週刊映画鑑賞記(2020.1/27~2020.2/2) 『翔んで埼玉』『ウルトラQ㉕』『男はつらいよ50』
CATEGORY週刊映画鑑賞記
トガジンです。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
1/27(月)
『翔んで埼玉』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

最近、映画関連で一番驚いたニュースです。
第43回日本アカデミー賞で『翔んで埼玉』が
作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞
合わせて最多12部門を受賞
(*・д・)マジですか!?
日本アカデミー賞に一体何が起きたというのでしょうか?。
まだそれぞれの最優秀賞は未発表ですが、ギャグ映画が12部門もノミネートされたというだけでも大事件です。
とは言うものの、実は私『翔んで埼玉』は劇場公開時に見ておりません。
見もしないで「マジ?」なんて言うのは作った人たちに失礼というものです。
そんなわけで、昨年末にWOWOWで放送された『翔んで埼玉』をしっかり観てみることにしました。

埼玉ってこんなところ。

埼玉県民と千葉県民が東京へ出るためには通行手形を必要とされる世界。
こうやって両県から搾取された金のお陰で・・・

東京は80年代バブル経済期ばりの好景気。
でも、このお下品さはジュリアナ東京というより大阪のデッセジェニーっぽいですがね(笑)。
「ああ、俺もこんな場面のエキストラをやりたかったなあ」(<エキストラ出演を趣味にしている私の心の声)

関東地方のもう一つの県、群馬は謎の巨大生物や人食い人種が生息する秘境の地。
しかし、これもまた東京都知事の陰謀の一環でした。

クライマックスは東京入り通行手形撤廃の座をかけて埼玉と千葉の軍勢が大激突!。

「なんなのコレ?」
まあ、バカバカしくて面白かったのは確かなのですがね。
でも、(私も全部を観てるわけではないですが)『翔んで埼玉』以上にノミネートされるべき作品は他にもあったと思います。
「毎日映画コンクール」と「キネマ旬報ベストテン」の方はどうなんでしょうか?。
あちらでも上位に入っていたなら『翔んで埼玉』は本物だと思えますが・・・。
それよりも・・・。

私は、これを我が福井県と北陸三県の話に置き換えられないものかと考えながら観ておりました。
『翔んで埼玉』における神奈川を金沢(しかも一字違い)、千葉を富山に、そいて埼玉を福井に置き換えた北陸版『翔んで福井』なんてのも出来そうな気がします(笑)。
ここ数年(いや、実際には何十年も前から)福井、石川、富山の北陸三県はいかに都会(東京・大阪)に近づけるか競いあってきました。
現時点で北陸新幹線終着点である石川県が単独トップであることに間違いはないですが、その次の座を巡って福井と富山が水面下で骨肉の争いをしているのです。
しかし3年後、北陸新幹線は福井県まで延伸することが決定しています。
そうなったとき、通過駅の一つになってしまう金沢(石川県)はどんな反撃をしてくるのか?。
そしてさらに単なる通過点度が増してしまう富山はどんな秘策をぶつけてくるのか?。
もう一つ・・・。

埼玉は女性の巨乳率が全国最下位だと嘆くシーンがありました。
ここで私の目は自然と我が福井県に・・・。
おっ?。
福井は見事上位に入ってるじゃありませんか!?。\(^o^)/
しかも石川と富山に勝っています!。
(嫁「え?、そこ?。」)

「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
下手するともしかすると日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲ってしまうかもしれない二階堂ふみさんの迫真の演技。
いいのか?。
これで賞もらって彼女は本当に幸せなのか?。

二階堂ふみさんは一昨年のTVドラマ版『この世界の片隅に』で遊女リン役を好演しておられました。
私も原作とアニメ版のファンだったので見ていましたが、違和感がないどころかこの役の深い心の動きを表情や細かな仕草で完璧以上に表現していたと思います。
それに何と言っても綺麗で色っぽかった!。

さらに今年4月からはNHK朝ドラ『エール』のヒロインにも決まっています。
本来ならば、このタイミングで日本アカデミー主演女優賞受賞となれば彼女のキャリアは順風満帆が約束されたようなもの・・・のはずですが・・・。

二階堂ふみも所属事務所もNHKも本当にこれでいいのか!?。
日本アカデミー賞最優秀賞発表は3月6日(金)です。
1/29(水)
『ウルトラQ』第25話「悪魔ッ子」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

