ドルビーアトモス始めます【前編:新しいAVアンプ】
CATEGORYホームシアター
トガジンです。
先日、我が家のホームシアターが大きな進化を遂げました。

ドルビーアトモスとDTS:Xという2つの最新サラウンドフォーマットに対応するAVアンプ、Integra DRX-7.1を手に入れたのです!。
定価はなんと税込み38万5千円!
昨年夏、4K対応プロジェクターや4Kテレビを立て続けに買ってAV資金をほぼ使い果たしてしまった今の私にとても買える値段ではありません。
(3月の時点で残高は18万円ほど)

ところが、先日何気なく某有名ホームシアター専門店のWebサイトを覗いてみたところ、15万8千円(税込み)と一気に半額以下にまで大幅値下がりしているではありませんか!?。
何故?。
実はDRX-7.1は2年前に発売された旧世代の製品です。
ドルビーアトモスとDTS:Xにはしっかり対応していますが、本機発売後に登場したAuro-3DやIMAX Enhancedといった最新規格には未対応なのです。
DRX-7.1が急に安くなった理由は、それら新フォーマットに対応する後継機の発売が近いからではないかと思われます。
在庫処分だろうが何だろうが、これはアトモス対応のAVアンプ上級機種を安く買える千載一遇のチャンスです。
私は半ば強引に妻の了解を取り付けて、購入ボタンをポチったのでありました。
【そもそも、ドルビーアトモスとは?】

どうして私はそれほどまでして新しいアンプが欲しかったのか?。
それは、現在の最新サラウンドフォーマットである「ドルビーアトモス」や「DTS:X」をどうしても正しい形で聴きたかったからです。

ドルビーアトモスとDTS:Xは、従来の5.1(あるいは7.1)チャンネルに加えて天井にスピーカーを配置することにより部屋全体を音で満たすというものです。

ドルビーアトモス音声仕様のブルーレイは、現在国内で発売されているだけでも250タイトル以上。
それらのタイトルは当然レンタルBDにもドルビーアトモス音声が収録されいます。
また、NETFLIXにもドルビーアトモス音響で楽しめるタイトルがいくつか存在します(ただし一番高いプレミアムプランのみ)。

しかし、私が今まで使っていたAVアンプ ONKYO:TX-NR5010は、家庭用ドルビーアトモス登場以前(2012年発売)の製品です。
ドルビーアトモスのBDも再生すること自体は可能ですが、その場合は従来と同じドルビーTrueHDとしての再生になってしまいます。
つまり、今までの私はせっかくソフトに収録されている音響演出を100パーセント楽しめていなかったのです。
その不満がフラストレーションとなり、やがて私の中に溜まりに溜まって今やもう爆発寸前にまでなっていました。
しかし、今回のDRX-7.1導入により、ついにそのモヤモヤがスッキリ晴れるのであります。
【開梱、設置】

数日後、DRX-7.1が到着しました。
「展示未使用品」ということでしたが、箱には開けた痕跡が全く見当たりません。
展示品というよりデッドストック品でしょうか?。

開梱!。
リモコンや各種ケーブル・アンテナ、自動調整用マイクなど付属品も全部揃っています。

これを半額以下で買えたのですから大満足です。

Integraとは、現在オンキョーが有するブランドの一つです。
(あのパイオニアも現在はオンキョー傘下の一つ)。
AVアンプに関しては、以前はオンキョーとIntegraとで並行してラインナップを揃えていました。
しかし、数年前からは入門機から中級機までをオンキョーブランド、30万円以上の上級機やセパレートタイプはIntegraブランドという風に棲み分けするようになっています。
私が今まで使っていたTX-NR5010はオンキョーAVアンプ(一体型)の最上位機でしたが、残念なことにオンキョーブランドからはこのクラスの後継機は出なくなってしまったのです。
これまで約18年間、歴代オンキョーAVアンプを使ってきたことに加え、アンプのグレードは絶対に落としたくなかったことから今回初めてIntegra製品導入を決めました。

