週刊映画鑑賞記(2019.3/4~2019.3/10)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について思いつくまま気の向くままつらつらと書き留めることにしております。

今年も確定申告の季節がやって来てしまいました。
いや、先月からとっくに始まっておりましたが(笑)、例年通り〆切ギリギリまで粘った(放置した)ために現在こうしてヒーヒー言いながら領収書やレシートと格闘中なのであります。
しかも、すでに春の繁忙期に突入していることもあって作業に使える時間は夜帰宅して寝るまでの数時間のみ。
そんなこんなで今週はじっくり映画に向き合う時間があまり取れませんでした。
見たのは以下の2本だけであります。
(って、結局見たんかい!)
3/6(水)
『モスラ対ゴジラ』(東宝チャンピオンまつり版)
(ホームシアター:日本映画専門チャンネル録画)

この春、日本映画専門チャンネル(以下「日専」)が打ち出してきた特撮特集<『東宝チャンピオンまつり版ゴジラシリーズ7作品一挙放映&オリジナル版>の第一弾『モスラ対ゴジラ』であります。
確定申告の〆切が迫っていようともこれだけは絶対見逃すわけにはいきません(笑)。
ぶっちゃけ、これが5月に公開される『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』に向けての先鋒・露払いプログラムであることくらい承知しております。
しかし!。
幼い頃、『ゴジラ対ヘドラ』(’71夏)で映画の洗礼を受け、毎年春・夏・冬の休みには「東宝チャンピオンまつり」に連れて行ってもらえるのを楽しみにしていた私としては、たとえ便乗商法であろうとこれらの懐かしい旧作を見られることのほうが嬉しくて仕方がないのであります。
ちなみに今回放送された東宝チャンピオンまつり版『モスラ対ゴジラ』は【東宝チャンピオンまつり1970年冬期】バージョンです。

1980年春『ドラえもん のび太の恐竜』と同時上映された冒頭2分ほどのアバンタイトルとタリスマン(『ウルトラマン80』主題歌でお馴染み?)によるイメージソングが付け加えられた松本零士監修版(↑)ではありません。
私は高校生の時に松本零士監修版を劇場で見ていてそれが『モスラ対ゴジラ』初体験だったのですが、正規(?)の短縮バージョンを見るのは今回が初めてです。

余談ですが、「’80松本零士監修バージョン」は市販DVDとブルーレイに特典映像の一つとして収録されています。
レンタルDVDにも同じものが収録されていますから、タリスマンのイメージソング「ゴジラ」を聴きたい方は是非どうぞ(笑)。
ちなみにこの歌は劇中では使われておらず、本編終了後に黒味画面に曲だけが流れます。
私が見に行った映画館では照明が付いて『ドラえもん』との間の休憩時間に館内BGMみたいな感じで流れていました。

今回の放送で私が密かに、そして大きな期待を寄せていたのは”画質”であります。
日本映画専門チャンネルが昨年春に放映した【東宝特撮王国(デジタルリマスター版)】は非常に丁寧なレストア(修復)を施してくれていて、ライセンスホルダー(東宝)が出したブルーレイ以上の高画質に仕上がっていたくらいでした。
今回の企画では特に「リマスター」を謳ってはいませんが、ここ数年旧作の4Kリマスター化やデジタルレストアを推し進めてきた同局が素材そのままで放送するわけはないはずだと踏んでいたのです。

私の予想が正しかったことは、冒頭の台風シーンを一目見ただけで分かりました。
VHSビデオ・LD・DVD、そしてハイビジョンのブルーレイ・WOWOW放送などこれまで見たどのバージョンより暗部諧調が深く豊かになっていて、それでいて紅白の幕や原色の旗がどれも鮮やかです。

解像度も明らかに向上しています。
例えば地中から出現したゴジラがぶるっと身体を震わせて土を払い落すこの名シーン。
ゴジラの表皮の凸凹や落ちる土砂がくっきり見えて、全体に立体感が増しています。

