週刊映画鑑賞記(2019.8/26~2019.9/1)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
今週は3度も映画館に足を運びました。
このうち、月曜は金沢で妻と一緒に映画を2本ハシゴしてきました。
彼女と映画館に行ったのは『E.T.』(午前10時の映画祭10)を観に行った5月以来です。
8/26(月)
『ローマの休日』(午前10時の映画祭10)
(劇場:イオンシネマ金沢フォーラス)

最初に観たのは『ローマの休日』。
「午前10時の映画祭10」のプログラムです。
この日は二人とも仕事が休みで、しかも見たかった2本の映画がこの劇場で上映中だったのでした。
一緒に映画を観に行くことはあっても、2本映画をハシゴするデートなんて新婚の頃以来です。

月曜日なので男性は元々一律1,100円で行けるのですが、チケット購入ページを見ていると「夫婦50割(夫婦どちらかが50歳以上なら二人とも1,100円)」なんてのがあるじゃありませんか!?。
私は5月に55歳、妻も4月に51歳になってますからこれを利用する資格があります。
それに、55歳の私は「ハッピー55」で、私はいつイオンシネマに来ても1,100円でOKってことじゃないですか!?。
これからはIMAXや再上映以外はイオンシネマ最優先ですね。
でも、これでまた福井の映画館には行かなくなってしまいそうです。
なぜならば、福井はイオンが一軒もない日本で唯一の県なのですから。

「非の打ちどころが無い」映画というのはこういう作品のことを言うのでしょうね。
どの脇役にも人間味があり、映画の隅々にユーモアが散りばめられています。

後半でいつも私の目を引くのはこの間抜けな秘密警察官です。
ブルース・ブラザースやメン・イン・ブラックみたいな集団の中にあってこの人だけが毛色が違っていて、音楽にノリノリで後のドタバタシーンでも妙に存在が目立ちます。
画一的な集団の中にも一人だけ愛嬌あるはぐれ者を一人配置することで、作品のユーモラスなトーンを壊さずにしかもそのシーンのアクセントにしています。
私は仕事で長尺のドキュメンタリーを撮ることもあるのですが、そんな時は主要人物以外の人たちの中からも特徴を掴み易い人を2~3人チョイスして一緒に撮るよう心掛けています。
主人公だけを追いかけ回してもシチュエーションが表現し辛いうえに見ていて面白くない場合が多いからですが、こうした作り方は『ローマの休日』も含め学生時代から何度も見た映画作品たちから学んだことです。

私が『ローマの休日』で一番好きなキャラクターは、カメラマンのアーヴィング(演:エディ・アルバート)です。

彼はダンスパーティーでの乱闘騒ぎの中、カメラの準備が間に合わず決定的瞬間を逃がしてしまいます。
この時アン王女(演:オードリー・ヘップバーン)に彼が思わず叫んだこの一言!。
写真と動画の違いこそあれ、同じ職種の私には痛いほどよく分かります(笑)。
次のテイク2で彼は見事最高傑作をモノにしました。

王女との記者会見直前までは金もうけと自己の名声にこだわっていたアーヴィングも、ジョーの気持ちを察してせっかくの「最高傑作」を黙って封印します。
そんな彼の心境変化を、セリフによる説明ではなく彼の表情と細かな動きによって表現していました。
粋ですね~。

『ローマの休日』が「不朽の名作」であるという事実は、一緒に観に行った妻のリアクションを見れば分かります。
彼女も何度となく見たはずの映画ですが、やはり寝ぼけたアン王女とジョーのやり取りにクスクス笑ってました。
二人がローマの街でデートするシーンではスクーターの動きに合わせて身体を揺らし、間抜けな秘密警察の登場に声を出して笑い、最後の謁見シーンでは姿勢を正して観ていました。
脚本家問題とかいろいろありましたけど、これから何十年も愛され続ける作品であることは間違いありません。
『ローマの休日』終了後、次の映画が始まるまでは一時間ほど間が空きました。

昼食は妻のリクエストで「ポムの樹」のオムライスに決定。
いや、決定というより彼女は最初からここに決めていたとのことでした。
妻は以前京都かどこかで食べて以来「ポムの樹」のオムライスのファンらしいのですが、残念ながら福井にはポムの樹は一軒もありません。
それが前回私と一緒に『E.T.』を観に来た時、金沢フォーラス6階にポムの樹があると知って、「次は必ずここで食べて帰る!」と固く心に誓ったのだそうです。
そんなもん、私と一緒に金沢に行けばいくらでも食わせてやったのに(笑)。
写真を撮り忘れてしまいましたが、ポムの樹のオムライスは確かに美味しかったです。
ただ、大盛り(100円プラス)にしてもまだちょっと少なかったかな?。
どうやら私みたいな大食漢には向かないお店のようであります。
『天気の子』🈠
(劇場:イオンシネマ金沢フォーラス)

『ローマの休日』のあとは同じ劇場で『天気の子』鑑賞です。
以前から妻と「『トイ・ストーリー4』と『天気の子』は一緒に見に行こう」と約束して(させられて)いたのです。
妻の職場にはこの春まで同じアニメ好きの仲の良い友達がいたのですが、その友達が親の介護のために辞めてしまったため一緒にアニメを見に行く相手がいなくなってしまったというのが本当のところのようです。

