新・京都みなみ会館 ~すごい、まるで進化だ!~

私が京都の老舗映画館「京都みなみ会館」を知ったのは2016年7月のことでした。
兵庫県で映画『マンハント』の撮影にエキストラとして参加した時、怪獣映画について熱く語る私に関西の仲間の一人が教えてくれたのです。
「そんなに怪獣ものが好きなら京都みなみ会館に行くといいよ。あそこは毎月必ず何か特撮映画を上映してるから。」
実に魅力的な映画館で、それ以後何度も訪問しようと考えましたが、スケジュールが合わなかったり京都まで出向いて見たいほどの作品でなかったり等で実際に行くことはありませんでした。
「まあ、京都ならそのうち行けるだろう。」
と、軽く考えていたのです。

ところが2017年の暮れ、突然「翌年3月を持って(一時)閉館する」という衝撃的な知らせが入りました。
この時私は、それまでみなみ会館に行くことを先延ばしにし続けてきたことを激しく後悔したものでした。

そして昨年3月18日。
満を持して、私は京都みなみ会館(一時)閉館間際の最後の特撮オールナイト「超大怪獣大特撮大全集SDX NIGHT ありがとう 京都みなみ会館 スペシャル」に参加。
特撮怪獣映画ファンとして至福の一夜を過ごさせていただきました。
(↑の参加者全員の満面の笑顔がその楽しさを物語っています)
しかし、私が旧館での特撮イベントに参加したのはこれが最初で最後でした。

その2週間後、3月末をもってみなみ会館は閉館しました。
たった一度の参加だったにも関わらず私は「みなみ会館ロス」状態に陥ってしまい、「あの楽しいひと時をもう一度味わいたい」と、一日千秋の思いで再開を待ち続けておりました。
そして・・・。

あれから1年と5ヶ月。
ついに新・京都みなみ会館のオープンの日が訪れました。

最初の特撮上映は24日と25日の土日。
このうち土曜日ならば予定が空いています。

作品は『ゴジラ対メカゴジラ』と『メカゴジラの逆襲』。
昭和メカゴジラ2部作一挙上映でした。
『ゴジラ対メカゴジラ』は過去2回映画館で見たことありますが、実は『メカゴジラの逆襲』はまだ映画館では観たことはありません。
いい機会だと思ってチケットを購入しようとしましたが、すでに全席売り切れだったらしく購入ページそのものが無くなっていました。
同じ日の『シン・ゴジラ』も同様です。
無念!。

それでも諦めきれなかった私は、次の休みの水曜か木曜に『シン・ゴジラ』を観に行くことを決断しました。、
なぜ私は新・京都みなみ会館で『シン・ゴジラ』を観ることに拘ったのか?。
それは、昨年3月の「超大怪獣大特撮大全集SDX NIGHT ありがとう 京都みなみ会館 スペシャル」最後の上映作品が『シン・ゴジラ』だったからです。
しかも『シン・ゴジラ』の冒頭シーンには私自身もエキストラの一人として映っています。
旧館で最後に観たのも新館で最初に観るのも『シン・ゴジラ』というのは実に私らしいチョイスじゃありませんか(笑)。

そんなわけで水曜日の『シン・ゴジラ』チケットを即ゲット!。
水曜に決めた理由は、この日の上映館が一番大きいスクリーン1だったことと、サービスデー(1,100円)だったからです。
そして当日。

8月28日(水曜日)
西日本はあいにくの大雨に見舞われました。
九州の一部地域では警戒レベル4(全員避難)を超えるレベル5(手遅れ)が出たほどの大雨でした。
当然、近畿・北陸地方も雨の予報です。
一時は京都行きを中止しようかとも考えましたが、すでにネットで支払い済みであることと、早く新・京都みなみ会館を体験したいという欲求には勝てませんでした。
上映開始は17時40分なので出発は午後からでも良かったのですが、なにしろこの日は西日本全体に大雨の予報が出ています。
交通規制や渋滞などで間に合わない・・・なんてことにならないよう、11時半には家を出ることにしました。
妻は「『シン・ゴジラ』ならブルーレイ買ったんだから家でいくらでも見られるのに。」と呆れておりました。
でも、いつもと一つだけ違ったことがあって「京都へ行くなら京都アニメーションに寄って手を合わせてきて」と頼まれてしまいました。
妻よ、すまない。
京アニ(宇治)はみなみ会館から結構距離がある。
今回はお前の優しさを叶えてあげる時間は無いのだよ。

天気の心配は杞憂に終わり、3時間半後には無事京都に到着しました。
クルマは大津京駅前に置いて京都までは電車移動です。
もし大雨が降った場合、慣れない京都の街中を雨の中運転するのはシンドイと考えたからです。
雨はたいしたことなかったので、京都駅からみなみ会館までは徒歩で移動しました。

新・京都みなみ会館に到着!

