ドルビーアトモス始めます【後編:天井にスピーカー取り付け】

前回の続きです。
【スピーカー配置を考えてみる】
現在のシステムは上記ITU-R BS 775-1推奨規格をベースとして、フロント上部に左右ハイトスピーカー、真後ろにサラウンドバックチャンネルを1チャンネル追加した8.1チャンネルシステムです。

図にすると大体こんな感じです。

左右のフロントハイトスピーカーは撤去することにしています。
最初はこれをそのままトップスピーカーとして使えないか?と思っていましたが、実際に試してみると音像が前方に集中するばかりでドルビーアトモスのサラウンドとは程遠いものでした。
ならばこの位置にスピーカーを付けておく理由はありません。

サラウンドバックスピーカーは視聴位置の真後ろ(プロジェクターの上)に一本だけ追加していましたが、これも思い切って取り外すことにしました。
左右サラウンドスピーカーの配置が上手くいっていたせいか、設定でオフにしてもあまり変化を感じかったからです。

というわけで、我が家のドルビーアトモス(とDTS:X)はフロント2本・センター1本・サラウンド2本・サブウーファー1発・トップ(天井)スピーカー4本からなる5.1.4構成に決定です。
【まずはスピーカー取り外しから】

早速サラウンドバックスピーカー撤去から始めました。
べり・・・
ありゃ!?。
木ネジで止めていただけのはずだったのに壁紙も一緒に剥がれてしまいました。
圧力で壁紙のノリが染み出したのかも知れません。
うわあああ、嫁に殺される~。
ここには時計でも取り付けて誤魔化しますかね。
開始早々いきなり蹴躓いてしまいました。

スクリーン上部のフロントハイトスピーカー2本も取り外します。
(今度は慎重に・・・)
痕は残りましたがこの場所は目立たないので良しとしましょう。
そのうち穴をパテで埋めて、同じような黒い壁紙で補修します。

左右のサラウンドスピーカーも壁から取り外します。
サラウンドスピーカーは角度的に丁度良いのでそのままで良いだろうと思っていましたが、実はドルビーアトモスにおいてはサラウンドスピーカーの高さをフロントメインに揃えることが推奨されているのです。
サラウンドスピーカーとトップスピーカーが同じ高さにあったのでは、音像の上下感が表現出来ないためだと思われます。
【サラウンドスピーカーに問題山積】

9年ぶりに壁から取り外したサラウンドスピーカーを、昔使っていたスピーカースタンドに乗せて床置きしました。
視聴位置からの角度は120度のまま変わりません。
高さもフロントスピーカーと同じになるよう調節しています。
しかし、このスピ-カースタンドがかなりの安物だったため、フラフラしてしまって首が座りません。
スピーカーの音というものは、足元がしっかりしていないと濁ってしまうのです。
このスタンドはもっと頑丈なものに交換する必要があります。

中古で頑丈なスピーカースタンドを探して県内のハードオフ巡りをしていたところ、福井市内の店舗で思いがけない幸運に恵まれました。
現在私が愛用しているメインスピーカーと同じ、HTS-F10の中古を見つけたのです!。
値段はペアで1万3千円。
サランネットを外してユニットをよく見てみましたが、どこにも損傷や劣化は見当たりません。
前の所有者さんはとても大事に使っていたものと思われます。
念のため店員さんに音出ししてもらって問題ないことを確認し、そのまま購入と相成りました。

グラグラの安物スタンドに乗せたHTS-SR10に替えて、新しく買ったHTS-F10をサラウンドスピーカーとしてセッティング。
左右とも高さ20センチの踏み台(ホームセンターで買った安いやつ)に乗せてフロントと同じ高さに調整しました。
音出しテストしてみると、やはり音の腰が座っています。
それにサラウンド用としてフロントと同じスピーカーを使うことは理想なのです。
良い買い物をしました!。
【苦渋の決断】

サラウンドスピーカーにHTS-F10を使うことになった半面、これまでサラウンドやハイトスピーカーとして長年使ってきたHTS-SR10に対して苦渋の決断をしなければなりませんでした。
最初はこのHTS-SR10を天井スピーカーに流用するつもりだったのですが、「重すぎる」と分かって別の小型スピーカーを調達することに決めたのです。

だって、HTS-SR10の重量は一台4.2kgもあるのです。
さらに壁付け用金具BOSE:CW-30が1.6kgですから、両方合わせた状態では5.8kgもの重さになってしまいます。
これを4個も天井にブラ下げるのはあまりにも危険です。

トップ(天井)スピーカー用には同じオンキョーの小型スピーカー:D-058Mを4本使うことにしました。
もちろん、ハードオフを数軒回って見つけてきた中古品です。
1ペアあたり3千円ほどでした。