で、『天気の子』の感想ですが・・・。
う~ん。
私は駄目でした。
どうやら新海誠監督の作品は完全にティーン・エィジャー向けに特化されているようで、私みたいな55歳のおっさんには向いていないようです。
前作『君の名は。』を盲目的に絶賛していた妻でさえ、さすがに「今度のは駄目ねえ。」と残念そうにしてました。

実は『君の名は。』の時も同じことを感じていたのですが・・・。
随所に、それも重要な場面に限って絶妙なタイミングでしゃしゃり出てくるRADWIMPSの歌が鬱陶しくて仕方がありません。
ハッキリ言って音楽の使い方が滅茶苦茶です。
数えてはいませんが、1時間50分ほどの映画の中でこの同じ演出パターンの繰り返しが5回以上あったと思います。
これには私も妻もさすがにウンザリしてしまいました。

最悪なのは、挿入歌のボーカルが重要なセリフに被ってどっちも聴き取り難くなっていることです。
「陽菜さんと一緒にいたいんだあぁぁぁ」とか「世界の形を決定的に変えてしまった」といった大事なセリフに、ボーカル入りの挿入歌が同じボリュームで重なるのです。
これでは物語をやりたいのかRADWIMPSのイメージビデオなのか分かりません。
優先順位が違います。
こういった演出は今の若い子なら受け入れられるものなのですかね?。

新海誠監督という人は2002年のデビュー作『ほしのこえ』以来、一貫して「ボーイ・ミーツ・ガール」を主軸としたSFチックなジュブナイル作品ばかりを作り続けています。
『天気の子』を見た限りだと、新海監督がこの方向性(中二病)だけで今後も続けていくことには限界があるように思えます。
しかし、制作会社や配給元は確実にヒットが見込める「従来路線」ばかりを要求し続けてくるはずです。
その時、新海監督はどんな手を打って出るのか?。
『天気の子』がどうこうというよりそっちのほうが気になります。
新海監督も現在46歳とのことなので、そろそろご自身の年齢に合った作品作りに挑戦してもいいのではないでしょうか。

あと、どう考えても拳銃の話はいらないと思います。
終盤で帆高が警察に追われる理由は「家出」と「拳銃所持」になっていますが、そのせいでストーリーの本筋から視点が外れてしまっています。
警察(あるいは何らかの組織)が陽菜の天気を操る力を狙って追いかけてくるという設定なら、このストーリーにも一本筋が通ったと思うのですがね。
無理をせず、しっかりした構成力を持つ脚本家にリライトをお願いしたほうが良かったんじゃないでしょうか。

あと、監督の前作『君の名は。』のキャラクター(瀧や三葉)をカメオ登場させたのも、『天気の子』という作品にとってはノイズでしかありません。
なんだか『天気の子』だけでは勝負出来ないから大ヒットした『君の名は。』の人気にあやかろうとしているみたいに見えます。
これはプロデューサーや映画会社の意向によるものかも知れませんが、私には見ていて違和感しかありませんでした。
もっとも、『天気の子』が『君の名は。』と同じ世界の延長上にある作品であるならば話は別ですが・・・。

『天気の子』と『君の名は。』が同じ世界の物語と考えた場合、新海監督の次回作がどうなるのか気になりますね。
『言の葉の庭』から『天気の子』に至る新海監督作品の持ち味は「東京という街が美しく描かれていること」にあったと思うのですが(
ネタバレになりますが)『天気の子』のラストで東京は水没してしまいます。
つまり、この世界の延長戦上ではもう新海監督は自身の得意技が使えなくなるわけです。
次回作では東京を舞台にするのはやめて、『星を追う子ども』のような異世界ものや『雲のむこう、約束の場所』のような並行世界ものになるのですかね。

風景以外見るべきところのない映画・・・と思っていましたが、実は一つだけ得るものがありました。
カップヌードルは2分でも美味い
家に帰って早速試してみましたが、確かに麺にコシがあって食べ応えがありました。
特に「麺硬め」が好きな私にはピッタリです。
日清のカップ麺って、「10分どん兵衛」といいこの「2分カップヌードル」といい、食べ方の幅が広いですね。
・・・と、全然映画と関係ないところで感心しておりました(笑)。
8/27(火)
『ポノック短編劇場 ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』🈠
(ホームシアター:レンタルDVD)

「去年観られなかったから。」と妻が借りてきたアニメ映画です。
一作品18分くらいの短編3本をひとまとめにしたもので、大友克洋がよく作ってた『ロボットカーニバル』とか『メモリーズ』とか『迷宮物語』とか『ショートピース』のポノック版といったところ。
昨年夏に劇場公開された作品ですが、上映時間が一時間くらいしかないことでコストパフォーマンスが良くない気がして結局観には行きませんでした。

米林宏昌監督のカニの兄弟のお話は、まるで初監督作品『借りぐらしのアリエッティ』の延長線上のような世界観でした。
映画監督は無意識に処女作をリメイクし続けるといいますが、これを見る限りどうやら本当みたいです。

