週刊映画鑑賞記(2019.12/9~2019.12/15) 『クラッシャージョウ』『ヴィナス戦記』、『ウルトラQ⑲』、『ダーク・クリスタルAОR⑩』
CATEGORY週刊映画鑑賞記
トガジンです。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております
12/9(月)
『ヴィナス戦記』『クラッシャージョウ』
(劇場:京都みなみ会館)

この日は京都で『ヴィナス戦記』と『クラッシャージョウ』の2本を見てきました。
どちらも80年代に作られた安彦良和監督のアニメーション作品です。
『クラッシャー』は36年ぶり、『ヴィナス』は30年ぶりに劇場で鑑賞しました。
この2本を続けて見た感想は先日の記事に書いていますのでそちらをご覧ください。
今回は先日の記事でカットした話を書き留めておきます。

私が好きな映画やTV番組を思い出すときには、いつもその映画のテーマ曲もペアになって甦ってきます。
(以下敬称略)
伊福部昭の『ゴジラ』
宮川泰の『宇宙戦艦ヤマト』
渡辺宙明の『宇宙刑事』
ジョン・ウィリアムスの『スター・ウォーズ』『レイダース』
ジェリー・ゴールドスミスの『スター・トレック』
トレヴァー・ジョーンズの『ダーク・クリスタル』
等々・・・

前田憲男による劇場版『クラッシャージョウ』も間違いなくその一つ。
今回の上映では京都みなみ会館の音響設備のおかげもあってクリアな音で映画を楽しめました。
前田さんがアニメや映画の劇伴を担当した作品は非常に少ないです。
アニメ・特撮関係に限っていえば『スター・ウルフ』(これ好きでした~)、ОVA『リカちゃん』、そしてこの『クラッシャー・ジョウ』くらいしかないようです。
しかし、ご本人は元々マンガやアニメがお好きだったそうで、パンフレットには「前から一度やってみたかった分野なので望みが叶って嬉しい」とノリノリで作曲・演奏した旨のコメントが掲載されていました。
今回の上映ではその楽曲の数々も京都みなみ会館の音響設備のおかげでクリアな音質で楽しめました。
しかし・・・。
当日帰宅して前田憲男先生の近況を調べてみたところ、なんと昨年11月にお亡くなりになっていたそうです。
前にググったのは『ジョウ』のブルーレイを買った3年前でしたが、その時は私の母校大阪芸大音楽学部の教授になられていると知ってなんだか誇らしい気持ちになったものでした。
遅まきながら前田憲男先生のご冥福をお祈り申し上げます。

こちらにも今は亡き声優さんが多々出演されていました。
あれからまだ30年しか経っていないというのに・・・。

主人公のガールフレンド:マギー役の水谷優子さん。
『エースをねらえ!2』の2代目岡ひろみや『ブラック・ジャック』のピノコなど出崎統監督作品に数多く出演していた方ですが、3年前(2016年)に51歳の若さで逝去されました。
出崎アニメの大ファンだった妻が、出崎監督が死去されたときと同じくらいショックを受けていたのを思い出します。
しかも、水谷さんは私と同い年の方だったのですよ・・・。

敵軍のボス:ドナー役の塩沢兼人さん。
2000年、自宅内で不慮の事故により逝去されました。
『ガンダム』のマ・クベ、『クレヨンしんちゃん』のぶりぶりざえもんなどが有名ですが、私は『ルパン三世 風魔一族の陰謀』で一度だけ演じた塩沢さんの石川五右エ門が好きでした。

主人公たちが所属するキラー・コマンドゥーズのオーナー:ガリー役の納谷悟朗さん。
私の世代では『宇宙戦艦ヤマト』の沖田館長、『ルパン三世』の銭形警部、『仮面ライダー』のショッカー首領、『新造人間キャシャーン』のナレーションなど、子供の頃この人の声を聞かなかった日はなかったんじゃないか?と思うくらい馴染み深い声優さんでした。
『ヴィナス』は納谷さんが胃の手術を受けて声が出しくくなってきた頃の出演作で、(失礼ながら)活舌と声の張りがあまり良くなかったように思います。
そのため、老いた先輩が若者に送った「生きろ!」というセリフがBGMや爆音にかき消されてしまい、結果として主人公の周囲に理解ある大人が一人もいない映画に見えてしまって不完全燃焼感があったのです。
しかし、今回は新・京都みなみ会館での再上映でそのセリフをしっかりと聴き取ることが出来ました。
病気明けの納谷さんが渾身の力で送ったメッセージを、30年越しで受け取れた気がします。
12/11(水)
『ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

