ドルビーシネマ体験記 in 大阪 ~IMAX vs DOLBY CINEMA~
突然ですが・・・

先日、ドルビー・シネマを初体験して参りました!

劇場は大阪の梅田ブルク7。
阪神百貨店の裏側にあるE-maビル7階です。

壁面にはDOLBY CINEMAのロゴが誇らしげに掲げられていました。
今回見てきた作品は

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(3D版)
と

『フォードvsフェラーリ』
の2本。
もちろん、どちらもドルビーシネマ版です。

この劇場に来るのは今回が初めてです。
同劇場HPにある以前の写真ではごく普通の明るいロビーでしたが、この日は内装の一部が天井から床まで黒く染められてツートーンにデザインされていました。
ドルビーシネマ導入に合わせて改装したのでしょうか?。

そもそもドルビーシネマとは何か?。
■ドルビービジョン
広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ(HDR)映像をスクリーンに映しだし、今まで映画館では体験できなかったドラマチック イメージングを実現します。
■ドルビーアトモス
「音声オブジェクト」と「天井スピーカー」という映画音響にとって革新的な2つの概念を導入した最新シネマ音響技術によって、音が力強く劇場内の3次元空間を駆け巡ります。
■シアターデザイン
ドルビービジョンとドルビーアトモスの両技術とドルビーシネマの洗練されたシアターデザインが一体となって作り出す空間の中で、驚くほど鮮やかでリアルな映像・サウンド。
まるで映画の世界に入ったような、劇的な進化を遂げたシネマ体験をお届けします。
以上3つの要素が揃った上映環境がドルビーシネマと認められます。

私はここ4年ほど、『スター・ウォーズ』や『ゴジラ』など大画面&大音響で楽しみたい映画はほとんど109シネマズ大阪エキスポシティに足を運んで日本最大級のIMAXシアターで観ることにしています。
今回初めて体験するドルビーシネマが、私のリファレンスであるエキスポのIMAX®レーザー/GTテクノロジーをどの程度上回るものであるかが今回の最大のポイントです。
つまり、今回の鑑賞は私にとって『IMAX vs DOLBY CINEMA』の様相をも呈しているのです(笑)。

もちろんスクリーンサイズにおいてはエキスポのIMAXに敵うはずもありません。
しかし、今回重視すべきはドルビーシネマの黒を基調とした画質と正規のドルビーアトモス規格による音響です。
他所のIMAXシアターはどうなのか分かりませんが、実は私がいつも行く109シネマ大阪エキスポシティのIMAXの音響設備は「12chの次世代サウンドシステム」とあるだけで「ドルビーアトモス」の表記がどこにも無いのです。
もちろん、地元の福井やお隣石川県など田舎の劇場には当然「ドルビーアトモス」を完備する映画館なんてありません。
つまり、今回梅田ブルク7で観る『スカイウォーカーの夜明け』こそが私のドルビーアトモス初体験なのです。

ちなみにドルビービジョンもドルビーアトモスも数年前から家庭用AV機器に導入されているものです。
ドルビーアトモスについてはAVアンプが対応している必要があり、それ以前の非対応アンプでは従来のドルビーTrueHDに変換されて再生されてしまいます。

私が現在使用しているAVアンプ(オンキョー:TX-NR5010)はアトモス非対応なので、アンプ自体を買い替えなければ増え続けるドルビーアトモス収録ソフトを100%楽しむことは出来ません。
(天井スピーカーはフロントハイトスピーカーで代用可能)
ああ、早くDOLBY ATMOSとDTS:X対応のAVアンプが欲しいのう・・・。
スミマセン、話が逸れてしまいました。

まずは『スター・ウォーズ:スカイウォーカーの夜明け』3D版から。
チケットは数日前にネットで予約購入済みでしたから他のシネコンと同様に発券するだけで特に戸惑うことはありませんでした。
この映画はエキスポのIMAXで2回(2D&3D)観ていますので、映像の印象を比較することが可能です。

シアター1へと続く通路の壁面には上映作品によってその都度異なる映像が映し出されていて、映画を見る前の気分を盛り上げてくれます。
ちなみに『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の時はライトセーバーを構えたレイやチューイとドロイドたちが手を振って出迎えてくれました。
これはAVP(Audio Visual Path)と呼ばれるドルビーシネマのシアターデザインの一部ですが、これはIMAXにも取り入れて欲しい良い演出ですね。

初めてドルビーシネマの劇場に足を踏み入れました。
黒い!
ドルビーシネマのシアターデザインとは、スクリーン以外の全て(天井・壁・床・椅子)を低反射の黒素材で統一して投射映像以外の余計な光が観客の目に入らないようにすることです。
また、壁や天井に反射した光によって色の鮮やかさや画面コントラストが低下することも防いでいます。

手前味噌ではありますが、我が家のシアタールームもご覧の通り天井から床まで黒い壁紙やマットで覆い、スクリーンからの反射光が映像に悪影響を与えないようにしています。
壁紙やカーテンの一部には光をほとんど反射しないハイミロンという素材を使っていて、映像がフェードアウトしたときなどは一瞬目の前が完全に真っ暗になるブラックアウト状態を体験出来るほどになっています。