卵アレルギーを持つ子供とその母親のお話。
子供の仕草を細かく追いつつ見せ場はダイナミックなアニメーションでまとめています。
でも、やっぱりジブリ的で湯浅政明監督のようなハジけた感じはありません。
ダンスシーンは『ギブリーズ』の中の一遍によく似た映像があったので、あのシーンを描いたアニメーターが作ったのかな?。

前の2本はジブリをひきずっていて新鮮さは感じませんでしたが、少し毛色が違って面白かったのは3本目の透明人間の話でした。
なぜか透明人間には重さが無いらしく、風に吹かれると飛ばされてしまうため常に消火器を持ち歩いているというのが新しかったです。
彼がなぜ透明人間になったのか?。
なぜ数分後に道の向こうで事故が起こると分かったのか?。
生きていく気力を失った彼に言葉をかけた老人は何者なのか?。
彼が最後に普通の人間に戻れたのはなぜなのか?。
これらの疑問には特に答えを示さず、スパッと話を締めくくっていることで逆に心に残りました。

あと、現在の4KプロジェクターでDVDを観るのはこれが最初だったので映写画質についても注意しながら見ておりました。
最初見始めた時こそ画面が眠く感じましたが3本目の「透明人間」の頃には画質は全く気にならなくなっていました。
これならDVDもまだまだ現役で楽しめそうです。
8/28(水)
『シン・ゴジラ』
(劇場:京都みなみ会館)

先日記事にしましたが、8月23日(水)に営業再開したばかりのシン・・・、じゃなくて新・京都みなみ会館で『シン・ゴジラ』を見てきました。

そういえば、私が旧みなみ会館で最後に見たのもこの『シン・ゴジラ』でした。
旧館で最後に見た映画と新館で最初に見る映画が同じ作品。
しかもそれが、私もエキストラとして参加した『シン・ゴジラ』だなんて実に運命的な巡り合わせでありませんか。

私が映画館で『シン・ゴジラ』を見るのはこれが15回目になります。
他にブルーレイやTV放送などもカウントすると多分30回以上になりますし、しかもほんの2ヶ月ほど前にも新しく買ったプロジェクターのコケラ落としとして4Kブルーレイを見たばかりです(笑)。
それでも今回、全く飽きることなく『シン・ゴジラ』を最初から最後までしっかり楽しんできました。
妻は「あなた絶対変やわ、あほちゃう?」と呆れ果てておりますが、私が『シン・ゴジラ』を何度でも美味しく楽しめるのにはちゃんとわけがあるのです。

これまで何度も書いてますが、私は『シン・ゴジラ』の中の二つのシーンにエキストラとして参加しています。
一つは総理官邸地下の災害情報センター(撮影場所は有明)。
もう一つは大河内総理(と官房長官)の記者会見シーン(東宝スタジオで撮影)。
これらの私が参加した場面は、実は全て映画開始から15分以内に収まっています。
情報センターのシーンは開始から約2分目と3分過ぎた辺り。
そして総理の会見シーンは14分目あたりからです。
映画の脚本のセオリーの一つとして「冒頭から15分までの間に観客に基本設定を理解させて30分までの間に最初の見せ場を用意する」というものがあります。
『シン・ゴジラ』では総理会見シーンの直後にゴジラ第2形態(俗称:蒲田くん)が登場し、その後は一気呵成に物語が進んでいくことになります。
つまり、私は自分が映っているシーンを見ながらニンマリしているうちに、いつの間にかストーリーにどっぷり浸りきっているという構造になっているのです。

今回、新・京都みなみ会館で見た『シン・ゴジラ』もやはり同じでした。
いや・・・今回はいつもと少し違う感触もありました。

真新しいスクリーン。
快適な椅子。
必要十分にしてクリアな音響。
そして自分好みの最高の座席。
今回は、ある意味我が家のホームシアターや最初に観たエキスポシティのIMAXよりも快適に『シン・ゴジラ』を楽しめた気がしています。
8/30(金)
『ダーク・クリスタル』
(ホームシアター:4K-UHD Blu-ray)

私の最愛の映画の一つ『ダーク・クリスタル』。
以前買ってまだ視聴していなかった4K-UHD版ブルーレイを鑑賞しました。
言ってしまえば人形劇なのですが、冒頭からトレヴァー・ジョーンズ作曲の音楽に身を委ねて観ているうちにいつの間にかこの作品世界に入り込んでジェンとキーラの冒険に心躍らせてしまう自分がいます。
どうして私はこのタイミングで『ダーク・クリスタル』を観なければならなかったのか?。

その理由は、今週末からNETFLIXで配信が始まった前日譚『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス』鑑賞に向けての予習であります。
私がNETFLIXに入会したのはまさしくこの作品のためと言っても過言ではないくらい楽しみにしていた作品です。
これからしばらく忙しくなるため全話イッキ見はとても無理ですが、時間は一話につき1時間未満なので毎日一話づつ見ることは十分可能です。
とりあえず、向こう10日分の楽しみが出来ました。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。