週刊映画鑑賞記(2019.6/24~2019.6/30)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
6/24(月)
『八甲田山』
(劇場:イオンシネマ金沢フォーラス)

「午前10時の映画祭」の『八甲田山』。
撮影監督:木村大作氏監修による4Kリマスター版です。
私が初めて『八甲田山』を観たのは高3の時のテレビ放映でした。
確か水曜ロードショーだったと思いますが、放送枠を3時間半に延長してのノーカット放送(多分)でした。
この年(’82年)の秋は日本映画の大作・名作が立て続けに放送されていて、この少し前には黒澤明監督の『七人の侍』がノーカット放送されていました。
その『七人の侍』と『八甲田山』は父と二人テレビの前に並んで観たのですが、実は私が生前の父と一緒に観た映画はこの2作品だけでした。
父は『七人の侍』は高校生の頃映画館で観たそうですが『八甲田山』はこの時が初めてだったそうで、CMに入る度に「ああ、あの上官同士の口約束のせいで現場は大変な目に遭う羽目になるんだな。」などと設定を反芻しておりました。
それは当時中間管理職だった父にはとてもよく分かる話だったに違いありません。
私は今でも児島大佐(演:丹波哲郎)と津村中佐(演:小林桂樹)が口約束を交わす場面を見るたびあの時の父の呟きを思い出します。

『八甲田山』は昨年暮れにも日本映画専門チャンネルで観たばかりですが、映画館で鑑賞出来るのはこれが最初で最後のチャンスと思い、お隣石川県のイオンシネマへ足を運びました。

37年前のアナログTV放送、レンタルビデオ、WOWOWと日本映画専門チャンネル(旧画質版と4Kリマスター版)のハイビジョン放送を経て6回目の鑑賞です。

冒頭の会議シーンでは4Kリマスターのおかげで今まで見えなかったものが見えました。
黒い軍服の刺繍、照明さんが意識して光を当てているのがはっきり分かります。

刺繍が見えたからどうということではないのですが(笑)、これはつまり後半部の猛吹雪や夜のシーンで人の顔が判別し易くなっていることにも繋がります。
4kリマスターの威力もさることながら劇場の大画面で見てこそ伝わってくるデティールというものがあるのです。

逆に劇場の大画面で見ることで違和感を感じた部分もありました。
終盤近く、賽の河原で徳島大尉(演:高倉健)が神田大尉(演:北大路欣也)の遺体を発見するシーンです。
これが実に都合よくあっさりと見つけただけでなく、死んだはずの神田大尉が突如ニッコリ笑って徳島大尉に語りかけるというイメージシーンまで挿入されています。

ところが田茂木野に到着した徳島はそれ以前に神田の遺体は収容されていたことを知り愕然とします。
徳島大尉が賽の河原で発見したあの神田大尉の遺体は、徳島との約束を守りたい一心から神田の霊魂が現れたということだったようです。
それまで人の死を無情に描き続けてきたのに、ここで急にこんなスピリチュアルな絵が出てくるとかなりの違和感があります。
そういうシチュエーションは斉藤伍長(演:前田吟)が雑嚢の紐が切れたことで弟の死を悟る描写だけで十分ではなかったかと思います。

脚本家:橋本忍氏があの迷作『幻の湖』を世に放つのは1982年、つまりこの5年後のことであります。
’77年の『八甲田山』にもすでにその兆候が表れていた・・・というのは考えすぎでしょうか?。
(あと同じ年の『八つ墓村』も結構スピリチュアルな展開だったりします)

健さん演じる徳島大尉が神田大尉の遺体が納められた棺を開けて嗚咽する名シーン。
ここでは日本映画専門チャンネルで放映されたときに木村大作と北大路欣也が話していた撮影裏話を思い出しました。
当初は北大路は棺に入る予定は無かったそうです。
ところが健さんが棺を開けてみるとそこには死に化粧した神田大尉(北大路欣也)の姿が!
そのサプライズ演出に思わず感極まった健さんは、鼻水たらして号泣し、あの名演技が生み出されたのでした。
これもまた”本物”が生み出したシーンなのですね。
ただ・・・