早速、TX-NR5010と入れ替えでラックの最上部に設置しました。
全身黒一色だったTX-NR5010と違い、ダークグレーの本体にシルバーのボリュームつまみがアクセントになっています。
フロントパネルは曲面を生かしたデザインになっていて、ホームシアターのコントロールセンターたる存在感があります。
5010の重量は25kgもあったため気合を入れて持ち上げないと腰を痛めそうでしたが、対してDRX-7.1は19kgと6kgも軽いです。
また、消費電力はNR5010が800Wも食うのに対し、DRX-7.1は半分以下の330W。
重量が減ったということから音質やパワー感の低下が少し心配になりましたが、これが今どきのアンプなのでしょう。
アナログ時代からのオーディオファンとしては「機器の重量と音質は比例する」という考え方からはどうしても離れられないのであります。
とはいえ、アナログ的にどんなに高音質であったとしても、最新フォーマットに対応していなければ現在のAVアンプとしては用無しなのも事実なのです。

リモコンはTX-NR5010のものと比べてずいぶんシンプルになりました。
私はこれくらいのほうが扱いやすくて良い気がします。
プロジェクター使いは暗い部屋でリモコンを操作するので、余計なボタンがごちゃごちゃ付いていては誤操作の元です。
出来れば暗いところで操作し易いようにボタンの自照機能があると良かったのですがね。

背面の入出力端子群。
スピーカー端子は11チャンネル分ありますが、取説には「同時に使用できるのは9チャンネルまで」「7.1.4チャンネルにするにはサラウンドバック・プリアウトを別途用意したパワーアンプに繋いで欲しい」と書かれています。
え、なんで?。
DRX-7.1単体では従来の7.1チャンネル+天井スピーカー4本による7.1.4チャンネルは実現出来ないことになります。

しっかり「SURROUND BACK」と書かれたスピーカー端子があるのに何故?。
この件はいずれオンキョーに問い合わせてみるつもりです。
HDMI端子は4K・HDR対応のHDCP2.2対応バージョン(ただし入力1~5まで)です。
これで現在は居間の4K液晶テレビに接続しているBS4Kチューナー内蔵BDレコーダー(DMR-SUZ2060)をこのホームシアターシステムに繋ぐことも可能になりました。
ただし、そのためには4K対応HDMIケーブルを新しく買い足さなくてはなりません。

ここで余談を少し。
私が愛用しているオーディオラックはヤマハのGTR-1(4個)です。
このうち最初の2個は’87年に買ったものでもうかれこれ33年もの古い付き合いです。
あとの2個は2000年以降にヤフオクとハードオフで買った中古ですが、元々「経年劣化」とは無縁な製品なので今でも全く問題なく使い続けております。
アンプの隣を空けていますが、ここには近日購入予定のアナログレコードプレーヤーを置くつもりです。

このとおり、年季入ってます!。
4K映像機器や最新サラウンドフォーマットを手に入れた今でも、それらを収めるのはレーザーディスクやS-VHSの時代から使い続けてきたこのGTラックです。
これまで33年間私のAVライフを支え続けてくれた存在なので、今さら新しいラックに買い替えるつもりはありません。
【THXなスピーカーたち】
ケーブル接続する前に、従来のスピーカー構成と配置を整理しておきます。

現在のシステムを組んだのはちょうど9年前、今の家を建てた2011年春のことです。
2階の10畳間を私のホームシアター専用ルームにしました。
迷光対策として壁紙は全て黒色にしています。
天井は元々白い壁紙を貼っていたのですが、やはりスクリーンの光が反射して映像のコントラストに悪影響を及ぼすためスクリーン周辺には光をほとんど反射しない「ハイミロン」を貼っています。
貼ったといっても実はピンで留めただけなので見た目は最悪ですが、映写するときはどうせ真っ暗になるので気にしません(笑)。

2011年といえば旧フォーマット「ドルビーTrueHD」と「DTS-HD Master Audio」が成熟期に入った頃でした。
私は念願だった真新しい専用AVルームにサラウンド推奨規格であるITU-R BS.775-1に出来るだけ近い5.1チャンネルシステムを組み、更にサラウンドバック(リアセンターとかサラウンドセンターとも呼ばれる)一本とフロントハイト2本を加えた8.1チャンネルを組んでいました。

