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ホームシアターこだわり編【リッピングのススメ】

ピックアップ

トガジンです。

ここ数年間、ずっと考えていたことがあります。

あらゆる光ディスクは、直接プレーヤーで再生するよりPCに非圧縮でリッピングしたデータを再生するほうが音質・画質とも良いのではないか?。

著作権法に抵触しかねない話題ではありますが、今回はリッピングに関するお話です。


【不信】

1982年秋、ソニーやDENONやマランツなどからCDプレーヤー初号機が発売されました。
CDP-101.jpg
SONY/CDP-101  168.000円(当時)

当時の各オーディオ雑誌には、その仕組みについての解説や開発者インタビューが数多く掲載されていました。
当時高校生だった私には10万円以上もする最新フォーマット機種など買えるはずもありませんでしたが、興味だけはあったのでそういった雑誌を立ち読みしては知識を蓄えていたものです。

それらの中に30年以上経った今でも頭の片隅にこびり付いている記事がありました。
雑誌名は覚えていませんが、読者か編集者の疑問に開発者が答えていくといった形式の記事で以下のような内容のものでした。

「高速で回転するディスクから、トラックピッチ1.6μm(0.00016mm)という微小な信号を読み取る時にエラーを起こすことは無いのか?」

それに対して開発者が苦労話を交えながら解説を始めます。

「開発当初はどうやっても読み取りエラーによるノイズや音飛びが発生していた」
「状態の良いディスクならまだしも、偏心や反りのあるディスクではエラーが多発する」
「しかし、どんなCDであっても安心して聞いてもらえる商品にしなければならない」

デジタル信号は全て0と1であり、正しく読み取れなければ信号が欠落してしまってノイズや音飛びになることをこの時知りました。
しかし問題はこのあとの発言です。

「それを解決するために、強力なエラー訂正機能を開発した」
「オーディオデータをアナログのような連続性を持たせず分散して配置することでエラーのダメージを軽減する」
「さらにオーディオデータに加えて訂正用データ(記録内容の仕様書のようなもの)も同時に記録して補正の正確化を図る」
「それでもダメなら前後のデータをコピーするなどして補完する」

・・・え?。
それってつまり、ディスクからの100%読み取りは諦めたってこと?。
読めなかったデータを補正することがまず基本?
そしてどうしてもダメなときは他のデータで適当に埋め合わせをしている?。

こう解釈してしまった当時高校生の私は、CDというものに対して深い不信感を抱いてしまったのであります。

現にその後、CDの音には不満の声が数多く聞かれるようになります。
「音が固い」
「アナログに比べて細かな音が聞こえてこない」
「20kHz以上をカットして捨てているから音に余韻がない」
等々。

半分はアナログ・レコード愛好者による中傷だったかもしれません。
でも、実際に聞き比べたうえで意見を述べた人もいたはずです。


【体験】

CLD-7.jpg
雑誌の立ち読みだけでネガティブ・イメージを持ってしまった私がCD再生環境を手に入れたのは1986年のことでした。
パイオニアのCLD-7です。
大阪で大学生になっていた私が、2台目のLDプレーヤーとして購入したLD/CDコンパチブルプレーヤーです。
以前使っていたLD-5000が画質面で満足できなくなってきたのと、デジタル音声への対応に興味がありこれを選択しました。

とはいえ、CLD-7のCD再生部分はおまけとしか考えていませんでした。
高校時代からCDに対しては疑問を持っていたので、そもそもCDを買うこともありません。
今と違ってレンタルもありませんので、たまに友達に借りたCDをカセットテープに録音する程度にしか使っていませんでした。

実は、この時以降も私は単体のCDプレーヤーは持ったことがありません。
LDとのコンパチ機やゲーム機やDVDプレーヤーの下位互換機能のみです。


【転機】

iPodとカーCD
時間を一気に飛び越えて、2011年の話になります。
もっぱら映像メディアばかりを追いかけてきた私ですが、CDを全く聴かないわけではありません。
車で長距離を走るときには、やはりラジオだけでなく借りてきたCDを聴くことのほうが多いです。

