『On Your Mark』(その1)
CATEGORYアニメ:ア行
トガジンです。

『On Your Mark』は、宮崎駿監督が約20年前に作った7分間の短篇アニメです。
『耳をすませば』と同時上映された作品で、現在のディズニー作品に必ず付いている短篇のようなものでしょう。
そもそもは、チャゲ&飛鳥の同名楽曲のプロモーションフィルムとして制作されました。
宮崎監督を追ったドキュメンタリー番組をきっかけに観返したのですが、その情報量の多さに当惑してしまいました。
たった7分の映画ですがとても1回では書ききれません。
今回は画面写真を見ながら映像に込められた情報をひもとくことに集中してみます。

オープニング画面です。
穏やかに晴れた日の田園風景のようですが、ボロボロの鉄条網があったりして人間の住む気配が全くありません。

閑静な街並みの風景です。
画面の奥には異様な風体の建造物がそびえ立ち、放射能の存在を思わせる標識が画面を横切ります。
まるでチェブノルイリや現在の福島第一原発周辺地域を思わせる描写です。

そこに放射線マークが大きく描かれた装甲車が現われます。
乗っているのは主人公コンビでしょうか?。

場面は大きく変わって、ストーリーの本流に入ります。
宮崎駿監督作品というよりは、松本零士の『銀河鉄道999』に出てきたような未来都市が舞台です。
その中にひときわ高くそびえ立つ怪しげな建物に、無数の警察ヘリが向かっていく場面からこの映画は始まります。

この建物を本拠地とするカルト宗教団体に強硬突入する警察部隊。
マシンガンや手りゅう弾を駆使して手向かうものを手あたり次第に殺傷していきます。
当初は、あのオウム真理教への怒りが映画に込められているのかと考えました。
しかし、公開時期と製作期間を考えるとそれは無いと思われます。
この作品の公開は1985年7月です。
オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きたのは同年3月です。
7分の映画とはいえ、宮崎アニメの作画密度を考えると3月から制作して7月に公開出来るとは思えません。

作戦が終了して、教団内部は死屍累々です。
抵抗らしい抵抗も出来ないまま処分された一般信者たちでしょうか。
女子供も容赦なしです。

一人の少女の遺体を無造作に掴みあげて確認する警官。
ただのモノとしてぞんざいに扱っています。
宮崎駿監督作品においては、人間の死体を描くのもこのようにぞんざいに扱う描写も初めてのことです。

その中に何故か背中に羽根を持つ少女が倒れています。
天使です。
この作品世界には天使が存在するという設定なのでしょうか?。

発見したのは主人公であるチャゲと飛鳥です。

次の場面では、チャゲと飛鳥と少女がオープンカーで疾走しているシーンに飛びます。
冒頭の描写では放射線で非常に危険なはずの場所なのですが、このシーンではそういう印象はありません。

天使の少女を空に解き放そうとするシーンが描かれます。
ここには少し気になる描写があります。
前のカットでもそうなのですが、この時点まで少女の背中にはあの大きな翼が全く見えないのです。

おもむろに翼を広げて飛翔します。
ここまでは、この映画全体の目標というか目指すべき終着点をイメージしたもののようです。
楽曲でいうとイントロであり、サビの部分をいきなり冒頭に持ってくる「サビ始まり」にあたります。

場面は再び天使を発見する場面に戻ります。

天使の少女が生きていると分かって介抱する主人公コンビ。

しかし天使は当局の研究所らしき場所へ隔離されてしまいます。

居酒屋でなにやら思い悩んでいる飛鳥。
やがて少女の所在を探知し、相棒のチャゲと共に武器と情報を準備して行動を起こします。
お品書きに「やきとり」や「めざし」がありますが、ここは日本なのでしょうか?。
そもそもこの世界に海や魚は存在しているのでしょうか?。
「バイオ蛸酢」「塩サバ(合成)」なんてのもありますが気になります。