使用スピーカーは、サブウーファー以外全てオンキョーのHTS System-10シリーズで統一しています。
HTSシリーズはジョージルーカスが提唱するTHXの認定を受けた5.1チャンネルスピーカーシリーズです。
2001年秋にゼロから5.1chシステムを組み直した時、このTHXという響きにヨロメキました(笑)。
HTS System-10シリーズは1999年発売のスピーカーです。
驚くなかれ、サブウーファーを以外のフロント・センター・サラウンド(一組分)の5台はブラウン管テレビ時代の2001年秋に購入したスピーカーなのです。
かれこれ18年以上の付き合いあり、これはヤマハのラックに次ぐ古さです。
18年も使っているスピーカーたちですが、どれもしっかりした音で鳴ってくれています。
ウーファーのエッジも全くヘタっていません。
スピーカーは使わずに保管するより、毎日適度に使い続けたほうが長持ちするといいます。
また、直射日光に当てることなく、高温多湿にならない部屋で使ってきたのも良かったのだろうと思います。
出来るものならこいつらと最後まで付き合い続けたいと願っているのですが、いかんせん生産終了して久しいため故障などした場合は程度の良い中古を探すしかありません。

フロントスピーカーはオンキョー:HTS-F10。
密閉方式で解像度の高い引き締まった音が出るので気に入っています。
左右ともトゥイーターの位置が私の耳と同じ高さになるようウッドブロックと御影石ボード(5cm厚)を使って調節しています。

フロントスピーカー2本はプロジェクターの光を遮らないようにスクリーンの両端に設置しています。
左右2本の距離(中央部)はおよそ3.1m。
その線を底辺とした三角形のもう一つの頂点部分が私の視聴位置になります。
本当はこの部分を正三角形にするのが理想ですが、スクリーン幅と私好みの視聴位置(2H)との関係から、スピーカーへの角度は約33度とやや開き気味になっています。
若干開き気味になることで音像定位に不安はあったもの、センタースピーカーのおかげで全く気にはなりません。

センタースピーカーはフロントと同じHTSシリーズのオンキョー:HTS-C10。
スクリーンの真下に、視聴位置の私にまっすぐ向くよう仰角を付けて設置しています。
これも密閉式で、低音が暴れることのない素直な人の声を聴かせてくれます。
買った当初は、当時使っていた32インチワイドテレビ(ブラウン管)に対してあまりにも大き過ぎたため、しばらくは物置きの中で冬眠させておりました。
このセンタースピーカーが大活躍するようになるのはその一年後、初めてプロジェクター(プラスビジョン:Piano Avanti HE3200)を導入した時からです。
以来、我が家で見た映画のセリフのほとんどすべてはこのスピーカーで聞きました。

スクリーン上部にはフロントハイトスピーカーを設置しています。
本来はドルビーサラウンドプロロジックⅡZX(フロント音声に高さ方面のプレゼンス音響を加えたもの)用のスピーカーでしたが、私は元々の規格そのままに再生する「ストレートデコード」が気に入っていたためここ数年は全く使っていませんでした。
ドルビーアトモス規格にはこのハイトスピーカーをトップ(天井)スピーカーの代用品にするモードもあるので、今回はまずそれを試してみることにします。
それでうまく効果が出てくれれば、面倒な天井スピーカー設置なんかしないで済みますから。

オンキョー製品群の中にあって、サブウーファーだけはFOSTEX製:CW-250Aです。
他のスピーカーと同じ密閉式で、ゴォーと強く引き締まった低音を出してくれるのでとても気に入っています。
サブウーファーはセンタースピーカーとフロント右スピーカーの間に配置しています。
オーケストラでは低音楽器は常にステージ向かって右側に配置されているのでそれに準拠しました。

実は最初にHTSシリーズスピーカーを買ったときサブウーファー:HTS-SW10も一緒に買ったのですが、ドロドロとしたお団子状態の低音しか出ないのと自動電源ON/OFF機能の働きが鈍いのが気に入らずすぐに買い替えてしまいました。
その後、オンキョーD-500やパイオニアIS-W5(中古)、ヤマハのYST方式のやつ(型番は失念)を転々とし、挙句の果てはサブウーファー無し状態まで色々試しました。
しかし、CW-250Aのおかげで私はもうウーファーで悩む必要はなさそうです。

サラウンド、サラウンドセンター、フロントハイトの5本もフロントやセンターと同じシリーズのオンキョー:HTS-SR10。
これもやはり密閉式です。
左右サラウンドスピーカーの配置は、サラウンド推奨規格であるITU-R BS.775-1に準拠しています。
真正面を0度として左右にそれぞれ120度の位置に壁掛けセッティングしています。
この角度はメーカー(オンキョー)推奨とも一致します。
HTS-SR10は全BOSEのCW-30(取付金具)て壁付けにしています。
スピーカーと金具を合わせて5kg近い重さになりますが、9年間一度もグラついたことはありません。
この部屋の壁の下には大工さんに頼んで下地となる木板を仕込んでもらってあるのです。