『スター・ウォーズ』ではまずタイトルが飛び去った後の宇宙空間に瞬く星の見え方に注目しました。
ドルビービジョンによってコントラストが引き締まり、迷光のない真っ暗な劇場で見る星空はこれまでにないほど星がよく見えるはずだからです。
しかし・・・。
明るさも色もIMAXで見たときとほとんど印象が違いません。
むしろ画面サイズが大きい分だけIMAXのほうが宇宙の深みも映像の迫力も上だったと思います。
確かに時々挿入されるフェードアウトの部分は場内真っ暗になりますが、それだけのためにわざわざドルビーシネマを選ぶ気にはなりません。
場内を真っ黒にしてハイコントラストを得るだけならば、我が家のホームシアターでも(小規模ながら)可能だからです。

分かっていたことではありますが、やはりスクリーンサイズが残念でした。
決して小さくはないのですが、エキスポのIMAXみたいな圧倒的な威圧感といったものが感じられないのです。
大きめの普通の映画館といった感じでしかありません。
IMAXと較べるのはさすがに酷だとは思いますが、せっかく高画質技術を動員するのであればスクリーンサイズも可能な限り大きなものにして欲しかったと思います。
サイズについては仕方ないとしても、もっと重大な問題があります。
それはスクリーンアスペクトがシネマスコープではなく、ビスタビジョンであるということです。

これだと、横長のシネマスコープ映画の場合16:9のテレビで見るときと同じく上下に黒味が付いたレターボックス状態になってしまうのです。
ただでさえスクリーンが小さく感じたのに、それより更に小さな画面を見ることになってしまいます。

今回私が購入した席は、『スター・ウォーズ』『フォードvsフェラーリ』ともI-16(赤点の席)でした。
場内のど真ん中で一番良い席のはずでしたが、映像の迫力という点ではIMAXには遠く及びません。
私は前寄りの席に陣取って画面が視野いっぱいに広がる状態で見るのが好きなのですが、今回は2作品ともシネスコサイズだったこともあって画面が視界の中にこじんまりと収まってしまう感じになってしまいました。
かといって、3~4列前の席だと2時間以上画面を見上げることになり首が疲れてしまいます。
ビスタサイズの映画ならこれで十分だったかも知れませんが、(あくまでも私の好みの問題ですが)シネマスコープ作品には向かない劇場です。
スクリーンサイズについてはある程度覚悟していたことではありました。
でも、これだけはどうしても文句を言いたい!。

ハッキリ言って、ここの専用3Dメガネは最悪です。
前方が重いため、すぐに鼻の頭が痛くなるだけでなく見ているうちにすぐズリ落ちてきてしまうのです。
また、耳にかける部分も固くて直線に近い形状になっているために耳たぶの上も次第に痛くなってきます。
ドルビーシネマは明るさに余裕があるためか、3D映像そのものはIMAXより勝っていたと思います。
しかし、専用メガネがこうも苦痛に感じるようでは「またドルビーシネマで3Dを見たい」とは思いません。

映像面は少々期待はずれでしたが、正規のドルビーアトモス音響を体験出来たことは映画ファンとしてもホームシアター愛好家としても大変有意義でした。
エンドアでの嵐の中でのライトセーバー戦、宇宙船や戦闘機が飛び交う宇宙戦闘シーンなどは確かに上下左右に包み込んでくる音の効果で「そこにいる」感が確かにありました。

ドルビーアトモスの威力を最も効果的に感じたのは宇宙船内部のシーンでした。
場内全体に響くエンジン音や天井から何かがカチャカチャ鳴る音が妙にリアルで、『スター・ウォーズ』歴42年のこの私も初めてファルコン号のコクピットに座っているかのような気分になれました。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のブルーレイが出るまでに我が家のAVアンプもアトモス対応のものに買い替えるぞと、私は固く心に誓ったのでありました(笑)。

『スター・ウォーズ』終了後わずか15分のインターバルを置いて『フォードvsフェラーリ』の上映開始です。
本当はもう少し頭を切り替える時間が欲しかったところですが、福井から日帰りで2本観て帰るにはこのスケジュールしかなかったのです。
座席は『スター・ウォーズ』と同じI-16です。
『フォードvsフェラーリ』は今回が初鑑賞ですから、画質や音響など細かなことは考えずに楽しんで観ることにしました。
2D作品なので、硬くて重い3Dメガネに悩まされることもありません(笑)。

AVPには'66年のル・マンに出場した車がビュンビュン走っているんじゃないか?とか期待しながら入場したものの、『フォードvsフェラーリ』専用のAVP映像は用意されていなかったらしくぼんやりとしたイメージ映像がなんとなく流れていただけでした。

