週刊映画鑑賞記(2020.1/13~2020.1/19) 『フォードvsフェラーリ』『ウルトラQ第23話』
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
1/13(月)
『フォードvsフェラーリ』(DolbyCinema)
(劇場:梅田ブルク7)

先日の記事に書いた通り、13日は大阪梅田までドルビーシネマを体験しに行ってきました。
そこで観た一本がこの『フォードvsフェラーリ』なのですが、ドルビーシネマがどうこうとか言う前に映画としてめちゃめちゃ面白かったです。

私は特に「車が好き」という人間ではありません。
車なんてものは中高生時代の自転車と同じで毎日の通勤やドライブに使う道具でしかありません。
買うときも最も重視するのは「燃費」であって、「速い」とか「カッコ良い」なんてのはどーでもよいことなのです。
(ちなみに今乗っているのは私がホンダのFITで嫁はトヨタのアクアです。)

そんな私がこの映画に興味を持ったきっかけは、(確かWOWOWで放映していた「Hollywood Express」だったと思いますが)この作品のレースシーンが全て実写によるスタントで作られているということを知ったからでした。

私もCGにはもう飽きてきているのですかね。
プロのスタントマンの鍛えぬいた技。
プロの撮影集団の綿密な段取りと技術。
それらが組み合わさって生み出される「本物の迫力」が見たかったのです。

実は私、最初はこの映画のことを誤解しておりました。
予告編を見て「酒飲んで殴りあって男の友情する恥ずかしいタイプのストーリー」だと思っていたのであります。
だからストーリーには期待もしていませんでしたし、観る前に史実や関係人物について調べることもしていません。

そんな白紙の状態で見たのが良かったと思います。
この映画で描かれる男同士の友情話がストンと腑に落ちてきました。
(しかし、もし後のマイルズの事故死を知っていたら見え方が変わって素直には楽しめなかったかも知れません。)

この映画はタイトルで損してる気がしますね。
『フォードvsフェラーリ』というのは背景でしかありません。
内容はむしろ「フォード副社長vs現場のシェルビー&マイルズ」でした。
奔放なマイルズが気に入らない副社長レオ・ビーブは現場に対して「マイルズを降ろせ」「本社チームに勝ちを譲れ」と事あるごとに理不尽な圧力をかけてきます。
このシチュエーションには無能な上司の点数稼ぎ目的の無茶ブリに日夜苦労されてるサラリーマンの方々はさぞシンパシーを感じたことでしょう。
こうした状況は実は映画やテレビ番組を作ってる最中にもよくあるんですよね。
現場経験の全くないスポンサーや会社のお偉方の中には、「こんな場面があるといいんじゃないか?」とか「わしのお気入りのあの女優を出せ」とか現場の状況もわきまえず(金は出さずに)口ばかり出して現場を(さらには作品そのものを)混乱させてしまう馬鹿者がいるのです。
そう思いながら観ていると、最高権力者であるスポンサーやプロデューサーの圧力によっていつも自由な創作が出来ずに悶々としているクリエイターたちの怨念が見えてくるようであります(笑)。
ただし、実際のレオ・ビーブ副社長はこの映画で描かれているような嫌な人物ではなく、それどころかとても人望の厚い方だったそうです。
制作者側としてはポジション的に悪役に仕立て易かっただけだったのでしょう。
(レースに詳しいはずはないので、実際に的外れな要望を出したこともあったかも知れませんが)
それにしても・・・よくご遺族から名誉棄損とかで訴えられなかったものだと思いますね(笑)。

あと、殴り合いで男の友情する恥ずかしいシーンも確かにありましたけど、それがスマートに見えるのはマイルズとシェルビーという二人の主人公のキャラが立っていたことと、間に立ったマイルズの奥さんが粋で素敵だったことです。
この奥さんを演じたカトリーナ・バルフさんが結構好みのタイプで良かったです。
今まで見た記憶がない人だと思って調べてみたら、『スーパー8』に主人公の死んだ母親でチラッとだけ出ていました。
あとNETFLIXの『ダーク・クリスタル エイジ・オブ・レジスタンス』にゲルフリンの第2王女役で出ていたのですけど、これは声の出演でありしかも私は日本語吹き替え版で見ていたため、やはり私にはこれまで馴染みのない女優さんでした。
これからは是非(私がよく見る)SFやアクションものにも出演していただきたい女優さんです。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(DolbyCinema 3D)
(劇場:梅田ブルク7)

もう一本のこちらの作品については以前の記事をご参照ください。
>『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』観てきました (2019/12/25)
今回3度目でしたが、やはりベンの父親登場と反乱軍が結集するクライマックスシーンでは思わず嗚咽をもらしてしまいました。
「ベタだ」とか「あざとい」とか言われてますが、本作が『スター・ウォーズ』ファンのツボを上手く突いてくる映画であることは間違いないです(笑)。
1/16(木)
『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

「南海の怒り」は間違いなく初代『ゴジラ』をリスペクトしていると思っています。
舞台はミクロネシアのコンパス島。
そして、主人公雄三が乗っていた漁船の名は第5太平洋丸。

昭和29年。
第5福竜丸に死の灰を浴びせたのは、ミクロネシアのマーシャル諸島にあったビキニ環礁での核実験でした。
また1991年公開の『ゴジラvsキングギドラ』では、ゴジラの素体であるゴジラザウルスが生息していたのはマーシャル諸島のラゴス島となっています。
「南海の怒り」の舞台であるミクロネシアはまさにゴジラ誕生の地なのです。