視聴位置の真後ろ(プロジェクターの上)にサラウンドバックスピーカーを一本だけ設置しています。
私の場合は視聴位置が部屋中央よりも後方寄りなのでサラウンドバックは2本もいらないと判断し、中古でサラウンド用と同じHTS-SR1を1本だけ買って使っています。

<TX-NR5010の取扱説明書より>
ただ、今回はこのサラウンドバックスピーカーが問題となりました。
前のアンプ(TX-NR5010)では、サラウンドバック1本の場合はLチャンネルに繋ぎ、設定画面で「サラウンドバック→1ch」に切り替えればそれで一本仕様になったのです。
ところがDRX-7.1にはどこを探してもサラウンドバックを一本仕様にする設定画面がありません。
どうやらドルビーアトモスにおいてサラウンドバックスピーカーを使う場合は2本使用が必須のようです。

今回はやむを得ずサラウンドバック無しの5.1.2でやってみることにしました。
基本となる5.1ch構成に、フロントハイトスピーカーをトップ(天井)スピーカーに見立てる設定です。

サラウンドバック以外にもう一つ気になったのが、左右サラウンドスピーカーの高さ指定です。
以前のドルビーデジタルやドルビープロロジック(あとDTSも)では「サラウンドスピーカーは視聴位置よりも20度ほど高い位置に置くのが理想」とされていました。
今までのシステムはその通りに設置していますし、実際にその音響効果には120パーセント満足していたのです。

ところが、各メーカーのアトモス推奨スピーカー配置図を見ると、サラウンドスピーカーはフロントと同じく視聴者の耳の高さくらいに置くのが良いとされています。
これはドルビーアトモスの場合、サラウンドスピーカーが高い位置にあるとトップ(天井)スピーカーが表現する高さがはっきりしなくなってしまうせいではないかと思われます。
【暫定配置でドルビーアトモス&DTS:X試聴、その結果は?】

とりあえず各スピーカーの実測距離を入力し、聴感でレベル設定を済ませて試聴開始です。
ソースは「DEMO WORLD」という海外のサイトからダウンロードした数本のデモファイルです。

再生を始めると表示部には「DOLBY ATOMS」の文字が!。
これこれ!、これが欲しかったんですよ!。

あと、数は少ないですがDTS:Xのデモもあったので試してみました。
やはり「DTS:X」の文字が!。
馬鹿だと思われるかも知れませんが(実際、妻には「バカみたい」と言われてしまいました)長年サラウンドを楽しんできた者としてはこうして新しいフォーマットを手に入れた瞬間が一番嬉しいものなのです。

デモ映像の中には、頭上を鳥が飛びまわりやがて激しい雨とカミナリに遭遇するシーンがあります。
こんな場面は・・・

きっとこんな風に聴こえるはずです(笑)。
私はワクワクしながら再生ボタンを押しました。

ところが、実際にデモ音声を聴いてガッカリしてしまいました。
「頭上から」鳴るはずの雨や雷の音が明らかに自分の前方に集中していたのです。
これでは非対応アンプでアトモス再生した時と変わりありません。
また、サラウンドスピーカーが高い位置にあるためか、視聴位置周辺の音の上下感も全く表現出来ていない気がします。
付属のマイクを使った自動設定もやってみましたが結果は同じでした。
この構成は失敗でした。
やはりフロントハイトスピーカーではトップ(天井)スピーカーの代りにはならないみたいです。
決めました!。
私、天井にスピーカー付けちゃいます!
それも自分の手で!。
はっきり言ってかなり大変そうですけど、業者さんに頼むなんてことはハナから考えていません。
理由としてはまず「お金が無い」ということも確かなのですけど・・・
こんな楽しいこと、他人になんか任せてたまるか!
昔からずっと手作りでやってきて、多少(いや、かなり)不細工なところもある我がホームシアターですが、今まで天井裏のケーブル配線からスピーカーの壁設置まで全部自分の手でやってきた私の大事な趣味なのです。
今回も自分の好きなように拘って作りたいと思っております。
前編はひとまずここまで。
後編は各スピーカーの配置変更とケーブル再配線、そして最難関であるトップ(天井)スピーカーの取り付けです。
趣味の備忘録(しかも長文)にお付き合いいただきありがとうございました。
先日、我が家のホームシアターが大きな進化を遂げました。