冒頭タイトルバックはネガ反転した映像です。
映っているのはそれまでの会議シーンの続きなのですが、ネガポジ反転しただけでこうも不気味な画に変わるのですね。
その後本編に入ると通常のポジ映像に変わりますが、この時の強烈な印象がその後起こる事件の怖さを引き立てます。

各地で人間が消えるという怪事件が続発します。
その場面では消える人の部分だけをネガ反転して表現しているため、冒頭シーンに感じた不気味さを思い出させてくれます。
ところで、プールで飛込みしながら人が消えるこのカット。
当時はカメラ移動する中での合成は相当難しかったはずですが完璧です。
どうやって作ったのでしょうかね。

途中、なんと『ウルトラQ』の主役であるはずの万城目まで消えてしまいます。
この人間消滅時には必ずスライム状の液体が人体に触れていますが、これが『美女と液体人間』(’58)の引用であることは間違いありません。

実は万城目を演じる佐原健二さんはその『美女と液体人間』にも液体人間を追う科学者役で出演していました。
これは私の推測にすぎませんが、液体に触れると人間が消滅するという『美女と液体人間』によく似た話を同じ俳優さんを主役に据えて作ることを避けたかったんじゃないでしょうか?。

主人公の万城目が早々に退場し、天野二佐と一平がコンビを組んで人間消失事件の謎を追います。
その天野さんの頼もしいことといったら!。
それもそのはず、天野二佐役は後番組『ウルトラマン』でムラマツキャップを演じることになる小林昭二さんなのです。
超常現象に真正面から立ち向かう強固な意志力と、時折見せるユーモアはムラマツキャップと相通じるものがあります。

ケムールの陰謀に気づいてしまった由利子を護衛する老刑事:宇田川。
演じるのは『ウルトラQ』最終回「あけてくれ!」で主役を張った柳谷寛さんです。
特撮ものにも出演作が多くて私も大好きな俳優さんです。
「よぼよぼのお爺ちゃん」と初対面ながら失礼三昧な由利子に対し、「年はとっていますがよぼよぼは余計でしたな」と大人の対応を見せてくれる粋なおじい・・・刑事さんです。

一瞬の隙をつかれて連れ去られた由利子はなぜか遊園地にいました。
そこへ宇田川刑事も何かの装置を使って追ってきます。
宇田川はケムールの陰謀を事前に察知した神田博士の親友で、おそらく博士から託された何らかの探知装置を使っていたものと思われます。
(出来ればこの装置についての説明もあってくれたら分かりやすかったと思います)

そして、ついにケムール人が姿を現します。
『ウルトラQ』を全話通して見るのは今回が6回目(7回目だったかも?)なのですが、私はこれまでずっとケムール人の設定を勘違いしていたようです。
私はてっきり西暦2020年からやってきた変わり果てた未来の地球人だと思い込んでいたのです。
でもそれだと、2020年からたった54年前(『ウルトラQ』放映時)の過去から人をさらったりなんかしたら2020年の歴史にも影響を及ぼしかねないはずだと疑問にも思っていました。
しかし、今回セリフをよく聞くと「2020年という未来の時間を持つ星」(ケムール星?)の異星人だったようです。
つまり、同じ2020年という時を歩んだケムール人を地球人になぞらえていたのですね。
「来年がその2020年」という気分で見ていたのでこれにはちょっとガッカリしましたが、今更ながら「2020年への挑戦」というタイトルの意味が理解できた気がしてスッキリしました。

「発達した医療により高度な知能や長寿を得た」ケムール人は走るのもめっちゃ早いです。
それでもやっぱり生身の身体が欲しいんですねえ。

私、思わず『ヤマトよ永遠に』の暗黒星団帝国の連中を思い出してしまいました。
もっとも、こいつらは生身の身体が欲しいとか言いながら地球人を殺しまくってましたが・・・。

