週刊映画鑑賞記(2019.2/4~2019.2/10)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品についてとりとめもなく書き綴っております。
2/4(月)
『ダーククリスタル』
(ホームシアター:ブルーレイ)

『ダーク・クリスタル』は私の最も好きな映画の一つです。
当然ながら旧版のブルーレイも発売と同時に買っていますが、今回勢いで4K-UHBブルーレイも買ってしまいました。
「私もこの映画大好き!」と言っていた嫁さえも「同じもの2枚も3枚も買うことないでしょ!と呆れ顔であります(笑)。
しかも、我が家にはまだ4Kテレビがありませんから4K-UHD盤のほうは完全に宝の持ち腐れ状態です。
しかし、当面のお目当ては同梱されている通常盤BDのほうです。
4Kリマスター処理により相当な高画質化が施されていると聞き及んだためどうしても欲しくなってしまいました。

あああ、何回見ても溜め息が出てしまいますねえ。
なんて心豊かな映画なんだろう。
人間が一人も登場しない実写ファンタジー映画。
キャラクターは全てマペット、今でいうところのアニマトロクスです。(遠景で一部スーツアクターを使ったカットもありますが)
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のヨーダの技法で全編作られていると思えばいいでしょう。
現在のCG映画に慣れた目でみれば随所に粗が目立つことでしょう。
「セリフを喋っているのに口が動いていない」だの「フィズギグがあからさまにギニョールやんけ」だのと、ドヤ顔でほざく若造のなんと多いことか・・・
そんなこと百も承知で好きなんだよっ
この映画の場合、カメラの前にジェンやキーラが確かに存在して演技していたという事実こそが大事なのです。
画面の端っこに映ってるどんなに小さなキャラでさえ必ず一人以上のスタッフの手で動かしているのですよ。
人が演じる実写映画では現実世界の空気が入り込んで嘘臭くなるばかりですし、コマ撮りアニメーションで細部まで動かすにも限度があります。
もちろん当時(1983年)はCGなんてありませんし、仮にあったとしてもCGでこの味わいは絶対に出せません。
なんとかもう一度映画館の大スクリーンで見たいなあ。
NETFLIXで前日譚が作られることですし、今年の「午前10時の映画祭」あたりでやってくれないかなあ。

ところで・・・。
新BDと旧BDとでは一部のシーンで大きく変化した部分がいくつかありました。

特に「意図して変えている」とはっきり分かるのは、スケクシス族とミスティック族が合体して元のウルスケク族に戻ってからのシーンです。
↑の画像のように旧版のブルーレイでは普通の明るさで撮られていますが・・・。

今回の4Kリマスター版では神々しい光に満ち溢れた明るい画面になっていました。
これくらいまばゆい光に包まれれば、殺されたキーラが生き返るという”奇跡”も素直に感動出来るというものです。
私が劇場で観た時もどちらかといえばリマスター版のように明るい場面だったように思うのですが、それはもしかすると私の記憶補正によるものかも知れません。
9年前に発売された旧盤はオリジナルフィルムそのままであり、リマスター版は最新技術を駆使して故意に眩い光を強調した可能性もあります。
見ていて好ましいのは今回のリマスター版ですが、オリジナルという点を考えると旧バージョンも手放せません。

嬉しかったのが、リマスター処理においても特撮のアラを一切デジタル消去していないことでした。
例えばキーラとジェンがスタニー・テイマーに乗って森を駆け抜けるこのシーン。
旧(2K)版と同じく、今回のリマスター版でも激しく揺れるスタニー・テイマーからキャラクターが落ちないよう取り付けられたピアノ線を消さずにそのまま残してくれています。
(サムネイルでは分かりづらいかも知れません。クリックすると拡大画像が見られます)
実はニュー・バージョンを買うにあたり、この点が一番気がかりだったのです。
日本の特撮映画の老舗である東宝は、自社の特撮映画をブルーレイ化する際に怪獣や飛行機などを吊るしたピアノ線(=手作りの味)をご丁寧にもデジタル処理で消し去ってしまいました。
今の東宝の人たちは昔のアナログ特撮でピアノ線や合成の粗が出ているのを「恥」だと感じているのでしょうか?。
円谷英二監督の末裔であるはずの人たちが無理解にもほどがあります(怒)。
アレに比べれば『ダーククリスタル』リマスタースタッフは「ちゃんと分かってる」ということになりますね。
東宝には、いつか自社の特撮映画を4K化する時には「何がオリジナルか?」を考えて商品化していただきたいものです。

ところで、我が家にある4K-UHDブルーレイも『シン・ゴジラ』『2001年宇宙の旅』に続きこれで3枚目となりました。
そろそろ本気で4K再生環境の構築を考える時が来たようです。
2/5(火)
『ダウンサイズ』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