天使の少女を奪取して逃走する二人。
こういう画は宮崎監督作品そのもので、『ルパン三世』や『未来少年コナン』を彷彿とさせてくれます。

装甲車を奪って逃亡を図ります。
彼らの仕事用の車両なのか、実に手際よく奪取します。
格納庫にある全部の車両に放射線マークが描かれています。
やはりこの近辺には放射能地域が存在していて、そういう場所での作業が必要とされている世界であるということです。

当然ながら追手がかかります。
背景をよく見ると、ここが密閉されたドームの内側であることが分かります。
それはつまり、ドームの外では人間は生きられない世界という解釈にも繋がります。

奮戦むなしく、3人の乗った車両は当局の妨害にあってハイウェイから落下していきます。
映画はここから奇妙な展開を始めます。
この場面を特異点として、この後2つのストーリーに分岐していくのです。

最初の流れでは、3人は落ちる車両からの脱出を試みます。

空を飛べる少女だけでも逃がそうと説得しますが彼女は聞き入れません。

おそらくこのまま墜落死したということでしょう。
しかし、チャゲが空中で平泳ぎして必死にあがく様子が妙にコミカルに描写されています。

次の瞬間、話の時間軸が元に戻って、再び天使略奪シーンが展開しこの場面が再現されます。
「失敗したけれどもあきらめずにもう一度チャレンジした」といった描写ではありません。
まるでテレビゲームでバッド・エンドになってしまったからリセットしたという感じです。

今度の展開では、タイヤからジェット噴射が出て空を飛び全員助かります。
なんともご都合主義な展開を臆面もなくやってのけます。

オープンカーに乗り換えてトンネル内を走っています。
途中、このような警告表示が見えます。
「不保障生命(生命の保障はしない)」
彼らは談笑しながら外の世界へと向かいます。
ちなみにこの場面では少女の翼がはっきりと見えています。
先刻の場面で見えていなかったことの意味が分からず困惑が深まります。

周囲には原子力発電所の冷却塔が無数に並んでいます。
ちなみに日本の原発は全て海水で冷却するシステムを採用しているので、このような巨大な冷却塔は存在しません。
先刻の居酒屋のシーンで「ここは日本なのか?」と述べましたが、分からなくなってしまいました。
車両に書かれた放射線マークといい「不保障生命」の警告板といい、外界が放射能汚染された世界であることを示しています。
防護服もマスクも無い3人は、かなりの被曝をしているはずです。

二人は天使を空へ解き放ちます。
怯える天使の表情は、まるで空を飛ぶのが初めてであるかのようにも見えます。

このとき、彼女はふっと複雑な微笑を浮かべます。
感謝の笑みというよりも、慈しみのようでもありあるいは憐みのような不思議な表情です。
この映画でもっとも心に引っかかる場面です。

飛び去る天使。
その遠方には見覚えのある大都市の姿があります。
傾いたビルもあることから、おそらく廃墟と化しているのでしょう。

高く遠くへ飛び去り、やがては鳥のように小さくなっていきます。

笑顔で見送るチャゲと飛鳥。
しかしこの二人には、重度の被曝と反逆の罪による刑罰しか残されていないのです。
以上の映像情報から考え得る解釈をいくつか挙げてみます。
解釈① 有翼人種が存在する世界
素直に映像情報を受け取るとするならこうなります。
この世界のどこかに放射能の影響を受けない有翼人種が存在する。
それは放射能汚染から逃れてひっそりと暮らす人類にとっては垂涎の存在である。
宗教団体の一つがその有翼人少女を拉致して信仰の礎にしようとしていたが、それを知った当局が宗教団体を襲撃。
研究の対象にされていたところを、最初に彼女を発見して介抱した二人の警官がこれを奪取。
身の危険もかえりみず、彼女を外の世界に逃がしてあげる。
有翼人種の設定を受け入れられれば、ある程度は筋が通っていると思います。
しかし、「途中で一度失敗してそれを無かったことにして物事をやり直す」映画の構成の説明はつきません。
解釈② 時間を操ることが出来る有翼人種が存在する世界
①の発展形。
有翼人の少女には時間を操る超能力が備わっていて、救出作戦が失敗したときに時間を巻き戻した。
我ながらご都合主義すぎて情けないです。
『時をかける少女』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』のような能力です。
しかし、そんな能力があるなら捕まったときに自分でなんとか出来そうな気がしますね。
そして解釈③ですが・・・
何度も繰り返し鑑賞し静止画を見ているうちに、あることに気付きました。
「警察」
「天使」
「リフレインされる事象」
「鳥」
作品中に出てくるこれらのモチーフ。
いずれも押井守監督が好んで使うモチーフですね。
これであと、犬が出ていたら完璧でした。
押井監督ならこうするかもしれません。
「天使なんか最初からいなかったのかも知れない・・・」