原因不明の死亡事故が多発していた。
不思議なことにその現場からは子供が欲しがるような他愛もないものが必ず一つ無くなっているという。

その頃、万城目たち一行は閉じ込められた箱から抜け出して空中を歩く不思議な芸を披露する幼い少女リリーに出会う。
一の谷博士は「リリーは特異な体質で催眠術のかけすぎで精神と肉体の分裂現象が始まっている」と警告する。

過労のため舞台で倒れたリリーを見舞った万城目たちは、団長が催眠術で無理矢理リリーを寝かしつけているところを目撃。
万城目と一平は、一の谷博士が作った心身融合装置を携えて姿を消したリリーを追う。

リリーがステージに立っていたのは「東洋魔術団」という一種の見世物小屋ですが、実際にこうした見世物やサーカスのステージに幼い子供が立つという風景は1966年頃にはもうほとんど見られなかったはずです。
昭和23年(1948年)に制定された「児童福祉法」により、「公衆の娯楽を目的として曲芸または軽業を行う業務」に満15才未満の児童を使用する事が禁止されたためです。
例外的としてサーカスや見世物小屋が家業である家の子供で義務教育を受けさせている場合に限って許可されるそうですが、リリーはどう見ても未就学年齢です。
また、仮に団長(演:小杉義男)がリリーの肉親(祖父?)だったとしても、彼女の特殊能力を見世物にしていた彼は立派な「児童福祉法違反」です。
・・・とまあ、そんな野暮な突込みは置いといして(笑)

リリー役の坂部紀子ちゃんのつたない演技がかえって怖さを際立たせてくれます。
幽体と本人が線路の上を並んで歩くシーンは二重合成で作られているわけですが、5~6歳の女の子に合成した自分の姿を想像しながら演技しろといっても無理というものです。

しかし、言われるままにセリフを言って動いた映像を重ね合わせたその不整合ぶりがかえってリアルなのですよ。
実体リリーが幽体リリーをちらりと見てすぐ汽車の音に気付き「ママの声が聞こえる!」と走り出すこの場面など、あたかも幽体リリーが幻聴を聞かせたかのように見えて思わず背筋がゾッとします。

この話には後の『怪奇大作戦』や『アンバランス』に繋がる後味の悪さを感じます。
リリーに自覚は無いとはいえ、彼女の欲望のために何人もの死者が出ているのにリリーはもちろんその原因を作った父親も罪に問われることのないまま終わるのです。
優しい奇術師の中国人女性や子供にオモチャを買って帰ろうとした運転手、そして新婚のカメラマンといった犠牲者たちが誰一人浮かばれることのないラストシーンです。

『ウルトラQ』放送第25話「悪魔ッ子」の最後に流れるナレーションには全く異なった印象を与える2種類が存在します。
リリーは悪魔ッ子ではなかったのです。
もし悪魔がいたとすれば、それはリリーの中にではなくてそれを取り巻く世界が歪んでいたからなのです。
御覧なさい。
リリーはすっかり明るさを取り戻し、舞台に無邪気な笑いを振りまいています。
今回の放送はこちらのバージョンでした。
というより、再放送以降はずっとこの文言になっていて現在発売中のブルーレイや以前WOWOWで放送されたものもこれだったと思います。
で、初回放送(1966年)当時のナレーションがどんな内容だったというと・・・
一体、子供が犯罪を犯すものでしょうか?
それも天使のように純真な子供が。
しかし、子供がその環境によって脳組織のバランスを破壊された時、
完全な犯罪者となりうるのです。
ではまた、来週まで。
うわああああ。
あどけないリリーの笑顔をバックにこんなナレーションを聞かされたら、先日の「人を殺してみたかった」とハンマーで女性を殴った少年のニュースとか酒●薔薇事件とかを連想してしまいます。
しかも、「悪魔ッ子」は制作番号では第2話に当たるんですよね~。
2話目でこんなのを見せられたら子供たちが皆怖がって『ウルトラQ』を見なくなってしまいます。
そうなると後の『ウルトラマン』も『ウルトラセブン』も存在しなかったかも知れないわけで、今も『帰ってきたウルトラマン』を愛してやまないこの私の人生も全く違ったものになっている可能性もあったのです。
早めに怪獣路線に変更して正解でしたね(笑)。
当時のTBSプロデューサーさん、グッジョブでした!。
2/1(土)
『男はつらいよ お帰り寅さん』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