弱点である頭を撃たれたケムール人は、それまでの等身大からムクムク巨大化して暴れ始めます。
今では特撮ものの定番ともいえる敵の巨大化攻撃ですが、この黄金パターンは特撮史上ケムール人が最初です。
そしてこれが次の『ウルトラマン』に繋がっていったことは間違いありません。
ただ、最初であるだけにケムール人の巨大化方法はちょっと変わっていて、それまで人間転送に使っていた液体を自分の身体にふりかけて一度消滅したうえで巨大化しています。
これはつまり一度自分の元居た世界に逃げ帰り、より巨大な身体に換装して(だってサイボーグですから)仕返しにきたのではないでしょうか?
それだとまるで街のチンピラみたいですが、観覧車を投げつけたりとやることがやたら幼稚なのでそんな風に思ってしまうのです。

その後、天野二佐と一平の活躍によりケムール人は退治されて連れ去られた人たちも無事戻ってきました。
見終わって気になるのは、小説「2020の挑戦」を書いてケムール人の陰謀を警告したとされる神田博士が最後まで姿を見せなかったことです。
ラストのコーカップに乗って帰ってきた人たちの中にいたのかも知れませんが、親友だったという宇田川刑事との再会シーンはありません。
神田博士をあえて作中に出さなかった意図について飯島監督に伺ってみたいです。

飯島監督のお話では、宇田川刑事が水溜まりに足を突っ込んで消えてしまうあのラストシーンは元々台本にはなかったもので、現場での思い付きで急遽決まったものだそうです。
もしかすると、脚本ではこの部分に宇田川と神田博士との再会シーンがあったのかも知れません。
12/14(土)
『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス』第10話🈡

(49インチ4K液晶テレビ:NETFLIX)
8月末に配信開始した全10話のシリーズですが、この日ようやく全話見終わりました。
映像面は本当に素晴らしくて満足度120%でしたが、シリーズ後半は毎回一人づつ主要キャラクターが死んでいくという『無敵超人ザンボット3』状態だったため続けて見るのがちょっと辛かったです。
それに「見終わった」と言ってもまだ完結はしていません。
数十年後のストーリーである映画版『ダーククリスタル』に登場する将軍が死んでしまいましたし、ゲルフリン族はスケクシスに対して反旗を翻し戦う気まんまんです。
まだシーズン2制作の報はありませんが、いつか必ずこの続きを見せてもらいたいと思っております。

このシリーズで一つだけ不満があるとすれば、それは音楽担当がトレヴァー・ジョーンズ氏でなかったことです。
一応、第一話と最終回にそれぞれ1フレーズだけオリジナル版のメロディが流れましたが、本編のBGM自体は全く新しく作られたものでした。
楽曲自体は悪くないのですが、私の脳裏に焼き付いた『ダーククリスタル』の音ではありません。
せっかく旧作と同じパペットで全編貫くことにしたのであれば、音楽もまたトレヴァー・ジョーンズ氏に担当していただきたかったと思います。
ジョーンズ氏登板が無理ならせめてあのメロディラインを生かした楽曲にしてくれるだけでも構いません。
上の『クラッシャー・ジョウ』の記事にも書いた通り、わたしにとって『ダーク・クリスタル』という映画はパペットキャラクターによる特異な世界観とあのトレヴァー・ジョーンズ氏の官能的な楽曲が一つになって深く心に刻まれた作品なのですから。
『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンスの裏側』

(49インチ4K液晶テレビ:NETFLIX)
最終回を見終わってすぐ、(まだエンディングの途中だというのに)勝手にこのメイキング番組が始まってしまいました。
(一応選択画面は出るのですがリモコンを探してる間に切り替わってしまった)
もう少し余韻に浸らせて欲しかったです(笑)。
当初はパペットでは予算がかかりすぎるとしてアニメーション作品として企画された『ダーク・クリスタル』前日譚でしたが、出資元のNETFLIXから「パペットでいく以外選択肢はない」と言われたそうです。
途中のパイロットフィルムではゲルフリンをCGで作ってみたりしましたが、NETFLIXからはどんなに制作費がかかっても全部パペットで作るべきだとのお達しが!。
このNETFLIX担当者の男気が嬉しいです。(ちょっとオネエっぽい人でしたが)
その後集まったスタッフたちの『ダーク・クリスタル』愛によってこのシリーズ(1期)が完成したのですね。
NETFLIXの2期制作可否基準がどんなものかは知りませんが、ここまでファンを焚きつけた以上最後まで制作を続けていたDきたいものです。

