週刊映画鑑賞記(2019.6/17~2019.6/23)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
6/17(月)
『電送人間』
(居間37インチ液晶テレビ:日本映画専門チャンネル録画)

『電送人間』は『美女と液体人間』『ガス人間第一号』と並ぶ「変身人間三部作」の一本です。
ちなみに私は「水・電気・ガスのライフライン三部作」と呼んでおりました(笑)。

私が中丸忠雄さんと聞いてまず思い浮かぶのは『日本のいちばん長い日』の冷徹な椎崎中佐役とこの須藤兵長役です。
口角を少し上げただけの薄笑い表情で高笑いするその姿はすでに人間ではありません。
私はこれ以上の適役はいないとさえ思っているのですが、この時中丸さんご自身は「とんでもないお化け映画に出てしまった」「俺はこんなのをやるために役者になったんじゃない」と思ってその後は『日本沈没』に出るまで特撮映画への出演を断るようになってしまったそうです。
ちなみにその断った特撮作品というのが次作『ガス人間第一号』。
『ガス人間~』は土屋嘉男さんの名演が心に残る傑作ですが、中丸さんのガス人間も見てみたかった気がします。

『地球防衛軍』の入浴シーンに『美女と液体人間』と『妖星ゴラス』の着替えシーン・・・。
特撮作品に出る時は何故か必ずお召し物を脱いでいる白川由美さんですが、『電送人間』でもしっかりパジャマに着替えるシーンがありました。
このシーン、絶対必要ないと思うのですがね(笑)。

主演は大スター:鶴田浩二。
福田純監督とは助監督時代から親交があったことから本作へ出演することになったそうですが、この作品の公開後すぐ東映に移籍したため特撮映画への主演はこれ一本のみとなってしまいました。

鶴田浩二主演作ということで東宝特撮としてはやや趣きが異なる作品ですが、平田昭彦さん(芹沢博士)や土屋嘉男さん(ガス人間)といったお馴染みの顔ぶれが登場するとなんだかホッとします。
私にとって東宝特撮映画というのはこうした顔馴染みの役者さんたちによる「東宝一座」の出し物の一つでもあるのです。

私が『電送人間』を初めて観たのはレンタルビデオでした。
'87年春の大学を卒業する頃だったと思います。
その同じ時期に劇場で上映されていたのが・・・

これと

これでした。
どちらも「転送装置」が登場するハリウッド製SF大作です(笑)。
このタイミングで『電送人間』をビデオリリースとは東宝も商売上手ですねえ。

電送途中で装置を破壊されたため、量子分解されてしまう『電送人間』と・・・

電送装置内に異物(蠅)が混入して遺伝子合成されてしまう『ザ・フライ』。
私は空間転送に失敗する2本の映画を立て続けに観てしまったわけで、そのインパクトには絶大なものがありました。

おかげで私は『スタートレック』の転送シーンを安心して見られなくなってしまったのであります(笑)。
幸い『4』は転送シーンは少なかったからよかったものの、3人も4人も一緒に転送したりなんかしたら大変なことになるんじゃないかと・・・。
もっとも、『スタートレック』は『電送人間』と『ザ・フライ』に比べて遥か遠い未来の物語ですから、転送の安全対策も万全化されているのでしょうけど・・・。
あと、初見以来32年間ずっと気になっていたこと少々・・・。
『ザ・フライ』が公開された1987年3月、テレビでオリジナル版『蠅人間の恐怖』が放送されました。
『蝿男の恐怖』は1958年(日本未公開)製作作品。
そいて『電送人間』は1960年4月の公開です。
『電送人間』が同じアイデアを有する『蝿男の恐怖』の2年後というのは単なる偶然でしょうか?。

『電送人間』は10年前にも日本映画専門チャンネル「東宝特撮王国」で放映されています。
昨年放送された『美女と液体人間』と『ガス人間第一号』は目の醒めるような高画質バージョンだったことから「『電送人間』ももしかしたら?」と思って5年前の録画ディスクを引っ張り出して画質の比較をしてみました。
・・・が。
残念ながら以前のものと同じマスターだったようです。
今回の放送は「特撮王国」としてのものではなく、単に鶴田浩二特集の中の一本に過ぎなかったのでしょう。
週の後半は仕事が忙しくなったうえに、木曜の大雨に当たったことと金曜の真夏日のせいで体調を崩してしまいました。
そのため映画を観たのは『電送人間』一本のみ。
『メン・イン・ブラック』や『ダーク・フェニックス』、午前十時の映画祭の『八甲田山』に4回目の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にも行きたかったのですがね。
来週は少し休みが増える(予定)なので、これらの映画を観に行きたいところです。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。