が明らかになったあたりで見るのを止めることにしました。
正月早々、血しぶきシーンなんて見るものじゃありません。
それでもこのアイデアは秀逸です。
吸血鬼描写が『トワイライト』シリーズくらいソフトタッチだったなら、私も最後まで見届けられたと思うのですがね。
1/4(金)
『学校の怪談3』
(ホームシアター:WOWOW録画)

『学校の怪談』シリーズ中、この『3』のみ平成ガメラ三部作の金子修介監督作品です。
時期的に考えると平山監督はこの時期『愛を乞うひと』にかかりきりだったはずで、金子監督はそのピンチヒッターだったのかも知れません。

金子監督に代わったことで、本作の音楽も『平成ガメラ』や『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』と同じく大谷幸氏が担当しています。
今にも暗闇からギャオスや兵隊レギオンが襲い掛かって来そうな楽曲で、怪獣映画好きな私としては前2作と違う意味で心躍る作品になっています(笑)。

キャストは前2作にも出演したメンバーの再登板に加えて新メンバーが加わった感じです。
元来子供向けの映画ですから、出演者(特に大人)に馴染みの人がいてくれると安心出来るという判断なのでしょう。

映像面では前作以上にCGの多用が目立ちます。
1987年時点では最高レベルのクォリティだったかも知れませんが、今見るとやはり実写映像とは質感がかけ離れていて不自然極まりありません。
アナログ特撮部分は今でも色褪せないのに、当時最新だったはずのCGが陳腐化して見るとは皮肉な話です。

金子監督作品らしく(?)前田亜希ちゃんが主役級の扱いです。
彼女を可愛く撮る執念が尋常ではなく、アップショットも多くて主人公兄妹たちも霞んでしまいがちです。
公開当時は『ガメラ2-レギオン襲来-』の「ガメラ起きる?」と母親に尋ねる仙台の少女を思い出しながら見ておりました。

あと、'92年の『ゴジラvsモスラ』で小美人(コスモス)を手の平に乗せるという難役を務めていた米澤史織さんが活発なクラスメート役で出演しています。
『学校の怪談』一作目でも最初に旧校舎に迷い込んでしまう主人公の妹役で出てましたが、女の子ってほんの数年で見違えるほど大きくなってしまうものなんですね。
1/5(土)
『学校の怪談4』
(ホームシアター:WOWOW録画)

私はシリーズ中でこの『4』が一番好きなのですが、世間一般ではあまり話題に上らないようです。
前3作とはまるで毛色が違うせいかも知れません。
これまでは「怪談」と称していたもののどちらかと言うとお化け屋敷的なドタバタが中心でしたが、今度は本格的に怪談をやっています。
『ゴジラ』で例えるなら、昭和シリーズの後期やVSシリーズのような怪獣バトルものだと思っていたら、ゴジラ単体で人類と戦う『シン・ゴジラ』だったみたいなものですかね。

今回はテケテケも出てこないし、恐竜の化石が暴れたりもしません。
頼りないながらも助けてくれる大人もいません。
画面もビスタサイズからシネマスコープになって「今度のはお子様ランチじゃないよ」アピールが半端ないです。

しかも、映画の冒頭は津波で小学校ごと4人の子供たちが流されてしまうシーンから始まります。
この津波が来る直前、「ドーン、ドーン、」とゴジラの足音みたいな地響きが聞こえます。
その「何かが来る」不気味さと逃げ場を失った少女の絶望感は、当時劇場で見た子供たちにとってトラウマ級の衝撃だったのではないでしょうか?。
(不謹慎かも知れませんが)2011年3月、私は『学校の怪談4』は永久欠番にされてしまうかも知れないと思ったくらいです。

『学校の怪談4』に親近感を抱くのはこの主人公兄妹のおかげです。
私にも3歳年下の妹がいて、小学校の頃にはこうして並んで歩いたりもしたものでした。
構ってもらいたくてちょっかい出してくる妹を友達の目を気にして邪見に扱ってしまったことまで思い出してしまって、微笑ましいやら気恥ずかしいやら・・・。