昨日、『シン・ウルトラマン』(監督:樋口真嗣、企画・脚本:庵野秀明)に登場するウルトラマンのデザインが発表になりました。
古谷敏さんが演じた初代に近いスタイルですが、ウルトラマンに付きもののカラータイマーがありません。
あと、顔部分が小さくて分かりにくいですが目の下部にあったのぞき穴も無いようです。
このデザインはいろいろ物議を醸しだしているようですが、実は私はこんなウルトラマン像こそが見たかったのです。

そもそもウルトラマンをデザインした成田亨先生の絵にはカラータイマーも覗き穴も背中のファスナーを隠すヒレもありません。
カラータイマーというのは、特撮シーンを作れるのは1番組あたり3分が限度というギャップを逆に生かしてタイムリミットという要素を盛り込むためのものでした。
また、目の覗き穴とファスナーは人が着るものである以上仕方なく付けたものです。
しかし、デジタル時代のウルトラマンなら生みの親である成田先生の意図したものを完全に映像化することが可能です。
「ウルトラマンにカラータイマーがあるのが当たり前」とか「黒目がないと気持ち悪い」とかいった既成概念は捨てて、企画当時にクリエイターたちが夢想したであろう真のウルトラマン像の降臨を楽しみに待つといたしましょう。

あとこれも。
年末公開の映画『仮面ライダー令和ザ・ファースト・ジェネレーション』に出てくるらしいのですが、これって敵なんですかね?。
見に行きたいですが、『ジオウ』も『ゼロワン』もTVシリーズを見てないので敷居が高いんですよね~。
それにしてもこのデザイン・・・。
「身障者に対する侮辱だ」とか抗議して上映禁止にさせようとする輩が沸いて出てこなければいいのですが。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております
12/9(月)
『ヴィナス戦記』『クラッシャージョウ』
(劇場:京都みなみ会館)

この日は京都で『ヴィナス戦記』と『クラッシャージョウ』の2本を見てきました。
どちらも80年代に作られた安彦良和監督のアニメーション作品です。
『クラッシャー』は36年ぶり、『ヴィナス』は30年ぶりに劇場で鑑賞しました。
この2本を続けて見た感想は先日の記事に書いていますのでそちらをご覧ください。
今回は先日の記事でカットした話を書き留めておきます。

私が好きな映画やTV番組を思い出すときには、いつもその映画のテーマ曲もペアになって甦ってきます。
(以下敬称略)
伊福部昭の『ゴジラ』
宮川泰の『宇宙戦艦ヤマト』
渡辺宙明の『宇宙刑事』
ジョン・ウィリアムスの『スター・ウォーズ』『レイダース』
ジェリー・ゴールドスミスの『スター・トレック』
トレヴァー・ジョーンズの『ダーク・クリスタル』
等々・・・

前田憲男による劇場版『クラッシャージョウ』も間違いなくその一つ。
今回の上映では京都みなみ会館の音響設備のおかげもあってクリアな音で映画を楽しめました。
前田さんがアニメや映画の劇伴を担当した作品は非常に少ないです。
アニメ・特撮関係に限っていえば『スター・ウルフ』(これ好きでした~)、ОVA『リカちゃん』、そしてこの『クラッシャー・ジョウ』くらいしかないようです。
しかし、ご本人は元々マンガやアニメがお好きだったそうで、パンフレットには「前から一度やってみたかった分野なので望みが叶って嬉しい」とノリノリで作曲・演奏した旨のコメントが掲載されていました。
今回の上映ではその楽曲の数々も京都みなみ会館の音響設備のおかげでクリアな音質で楽しめました。
しかし・・・。
当日帰宅して前田憲男先生の近況を調べてみたところ、なんと昨年11月にお亡くなりになっていたそうです。
前にググったのは『ジョウ』のブルーレイを買った3年前でしたが、その時は私の母校大阪芸大音楽学部の教授になられていると知ってなんだか誇らしい気持ちになったものでした。
遅まきながら前田憲男先生のご冥福をお祈り申し上げます。