今回の観客の中に、行儀の悪いおばはん二人組がいたのには閉口させられました。
最初のうちは静かでしたが、吹雪シーンの連続で飽きたのか後半はぼそぼそと小声でしゃべり続けやがります。
小声なら構わないとでも思っているのでしょうか?。
私から5~6席後ろのため「うるさい、ババア!」と怒鳴ることも出来ません。
近くの席には何人か客がいたはずですが、どうして誰も注意しないんだろう?。
(👆の画像はネット上で拾ったあるマンガの一場面です。私の心情を明確に表現してくれているので拝借させていただきました。)

明日は『日本のいちばん長い日』を見に行く予定です。
どうかあのババアどもが来ませんように
『八甲田山』は13時で上映終了。
しかし、この日はせっかくの休日です。
しかも男性一律1,100円のメンズデー。
このまま帰る手はありません。
もう一本映画のハシゴをしていくことにしました。
選んだ映画はこちら👇
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
(劇場:ユナイテッドシネマ金沢)

IMAX3D字幕版・4DX吹き替え版・スクリーンX字幕版に引き続き4回目の鑑賞です。

今まではアトラクション的要素の強い特殊な上映形態ばかりでしたが、今回は最もスタンダードな2D字幕版です。
劇場ではおそらくこれが見納めとなるでしょうから、じっくり腰を据えて、そして若干の粗探しなども交えながら観ておりました。
前作『GODZILLA2014』のストーリーラインがあまりにも『ガメラ 大怪獣空中決戦』にそっくりだったことから、続編は『ガメラ2 レギオン襲来』を踏襲したものになるのではないかと思っておりました。
『キング・オブ・モンスターズ』の冒頭シーンは前作のラストバトルの裏舞台から始まります。
その瓦礫の中で子供を探す主人公家族の姿が・・・。
ありゃ?。
『レギオン襲来』じゃなくて、いきなり『イリス覚醒』ですか?。
・・・と思いきや、やはりこの映画の下敷きは『レギオン襲来』だったようです。
「ギドラの名前の意味は”一つにして無数”」
そして終盤。
ゴジラとギドラの戦いを見つめながらのモナークのメンバー同士の会話。
「ゴジラが敵じゃなくてよかった」
「今はね」
これって、『レギオン襲来』のラストで穂波が帯津に言ったセリフそのものではないですか。