この映画で一番ゾッとするシーンがここでした。
一晩行方不明になっていたクラスメートを見舞いに行くと、彼の母親がジュースを人数より一つ多く持ってきてこう言います。
「あら?もう一人の子は?。お人形を持った小さい女の子がいたでしょ。」
昔、仕事仲間と4人でファミレスに入った時、ウェイトレスのお姉ちゃんが水とおしぼりを5人分持ってきて「もうお一人様は?」と聞いてきた時の気味悪さが蘇ってきました。
あの時、彼女の目には5人目の誰かが見えていたのですかね・・・?。

ところで、根岸季衣さんの隣で驚いた表情をしている髪の長い女の子。
どこかで見た子だと思っていたら『仮面ライダークウガ』に出ていた竹島由夏ちゃんでした。
この子が夜の自宅で人形に追い回されるシーンは今見てもかなりの怖さです。
劇場で見た時、幼い子供が親の腕にしがみついて泣き出したことを思い出してしまいました。
映画『学校の怪談』シリーズはまだブルーレイ化されていないため、4作ともBD-Rにダビングして保存版にしました。
出来るものなら新作『学校の怪談5』と更なるシリーズ継続に期待したいところです。
近年『妖怪ウォッチ』が子供たちの間で大ヒットしたように、「ホラー」まで行かない「オカルトもの」は現在も十分需要があると思うのです。
1/6(日)
『シンクロナイズド・モンスター』
(ホームシアター:WOWOW録画)

おっと、私としたことが!。
年の初めに怪獣映画を見ていませんでした。
というわけでチョイスしたのがこの『シンクロナイズド・モンスター』。
カナダとスペインの合作低予算怪獣映画です。
劇場で見たのは一年前(正確には一昨年の大晦日)でしたが、当時の私の感想はあまり芳しいものではありませんでした。
しかし、あの時の私はまだこの映画の本当の楽しみ方に気付いていなかったのです。

その後調べてみたところ、『シンクロナイズド・モンスター』はその制作過程において『ゴジラ』を強烈に意識していたことが分かりました。
企画段階では主人公の動きにシンクロして街を破壊してしまう怪獣のデザインがゴジラそのものであり、しかも出現する都市も他ならぬ東京の予定だったというのです。
それはつまり、脚本も書いたナチョ・ビガロンド監督が自分なりのゴジラ映画を作ろうとしていたことを意味します。
その視点に立って改めて見返してみると、『シンクロナイズド・モンスター』には随所に『ゴジラ』や『シン・ゴジラ』を感じさせるイメージが散りばめられていることに気付きます。
例えば、アン・ハサウェイ演じる主人公の名前がグロリアであることです。
グロリアは日本語で「栄光」を意味します。
1954年の『ゴジラ』で最初にゴジラの被害に遭った船の名前は栄光丸でしたし、『シン・ゴジラ』冒頭で発見された牧吾郎元教授の船名もグローリー丸です。
本作が企画段階でゴジラをイメージしていたことを踏まえて見ると、これらは決して偶然ではないように思えます。
初代『ゴジラ』『シン・ゴジラ』ともに「ゴジラが何故東京に上陸してこのコースを移動するのか?」は明確に描かれていません。
あの「ゴジラ=太平洋戦争戦没者の英霊説」もそこから派生したものですが、『シンクロナイズド・モンスター』を見ているとまるで違った解釈が浮かんで来てしまいます。

実はゴジラもこの世界のどこかで暮らしている普通の人間の行動にシンクロしているだけなのかも知れません。
その人物は自分の行動が東京を破壊しているとは夢にも思わず、酔っぱらってフラフラ徘徊しているだけです。
そしてゴジラが攻撃を受けると、身体中に痛みを感じてゲロ吐いてるだけなのかも知れない・・・と。
『ゴジラ』のイメージをぶち壊しかねないですが、これもまた『シンクロナイズド・モンスター』を見ながら考え付いてしまった解釈の一つです。
今週は丸々正月休みと重なったこともあり、観た映画の数は7本!。
いや、『デイブレイカー』は途中で見るのを止めたから6・5本ですね(笑)。
何にしても、一週間ゆっくり出来ていい正月休みになりました。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。