こちらにも今は亡き声優さんが多々出演されていました。
あれからまだ30年しか経っていないというのに・・・。

主人公のガールフレンド:マギー役の水谷優子さん。
『エースをねらえ!2』の2代目岡ひろみや『ブラック・ジャック』のピノコなど出崎統監督作品に数多く出演していた方ですが、3年前(2016年)に51歳の若さで逝去されました。
出崎アニメの大ファンだった妻が、出崎監督が死去されたときと同じくらいショックを受けていたのを思い出します。
しかも、水谷さんは私と同い年の方だったのですよ・・・。

敵軍のボス:ドナー役の塩沢兼人さん。
2000年、自宅内で不慮の事故により逝去されました。
『ガンダム』のマ・クベ、『クレヨンしんちゃん』のぶりぶりざえもんなどが有名ですが、私は『ルパン三世 風魔一族の陰謀』で一度だけ演じた塩沢さんの石川五右エ門が好きでした。

主人公たちが所属するキラー・コマンドゥーズのオーナー:ガリー役の納谷悟朗さん。
私の世代では『宇宙戦艦ヤマト』の沖田館長、『ルパン三世』の銭形警部、『仮面ライダー』のショッカー首領、『新造人間キャシャーン』のナレーションなど、子供の頃この人の声を聞かなかった日はなかったんじゃないか?と思うくらい馴染み深い声優さんでした。
『ヴィナス』は納谷さんが胃の手術を受けて声が出しくくなってきた頃の出演作で、(失礼ながら)活舌と声の張りがあまり良くなかったように思います。
そのため、老いた先輩が若者に送った「生きろ!」というセリフがBGMや爆音にかき消されてしまい、結果として主人公の周囲に理解ある大人が一人もいない映画に見えてしまって不完全燃焼感があったのです。
しかし、今回は新・京都みなみ会館での再上映でそのセリフをしっかりと聴き取ることが出来ました。
病気明けの納谷さんが渾身の力で送ったメッセージを、30年越しで受け取れた気がします。
12/11(水)
『ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

冒頭タイトルバックはネガ反転した映像です。
映っているのはそれまでの会議シーンの続きなのですが、ネガポジ反転しただけでこうも不気味な画に変わるのですね。
その後本編に入ると通常のポジ映像に変わりますが、この時の強烈な印象がその後起こる事件の怖さを引き立てます。

各地で人間が消えるという怪事件が続発します。
その場面では消える人の部分だけをネガ反転して表現しているため、冒頭シーンに感じた不気味さを思い出させてくれます。
ところで、プールで飛込みしながら人が消えるこのカット。
当時はカメラ移動する中での合成は相当難しかったはずですが完璧です。
どうやって作ったのでしょうかね。

途中、なんと『ウルトラQ』の主役であるはずの万城目まで消えてしまいます。
この人間消滅時には必ずスライム状の液体が人体に触れていますが、これが『美女と液体人間』(’58)の引用であることは間違いありません。

実は万城目を演じる佐原健二さんはその『美女と液体人間』にも液体人間を追う科学者役で出演していました。
これは私の推測にすぎませんが、液体に触れると人間が消滅するという『美女と液体人間』によく似た話を同じ俳優さんを主役に据えて作ることを避けたかったんじゃないでしょうか?。

主人公の万城目が早々に退場し、天野二佐と一平がコンビを組んで人間消失事件の謎を追います。
その天野さんの頼もしいことといったら!。
それもそのはず、天野二佐役は後番組『ウルトラマン』でムラマツキャップを演じることになる小林昭二さんなのです。
超常現象に真正面から立ち向かう強固な意志力と、時折見せるユーモアはムラマツキャップと相通じるものがあります。