実際にこういう作品がありました。
解釈③ 天使は主人公の想像の産物
警官の飛鳥は、相棒のチャゲとともに連日放射能汚染の激しい外世界のパトロールの任についている。
ある時、悪徳宗教団体の制圧作戦に駆り出された飛鳥。
状況終了後、犠牲者の中に年端もいかない少女の遺体を見てしまった彼は罪悪感に苛まされる。
やがてPTSD(心の病)に陥った飛鳥は、少女=天使を救い出すというストーリーの夢想にふけるようになる。
仕事の相棒のチャゲにも出演してもらって、想像上の作戦に行き詰まったらそこからまたやり直し。
やがて想像上の脱出作戦は成功し、少女から許しの微笑が与えられる・・・。
飛鳥本人の妄想でもいいし、PTSD治療のためのプログラムという設定でも構いません。
「天使なんか最初からいなかった」という物語です。
ただ、宮崎駿監督がこのような後ろ向きなストーリーを作るかどうかは別ですが・・・。

ちなみに『On Your Mark』と同じ年の秋に『攻殻機動隊』が公開されています。
宮崎監督は押井監督と親交がありますから、何らかの意図が込められている可能性はあります。
画面写真をもとに情報や疑問点を抜粋するだけでも膨大な量になってしまいました。
楽曲『On Your Mark』の歌詞と併せての考察もしてみましたがまるで分かりません。
『On Your Mark』(その2)へ続きます。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。

『On Your Mark』は、宮崎駿監督が約20年前に作った7分間の短篇アニメです。
『耳をすませば』と同時上映された作品で、現在のディズニー作品に必ず付いている短篇のようなものでしょう。
そもそもは、チャゲ&飛鳥の同名楽曲のプロモーションフィルムとして制作されました。
宮崎監督を追ったドキュメンタリー番組をきっかけに観返したのですが、その情報量の多さに当惑してしまいました。
たった7分の映画ですがとても1回では書ききれません。
今回は画面写真を見ながら映像に込められた情報をひもとくことに集中してみます。

オープニング画面です。
穏やかに晴れた日の田園風景のようですが、ボロボロの鉄条網があったりして人間の住む気配が全くありません。

閑静な街並みの風景です。
画面の奥には異様な風体の建造物がそびえ立ち、放射能の存在を思わせる標識が画面を横切ります。
まるでチェブノルイリや現在の福島第一原発周辺地域を思わせる描写です。

そこに放射線マークが大きく描かれた装甲車が現われます。
乗っているのは主人公コンビでしょうか?。

場面は大きく変わって、ストーリーの本流に入ります。
宮崎駿監督作品というよりは、松本零士の『銀河鉄道999』に出てきたような未来都市が舞台です。
その中にひときわ高くそびえ立つ怪しげな建物に、無数の警察ヘリが向かっていく場面からこの映画は始まります。

この建物を本拠地とするカルト宗教団体に強硬突入する警察部隊。
マシンガンや手りゅう弾を駆使して手向かうものを手あたり次第に殺傷していきます。
当初は、あのオウム真理教への怒りが映画に込められているのかと考えました。
しかし、公開時期と製作期間を考えるとそれは無いと思われます。
この作品の公開は1985年7月です。
オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きたのは同年3月です。
7分の映画とはいえ、宮崎アニメの作画密度を考えると3月から制作して7月に公開出来るとは思えません。