まさかの『男はつらいよ』最新作(というより後日談)です。
最初は全く見るつもりは無かった作品ですが、観た連中が全員口を揃えて「良かった~」と言うので気になり始めていました。
しかも話を聞くと、驚くべきことに彼らの中には今まで『男はつらいよ』を一本も見たことがないという若い奴もいたのです。
寅さんシリーズの登場人物を知らなければあまり楽しめない作品だと思っていたのでこれはかなり意外でした。
そんなわけで、

月曜日は仕事が午後からだったので、午前中は映画館に寄って『お帰り寅さん』を観て行くことにしました。
9時35分から11時40分の回なので12時半集合には十分間に合います。
実は最初『リチャード・ジュエル』にしようかとも考えたのですが、仕事前に観る映画としては重すぎるのでやめました(笑)。

『男はつらいよ』シリーズは8年前WOWOWで一挙放送されたときに特別編の含めて全作見ています。
私は、おいちゃん役が森川信さんだった最初の8本が好きでした。
森川さんは渥美清さんとコメディ演技で互角に張り合っていましたから、それにつられておばちゃんやタコ社長たちとのやり取りもテンポが良くて面白かったです。
映画館で観たのは渥美清さんが亡くなってから公開された『寅次郎紅の花』(第48作)だけです。
あと、ラストに寅さんが合成映像で登場した『虹をつかむ男』と『ハイビスカスの花』に新作映像を加えた特別編といった作品もありましたけど、どちらも山田洋二監督の未練にしか思えなくて結局劇場へ足を運ぶことはしませんでした。
正直なところ、今度の『お帰り寅さん』も同じだろうと思っていたので、期待半分で「楽しめれば儲けもの」というくらいの気持ちで劇場入りしたのです。
・・・が。

「伯父さん、人間は何のために生きてるのかな?」
「難しいこと聞くなあ。まあ何と言うかな。ああ、生まれてきてよかった、そう思うことが何べんかあるだろう?。人間そのために生きてんじゃねえのかな?」
・・・あれ?。
なんで俺泣いてるんだろ?。

寅さんは此処にはいないけれど、寅さんなら何と言うか?、寅さんならどう動くか?、と考えながら生きている満男の物語です。
第42作『ぼくの伯父さん』からは実質満男が主人公で寅さんはサポート役になっていたため、その続きと思えばあまり違和感はありませんでした。

満男の娘:ユリを演じた桜田ひよりさんが良かったです。
満男を「お父さん」、博とさくらを「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶユリの存在が前作『』からの23年の月日そのものであり、彼女の言動からこの新作の世界をすっと受け入れることが出来ました。
初めて『男はつらいよ』に接した若い観客たちが「良かった」と言っていたのも、触媒役として彼女がいTくれたお陰だったのだろうと思います。
もし寅さんがこの娘に会ったとしたらどんな言葉をかけただろう?とか思いながら見てました。

おいちゃんとおばちゃんは遺影として登場してましたが、寅さんのその後については特に何も語られませんでした。
亡くなったのか、単に消息不明でさくらたちは今も寅さんの帰りを待っているのか?。
そういったシチュエーションはあえてぼかしている気がします。
このメンバーでまた続きを作ろうと思えば作れる気もしますが、私はもうこれっきりにしておくべきではないかと思います。
このままズルズルと続けては、寅さんはいつまで経っても旅立てないという気がするのです。
本来の第50作目の構想では、テキ屋を辞めて幼稚園の小間使いになった寅さんは子供たちに囲まれて静かに息を引き取ることになっていたそうです。
もしどうしても次を作るというのであれば、そうした寅さんの最期を(看取った人のセリフとしてだけでいいから)明確化していただきたいと思います。
山田監督には生きているうちに寅さんを成仏させてあげる責任があるのですから。

最後に苦言を一つだけ。
オープニングでサザンの桑田佳祐が主題歌「男はつらいよ」を熱唱していましたがあれは完全に余計でした。
私も桑田さんは好きですが、この映画とは全く関係ないため目障り&耳障りに感じます。
どうして渥美清さんのオリジナルにしなかったのでしょう?。
なにかのタイアップだったのかな?。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
1/27(月)
『翔んで埼玉』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