今回4度目の鑑賞だったわけですが、(ストーリーはともかく)映像と音響に関してはまだまだ飽きがこない作品です。
今度のゴジラは雨や吹雪の中で戦うシーンが多いのですが、『パシフィック・リム』と同じでそれが怪獣の存在感を高めているように思います。
アナログ特撮では水のサイズをコントロールすることが出来ないため怪獣(着ぐるみ)の巨大感が損なわれてしまうのですが、CGによる怪獣表現ではその制限がありません。
あと、何度観ても伊福部昭先生と古関裕而先生のオリジナルサウンドが流れてくるたび身体中に鳥肌が立ち涙目になってしまいますね。
我々特撮ファンにとって、あの楽曲は国家に等しいものなのであります。
逆に、見れば見るほど気になる部分としては・・・
■軍が開発した対怪獣用必殺兵器の名前がなんと、「オキシジェンデストロイヤー」!?。
(結果的にはゴジラもギドラも殺すことが出来ない役立たずだった)
今回のレジェンダリー版ゴジラが核の落し子という設定ではないことから分かる通り、アメリカはゴジラと人間の業とを結びつけて描くつもりは毛頭無いようです。
そのことは前作の時点で承知していますので、今回の『キング・オブ・モンスターズ』は最初から荒唐無稽な怪獣バトルものとして楽しむことに決めておりました。
しかし、この「オキシジェンデストロイヤー」の使い方はいけません。
その名を持つ兵器には人類の業が込められているべきです。
オリジナルでは、ゴジラを生み出してしまった核兵器と双璧を為す”悪魔の兵器”(芹沢博士談)だったのですから。
原作へのリスペクト精神があるならその辺は尊重して欲しかったです
そういえばオリジナル『ゴジラ』(昭和29年)と今度の『キング・オブ~』はやってることが逆なんですよね。
オリジナルは核の影響で生まれたゴジラをオキシジェンデストロイヤーで倒しましたが、今回はオキシジェンデストロイヤーで傷ついたゴジラに核の力で気合を入れる・・・。
アメリカ人の作るゴジラはやはり私たち日本人の誇るゴジラとは全く別物なのです。
■あの母親の考え方がどうしても理解不可能。
息子の死がどうして地球環境保護に繋がるのか?。
彼女が環境テロリストと行動を共にするのはともかく、そこに娘を連れて行くのは母親としていかがなものか?。
しかも、娘の目の前で父親(元夫)を見殺しにしようとする非情さと、改心した終盤の姿が同一人物とは思えない。
この母親のキャラクターに一本筋が通ってさえいれば、もう少し物語としての楽しみもあったと思うのですがね。
■地下空洞の中の古代遺跡の壁画に何故かカタカナで「ゴジラ」と書かれていたこと。
アレだけは、どんなに脳内補完しようと頑張ってみても合点のいく設定が思い浮かびません。
来年の『ゴジラVSコング』でどう落とし前付けてくれるのか楽しみです。
6/28(金)
『シュガー・ラッシュ:オンライン』(吹き替え版)
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

この日、嫁に「これ観たいからプロジェクター動かして」と頼まれました。
『シュガー・ラッシュ:オンライン』は今年の正月映画の一本でしたが、私も嫁も見逃していた作品でした。
(そういえば1月は『クリード』くらいしか観てないなあ・・・)

大のディズニー好きだったはずの嫁がこれを見逃した理由。
それは『ボヘミアン・ラプソディ』でした。
半年前、私の妹と一緒に『ボヘミアン~』にどハマりした彼女は自分の妹や職場の友達も次々誘って計6~7回映画館へ観に行ったそうです。
(そのうち2回は観客が一緒になって歌う「胸アツ応援上映」だったそうな・・・)
そうやってクィーンに熱を上げているうち『シュガー・ラッシュ』の上映は終わってしまったため、今回ブルーレイをレンタルしてきたのです。

予告編を観た時から気になっていたのが、歴代ディズニープリンセスが一堂に集うこの場面です。
『美女と野獣』のベルや『アラジン』のジャスミン、ポカホンタスやムーランなど元が2Dアニメのキャラクターも3DCGキャラ化していてそれ全然違和感なく一つの画面に収まっていました。
最近のディズニーは過去の2Dアニメの実写映画化にご執心ですが、これなら3DCGアニメでリメイクするのも悪くない気がします。

音声は「日本語吹き替え版」を選択しましたが、彼女たちの吹き替え声優の豪華さには驚きました。
ラプンツェル=中川翔子
メリダ=大島優子
アナ=神田沙也加
エルサ=松たか子
等々、ほんの数秒から数分の出番しかないのにちゃんとオリジナル版のキャストを起用しているのです。
アニメを何度も何度も繰り返し見る子供たちにはこれは嬉しいことだと思います。

ただ、ちょっと残念だったのはストーム・トルーパーの声が『クローン・ウォーズ』の金田明夫さんでなかったこと。
ワーナーとの契約がクリアし切れていなかったのですかね?。

これを50歳代夫婦が肩を並べて観ていたわけですが、だからといって今更何かが始まることはなかったです(笑)。
まあ、週末の疲れを癒してくれるくらいの楽しさは十分にありました。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。