週刊映画鑑賞記(2019.10/21~2019.10/27)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
週の前半は少し体調を崩していたこともあり、長時間の映画を観る時間は取れませんでした。
きちんと観た作品は、総尺25分にも満たない古いTVの特撮番組1本だけです。
10/23(水)
『ウルトラQ』第12話「鳥を見た」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

じつはこれ、『ウルトラQ』全28話の中でも5本の指に入るほど好きなエピソードです。
<あらすじ>
ある晩、動物園から動物が一頭残らずいなくなるという事件が発生した。
「鳥を見た」と謎の言葉を残して息絶える飼育員。
同じ頃、漁村に1000年前の幽霊船が漂着する。
その航海日誌には「鳥を見た」という一文があった。
一方、村人から疎外されている孤独な少年:三郎は幽霊船から飛んできた小鳥と交流を深めていく。
クロウと名付けたその鳥の正体は・・・?。

今回私は、三郎が大人たちに責められる場面で不意に『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」を思い出してしまいました。
そのせいでしょうか?。
私は本編中に全く描かれていない三郎少年の生い立ちや彼を取り巻く環境がいかなるものなのかとても気になってしまったのです。

作中では三郎少年の生い立ちは全く語られません。
彼はなぜ一人ぼっちで暮らしているのか?。
村人たちはなぜ彼をのけ者にしているのか?。
そして彼の親は?。
1966年の作品ですから戦災孤児ではありません。
両親は漁に出て事故か何かで亡くなったのか?。
でも、それならば村人たちが彼に冷たく当たる理由が分かりません。
親は罪人かなにかで引き取り手がなく、ああやって一人で生きているのか?。
それとも・・・(公の場では書けませんが)「え●ひ●ん」などと呼ばれた人たちの末裔なのでしょうか?。

素性はともかく、三郎少年はそんな環境下にありながらも「いつかは王様になるんだ!」と夢を語ります。
しかし、彼が夢を語りかけた相手はただの小鳥ではありません。
その正体は危険極まりない肉食怪獣:ラルゲユウスなのです。

街を目茶苦茶に破壊して去っていくクロウ(ラルゲユウス)。
三郎君は涙ながらに叫びます。
「僕も一緒に連れてってくれ!」
そしてクロウを見送る三郎くんの後ろ姿に被せて優しい音色のエンディング曲が流れます。
さようならクロウ。
そして少年は大人になる・・・。
・・・・・・
いやいやいや、ちょっと待って!。
よくよく考えてみると、これってこんな抒情的な終わり方していい話じゃないですよ!。
クロウ・・・じゃなくてラルゲユウスは凶暴な肉食怪獣なのです。
ラルゲユウスが向かったあの空の向こうの街でその被害に遭うのは・・・これまで三郎くんを虐げた者たちに他なりません。
だから彼は「一緒に連れてって」欲しかったのでしょう。

「鳥を見た」は、脚本:山田正弘 x 監督:中川晴之助コンビによる三作品のうちの二本目です。
(放映は2本目ですが、脚本と制作は「鳥を見た」が一本目です)
山田・中川コンビの3作品の共通点は、どれも子供の視点を通してアンバランスゾーンを描いていることです。
ある大事件・大災害が起こったとして、それに関係した子供の視点に沿ってのみ描いているため、「その事件や災害によって大人社会がどうなってしまうのか?」なんて全然どうでもよいことなのです。
例えその正体が凶暴な肉食怪獣であっても、三郎くんにとってクロウはたった一人の大事な友達なのです。

『ウルトラQ』において特異な雰囲気を持つ山田・小川コンビのこの作風は、次の「カネゴンの繭」で真骨頂を迎えることになります。
ところで・・・。

ウチの嫁は、すべすべお肌にきらきらお目目の三郎くんを見て「キャーこの子かわいい」と妙に喜んでおりました(笑)。
三郎役を演じたのは『ウルトラマン』のホシノ少年役でお馴染みの津沢彰秀さん。
津沢さんは今年65歳(ゴジラと同い年)。
ネットで現在のお姿を見ることも可能ですが、それは嫁には見せないようにします。
乙女の夢(腐女子の妄想とも云う)を木っ端微塵に打ち砕いてもいいことなんか何も無いですから(笑)。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。