週刊映画鑑賞記(2020.3/9~2020.3/15) 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
今週前半は確定申告の準備に集中したためゆっくり映画を見る時間はありませんでした。
もっとも、昨今のコロナウィルス・シンドロームのせいでこの私もすっかり出不精になってしまいました。
ふと気が付くと、最後の「午前十時の映画祭」最後のプログラム『バック・トウ・ザ・フューチャー』三部作のPART1上映が終わってしまいました。
迂闊!。
肝心のPART1を見逃したのでは、続く2・3だけ見ても仕方ありません。
先月見に行った『七人の侍』が私にとって最後の「午前十時の映画祭」になってしまいました。
『バック・トウ・ザ・フューチャー』は妻も大好きな映画で、以前「一作目だけでも一緒に観に行こう」と言っていたのですがね。
3/12(木)
『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』
(ホームシアター:ファミリー劇場録画)

今週、唯一最初から最後まで観た映画は、よりによってこのアニメでありました(笑)。
昨年末にファミリー劇場で放送された『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』です。
先週は一作目から『完結編』までの劇場版全5作を連続視聴したのですが、この作品だけ見られないまま一週間が過ぎてしまったのです。
「コレと実写版は見なくてもいいかな」とも思いましたが、こんな機会でもなければもう二度と見返すことはない作品であることも確かです(笑)。

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』には2009年12月(ちょうど今回の放送の10年前)に劇場公開されたものと、その2年後に大幅改訂された「ディレクターズ・カット版」の2つのバージョンが存在します。
今回ファミリー劇場で放送したのは最初の劇場公開版でした。
この劇場公開版はなぜか旧作の宮川泰先生の音楽も柏原満さんの効果音もほとんど使っておらず、BGMはクラシック音楽が主体で効果音もヤマト世界では聞きなれない音ばかりです。
当然ながら、私も含む往年のヤマトファンから総スカンを食い、興行成績は無残な結果に終わりました。
プロデューサーの西崎義展氏は「『さらば~』の夢よ再び」と願っていたのでしょうが、いかんせんストーリーもSF考証も作画センスも全て昭和時代そのままなのです。
こんなものが2000年代の観客に通用するわけありません。
ディレクターズカット版(コレがどういう経緯で作られたのかは不明ですが)は音楽と効果音を旧作の馴染み深いものに差し替え、30分もの新作カットを付け加えてさらにラストシーンまで変更して完全な別バージョンになっていました。
(それでも元が元だけにファンが納得出来るような代物でもありませんが・・・)

宇宙空間を進む宇宙戦艦ヤマトの雄姿を再び映画館のスクリーンで仰ぎ見られる。
このこと以外は「見るべきところの全くない映画」なのですが、そのヤマトの絵姿だけは妙にハッタリの効いた迫力に満ち溢れていました。
発進シーンに流れる主題歌「宇宙戦艦ヤマト」がささきいさおさんではなく、甲高い声にアルフィーによるものにされているのが残念です。
(ディレクターズカット版ではここも主題歌のインストルメンタルに差し替えられてしました)

まるで広角レンズを装着したカメラでヤマトのギリギリ間近に近寄って撮ったかのようなパースペクティブを利かせた迫力あるこのアングル!。
これ、これがヤマトの絵なのですよ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』は本当に良く出来たリメイクで私も全シリーズ楽しみに見ていたのですけど、唯一物足りなかったのはこういったケレン味のある絵作りが無かったことでした。
『2199』と『2202』の2つのリメイク版を経て、久し振りに観た昭和感覚の平成ヤマトから意外な快感を味わわせてもらいました。
もっとも、これ以外はやはりツッコミと落胆の連続でありましたが(笑)。

内容的には残念なところだらけの映画ですが、中でも一番気になる点があります。
どうして森雪役を麻上洋子(現:一龍斎春水)さんに演じてもらわなかったのでしょうか。
手紙の朗読だけとはいえ、『2199』以前の私には他の人の声で森雪のセリフを聞かされても全くピンときませんでした。
ディレクターズカット版でもここは変わらずでした。
富山敬さんが故人となられているので古代進役が代役(山寺宏一さん)なのは仕方ないですが、それ以外はオリジナルキャストに拘ってもらいたかったです。
麻上洋子(一龍斎春水)さんは『若おかみは小学生』などでも声優として活躍されているので、決してアニメ声優に見切りをつけられたわけではないと思うのですがね。