最近、映画関連で一番驚いたニュースです。
第43回日本アカデミー賞で『翔んで埼玉』が
作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞
合わせて最多12部門を受賞
(*・д・)マジですか!?
日本アカデミー賞に一体何が起きたというのでしょうか?。
まだそれぞれの最優秀賞は未発表ですが、ギャグ映画が12部門もノミネートされたというだけでも大事件です。
とは言うものの、実は私『翔んで埼玉』は劇場公開時に見ておりません。
見もしないで「マジ?」なんて言うのは作った人たちに失礼というものです。
そんなわけで、昨年末にWOWOWで放送された『翔んで埼玉』をしっかり観てみることにしました。

埼玉ってこんなところ。

埼玉県民と千葉県民が東京へ出るためには通行手形を必要とされる世界。
こうやって両県から搾取された金のお陰で・・・

東京は80年代バブル経済期ばりの好景気。
でも、このお下品さはジュリアナ東京というより大阪のデッセジェニーっぽいですがね(笑)。
「ああ、俺もこんな場面のエキストラをやりたかったなあ」(<エキストラ出演を趣味にしている私の心の声)

関東地方のもう一つの県、群馬は謎の巨大生物や人食い人種が生息する秘境の地。
しかし、これもまた東京都知事の陰謀の一環でした。

クライマックスは東京入り通行手形撤廃の座をかけて埼玉と千葉の軍勢が大激突!。

「なんなのコレ?」
まあ、バカバカしくて面白かったのは確かなのですがね。
でも、(私も全部を観てるわけではないですが)『翔んで埼玉』以上にノミネートされるべき作品は他にもあったと思います。
「毎日映画コンクール」と「キネマ旬報ベストテン」の方はどうなんでしょうか?。
あちらでも上位に入っていたなら『翔んで埼玉』は本物だと思えますが・・・。
それよりも・・・。

私は、これを我が福井県と北陸三県の話に置き換えられないものかと考えながら観ておりました。
『翔んで埼玉』における神奈川を金沢(しかも一字違い)、千葉を富山に、そいて埼玉を福井に置き換えた北陸版『翔んで福井』なんてのも出来そうな気がします(笑)。
ここ数年(いや、実際には何十年も前から)福井、石川、富山の北陸三県はいかに都会(東京・大阪)に近づけるか競いあってきました。
現時点で北陸新幹線終着点である石川県が単独トップであることに間違いはないですが、その次の座を巡って福井と富山が水面下で骨肉の争いをしているのです。
しかし3年後、北陸新幹線は福井県まで延伸することが決定しています。
そうなったとき、通過駅の一つになってしまう金沢(石川県)はどんな反撃をしてくるのか?。
そしてさらに単なる通過点度が増してしまう富山はどんな秘策をぶつけてくるのか?。
もう一つ・・・。

埼玉は女性の巨乳率が全国最下位だと嘆くシーンがありました。
ここで私の目は自然と我が福井県に・・・。
おっ?。
福井は見事上位に入ってるじゃありませんか!?。\(^o^)/
しかも石川と富山に勝っています!。
(嫁「え?、そこ?。」)

「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
いいのか?。
これで賞もらって彼女は本当に幸せなのか?。

二階堂ふみさんは一昨年のTVドラマ版『この世界の片隅に』で遊女リン役を好演しておられました。
私も原作とアニメ版のファンだったので見ていましたが、違和感がないどころかこの役の深い心の動きを表情や細かな仕草で完璧以上に表現していたと思います。
それに何と言っても綺麗で色っぽかった!。

さらに今年4月からはNHK朝ドラ『エール』のヒロインにも決まっています。
本来ならば、このタイミングで日本アカデミー主演女優賞受賞となれば彼女のキャリアは順風満帆が約束されたようなもの・・・のはずですが・・・。

二階堂ふみも所属事務所もNHKも本当にこれでいいのか!?。
日本アカデミー賞最優秀賞発表は3月6日(金)です。
1/29(水)
『ウルトラQ』第25話「悪魔ッ子」
(49インチ4K液晶テレビ:BS4K録画)