一方こちらは9年前に東宝から発売されたブルーレイの同じフレームですが、今回の日専版と比べるとややのっぺりとした印象で色調もやや赤味が強いようです。

人肌については女優さんのアップショットで見てみましょう。
モデルとして昨年お亡くなりになった星由里子さんのご尊顔を拝借します。
見た目はもちろん、その佇まいも細かな仕草もよく通るきれいな声も、その全てが魅力的な女優さんでした・・・。
↑の画像は市販ブルーレイのものですが、これだけを見るなら特に不満は感じません。
強いて言うなら色合いが少々黄色っぽく、肌の表面ものっぺりして見えるためやや厚化粧気味に見えなくもありません。

こちらが先日の日専版から同じフレームを切り出した画像。
頬に赤味が加わって血色がよく見えます。
さらにベールを1~2枚取り払ったかのように解像度が上がって見えますが、それでいてお肌が荒れて見えることはありません。
元の良さがそのまま画面に表れている印象です。
同じ理由で背景の樹木も色鮮やかに生茂っていて、奥行きや立体感も増して見えます。

ついでに・・・と言ってはなんですが(笑)、こちらは4年前WOWOWでシリーズ一緒放送された時の『モスラ対ゴジラ』。
今回の日専版やブルーレイと比べると色合い・解像感・ノイズなど全てにおいて明らかに劣っています。
実はこれまでWOWOW版はブルーレイと同じマスターだと思い込んでいたものですからこの結果はかなりショックでした。
WOWOW版は全部BD-Rに焼いて(それも一枚につき一作品づつ!)大事に保存してきたのに・・・_| ̄|○。

分かり易くするために比較画像を作ってみました。
向かって左から高画質順に並べています。
こうして見るとWOWOW版の粗さが目立ちます。
フレームサイズも上下が若干切れていてマスターそのものが全く別物であることが伺えます。
さらに驚くべきなのは、WOWOWとブルーレイは1920x1080のフルHDフォーマットであるのに対し、日本映画専門チャンネルは1440x1080のハーフHDフォーマット(再生時にフルHDに変換)であるということです。
当然ビットレートはWOWOWより少なめですし、ましてや市販ブルーレイが相手だと比較にもならない数値です。
それでも3者の中で最も高品質な映像を見せてくれているわけですから、大切なのは元となるマスターの画質であることが分かります。

こうなってくると、来週放送の『怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ』も再来週の『モスラ対ゴジラ(全長版)』も俄然楽しみになってきました。
昨年、日本映画専門チャンネルが「特撮王国」を中断したのにずいぶん落胆したものですが、この準備のためだったのであれば納得です。
いつかは『ゴジラ』シリーズ全作品も含めた「特撮王国」復活を熱望しております。

今回のレストアで唯一残念だったのは、フィルムの編集点で下部に見えるつなぎ目の痕跡が目立ったことです。
場面によってはカット毎にスパッスパッと現れて鑑賞するうえでのノイズになっていました。
これも「特撮王国」の時のようにレストアで消去するか、それが難しければせめて下部をトリミングして隠すかして欲しかったです。

最後になりましたが、短縮版としての内容について一言。
オリジナル版よりテンポが早くなっていて見易くなっていたと思います。
ただ、オリジナルにあった「核実験の影響によるインファント島の惨状」のシーンをカットしたのはいかがなものでしょうか?。
このシーンが無いと、島民たちがゴジラ対策への協力を断る理由が「モスラの卵を返さないから」という事だけになりかねず、初めてこの作品を見る子供たちが「インファント島の人は心が狭い」と誤った解釈をされてしまう可能性もあります。
陰鬱で悲惨な場面だからカットしたのかとも思いましたが、 虎畑が熊山を射ち殺すシーンとその後の血まみれ死体はしっかり残っていたりして倫理的な面でちぐはぐな気がします。
・・・といっても、『モスラ対ゴジラ』の再編集が行われたのは今から50年近く前のことなので今更言っても仕方ないことなのですがね(笑)。
3/9(土)
『太陽の塔』🈠
(劇場:メトロ劇場)

昨日(土曜)は仕事が午前中で終わり(その代わり朝は4時から)だったので、空いた午後は映画を見て帰ることにしました。
チョイスしたのはドキュメンタリー映画『太陽の塔』。
昨年秋に公開されたとき、ちょうど太陽の塔(実物)の内部公開を見に行きたがっていた時期でもあったためかなり気になっていた作品です。
しかし、福井では当時上映館が無く金沢まで足を運ぶ必要があったうえ、国体の仕事で連日早朝から深夜まで忙殺されていたこともあって結局見るチャンスを逸していた作品です。