作戦が終了して、教団内部は死屍累々です。
抵抗らしい抵抗も出来ないまま処分された一般信者たちでしょうか。
女子供も容赦なしです。

一人の少女の遺体を無造作に掴みあげて確認する警官。
ただのモノとしてぞんざいに扱っています。
宮崎駿監督作品においては、人間の死体を描くのもこのようにぞんざいに扱う描写も初めてのことです。

その中に何故か背中に羽根を持つ少女が倒れています。
天使です。
この作品世界には天使が存在するという設定なのでしょうか?。

発見したのは主人公であるチャゲと飛鳥です。

次の場面では、チャゲと飛鳥と少女がオープンカーで疾走しているシーンに飛びます。
冒頭の描写では放射線で非常に危険なはずの場所なのですが、このシーンではそういう印象はありません。

天使の少女を空に解き放そうとするシーンが描かれます。
ここには少し気になる描写があります。
前のカットでもそうなのですが、この時点まで少女の背中にはあの大きな翼が全く見えないのです。

おもむろに翼を広げて飛翔します。
ここまでは、この映画全体の目標というか目指すべき終着点をイメージしたもののようです。
楽曲でいうとイントロであり、サビの部分をいきなり冒頭に持ってくる「サビ始まり」にあたります。

場面は再び天使を発見する場面に戻ります。

天使の少女が生きていると分かって介抱する主人公コンビ。

しかし天使は当局の研究所らしき場所へ隔離されてしまいます。

居酒屋でなにやら思い悩んでいる飛鳥。
やがて少女の所在を探知し、相棒のチャゲと共に武器と情報を準備して行動を起こします。
お品書きに「やきとり」や「めざし」がありますが、ここは日本なのでしょうか?。
そもそもこの世界に海や魚は存在しているのでしょうか?。
「バイオ蛸酢」「塩サバ(合成)」なんてのもありますが気になります。

天使の少女を奪取して逃走する二人。
こういう画は宮崎監督作品そのもので、『ルパン三世』や『未来少年コナン』を彷彿とさせてくれます。

装甲車を奪って逃亡を図ります。
彼らの仕事用の車両なのか、実に手際よく奪取します。
格納庫にある全部の車両に放射線マークが描かれています。
やはりこの近辺には放射能地域が存在していて、そういう場所での作業が必要とされている世界であるということです。

当然ながら追手がかかります。
背景をよく見ると、ここが密閉されたドームの内側であることが分かります。
それはつまり、ドームの外では人間は生きられない世界という解釈にも繋がります。

奮戦むなしく、3人の乗った車両は当局の妨害にあってハイウェイから落下していきます。
映画はここから奇妙な展開を始めます。
この場面を特異点として、この後2つのストーリーに分岐していくのです。

最初の流れでは、3人は落ちる車両からの脱出を試みます。

空を飛べる少女だけでも逃がそうと説得しますが彼女は聞き入れません。

おそらくこのまま墜落死したということでしょう。
しかし、チャゲが空中で平泳ぎして必死にあがく様子が妙にコミカルに描写されています。

次の瞬間、話の時間軸が元に戻って、再び天使略奪シーンが展開しこの場面が再現されます。
「失敗したけれどもあきらめずにもう一度チャレンジした」といった描写ではありません。
まるでテレビゲームでバッド・エンドになってしまったからリセットしたという感じです。

今度の展開では、タイヤからジェット噴射が出て空を飛び全員助かります。
なんともご都合主義な展開を臆面もなくやってのけます。

オープンカーに乗り換えてトンネル内を走っています。
途中、このような警告表示が見えます。
「不保障生命(生命の保障はしない)」
彼らは談笑しながら外の世界へと向かいます。
ちなみにこの場面では少女の翼がはっきりと見えています。
先刻の場面で見えていなかったことの意味が分からず困惑が深まります。

周囲には原子力発電所の冷却塔が無数に並んでいます。
ちなみに日本の原発は全て海水で冷却するシステムを採用しているので、このような巨大な冷却塔は存在しません。
先刻の居酒屋のシーンで「ここは日本なのか?」と述べましたが、分からなくなってしまいました。
車両に書かれた放射線マークといい「不保障生命」の警告板といい、外界が放射能汚染された世界であることを示しています。
防護服もマスクも無い3人は、かなりの被曝をしているはずです。