ケムールの陰謀に気づいてしまった由利子を護衛する老刑事:宇田川。
演じるのは『ウルトラQ』最終回「あけてくれ!」で主役を張った柳谷寛さんです。
特撮ものにも出演作が多くて私も大好きな俳優さんです。
「よぼよぼのお爺ちゃん」と初対面ながら失礼三昧な由利子に対し、「年はとっていますがよぼよぼは余計でしたな」と大人の対応を見せてくれる粋なおじい・・・刑事さんです。

一瞬の隙をつかれて連れ去られた由利子はなぜか遊園地にいました。
そこへ宇田川刑事も何かの装置を使って追ってきます。
宇田川はケムールの陰謀を事前に察知した神田博士の親友で、おそらく博士から託された何らかの探知装置を使っていたものと思われます。
(出来ればこの装置についての説明もあってくれたら分かりやすかったと思います)

そして、ついにケムール人が姿を現します。
『ウルトラQ』を全話通して見るのは今回が6回目(7回目だったかも?)なのですが、私はこれまでずっとケムール人の設定を勘違いしていたようです。
私はてっきり西暦2020年からやってきた変わり果てた未来の地球人だと思い込んでいたのです。
でもそれだと、2020年からたった54年前(『ウルトラQ』放映時)の過去から人をさらったりなんかしたら2020年の歴史にも影響を及ぼしかねないはずだと疑問にも思っていました。
しかし、今回セリフをよく聞くと「2020年という未来の時間を持つ星」(ケムール星?)の異星人だったようです。
つまり、同じ2020年という時を歩んだケムール人を地球人になぞらえていたのですね。
「来年がその2020年」という気分で見ていたのでこれにはちょっとガッカリしましたが、今更ながら「2020年への挑戦」というタイトルの意味が理解できた気がしてスッキリしました。

「発達した医療により高度な知能や長寿を得た」ケムール人は走るのもめっちゃ早いです。
それでもやっぱり生身の身体が欲しいんですねえ。

私、思わず『ヤマトよ永遠に』の暗黒星団帝国の連中を思い出してしまいました。
もっとも、こいつらは生身の身体が欲しいとか言いながら地球人を殺しまくってましたが・・・。

弱点である頭を撃たれたケムール人は、それまでの等身大からムクムク巨大化して暴れ始めます。
今では特撮ものの定番ともいえる敵の巨大化攻撃ですが、この黄金パターンは特撮史上ケムール人が最初です。
そしてこれが次の『ウルトラマン』に繋がっていったことは間違いありません。
ただ、最初であるだけにケムール人の巨大化方法はちょっと変わっていて、それまで人間転送に使っていた液体を自分の身体にふりかけて一度消滅したうえで巨大化しています。
これはつまり一度自分の元居た世界に逃げ帰り、より巨大な身体に換装して(だってサイボーグですから)仕返しにきたのではないでしょうか?
それだとまるで街のチンピラみたいですが、観覧車を投げつけたりとやることがやたら幼稚なのでそんな風に思ってしまうのです。

その後、天野二佐と一平の活躍によりケムール人は退治されて連れ去られた人たちも無事戻ってきました。
見終わって気になるのは、小説「2020の挑戦」を書いてケムール人の陰謀を警告したとされる神田博士が最後まで姿を見せなかったことです。
ラストのコーカップに乗って帰ってきた人たちの中にいたのかも知れませんが、親友だったという宇田川刑事との再会シーンはありません。
神田博士をあえて作中に出さなかった意図について飯島監督に伺ってみたいです。

飯島監督のお話では、宇田川刑事が水溜まりに足を突っ込んで消えてしまうあのラストシーンは元々台本にはなかったもので、現場での思い付きで急遽決まったものだそうです。
もしかすると、脚本ではこの部分に宇田川と神田博士との再会シーンがあったのかも知れません。
12/14(土)
『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス』第10話🈡

(49インチ4K液晶テレビ:NETFLIX)
8月末に配信開始した全10話のシリーズですが、この日ようやく全話見終わりました。
映像面は本当に素晴らしくて満足度120%でしたが、シリーズ後半は毎回一人づつ主要キャラクターが死んでいくという『無敵超人ザンボット3』状態だったため続けて見るのがちょっと辛かったです。
それに「見終わった」と言ってもまだ完結はしていません。
数十年後のストーリーである映画版『ダーククリスタル』に登場する将軍が死んでしまいましたし、ゲルフリン族はスケクシスに対して反旗を翻し戦う気まんまんです。
まだシーズン2制作の報はありませんが、いつか必ずこの続きを見せてもらいたいと思っております。