原因不明の死亡事故が多発していた。
不思議なことにその現場からは子供が欲しがるような他愛もないものが必ず一つ無くなっているという。

その頃、万城目たち一行は閉じ込められた箱から抜け出して空中を歩く不思議な芸を披露する幼い少女リリーに出会う。
一の谷博士は「リリーは特異な体質で催眠術のかけすぎで精神と肉体の分裂現象が始まっている」と警告する。

過労のため舞台で倒れたリリーを見舞った万城目たちは、団長が催眠術で無理矢理リリーを寝かしつけているところを目撃。
万城目と一平は、一の谷博士が作った心身融合装置を携えて姿を消したリリーを追う。

リリーがステージに立っていたのは「東洋魔術団」という一種の見世物小屋ですが、実際にこうした見世物やサーカスのステージに幼い子供が立つという風景は1966年頃にはもうほとんど見られなかったはずです。
昭和23年(1948年)に制定された「児童福祉法」により、「公衆の娯楽を目的として曲芸または軽業を行う業務」に満15才未満の児童を使用する事が禁止されたためです。
例外的としてサーカスや見世物小屋が家業である家の子供で義務教育を受けさせている場合に限って許可されるそうですが、リリーはどう見ても未就学年齢です。
また、仮に団長(演:小杉義男)がリリーの肉親(祖父?)だったとしても、彼女の特殊能力を見世物にしていた彼は立派な「児童福祉法違反」です。
・・・とまあ、そんな野暮な突込みは置いといして(笑)

リリー役の坂部紀子ちゃんのつたない演技がかえって怖さを際立たせてくれます。
幽体と本人が線路の上を並んで歩くシーンは二重合成で作られているわけですが、5~6歳の女の子に合成した自分の姿を想像しながら演技しろといっても無理というものです。

しかし、言われるままにセリフを言って動いた映像を重ね合わせたその不整合ぶりがかえってリアルなのですよ。
実体リリーが幽体リリーをちらりと見てすぐ汽車の音に気付き「ママの声が聞こえる!」と走り出すこの場面など、あたかも幽体リリーが幻聴を聞かせたかのように見えて思わず背筋がゾッとします。

この話には後の『怪奇大作戦』や『アンバランス』に繋がる後味の悪さを感じます。
リリーに自覚は無いとはいえ、彼女の欲望のために何人もの死者が出ているのにリリーはもちろんその原因を作った父親も罪に問われることのないまま終わるのです。
優しい奇術師の中国人女性や子供にオモチャを買って帰ろうとした運転手、そして新婚のカメラマンといった犠牲者たちが誰一人浮かばれることのないラストシーンです。

『ウルトラQ』放送第25話「悪魔ッ子」の最後に流れるナレーションには全く異なった印象を与える2種類が存在します。
リリーは悪魔ッ子ではなかったのです。
もし悪魔がいたとすれば、それはリリーの中にではなくてそれを取り巻く世界が歪んでいたからなのです。
御覧なさい。
リリーはすっかり明るさを取り戻し、舞台に無邪気な笑いを振りまいています。
今回の放送はこちらのバージョンでした。
というより、再放送以降はずっとこの文言になっていて現在発売中のブルーレイや以前WOWOWで放送されたものもこれだったと思います。
で、初回放送(1966年)当時のナレーションがどんな内容だったというと・・・
一体、子供が犯罪を犯すものでしょうか?
それも天使のように純真な子供が。
しかし、子供がその環境によって脳組織のバランスを破壊された時、
完全な犯罪者となりうるのです。
ではまた、来週まで。
うわああああ。
あどけないリリーの笑顔をバックにこんなナレーションを聞かされたら、先日の「人を殺してみたかった」とハンマーで女性を殴った少年のニュースとか酒●薔薇事件とかを連想してしまいます。
しかも、「悪魔ッ子」は制作番号では第2話に当たるんですよね~。
2話目でこんなのを見せられたら子供たちが皆怖がって『ウルトラQ』を見なくなってしまいます。
そうなると後の『ウルトラマン』も『ウルトラセブン』も存在しなかったかも知れないわけで、今も『帰ってきたウルトラマン』を愛してやまないこの私の人生も全く違ったものになっている可能性もあったのです。
早めに怪獣路線に変更して正解でしたね(笑)。
当時のTBSプロデューサーさん、グッジョブでした!。
2/1(土)
『男はつらいよ お帰り寅さん』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