しかし、車中でCDを操作したり頻繁に入れ替えるのは面倒ですし運転中だと危険でもあります。
「何かないか」と思っていたら職場の後輩がiPodのことを教えてくれました。
(というよりiPodも知らないんですか?と言われてしまった・・・)
PCでiTunesにリッピングしてiPodに同期させて持ち歩く。
なるほど、これでプレイリストに好きな曲を集めておけばいちいち操作しなくても車中で聞き続けられます。

この時、iTunesにCDを取り込む際に「エラー補正有り」「非圧縮のWAV」に設定したのですが後でそれが功を奏します。
(WAVはジャケットアートの貼り付けが出来なかったため初回以降はAIFFかApple ロスレスを使用しています)
そのiPodを持って琵琶湖半周ドライブに出かけました。

その時に今まで聴いていたCDの音との劇的な違いに気付きました。
聞き慣れた音楽の全てが、iPodで聴く方が大幅に音質が良いのです。
あまりこだわって音楽鑑賞することが無かった私の駄耳でもそれがハッキリ分かりました。

CD23-1.jpg
この頃は、ファンだったキャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんがお亡くなりになったことで、キャンディーズのCDを頻繁に聴いていました。
キャンディーズは伊藤蘭さん(ランちゃん)がメインボーカルで、他の二人がバックコーラスに回ったり3人一緒に歌ったりしています。

ランちゃんのボーカルは変わりないのですが、バックで歌っているスーちゃんとミキちゃんの歌声がそれぞれ判別できます。
3人一緒の時も、一人一人の声の違いが聞き分けられるようになっていました。
他にも、ABBA(2番目のBは逆向き)の男女混声ハーモニーも、エンヤの幾重にも重なり合うシンセの響きもそれまでに聴いたことがないほどのきめ細かさで楽しむことが出来ました。
「iPodすげぇ!」

【考察】

しかし、落ち着いて考えてみるとこれは当然のことでした。
そして高校時代からくすぶっていたCD再生の問題点を解決する唯一の方法でもありました。

iTunesに限らず、PCにデータを取り込むときにはディスクの中身を100%読み込まねばなりません。
たとえばソフトウェアをインストールする場合に、読み込みエラーで欠落や間違いがあるまま進行することは許されません。
もしそのままでは、そのソフトにはバグが生じてしまいます。
ですからPCの光学ドライブは、エラーがあった箇所は何度も何度も繰り返し読み取って100%を目指しているのです。
読み込み中に時々回転倍率が下がることがあるのはそのためでしょう。

こうやってPCに取り込んだCDの音楽データは、元ディスクの中身と100%同じもの(非圧縮の場合)ということになります。
それに対して、リアルタイムにディスクを追っかけ再生しなければならないCDプレーヤーでは、エラー補正が頻繁に行われてしまう影響で音質に狂いが生じてしまうのだと思います。


【応用】

このことはDVDやBlu-rayについても同様のことが考えられます。
(映像メディアのリッピングについては2012年以降は違法になっていますので詳しい説明は省きます)

音楽CDと同様に、プレーヤーでの再生ではディスクに収められた映像・音声データを100%読めているとは限りません。
私は、MKVなどのコンテナフォーマットで映像、音声、字幕データを抽出して、然るべき再生機で視聴するのが最も好ましいと考えています。
(DVDの場合は、再生機器側のハイビジョンへのアップコンバート性能が重要になるため一概には言えない部分もあります)

DUNE HD
その再生用には、私はDUNE HD Smart H1というネットワークメディア・プレーヤ―を愛用しています。
近年では、OPPOのBDプレーヤー:BDP-103JPなどがPSG字幕も含めたMKV再生に対応しています。
有名メーカー製のプレーヤーが続々とファイル再生機能を充実させてきている現実が、ディスク再生にこだわることへの限界をハッキリ示しています。


以上、素人考えで細かな理屈はどうかわかりませんが、総じて間違いではないと思っております。
少なくとも、音源を同じくするCD再生とiPod(非圧縮)の音質差は確かに存在しました。
是非、(自己責任において)お試しください。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。
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