人口が増えすぎた地球での社会問題を解決すべく、人体を13cmに改造することにした夫婦を描く異色のSF映画。
おおっ!?。

それって、『ウルトラQ』の「1/8計画」そのものじゃないですか!。
昨年春に劇場公開されていたそうですが、不覚にも私はこの作品のことを知らずに見逃しておりました。
今朝WOWOWでオンエアされたものをワクワクしながら見始めたのです。
・・・が、しかし。

う~~~む。
人間が13分の1に縮小されるというSF設定部分、つまりこの映画の肝であるセンス・オブ・ワンダーな部分がまるで描けていないのが残念です。

例えば、この場面は元のサイズの時(縮小前)のシーン。
当たり前ですが、背景の建物もエキストラたちも普通に映っています。

で、こちらが身長13センチに縮小された後のシーンですが、見た目の印象が通常サイズ時の画と全く変わりありません。
背景のオブジェも友人が持っているビール瓶も通常サイズ時と同じものが映っています。
つまり、「ミニチュアサイズに入り込んだ世界」であることが映像から全く伝わってこないのです。

設定では縮小出来るのは生物だけで金属などは縮小出来ないことになっていたはずです。
縮小される前に金歯などを抜くシーンがあって、これを忘れたために顔が破裂して死んだ者もいたというセリフもありましたから。
ならばビールのラベルをもっと大雑把なデザインにするなどして「まだ細かい印刷は出来ないみたいだ」とか言わせれば、これが縮小世界の風景であると少しは認識出来るのですがね。

身長13センチの人間から普通の人を見た場合、身長およそ25メートルの巨人に見えるはずです。
この映画にはそうした小人化したマット・ディモンが通常の人間を見上げるというような画が全く無いのですよ。
たとえば、(小さくなった)マット・ディモンの目の前に縮小にビビって逃げ出した奥さんが普通サイズのまま現れるとか考えつかなかったのでしょうか?。

この映画、ひたすら監督や脚本化のSFセンスの無さばかりが目立つ作品で残念極まりないです。

逆に、『ウルトラQ』の金城哲夫さんの脚本の素晴らしさと円谷一監督のSFセンスの良さを再確認する結果となりました。
この感じ方は絶対に日本人としての贔屓目だけではないと思います。
2/9(土)
『トクサツガガガ』(第4話)🈠
(37インチ液晶テレビ:NHK総合録画)

これまで「週刊映画鑑賞記」で毎週TVドラマの感想記事を律儀に書くなどということはしてきませんでしたが、この『トクサツガガガ』だけは別です。
毎回必ず一つは私自身も思い当たるシチュエーションがありますし、何より妻とTVの前に並んで一緒に見ていられる貴重な番組なのですから。

妻は『トクサツガガガ』の中では北代さんに自分を投影しているみたいです。
彼女は小学生の頃から『キャプテンハーロック』や『あしたのジョー2』など男の子向けアニメばかりに夢中になっていたそうですが、中学の時にそのことを友達にバカにされたことからずっと隠れアニメファンになったとのことでした。

前回までは「こういうのってあるある~」とか「それ分かる~」とか色々と喋りながら見てましたが、今回に限っては彼女はず~っと無言のままドラマに見入っておりました。
おそらく北代さんがアイドルオタクであることを同僚に知られて陰口を叩かれるシーンに思い当たるフシがあったのでしょう。

ドラマでは仲村さんや吉田さんの計らいで北代さんとケンカ別れしたドルオタ仲間とが仲直りして終わります。
「現実でもこれくらいうまくいけばいいけどね~。」
・・・と、妻が笑いながらそう申しておりました。

今回、最後に美味しいところを持って行った感がある任侠さん。
実は、今回私が身につまされたのは彼の姿でありました(笑)。
そうかあ~。
いかついオッサンが可愛らしい歌を歌い踊ると傍目からはこんな風に見えるのか。
私もカラオケで盛り上がってくると昔大ファンだったプリプリの「ダイアモンド」とかを熱唱してしまうのですがね。
自重しよう・・・。

あと、「あれ?」と思ったのがこのドラマの舞台についてです。
第2回で仲村さんと吉田さんが見に行ったヒーローショーの会場は、明らかに名古屋市のテレビ塔前にあるオアシス21でした。
しかも、『トクサツガガガ』はNHK名古屋の制作で、そのNHK名古屋局はこのオアシス21のすぐ近くにあるのです。
そのため、私はこのドラマの舞台は名古屋だと思い込んでおりました。

ところがこのカットを見ると、仲村さんや北代さんが勤めている会社は東京にあることになります。
どうやら第2話では名古屋のオアシス21を東京のイベント会場に見立てて撮影しただけだったようです。
だったらわざわざテレビ塔を映さなければいいのに・・・。
紛らわしいことしてんじゃねーよ!
でも、まっいいか。
『トクサツガガガ』だから(笑)。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。