ドルビーアトモスとDTS:Xという2つの最新サラウンドフォーマットに対応するAVアンプ、Integra DRX-7.1を手に入れたのです!。
定価はなんと税込み38万5千円!
昨年夏、4K対応プロジェクターや4Kテレビを立て続けに買ってAV資金をほぼ使い果たしてしまった今の私にとても買える値段ではありません。
(3月の時点で残高は18万円ほど)

ところが、先日何気なく某有名ホームシアター専門店のWebサイトを覗いてみたところ、15万8千円(税込み)と一気に半額以下にまで大幅値下がりしているではありませんか!?。
何故?。
実はDRX-7.1は2年前に発売された旧世代の製品です。
ドルビーアトモスとDTS:Xにはしっかり対応していますが、本機発売後に登場したAuro-3DやIMAX Enhancedといった最新規格には未対応なのです。
DRX-7.1が急に安くなった理由は、それら新フォーマットに対応する後継機の発売が近いからではないかと思われます。
在庫処分だろうが何だろうが、これはアトモス対応のAVアンプ上級機種を安く買える千載一遇のチャンスです。
私は半ば強引に妻の了解を取り付けて、購入ボタンをポチったのでありました。
【そもそも、ドルビーアトモスとは?】

どうして私はそれほどまでして新しいアンプが欲しかったのか?。
それは、現在の最新サラウンドフォーマットである「ドルビーアトモス」や「DTS:X」をどうしても正しい形で聴きたかったからです。

ドルビーアトモスとDTS:Xは、従来の5.1(あるいは7.1)チャンネルに加えて天井にスピーカーを配置することにより部屋全体を音で満たすというものです。

ドルビーアトモス音声仕様のブルーレイは、現在国内で発売されているだけでも250タイトル以上。
それらのタイトルは当然レンタルBDにもドルビーアトモス音声が収録されいます。
また、NETFLIXにもドルビーアトモス音響で楽しめるタイトルがいくつか存在します(ただし一番高いプレミアムプランのみ)。

しかし、私が今まで使っていたAVアンプ ONKYO:TX-NR5010は、家庭用ドルビーアトモス登場以前(2012年発売)の製品です。
ドルビーアトモスのBDも再生すること自体は可能ですが、その場合は従来と同じドルビーTrueHDとしての再生になってしまいます。
つまり、今までの私はせっかくソフトに収録されている音響演出を100パーセント楽しめていなかったのです。
その不満がフラストレーションとなり、やがて私の中に溜まりに溜まって今やもう爆発寸前にまでなっていました。
しかし、今回のDRX-7.1導入により、ついにそのモヤモヤがスッキリ晴れるのであります。
【開梱、設置】

数日後、DRX-7.1が到着しました。
「展示未使用品」ということでしたが、箱には開けた痕跡が全く見当たりません。
展示品というよりデッドストック品でしょうか?。

開梱!。
リモコンや各種ケーブル・アンテナ、自動調整用マイクなど付属品も全部揃っています。

これを半額以下で買えたのですから大満足です。

Integraとは、現在オンキョーが有するブランドの一つです。
(あのパイオニアも現在はオンキョー傘下の一つ)。
AVアンプに関しては、以前はオンキョーとIntegraとで並行してラインナップを揃えていました。
しかし、数年前からは入門機から中級機までをオンキョーブランド、30万円以上の上級機やセパレートタイプはIntegraブランドという風に棲み分けするようになっています。
私が今まで使っていたTX-NR5010はオンキョーAVアンプ(一体型)の最上位機でしたが、残念なことにオンキョーブランドからはこのクラスの後継機は出なくなってしまったのです。
これまで約18年間、歴代オンキョーAVアンプを使ってきたことに加え、アンプのグレードは絶対に落としたくなかったことから今回初めてIntegra製品導入を決めました。