意外にも『フォードvsフェラーリ』のほうが『スター・ウォーズ』よりドルビーシネマ効果がはっきり出ていた気がしました。
(もっとも、『スター・ウォーズ』の時は3Dメガネが鬱陶しくて映像をじっくり見ていなかったかも知れませんが・・・)
他の映画館と比較したわけではないですが、普通だとこうした夜のシーンは暗部諧調が潰れるか背景の夕日が白く飛んで見えるかのどちらかという難しい映像です。
梅田ブルク7のドルビーシネマではそのどちらの情報もはっきり見て取ることが出来ました。
また音響に関しても、遠くの車の音とか虫の鳴き声とかの微細な音がよく聴こえてきて、確かに「その場にいるような」臨場感がありました。
ドルビーシネマの宣伝文句は決して伊達ではなかったです。

当然、レースシーンも物凄い迫力です。
『スター・ウォーズ』と違って、エンジン音とかタイヤの軋とか現実に聞き覚えのある音ばかりですから、耳が自然に音の移動を追いかけてくれるのでしょう。
しかも注意して聴くと、車の一台一台全てエンジン音が違うことまで分かります。

『フォードvsフェラーリ』はドルビーとかIMAX云々以前に映画自体がもの凄く面白かったです。
内容の感想記事は次の日曜日「週刊映画鑑賞記」の中で書きます。
【判定】

エキスポのIMAX®レーザー/GTテクノロジーか?

梅田の最新ドルビーシネマか?
音に関しては純正ドルビーアトモスを聴けるドルビーシネマに軍配が上がります。
ですが、やはり大画面派の私としてはIMAXのほうが映画を120%楽しみ尽くせる気がします。
視界いっぱいに広がる映像を浴びるように観るあの感覚は何者にも代えられません。
エキスポのIMAXシアターにドルビーアトモスが正式導入されればまさに完璧なのですがね。
反対にドルビーシネマは高精細な業務用モニターで画面の隅々までモニターするような感じでした。
2回目以降の鑑賞で映像の細部をじっくり見たい場合にはドルビーシネマが適していると思います。

そんなわけで、私はこれからも大作の一発目は109シネマズ大阪エキスポシティで観ることになるでしょう。
余裕があれば2回目以降にドルビーシネマも、ということで。
以上、IMAX vs DOLBY CINEMAの巻でした!。
【おまけの忘備録】
以下は当日(2020年1月13日)の個人的記録です。
よほどお暇でない限り読み飛ばして下さって結構です(笑)。

今回の日帰り大阪往復は実にタイトなスケジュールでありました。
朝7時10分発の高速バスに乗って大阪へ。
私がこの時間に福井駅前の高速バス乗り場に着くには1時間前に家を出なければなりません。

予定より少し遅れて11時過ぎに梅田到着。
この日(1/13)は成人の日でした。
晴れ着姿の若い女性の姿が多かったです。
奥に見える建物はHEP NAVIO。
私が大阪に住んでいた頃はナビオ阪急と呼ばれていて、8階に北野劇場・梅田劇場・梅田スカラ座という3つの映画館が入っていました。
現在は8つのスクリーンを有するシネコン「TOHOシネマズ梅田」になっていますが、私はシネコンになってからはまだ一度も入ったことはありません。
本当は梅田駅周辺で昼飯を食べたかったのですが、『スター・ウォーズ』の上映開始まであまり時間が無いうえにちょうどお昼時ということもあってひどく混雑していたため諦めました。
まずは目的地を目指します。

この日の目的地は
阪神百貨店の裏側にあるE-maビルの7階にある映画館、梅田ブルク7です。
阪急梅田界隈からは地下街を通って行けますが、この日は風は冷たいもののご覧の通りの晴天で気持ちが良かったので久し振りに梅田名物の大歩道橋を渡って歩いて移動しました。

昼食は地下街の阪神百貨店下あたりに新しく出来た屋台村のようなところで済ませました。

食べたのは穴子天丼です。
さすがは大阪!。
なんかタコ焼きみたいな味の天丼でした(笑)。

地上に出て梅田ブルク7に到着。
上映作品のポスターがズラリと並べられているのがなんだか嬉しいです。

2本の映画を見終わって外に出ると辺りはもう暗くなっていました。
時刻は18時過ぎ。
帰りのバスの発車時間まで30分ほどしかありません。

残り僅かな時間を使って毎日放送近くの映画館:テアトル梅田に立ち寄りました。
もちろん映画を見る時間なんてありません。
ある物を買うためです。

そのある物とはアニメ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のパンフレットです。
先週地元で観て、そのあまりの素晴らしさにパンフレットを買おうとしたものの残念ながら売り切れでした。
いずれ2回目・3回目を見に行った時に買えばいいと思いましたが、なにせ田舎の映画館のことですから上映終了まで再入荷しないという恐れもあります。
なので、確実に買える大阪で買っておくことにしました。
よし!。
今日はしっかり遊んだぞ。
前から気になっていたドルビーシネマを体験出来たし、『フォードvsフェラーリ』はめちゃめちゃ面白かったし、さらに欲しかった『この世界~』のパンフレットも買えました。
これで3Dメガネがもう少し快適で、昼飯の天丼が美味しかったら言うことなしの一日でありました(笑)。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。