このシリーズで一つだけ不満があるとすれば、それは音楽担当がトレヴァー・ジョーンズ氏でなかったことです。
一応、第一話と最終回にそれぞれ1フレーズだけオリジナル版のメロディが流れましたが、本編のBGM自体は全く新しく作られたものでした。
楽曲自体は悪くないのですが、私の脳裏に焼き付いた『ダーククリスタル』の音ではありません。
せっかく旧作と同じパペットで全編貫くことにしたのであれば、音楽もまたトレヴァー・ジョーンズ氏に担当していただきたかったと思います。
ジョーンズ氏登板が無理ならせめてあのメロディラインを生かした楽曲にしてくれるだけでも構いません。
上の『クラッシャー・ジョウ』の記事にも書いた通り、わたしにとって『ダーク・クリスタル』という映画はパペットキャラクターによる特異な世界観とあのトレヴァー・ジョーンズ氏の官能的な楽曲が一つになって深く心に刻まれた作品なのですから。
『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンスの裏側』

(49インチ4K液晶テレビ:NETFLIX)
最終回を見終わってすぐ、(まだエンディングの途中だというのに)勝手にこのメイキング番組が始まってしまいました。
(一応選択画面は出るのですがリモコンを探してる間に切り替わってしまった)
もう少し余韻に浸らせて欲しかったです(笑)。
当初はパペットでは予算がかかりすぎるとしてアニメーション作品として企画された『ダーク・クリスタル』前日譚でしたが、出資元のNETFLIXから「パペットでいく以外選択肢はない」と言われたそうです。
途中のパイロットフィルムではゲルフリンをCGで作ってみたりしましたが、NETFLIXからはどんなに制作費がかかっても全部パペットで作るべきだとのお達しが!。
このNETFLIX担当者の男気が嬉しいです。(ちょっとオネエっぽい人でしたが)
その後集まったスタッフたちの『ダーク・クリスタル』愛によってこのシリーズ(1期)が完成したのですね。
NETFLIXの2期制作可否基準がどんなものかは知りませんが、ここまでファンを焚きつけた以上最後まで制作を続けていたDきたいものです。

昨日、『シン・ウルトラマン』(監督:樋口真嗣、企画・脚本:庵野秀明)に登場するウルトラマンのデザインが発表になりました。
古谷敏さんが演じた初代に近いスタイルですが、ウルトラマンに付きもののカラータイマーがありません。
あと、顔部分が小さくて分かりにくいですが目の下部にあったのぞき穴も無いようです。
このデザインはいろいろ物議を醸しだしているようですが、実は私はこんなウルトラマン像こそが見たかったのです。

そもそもウルトラマンをデザインした成田亨先生の絵にはカラータイマーも覗き穴も背中のファスナーを隠すヒレもありません。
カラータイマーというのは、特撮シーンを作れるのは1番組あたり3分が限度というギャップを逆に生かしてタイムリミットという要素を盛り込むためのものでした。
また、目の覗き穴とファスナーは人が着るものである以上仕方なく付けたものです。
しかし、デジタル時代のウルトラマンなら生みの親である成田先生の意図したものを完全に映像化することが可能です。
「ウルトラマンにカラータイマーがあるのが当たり前」とか「黒目がないと気持ち悪い」とかいった既成概念は捨てて、企画当時にクリエイターたちが夢想したであろう真のウルトラマン像の降臨を楽しみに待つといたしましょう。

あとこれも。
年末公開の映画『仮面ライダー令和ザ・ファースト・ジェネレーション』に出てくるらしいのですが、これって敵なんですかね?。
見に行きたいですが、『ジオウ』も『ゼロワン』もTVシリーズを見てないので敷居が高いんですよね~。
それにしてもこのデザイン・・・。
「身障者に対する侮辱だ」とか抗議して上映禁止にさせようとする輩が沸いて出てこなければいいのですが。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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