早速、TX-NR5010と入れ替えでラックの最上部に設置しました。
全身黒一色だったTX-NR5010と違い、ダークグレーの本体にシルバーのボリュームつまみがアクセントになっています。
フロントパネルは曲面を生かしたデザインになっていて、ホームシアターのコントロールセンターたる存在感があります。
5010の重量は25kgもあったため気合を入れて持ち上げないと腰を痛めそうでしたが、対してDRX-7.1は19kgと6kgも軽いです。
また、消費電力はNR5010が800Wも食うのに対し、DRX-7.1は半分以下の330W。
重量が減ったということから音質やパワー感の低下が少し心配になりましたが、これが今どきのアンプなのでしょう。
アナログ時代からのオーディオファンとしては「機器の重量と音質は比例する」という考え方からはどうしても離れられないのであります。
とはいえ、アナログ的にどんなに高音質であったとしても、最新フォーマットに対応していなければ現在のAVアンプとしては用無しなのも事実なのです。

リモコンはTX-NR5010のものと比べてずいぶんシンプルになりました。
私はこれくらいのほうが扱いやすくて良い気がします。
プロジェクター使いは暗い部屋でリモコンを操作するので、余計なボタンがごちゃごちゃ付いていては誤操作の元です。
出来れば暗いところで操作し易いようにボタンの自照機能があると良かったのですがね。

背面の入出力端子群。
スピーカー端子は11チャンネル分ありますが、取説には「同時に使用できるのは9チャンネルまで」「7.1.4チャンネルにするにはサラウンドバック・プリアウトを別途用意したパワーアンプに繋いで欲しい」と書かれています。
え、なんで?。
DRX-7.1単体では従来の7.1チャンネル+天井スピーカー4本による7.1.4チャンネルは実現出来ないことになります。

しっかり「SURROUND BACK」と書かれたスピーカー端子があるのに何故?。
この件はいずれオンキョーに問い合わせてみるつもりです。
HDMI端子は4K・HDR対応のHDCP2.2対応バージョン(ただし入力1~5まで)です。
これで現在は居間の4K液晶テレビに接続しているBS4Kチューナー内蔵BDレコーダー(DMR-SUZ2060)をこのホームシアターシステムに繋ぐことも可能になりました。
ただし、そのためには4K対応HDMIケーブルを新しく買い足さなくてはなりません。

ここで余談を少し。
私が愛用しているオーディオラックはヤマハのGTR-1(4個)です。
このうち最初の2個は’87年に買ったものでもうかれこれ33年もの古い付き合いです。
あとの2個は2000年以降にヤフオクとハードオフで買った中古ですが、元々「経年劣化」とは無縁な製品なので今でも全く問題なく使い続けております。
アンプの隣を空けていますが、ここには近日購入予定のアナログレコードプレーヤーを置くつもりです。

このとおり、年季入ってます!。
4K映像機器や最新サラウンドフォーマットを手に入れた今でも、それらを収めるのはレーザーディスクやS-VHSの時代から使い続けてきたこのGTラックです。
これまで33年間私のAVライフを支え続けてくれた存在なので、今さら新しいラックに買い替えるつもりはありません。
【THXなスピーカーたち】
ケーブル接続する前に、従来のスピーカー構成と配置を整理しておきます。

現在のシステムを組んだのはちょうど9年前、今の家を建てた2011年春のことです。
2階の10畳間を私のホームシアター専用ルームにしました。
迷光対策として壁紙は全て黒色にしています。
天井は元々白い壁紙を貼っていたのですが、やはりスクリーンの光が反射して映像のコントラストに悪影響を及ぼすためスクリーン周辺には光をほとんど反射しない「ハイミロン」を貼っています。
貼ったといっても実はピンで留めただけなので見た目は最悪ですが、映写するときはどうせ真っ暗になるので気にしません(笑)。

2011年といえば旧フォーマット「ドルビーTrueHD」と「DTS-HD Master Audio」が成熟期に入った頃でした。
私は念願だった真新しい専用AVルームにサラウンド推奨規格であるITU-R BS.775-1に出来るだけ近い5.1チャンネルシステムを組み、更にサラウンドバック(リアセンターとかサラウンドセンターとも呼ばれる)一本とフロントハイト2本を加えた8.1チャンネルを組んでいました。