また、ミクロネシアは太平洋戦争時日本の統治下にあったため、クェゼリン・サイパン・グァムなどの部隊が玉砕するなど大勢の日本人兵士が無念の死を遂げた場所でもあるのです。
その事実を知っていれば、ここで誕生したゴジラに死んだ日本兵の英霊が宿ったというゴジラ英霊論にも筋が通ります。

「南海の怒り」の設定はこれほどまでに『ゴジラ』と符合しています。
もしかするとスダールもビキニ環礁の核実験で巨大化したタコなのかも知れません。

ヒロイン:アニタ役を演じた高橋紀子さん。
同じ年の映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』にもチョイ役で出演していた可愛い方です

高橋さんはこのあと『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』にヒロイン:ダヨ役で出演するはずでしたが、急病のために撮影途中で降板されてしまいました。
(↑中央にいる高橋さん、かなり具合が悪そうな表情をしています)

その代役を務めたのは高橋さんより10歳も年上の水野久美さんでした。
水野さんは当時19歳だった高橋さんのイメージで書かれたダヨ役をそのまま一切設定変更することなく演じ切ってしまいました。
これは特撮ファンには有名な話です。

しかし・・・。
高橋さんが「南海の怒り」に出演することになったのも、実は元々想定していた別の女優さんの代役としてだったのです。

脚本の段階でアニタ役に想定されていたのはハワイアン歌手の日野てる子さんでした。
南沙織のような黒髪(スミマセン、昭和30~40年代生まれ以外の方を置いてけぼりにしております・・・)に大きなハイビスカスの花を挿した独特の南国スタイルで当時とても人気があった方です。
日野さんがアニタ役を断った理由は不明です。
スケジュールの都合か?。
体調が悪かったのか?。
当時はまだ海のものとも山のものともつかない特撮番組に警戒心を持ったのか?。
あるいは1月の寒い季節に水着姿で屋外撮影(しかも海辺!)というのがイヤだったからか?。
いずれにしても、日野てる子さんの代役としてアニタ役を好演した高橋紀子さんが、その後同じ南の島ものである『南海の大決闘』を降板したというのもなんだか皮肉な気がしますね。

一つ腑に落ちないのは「俺が一人前の漁師になることを楽しみにしていた」という父の願いを忘れて島の娘と一緒になる道を選んだ(演:久保明)雄三のことです。
初めて観たときは思わず「お前、父親の跡を継いで立派な漁師になるんちゃうんかい!」と突っ込んだものでした(笑)。
1/19(日)
『麒麟がくる』第1話
(49インチ4K液晶テレビ:NHK総合)

今日、風呂上がりに居間を通ると、母と嫁が並んで大河ドラマ『麒麟がくる』を見ておりました。
ちょうど始まったばかりだったので私も加わってそのまま最後まで見てしまいました。
4Kで撮影されたという映像は確かに奇麗でしたが、色彩が異常なほどに鮮やかで人工的な印象もありました。
少し「色の濃さ」を下げて見たほうが良さそうな気がします

母は一昨年の朝ドラ『まんぷく』がお気に入りだったらしく、あれ以来長谷川博己さんがドラマやCMに出てくるたびに「あら、まんぺいさんの人や!。」と言うので困っております。
母はいつも俳優さんの名前ではなく一番印象に残った役名で覚えているのです。
以前TVで『シン・ゴジラ』を観ていた時にも「まんぺいさんや!。」と言うもので、そのあと「矢口プラン」が「まんぺいプラン」に「ヤシオリ作戦」が「まんぷく作戦」に聞こえてきてしまいました(笑)。
そして今回もやはり、明智光秀役の長谷川さんが登場するたびに「まんぺいさん、こんどは時代劇や。」と申しておりました。

冒頭の野盗襲撃シーンは黒澤明監督の『七人の侍』を意識しているのは間違いありません。
丘の上にずらりと敵が並ぶ絵とか、敵の一部が民家に忍び込んで待ち伏せするなど似た構成が見られます。

最初はてっきりBS4K放送で見ているものとばかり思っていたのですが、オープニングの暗い場面で局ロゴを見るとなんと「NHK G」と書かれてありました。
我が家のTVはBS4K内蔵テレビなのに、母と嫁は従来の地上波放送で見ていたのです!。
私も最初のうちは明るい場面が多かったので局ロゴには気が付きませんでした。
ちゃんと4K・HDRで見れば気になる色の濃さも自然に見えるのでしょうか?。
せっかくBS4K内蔵テレビを買ったのですから、4Kで作られた番組は4Kで観たいものです
しかし、『麒麟がくる』の4K放送は日曜日の朝9時からの放送だそうです。
大河ドラマといえば日曜20時と昔から決まっていますから、急にその視聴習慣を変えることなど母も嫁も出来るはずはありません。
大河ドラマはBS4KもBSも地上波と同じ日曜20時に統一するべきではないかと思うのですがね。

クライマックスは、火事で逃げ遅れた女の子を光秀が中に飛び込んで助けるシーンでした。
これって、最終回で本能寺を火の海にする光秀の行く末を暗示しているのですかね?。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。