週刊映画鑑賞記(2020.3/23~2020.3/29)
毎週日曜日は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
先日我がホームシアターに新しいAVアンプを購入したことで、ようやく念願だったドルビーアトモス導入を果たしました。
これから当分の間は「音の演出」に関する感想が増えると思います(笑)。
3/23(月)
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
(ホームシアター:Blu-ray)

劇場公開時、IMAX3Dで2回・4DX(3D吹替版)で1回・スクリーンXで1回と、映画館で4回も見ています。
そのどれもが通常上映とは異なるアトラクション的上映だったため、ノーマル2Dで鑑賞するのは実は今回が初だったりします。
映画館で見たときは勢いに流されて気にならなかった演出や見過ごした粗などにも目が行くものと思います。
この日は(新型コロナのせいで)時間に余裕があったので、ドルビーアトモス再生に続いて(部分的に)アトモスをOFFにした従来の5.1ch再生も行って比較をしてみました。

ブルーレイ自体はアマゾンで予約購入していて昨年12月の発売日には手元に届いておりましたが、3ヶ月間ずっと封も切らずに温存してきました。

なぜならば。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ブルーレイにはドルビーアトモス音声が収録されているのです。
そのため、アトモス対応のAVアンプを購入したときの最初のソフトはコレにすると固く心に決めておりました。
巨大な怪獣が暴れまわる『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はドルビーアトモスにふさわしい映画です。
逆にアトモスによる頭上からの音響効果が無ければ、ストーリーや演出面での粗が気になってしまって半分も味わえないかも知れません。

『キング・オブ・モンスターズ』には地上から上(怪獣)を見上げる映像が続出しますが、当然音響効果もそれに合わせた作りになっています。
いや、もしかするとサラウンドによる音響効果を前提として画作りしているんじゃないか?という気さえしてきました。
それくらい「ドルビーアトモス」ONの時とOFFの時との差が大きかったです。

キングギドラ初登場シーンでは、地面を逃げ回るモナーク兵士たちの頭上から常にギドラの鳴き声が響き渡ります。
映像にギドラが映っていなくても音で空間が繋がっているのです。
しかし、このシーンを映像としてだけ見てみると、舞台が南極であるため怪獣の大きさを表現するための建物や山といった対比物が無いためギドラの大きさが今一つ把握しづらいです。
設定やストーリーについては深く考えず、派手な絵作りときめ細かな音響効果と音楽を楽しむアトラクション映画です。

派手な怪獣バトル以外でドルビーアトモスが効果的だったのは、水中シーンや潜水艦内部といった全周囲からなんらかの音が鳴り続けているところです。
水中シーンでは部屋全体が水の音で満たされるうえに潜水艦が進むときの水圧も微細な音の変化によって表現されているのが分かります。

潜水艦内部では狭い部屋中から聞こえる機械音や外部からの衝撃音が四方から聞こえてくるので、「そこに居合わせる」感が3倍増しです。

でも、どうして古代エジプトやローマ帝国より古い海底遺跡にカタカナで「ゴジラ」と落書きされてるのか?という疑問は誤魔化しきれませんがね(笑)。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、通常のステレオやあるいはサラウンドでも小音量で聴いてしまうと映像と音のイメージがかみ合わなくなってしまう映画です。
人によっては、怪獣たちの巨大感をほとんど味わえないという結果につながってしまうかも知れません。
自宅でのドルビーアトモス再生環境が整うまで『キング・オブ・モンスターズ』視聴を控えたのは正解でした。
たとえサラウンド環境な無くとも、可能な限りの大音量かヘッドホンで観るべき映画だと思っています。

また、あえて天井スピーカーをOFFにして観た時には、それまで気にならなかった部分がやたら目につくようになりました。
例えばそれは、この映画のゴジラ登場シーンが全部同じパターンであることなどです。
マーク・ラッセル博士(演:カイル・チャンドラー)や娘のマディソン(演:ミリー・ボビー・ブラウン)たちがギドラに襲われて絶体絶命!。
しかし、その時ゴジラが颯爽と現れて・・・。
なんと、この同じシチェーションが総尺2時間12分の中に計4回もあるのです。
普通なら3度目あたりで「またこれかよ、ワンパターンやな~。」と飽きてしまうところです。
しかし、私は劇場公開当時IMAXとか4DXといった超大画面やりアトラクション感覚の上映で見ていたせいかあまり気にならなかったのですが、今回ノーマル再生とアトモス再生を比較してみたことでその理由が分かりました。
実は4回のゴジラ登場シーンがサラウンドの聴かせどころになっていたのです。