使用スピーカーは、サブウーファー以外全てオンキョーのHTS System-10シリーズで統一しています。
HTSシリーズはジョージルーカスが提唱するTHXの認定を受けた5.1チャンネルスピーカーシリーズです。
2001年秋にゼロから5.1chシステムを組み直した時、このTHXという響きにヨロメキました(笑)。
HTS System-10シリーズは1999年発売のスピーカーです。
驚くなかれ、サブウーファーを以外のフロント・センター・サラウンド(一組分)の5台はブラウン管テレビ時代の2001年秋に購入したスピーカーなのです。
かれこれ18年以上の付き合いあり、これはヤマハのラックに次ぐ古さです。
18年も使っているスピーカーたちですが、どれもしっかりした音で鳴ってくれています。
ウーファーのエッジも全くヘタっていません。
スピーカーは使わずに保管するより、毎日適度に使い続けたほうが長持ちするといいます。
また、直射日光に当てることなく、高温多湿にならない部屋で使ってきたのも良かったのだろうと思います。
出来るものならこいつらと最後まで付き合い続けたいと願っているのですが、いかんせん生産終了して久しいため故障などした場合は程度の良い中古を探すしかありません。

フロントスピーカーはオンキョー:HTS-F10。
密閉方式で解像度の高い引き締まった音が出るので気に入っています。
左右ともトゥイーターの位置が私の耳と同じ高さになるようウッドブロックと御影石ボード(5cm厚)を使って調節しています。

フロントスピーカー2本はプロジェクターの光を遮らないようにスクリーンの両端に設置しています。
左右2本の距離(中央部)はおよそ3.1m。
その線を底辺とした三角形のもう一つの頂点部分が私の視聴位置になります。
本当はこの部分を正三角形にするのが理想ですが、スクリーン幅と私好みの視聴位置(2H)との関係から、スピーカーへの角度は約33度とやや開き気味になっています。
若干開き気味になることで音像定位に不安はあったもの、センタースピーカーのおかげで全く気にはなりません。

センタースピーカーはフロントと同じHTSシリーズのオンキョー:HTS-C10。
スクリーンの真下に、視聴位置の私にまっすぐ向くよう仰角を付けて設置しています。
これも密閉式で、低音が暴れることのない素直な人の声を聴かせてくれます。
買った当初は、当時使っていた32インチワイドテレビ(ブラウン管)に対してあまりにも大き過ぎたため、しばらくは物置きの中で冬眠させておりました。
このセンタースピーカーが大活躍するようになるのはその一年後、初めてプロジェクター(プラスビジョン:Piano Avanti HE3200)を導入した時からです。
以来、我が家で見た映画のセリフのほとんどすべてはこのスピーカーで聞きました。

スクリーン上部にはフロントハイトスピーカーを設置しています。
本来はドルビーサラウンドプロロジックⅡZX(フロント音声に高さ方面のプレゼンス音響を加えたもの)用のスピーカーでしたが、私は元々の規格そのままに再生する「ストレートデコード」が気に入っていたためここ数年は全く使っていませんでした。
ドルビーアトモス規格にはこのハイトスピーカーをトップ(天井)スピーカーの代用品にするモードもあるので、今回はまずそれを試してみることにします。
それでうまく効果が出てくれれば、面倒な天井スピーカー設置なんかしないで済みますから。

オンキョー製品群の中にあって、サブウーファーだけはFOSTEX製:CW-250Aです。
他のスピーカーと同じ密閉式で、ゴォーと強く引き締まった低音を出してくれるのでとても気に入っています。
サブウーファーはセンタースピーカーとフロント右スピーカーの間に配置しています。
オーケストラでは低音楽器は常にステージ向かって右側に配置されているのでそれに準拠しました。

実は最初にHTSシリーズスピーカーを買ったときサブウーファー:HTS-SW10も一緒に買ったのですが、ドロドロとしたお団子状態の低音しか出ないのと自動電源ON/OFF機能の働きが鈍いのが気に入らずすぐに買い替えてしまいました。
その後、オンキョーD-500やパイオニアIS-W5(中古)、ヤマハのYST方式のやつ(型番は失念)を転々とし、挙句の果てはサブウーファー無し状態まで色々試しました。
しかし、CW-250Aのおかげで私はもうウーファーで悩む必要はなさそうです。

サラウンド、サラウンドセンター、フロントハイトの5本もフロントやセンターと同じシリーズのオンキョー:HTS-SR10。
これもやはり密閉式です。
左右サラウンドスピーカーの配置は、サラウンド推奨規格であるITU-R BS.775-1に準拠しています。
真正面を0度として左右にそれぞれ120度の位置に壁掛けセッティングしています。
この角度はメーカー(オンキョー)推奨とも一致します。
HTS-SR10は全BOSEのCW-30(取付金具)て壁付けにしています。
スピーカーと金具を合わせて5kg近い重さになりますが、9年間一度もグラついたことはありません。
この部屋の壁の下には大工さんに頼んで下地となる木板を仕込んでもらってあるのです。