二人は天使を空へ解き放ちます。
怯える天使の表情は、まるで空を飛ぶのが初めてであるかのようにも見えます。

このとき、彼女はふっと複雑な微笑を浮かべます。
感謝の笑みというよりも、慈しみのようでもありあるいは憐みのような不思議な表情です。
この映画でもっとも心に引っかかる場面です。

飛び去る天使。
その遠方には見覚えのある大都市の姿があります。
傾いたビルもあることから、おそらく廃墟と化しているのでしょう。

高く遠くへ飛び去り、やがては鳥のように小さくなっていきます。

笑顔で見送るチャゲと飛鳥。
しかしこの二人には、重度の被曝と反逆の罪による刑罰しか残されていないのです。
以上の映像情報から考え得る解釈をいくつか挙げてみます。
解釈① 有翼人種が存在する世界
素直に映像情報を受け取るとするならこうなります。
この世界のどこかに放射能の影響を受けない有翼人種が存在する。
それは放射能汚染から逃れてひっそりと暮らす人類にとっては垂涎の存在である。
宗教団体の一つがその有翼人少女を拉致して信仰の礎にしようとしていたが、それを知った当局が宗教団体を襲撃。
研究の対象にされていたところを、最初に彼女を発見して介抱した二人の警官がこれを奪取。
身の危険もかえりみず、彼女を外の世界に逃がしてあげる。
有翼人種の設定を受け入れられれば、ある程度は筋が通っていると思います。
しかし、「途中で一度失敗してそれを無かったことにして物事をやり直す」映画の構成の説明はつきません。
解釈② 時間を操ることが出来る有翼人種が存在する世界
①の発展形。
有翼人の少女には時間を操る超能力が備わっていて、救出作戦が失敗したときに時間を巻き戻した。
我ながらご都合主義すぎて情けないです。
『時をかける少女』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』のような能力です。
しかし、そんな能力があるなら捕まったときに自分でなんとか出来そうな気がしますね。
そして解釈③ですが・・・
何度も繰り返し鑑賞し静止画を見ているうちに、あることに気付きました。
「警察」
「天使」
「リフレインされる事象」
「鳥」
作品中に出てくるこれらのモチーフ。
いずれも押井守監督が好んで使うモチーフですね。
これであと、犬が出ていたら完璧でした。
押井監督ならこうするかもしれません。
「天使なんか最初からいなかったのかも知れない・・・」

実際にこういう作品がありました。
解釈③ 天使は主人公の想像の産物
警官の飛鳥は、相棒のチャゲとともに連日放射能汚染の激しい外世界のパトロールの任についている。
ある時、悪徳宗教団体の制圧作戦に駆り出された飛鳥。
状況終了後、犠牲者の中に年端もいかない少女の遺体を見てしまった彼は罪悪感に苛まされる。
やがてPTSD(心の病)に陥った飛鳥は、少女=天使を救い出すというストーリーの夢想にふけるようになる。
仕事の相棒のチャゲにも出演してもらって、想像上の作戦に行き詰まったらそこからまたやり直し。
やがて想像上の脱出作戦は成功し、少女から許しの微笑が与えられる・・・。
飛鳥本人の妄想でもいいし、PTSD治療のためのプログラムという設定でも構いません。
「天使なんか最初からいなかった」という物語です。
ただ、宮崎駿監督がこのような後ろ向きなストーリーを作るかどうかは別ですが・・・。

ちなみに『On Your Mark』と同じ年の秋に『攻殻機動隊』が公開されています。
宮崎監督は押井監督と親交がありますから、何らかの意図が込められている可能性はあります。
画面写真をもとに情報や疑問点を抜粋するだけでも膨大な量になってしまいました。
楽曲『On Your Mark』の歌詞と併せての考察もしてみましたがまるで分かりません。
『On Your Mark』(その2)へ続きます。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。
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