特に3度目、ボストンでマディソンがギドラに襲われるところにゴジラがやって来るシーンでは、あの伊福部昭先生のゴジラのテーマが頭上から鳴り響きます。
私は何度見てもここで鳥肌が立ってしまうのです。
演出としてはかなり稚拙と分かっていても、「ここぞ」というところで伊福部先生や古関裕而先生のオリジナル楽曲を聴いた瞬間全てを忘れて引き込まれてしまうのが怪獣映画ファンの性(さが)なのであります。
この演出は卑怯ですね(笑)。
ただ、音響演出の有り無しを別にしても不満な点がありました。

まず、人間側の物語があまりにも陳腐で薄っぺらいこと。
特に最大のキーマン(ウーマン)である母親の行動原理が終始全く理解出来ないのです。
こうもストーリーの軸がはっきりしないのでは、観客としてはひたすらアトラクション映画として楽しむほかありません。

そしてもう一つ。
ゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラ以外の怪獣群の中に、私たち日本の怪獣ファンに馴染み深い東宝怪獣の姿が一匹もいなかったのは残念です。
山のような巨大な怪獣はせめてアンギラスにして欲しかったですし、多足歩行の怪獣もクモンガであるべきです。
あと、名前だけ出てきた海の怪獣はリバイアサンじゃなくてマンダでいいだろう、とか思ってしまいました。
東宝が参加しているのですから権利とかの問題など無いはずなのですがね。
今秋公開予定の『ゴジラVSコング』には懐かしい東宝怪獣たちもリニューアルされた姿で登場してくれることを期待したいです。
(でも、今の新型コロナ騒ぎでちゃんと年内に日本公開されるのか心配ですが・・・)

これから当分の間はドルビーアトモス収録されたBDを片っ端から見まくってやろうと考えましたが、よく考えると現在私が持っているBDソフトの中でアトモス収録されているのは『ゴジラ』と『アリータ バトルエンジェル』と『ダーククリスタル(リミックス)』の3枚しかありません。
そこで、ちょうどGEOのネットレンタルが旧作55円キャンペーン中をやっていたのでアトモス収録ソフトを数枚借りました。
このうち『移動都市-モータルエンジン-』『ゴースト・イン・ザ・シェル』『ジャスティス・リーグ』『アクアマン』(あ、写真に入ってなかった・・・)の4枚は以前一度借りて観ていますが、今回ドルビーアトモス環境で(部分的に)改めて見返すことにしています。
月曜に『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観たあと、金曜の夜まではアトモス導入のブログ記事(前編/後編)に時間を費やしたため映画鑑賞はしていません。
そして土曜日。
3/28(土)
『スカーレット(最終回)』
(居間49インチ4K液晶テレビ:NHK)

新型コロナの影響でヒマになったおかげで最近はNHKの朝ドラ『スカーレット』を見る機会が多かったのですけど、この日その『スカーレット』が最終回を迎えました。
私が続けて見るようになったのはヒロイン:喜美子(演:戸田恵梨香)の一人息子:武志(演:伊藤健太郎)が不治の病(白血病)に侵されていると分かった辺りからでした。
私は、「まあ、そのうちドナーが見つかってめでたしめでたしで終わるんだろう」と楽観的に見ておりました。
ドナー検査に協力してくれた人たちの名簿を前に母子で「ありがとうございました!」と手を合わせたシーンが凄く好きだったし、番組からは彼の死を前提にした暗さが感じられなかったからです。
しかし、残念ながら性格の良い息子の武志くんは周囲の人たちの尽力も虚しく天に召されてしまいました。
ちょっと驚いたのが、武志の死ぬシーンは具体的に描かれずにいきなり2年後くらいに話が飛んで「26歳の誕生日を前にして旅立ちました」とナレーションで済ませていたことです。
そしてその後も前向きに生きる喜美子の姿が描かれて物語は幕を閉じました。
「あ、これいいな」と思いました。
武志が死んでいく物語としてではなく、彼が生きた証を残した話としてフィナーレを迎えたからです。
この構成を見ていて、ふと黒澤明監督の名作『生きる』を思い出しました。