細かな部分はほとんど忘れていたせいか、公開からおよそ10年を経った2020年の現在だからこそ目についた部分もありました。
それは今回初登場の大村副長のことです。
輸送船時代から古代の右腕として活躍してきたという大村は、クライマックスのSUS巨大要塞攻撃の際自ら志願して突撃揚陸艇で特攻、戦死します。
まあ、「ヤマトで特攻」なんて今に始まったことではないですが、私は今回初めて登場した「独り身」のこのおっさんの最期に何か引っかかるものを感じたのです。
ここ数年、ハリウッド映画ではLGBTを容認する映画が注目される傾向があります。
一昨年大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』や2017年アカデミー作品賞を獲った『ムーンライト』などがそうです。

そんな世界情勢(笑)を踏まえたうえで改めて大村副長を見ていると、「この大村って奴は実はゲイで、密かに古代に恋していたんじゃないか?」なんて下らないことを考えてしまったのであります。
「古代艦長。あなたと過ごした3年間、最高の航海でした。」
こんな男気を感じさせるようなセリフもなんだか全然違う意味に聞こえてしまいます(笑)。

ラストシーンでは昭和ヤマトの伝統に乗っ取って第3艦橋が大破します。
ここに勤務していたのは何故か若い女性乗組員ばかりでした。
どーして最も危険な第3艦橋に女の子!?。
戦闘終了後、古代の娘と並ぶ本作のヒロイン折原真帆もここで眠るように息絶えていました。
ただ、その死に顔カットは異常に長い!。
測ってみたら38秒もありました(笑)。
西崎P兼監督はこの娘に何か思い入れがあったのですかね?。
ちなみにディレクターズカット版ではラストシーン変更に伴い彼女は生き残っていました。

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』で一番笑えるのは、やっぱり最後にバーンと出てきたコレでしょう(笑)。
「ヤマトじゃなくてアンタ自身の復活篇かい!」

復活篇公開当時、西崎氏はこんなことを言っていました。
「12〜13歳の人たちは今の30〜40代の大人の真似をするな。
それより上の世代は戦後身を犠牲にして働き日本を豊かにしてきた人たちだが、その子供である30代40代は最初から恵まれて育ったため自己中心的だ。
それまでは「色々問題のある人だけど、私の好きなヤマトを作ってくれた人」として一目置いていたのですけど、当時これを読んだ瞬間本当にこの男のことが不愉快に感じました。
2009年当時の40代といえば、それはモロに私の世代ではないですか!。
いや、それだけではありません。
74年のTV放送開始から77年に始まるヤマトブームに至るまで、西崎を支えていたのはまさに我々の世代だったのです。
それなのに、彼にとって新しい顧客である子供たちに古い客でしかない私たちの事を信じるな、とは・・・。
それはまるで「私を崇めよ、親など信じるな」という新興宗教と同じです。
幸い子供たちからは『復活篇』は見向きもされず、結局これまで支えてきたオールドファンにも見捨てられる結果となりました。

その後『ヤマト』を本当の意味で現代に復活させたのは、かつて旧作を愛してやまなかった40代から50代のクリエイターたちだったとは皮肉な話です。
さて。
週末は我が家のホームシアターで短い映像クリップを何度も何度も繰り返し視聴しておりました。

こんなとか

こんなとか

あと、こんなのも
実はこれらのビデオクリップは最新サラウンド規格「ドルビーアトモス」と「DTS:X」のデモ映像&音声です。

実は、かねてから「欲しい欲しい」と念仏のように唱え続けてきたドルビーアトモス&DTS:X対応AVアンプ:INTEGRA DRX-7.1をついに手に入れたのです。
しかも、新品を定価の半額以下で!。
それでスピーカー配置を試行錯誤しながら「ああでもないこうでもない」とこれらのデモを何度も繰り返し見ていたのでした。

正確なドルビーアトモス再生のために、スピーカーを天井に取り付けるという奇行にまで及んでしまいました。
もう後戻りは出来ません(笑)。
ドルビーアトモス導入奮戦記は、いずれそのうち備忘録として記事にまとめたいと考えております。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。