新館は旧みなみ会館のななめ向かいに位置しています。
元は銀行だった建物を3スクリーンを有する映画館に改造したとのことです。

以前は銀行の窓口だったと思われる一階ロビー。
カウンターは殺風景なほどシンプルです。
私はネットでチケット購入済みなので、その発券方法をスタッフのお姉さんに尋ねました。

接客カウンターの正面、つまり客の真後ろに発券用の機器が置かれていました。
他の劇場と同じようにメール内のバーコードを読み取り機に当てて券を取り出します。

この日の『シン・ゴジラ』のチケット。
整理番号は002。
この順番で入場することになるため、チケットを買うのが早ければ早いほど自分好みの良い席を確保することが出来るということです。

入場開始までまだ30分ほどあったので、明るいうちに建物周りを見て歩くことにしました。
正面入り口前には、銀行だった頃は駐車場だったと思われるスペースがあります。
しかし、映画を見に来た客がここに車を停めることは出来ません。

この場所には移動ホットドッグ屋さんが鎮座しています。
館内には飲食物を売る売店は無かったですから、この業者がその任を担っているのでしょう。

建物正面には2階(スクリーン2と3)へ通じる階段が伸びています。
階段は横にもう一つありました。
この正面階段の形状を工夫してホットドッグ屋をどかせば、このスペースに3~4台くらい駐車出来そうなのですがね。

2階へはエレベーターでも移動可能です。
ほとんどのお客はこのエレベーターで移動していました。

階段を登り切った(エレベーターを降りた)2階入り口部分。

2階にはスクリーン2とスクリーン3が入っています。
今回はスクリーン1のチケットしか持ってないのでこの中には入っていません。
みなみ会館にはこれから何度も来るつもりですからそのうち2や3で観ることもあるでしょう。

外の歩道に面した部分です。
壁の一部は大きな窓になっていて、道に向かって大画面モニターで予告編を映し出していました。

そのモニターを囲っているえんじ色の幕には見覚えが・・・?。

旧・みなみ会館のスクリーン上部にあったあの幕です。
こうした細かい部分に旧館の面影を残しているのですね。

その旧・みなみ会館跡地ではすでに新しい建物の建設工事が始まっていました。
作っているのは「店舗・診療所・事務所」などが入る地上四階地下一階の建物だそうです。
巖本金属(みなみ会館の運営会社)の建物らしいので、完成後はここの駐車場を一部みなみ会館の客用駐車場にしてくれると嬉しいのですがね。

と言うのも、現状では京都みなみ会館には駐車場が無いからです。
「みなみ会館で映画見たら●時間無料」とかの提携駐車場も無いようです。
近隣のコインパーキングを利用するしかないでしょう。
旧館は元パチンコ屋だっただけに隣に大きな駐車場がありましたが、同じ感覚で車で行くと戸惑うことになりそうです。

入場時間が近づいてきたので建物内に戻ります。
今のうちに用を足しておこうとトイレに入ってビックリしました。
(さすがに写真は撮ってないですが)私は今までこれほどきれいな映画館のトイレを見たことがありません
新装の建物だから奇麗なのは当然としても、映画館の男性トイレとしてはお洒落過ぎます。
こういった点にこそ館長が女性であることが現れているのですね。

この時間はまだ前のプログラム『未知との遭遇』を上映中でしたが、よく耳を澄ませない限り中の音はほとんど聴こえませんでした。
これならオールナイトで特撮怪獣映画を上映してもご近所迷惑にはならないでしょう(笑)。
やがて『未知との遭遇』が終了して観客たちが出てきました。
そして上映開始10分前にチケットの整理番号順に中に入ります。
私は整理番号2番だったのですが、この時なぜか1番の人がその場にいなかったため私が最初に中に入ることになりました。
おかげで、前から3列目のセンターライン上という最も私好みの良い席を確保することが出来ました。
(私はシネスコ画面が視界いっぱいにギリギリ収まるくらいのサイズで見るのが好きなのです)
私としてはこの上ない好条件での新・京都みなみ会館初体験となりました。o(^▽^)o

劇場内へは2重扉になっています。
その間の壁には・・・

京都みなみ会館の名物だったあの扉がありました。
今まで来訪した監督や俳優などゲストさんたちが残していったサインで埋め尽くされた扉です。
新館では扉としてではなくモニュメントとして壁に飾られていました。
これからみなみ会館にやって来るゲストさんたちはどこに足跡(サイン)を残すのかな?。

スクリーン1全景。
座席数は126と小ぶりですが、上映設備はデジタル/フィルムの両方を備えていて音響設備も必要十分です。
スクリーンに対して傾斜した面に椅子があり、しかも各列ごとに互い違いに配置されているため前の人の頭が邪魔になることがありません。

椅子は旧館と同じものとのことです。
私は旧館でのオールナイトに参加したときは補助椅子席だったためこの椅子に座れたのは最後の上映『シン・ゴジラ』の途中からだけでしたが、それでも身体にフィットして映画を観るのに最適な椅子だと感じた覚えがあります。
今回は最初から最後までこの椅子に身体を預けて『シン・ゴジラ』の劇場上映を楽しむことが出来ました。

スクリーンは当然真新しくて観ていて気持ちよかったです。
バーコ社の業務用デジタルプロジェクターの映像はすっきりとしていて見易く、この日見た『シン・ゴジラ』の映像をわが家のホームシアターの調整リファレンスにしたいとさえ思いました。
あと、音響も良かったです。
私が座った席(C-8)は前寄りの真正面だったこともあり、セリフがよく聴こえてしかも重低音が実に気持ちよく鳴るのです。
蒲田くんが二足歩行に進化するシーンではゴジラの咆哮が腹に響きました。
まさしく「凄い!、まるで進化だ!」状態でありました(笑)。
実は『シン・ゴジラ』は数週間前にも自宅の4Kブルーレイで観たばかりだったのですが、真新しい映画館で観る『シン・ゴジラ』はまた格別でありました。

こうして私は新・京都みなみ会館初体験を、考え得る限り最高の状態で迎えることが出来ました。
心残りがあるとしたら、会員登録をし忘れたことと、吉田館長に会えなかったことくらいです(笑)。
ありがとう。
そしてこれからもよろしく、京都みなみ会館さん!。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。