『生きる』は、末期癌に侵されたしがない市役所職員:渡辺(演:志村喬)が真に市民のためになる公園を作ろうと奮戦するお話ですが、彼の死ぬシーンは描かれずに葬式の席で同僚たちが渡辺の行動を回顧するという構成になっていました。
『スカーレット』の脚本家:水橋文美江さんはやはり『生きる』を意識してあの最終回を書いたのでしょうか?。
「武志の作品は生きている」というナレーションがありましたが、私にはそれが『生きる』で完成した公園のブランコに揺られる志村喬さんの姿と重なった気がしました。
そして今日、レンタルしたBDのうちのどれかを観ようと考えていた時、妻が意外なリクエストを持ち込んできました。
妻「アマゾンビデオ(プライム)に前から見たかった映画があったんだけどいい?」
それがコレ↓でした(笑)。
3/29(日)
『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』🈠
(ホームシアター:Amazon Prime Video)

妻は公開当時観に行きたかったものの「自分一人では行きにくいし、いくらスキモノの亭主(おい)でもさすがにこれには付き合ってくれないだろう。」と諦めていたそうです。
それが早くもAmazon Prime Videoで見放題配信が始まったというのでリクエストしてきたのでした。
配信ならいつでも見られますが、映画見る時ってその場の気分も大事です。
レンタルBDでドルビーアトモスの大迫力を楽しむのは後日に回し、この日は妻に特等席を譲ることにしました。

機械操作係として私も最初の10分くらい見ていましたが意外に良かったです。
なるほど、伊達にロングランヒットはしてませんね。
出てくるのはシンプルで可愛らしいキャラクターばかりですが、実はその全員が何らのコンプレックスや障碍を背負ったマイノリティだったのです。
寒がりで北極から逃げてきた白熊。
いつも食べ残されてしまうトンカツの端っことエビフライの尻尾(私は食べますけど)。
恐竜だけどそれがバレると捕まってしまうためトカゲのふりしてる恐竜。
いつか花屋でブーケにしてもらうことを夢見ている雑草。
ミルクティーだけを先に飲まれて残されてしまったタピオカ。
等々・・・
このあまりにもほんわかした世界をこの私がすんなり受け入れられた理由とは?。
それは、この子たちは幼少の頃から私が大好きだった怪獣たちと同じだからです。

水爆実験のとばっちりを受けて全身ケロイド状態の巨大怪獣になってしまったゴジラや、人間が海や川に垂れ流した汚物から誕生したへドラ。
そして、その巨大な身体や特殊な生態のため人間世界に居場所が無い全ての怪獣たち。

私が愛してやまない怪獣映画からバイオレンス・恐怖・陰謀・ケレン味などの虚飾を取り除いていくと、最後にはこの『すみっコぐらし』になるのかも知れません。
新型コロナ騒動の影響で3月は仕事が半減しています。
4月の予定がある程度出揃いましたが、やはり週末のイベント関係の仕事は全滅状態でスケジュールはスカスカです。
例年なら、3月下旬からゴールデンウィークまでイベントの仕事と放送局のレギュラー仕事とで連日休み無し状態になるはずなのですがね。
でも考えようによっては、そのおかげでホームシアターのリニューアルを納得いく形に出来ましたしソフトを観る時間もほぼ毎日確保出来そうです。
映画館に行きづらい状態なのが残念ではありますが、実際のところ見たい映画のほとんどが上映延期になっているので今のところそれほど弊害は無い気もします。

ただ、今週末はちょっと困ったことが起こりました。
仕事の台本書きや企画書作り、あとプライベートでこのブログを書く時など県立図書館をよく利用しています。
(試験期間中を除けば)静かなので集中して作業出来ますし、過去の新聞記事などの資料も豊富なので丸一日滞在することもあるくらいです。

ところが、昨日(28日)朝行ってみたところ、入り口には「臨時休館」と書かれた真っ赤な張り紙が!?。
実はこの前日もここでブログ(27日の記事)を書いていたのですが、そんな告知は一切ありませんでした。
この一週間の間に県内の感染者が急増したことを受けて、知事が「週末は不要不急の外出を控えて欲しい」と要請発言したことを受けての措置でしょうか?。
それとも、まさか感染者の誰かが最近この図書館に来ていた事が分かったとか・・・?。
また、今週感染が判明した方のうちのお一人は、私も出入りさせていただいている会社の方だったそうです。
多分お会いしたことは無いと思うのですが、一応ご同業ということでもしかするとどこかの現場で会っていたかも知れません。
わずか一週間で福井の感染者数が一気に13人(3/29 22時現在)に増えてしまったうえ、図書館の臨時休館、同業者の感染と、新型コロナが一歩一歩身近になってきている気がします。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。