まさかの『男はつらいよ』最新作(というより後日談)です。
最初は全く見るつもりは無かった作品ですが、観た連中が全員口を揃えて「良かった~」と言うので気になり始めていました。
しかも話を聞くと、驚くべきことに彼らの中には今まで『男はつらいよ』を一本も見たことがないという若い奴もいたのです。
寅さんシリーズの登場人物を知らなければあまり楽しめない作品だと思っていたのでこれはかなり意外でした。
そんなわけで、

月曜日は仕事が午後からだったので、午前中は映画館に寄って『お帰り寅さん』を観て行くことにしました。
9時35分から11時40分の回なので12時半集合には十分間に合います。
実は最初『リチャード・ジュエル』にしようかとも考えたのですが、仕事前に観る映画としては重すぎるのでやめました(笑)。

『男はつらいよ』シリーズは8年前WOWOWで一挙放送されたときに特別編の含めて全作見ています。
私は、おいちゃん役が森川信さんだった最初の8本が好きでした。
森川さんは渥美清さんとコメディ演技で互角に張り合っていましたから、それにつられておばちゃんやタコ社長たちとのやり取りもテンポが良くて面白かったです。
映画館で観たのは渥美清さんが亡くなってから公開された『寅次郎紅の花』(第48作)だけです。
あと、ラストに寅さんが合成映像で登場した『虹をつかむ男』と『ハイビスカスの花』に新作映像を加えた特別編といった作品もありましたけど、どちらも山田洋二監督の未練にしか思えなくて結局劇場へ足を運ぶことはしませんでした。
正直なところ、今度の『お帰り寅さん』も同じだろうと思っていたので、期待半分で「楽しめれば儲けもの」というくらいの気持ちで劇場入りしたのです。
・・・が。

「伯父さん、人間は何のために生きてるのかな?」
「難しいこと聞くなあ。まあ何と言うかな。ああ、生まれてきてよかった、そう思うことが何べんかあるだろう?。人間そのために生きてんじゃねえのかな?」
・・・あれ?。
なんで俺泣いてるんだろ?。

寅さんは此処にはいないけれど、寅さんなら何と言うか?、寅さんならどう動くか?、と考えながら生きている満男の物語です。
第42作『ぼくの伯父さん』からは実質満男が主人公で寅さんはサポート役になっていたため、その続きと思えばあまり違和感はありませんでした。

満男の娘:ユリを演じた桜田ひよりさんが良かったです。
満男を「お父さん」、博とさくらを「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶユリの存在が前作『』からの23年の月日そのものであり、彼女の言動からこの新作の世界をすっと受け入れることが出来ました。
初めて『男はつらいよ』に接した若い観客たちが「良かった」と言っていたのも、触媒役として彼女がいTくれたお陰だったのだろうと思います。
もし寅さんがこの娘に会ったとしたらどんな言葉をかけただろう?とか思いながら見てました。

おいちゃんとおばちゃんは遺影として登場してましたが、寅さんのその後については特に何も語られませんでした。
亡くなったのか、単に消息不明でさくらたちは今も寅さんの帰りを待っているのか?。
そういったシチュエーションはあえてぼかしている気がします。
このメンバーでまた続きを作ろうと思えば作れる気もしますが、私はもうこれっきりにしておくべきではないかと思います。
このままズルズルと続けては、寅さんはいつまで経っても旅立てないという気がするのです。
本来の第50作目の構想では、テキ屋を辞めて幼稚園の小間使いになった寅さんは子供たちに囲まれて静かに息を引き取ることになっていたそうです。
もしどうしても次を作るというのであれば、そうした寅さんの最期を(看取った人のセリフとしてだけでいいから)明確化していただきたいと思います。
山田監督には生きているうちに寅さんを成仏させてあげる責任があるのですから。

最後に苦言を一つだけ。
オープニングでサザンの桑田佳祐が主題歌「男はつらいよ」を熱唱していましたがあれは完全に余計でした。
私も桑田さんは好きですが、この映画とは全く関係ないため目障り&耳障りに感じます。
どうして渥美清さんのオリジナルにしなかったのでしょう?。
なにかのタイアップだったのかな?。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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