上映館は福井メトロ劇場。
県内の映画マニアが集う名画座であり、時にはインディーズ作品や一般の自主制作映画も上映することもある福井では貴重な映画館です。

『太陽の塔』は昨年秋から見たいと思っていた作品ではありますが、実は少し(いや、かなり)気になる点がありました。

予告編やHPで必ず目にするこのキービジュアルです。
数百年、あるいは数千年先の未来か?。
荒地となった大阪緑地公園跡に今と変わらぬ姿のまま佇む太陽の塔。
そして、それを見上げる謎の少女。
まるでSF映画みたいなイメージです。
「え・・・この映画って、ドキュメンタリーじゃないの?」

ドキュメンタリーです。
太陽の塔をデザインし、内部の展示(生命の樹など)の企画プロデュースも手掛けた岡本太郎。
彼の真意を探るべく、芸術家・建築家・学者・宗教家・イベントプロデューサー・ダンサーなどが自分の考えをインタビューを通じて語っていくという内容です。
その年齢や立場も、当時建造に関わった関係者から万博後に生まれた若い世代にまで至っており、多角的に岡本太郎と太陽の塔を捉えようとしている作品でした。
誰だったかは覚えていませんが、インタビューに答えていた一人が「これから何百年も先、今の人間文明が喪われた跡にあれ(太陽の塔)が立っていたとしても、その時代の人たちは我々と同じ畏怖の念を抱くだろう。」といった事を話していました。
あのイメージ映像はこの情景を映像化したもののようです。

実は私、昨年12月20日に太陽の塔内部見学に参加してきたばかりです。
その時、日常的空間である公園の各所から遠くにぬっとそびえ立つ太陽の塔を見ていと、それがまるで現実世界に出現した怪獣であるかのような非現実感を覚えたものでした。
だからあの未来世界をイメージしたキービジュアルに関してはなんとなく理解出来ます。
ただ、あのイメージを前面に押し出すのはこの映画にとってマイナスでしかないような・・・?。

あと、中盤ひたすらインタビュー(一人喋り)が延々続くばかりだったのは早朝仕事明けのこの身体には堪えました。
しかもその内容のほとんどがこれまでも書籍やテレビ番組などで見聞きしたことのある話ばかりだった事にも閉口しました。
内容もメリハリも全然無くて、(映画の感想としてあまり言いたくない言葉ですが)退屈でした。
これだったら太陽の塔内部公開の前にNHKが作ったドキュメンタリー番組のほうがよっぽど面白いかったし岡本太郎本人についての掘り下げも深かったです。

とうとう終盤近くではウトウトしてしまって話を聞きそびれた部分が何ヶ所かありました。
いや、寝てしまったのは自業自得で仕方ないですが、イビキをかいたり寝言を言ったりしなかったかどうか心配です。
私の他にも7~8人観客がいましたから・・・。
言い訳ですが、鑑賞中に眠くなった理由は映画の単調さと早起きだけのせいではありません。
この劇場内が実になんとも暖かくて寝心地が良いのであります。

メトロ劇場の暖房はご覧の通りなんとストーブ!。
この灯油の匂いもまた私を心地よい眠りに誘ってくれました(笑)。

う~ん、今回はちょっと失敗したかな?。
でも、半年前から気になっていたこの映画がどんなものかをこの目で確かめられたのでそれで良しとしておきます。
このメトロ劇場、今月末には『ロボコップ』(ポール・バーホーベン監督)のディレクターズカット版の上映があるとかで、時間が取れたら観に行こうかな。
でも、歳を取ったこととバイオレンス嫌いな嫁の影響もあってか、最近はバーホーベン監督が好むような残虐描写(人体破壊など)に拒絶反応を示すようになってきているんですよね。
30年前は全然平気・・・いや、むしろ好きだったくらいなのですがね。
【おまけ】

先週まで毎回欠かさず見ていたドラマ『トクサツガガガ』。
金曜日を過ぎた今、ようやく私にも『ガガガ』ロスが訪れた気がします。
こんな虚しい気分は何年ぶりだろう・・・。
本当に続編作ってもらいたいなあ。
今週も与太話にお付き合いいただきありがとうございました。