視聴位置の真後ろ(プロジェクターの上)にサラウンドバックスピーカーを一本だけ設置しています。
私の場合は視聴位置が部屋中央よりも後方寄りなのでサラウンドバックは2本もいらないと判断し、中古でサラウンド用と同じHTS-SR1を1本だけ買って使っています。

<TX-NR5010の取扱説明書より>
ただ、今回はこのサラウンドバックスピーカーが問題となりました。
前のアンプ(TX-NR5010)では、サラウンドバック1本の場合はLチャンネルに繋ぎ、設定画面で「サラウンドバック→1ch」に切り替えればそれで一本仕様になったのです。
ところがDRX-7.1にはどこを探してもサラウンドバックを一本仕様にする設定画面がありません。
どうやらドルビーアトモスにおいてサラウンドバックスピーカーを使う場合は2本使用が必須のようです。

今回はやむを得ずサラウンドバック無しの5.1.2でやってみることにしました。
基本となる5.1ch構成に、フロントハイトスピーカーをトップ(天井)スピーカーに見立てる設定です。

サラウンドバック以外にもう一つ気になったのが、左右サラウンドスピーカーの高さ指定です。
以前のドルビーデジタルやドルビープロロジック(あとDTSも)では「サラウンドスピーカーは視聴位置よりも20度ほど高い位置に置くのが理想」とされていました。
今までのシステムはその通りに設置していますし、実際にその音響効果には120パーセント満足していたのです。

ところが、各メーカーのアトモス推奨スピーカー配置図を見ると、サラウンドスピーカーはフロントと同じく視聴者の耳の高さくらいに置くのが良いとされています。
これはドルビーアトモスの場合、サラウンドスピーカーが高い位置にあるとトップ(天井)スピーカーが表現する高さがはっきりしなくなってしまうせいではないかと思われます。
【暫定配置でドルビーアトモス&DTS:X試聴、その結果は?】

とりあえず各スピーカーの実測距離を入力し、聴感でレベル設定を済ませて試聴開始です。
ソースは「DEMO WORLD」という海外のサイトからダウンロードした数本のデモファイルです。

再生を始めると表示部には「DOLBY ATOMS」の文字が!。
これこれ!、これが欲しかったんですよ!。

あと、数は少ないですがDTS:Xのデモもあったので試してみました。
やはり「DTS:X」の文字が!。
馬鹿だと思われるかも知れませんが(実際、妻には「バカみたい」と言われてしまいました)長年サラウンドを楽しんできた者としてはこうして新しいフォーマットを手に入れた瞬間が一番嬉しいものなのです。

デモ映像の中には、頭上を鳥が飛びまわりやがて激しい雨とカミナリに遭遇するシーンがあります。
こんな場面は・・・

きっとこんな風に聴こえるはずです(笑)。
私はワクワクしながら再生ボタンを押しました。

ところが、実際にデモ音声を聴いてガッカリしてしまいました。
「頭上から」鳴るはずの雨や雷の音が明らかに自分の前方に集中していたのです。
これでは非対応アンプでアトモス再生した時と変わりありません。
また、サラウンドスピーカーが高い位置にあるためか、視聴位置周辺の音の上下感も全く表現出来ていない気がします。
付属のマイクを使った自動設定もやってみましたが結果は同じでした。
この構成は失敗でした。
やはりフロントハイトスピーカーではトップ(天井)スピーカーの代りにはならないみたいです。
決めました!。
私、天井にスピーカー付けちゃいます!
それも自分の手で!。
はっきり言ってかなり大変そうですけど、業者さんに頼むなんてことはハナから考えていません。
理由としてはまず「お金が無い」ということも確かなのですけど・・・
こんな楽しいこと、他人になんか任せてたまるか!
昔からずっと手作りでやってきて、多少(いや、かなり)不細工なところもある我がホームシアターですが、今まで天井裏のケーブル配線からスピーカーの壁設置まで全部自分の手でやってきた私の大事な趣味なのです。
今回も自分の好きなように拘って作りたいと思っております。
前編はひとまずここまで。
後編は各スピーカーの配置変更とケーブル再配線、そして最難関であるトップ(天井)スピーカーの取り付けです。
趣味の備忘録(しかも長文)にお付き合いいただきありがとうございました。
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