D-058Mは、元々はオンキョーのホームシアターパッケージBASE-V20HDX等の増設用スピーカーです。
密閉式なので設置場所に融通が利きますし、小型軽量で壁掛けや天井吊りも楽に出来ます。
最初は低域が70Hzまでしか伸びないことが気になりましたが、調べてみると「ドルビーアトモスのトップ(天井)チャンネルは100Hz以下はカットされている」のでこれで十分です。

D-058M一本あたりの重量は1キロ程度、金具と合わせても2.6キロですから天井に取り付けても大丈夫でしょう。

しかし、結果としてサラウンドやプレゼンス用として愛用してきたHTS-SR10が5本余ってしまいました。
同じスピーカーだけで5.0chサラウンドシステムが組めてしまいますが、残念ながら私にはもう用途がありません。
このうちの2本(スタンドに乗せてるやつ)は最初に他のスピーカーとセットで買って19年間使ってきたものなので愛着もあるのですが・・・。
一応ヤフオクやハードオフで売却する用意をしながらも、「何か使い道はないか?」と思案しているところであります。
【天井にスピーカー】
そして、いよいよスピーカー天吊り作業開始です。

ドルビーの推奨では、自分の耳の高さを基準に30度から55度の間とかなり広めに設定されています。
ただ、前方30度/後方150度という角度はどう考えても視聴位置から遠すぎるので除外しました。
視聴位置から前方45度から55度・後方135度から155度の間で天井裏に野縁が通っている場所がスピーカー取り付けポイントになります。

天井裏に上がって野縁の位置を確認します。
久しぶりに天井裏に上がって懐中電灯片手に梁の上を歩きましたが、腹の出た55歳のおっさんには結構キツかったです。
うっかり足を踏み外したら天井を踏み抜いてしまうので、ビクビクしながら作業してました(笑)。

防熱材をめくると、天井全体にこのような木材が45センチ間隔で将棋盤のように張り巡らされています。
この木材が野縁です。
野縁が十字に組み合わさった部分にネジ4本使って取り付け金具を固定すれば、より安全な設置が出来るというわけです。

あと、「この部屋は最初からシアタールームにする」と決めていたので、天井裏と壁の裏にはあらかじめこのような配線用のホースを何本も通してあります。
今回もこれを使って、新規に通したリアトップスピーカーのケーブル配線を楽に済ませることが出来ました。
フロントトップ用はフロントハイト用のケーブルをそのまま流用しました。

自分の目で確認した野縁の位置を元に、こうして何枚も図面を描いてシミュレーションしました。

いつもの視聴位置。
椅子に座った自分の耳の高さが1.1メートル。
天井の高さは2.5メートル。
これらの情報を元に図面化してみると、丁度うまい具合に45度/135度、55度/125度のポイントにそれぞれ野縁があることが分かりました。
私はドルビー推奨の前方45度/後方135度を選ぶことにしました。
そして、いよいよ天井に穴を開けてスピーカーを取り付けます。

今回大活躍した道具がこちら。
シンワ測定株式会社の下地探しどこ太です。

天井板にプスリと刺してみて、このようにスルっと奥まで刺さるようならそこには野縁は無いということです。

しかし、野縁がある場所だと硬くて針が通らなくなります。
天井裏を見てある程度見当をつけておいた辺りをあちこちプスプス刺しながら野縁の位置を確認します。

野縁が十字に組み合わさった部分を見つけて鉛筆でマーキングします。
(この線は一旦プレートを仮止めしたあと消しゴムで消します)

そこにベースプレートの4つのネジ穴を全部使って斜めに取り付けました。
これでもう後戻りは出来ません。

スピーカーを取り付けて右リアトップスピーカー完成です。
ドルビー推奨は「トップスピーカーは真下に向ける」とのことだったのでそのようにしています。
気分的には角度を付けて視聴位置に向けたほうが効果的な気もするのですがね。
ケーブルはホームセンターで買ったモールで固定しました。
ところで・・・。
苦心の末に取り付けたこの後方リアトップスピーカーを見た嫁の第一声。
「でっかいゴキブリが天井に張り付いてるみたいでなんかイヤ。」
う~む。
いわれて見れば確かに(笑)。
白やシルバーのスピーカーならもう少しマシに見えたかも知れません。

前方のフロントトップスピーカーも同じ要領で取り付けます。
後方と違ってこちらは闇夜のカラス状態なのでスピーカーが目立ちません。
前方の天井にはスクリーンからの反射光でコントラストが低下するのを抑えるためにハイミロンという光を反射しにくい特殊な壁紙を貼っています。
その上から野縁を探して取り付けるのがかなり大変でした。
【来た来たキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!】

トップスピーカー4本の取り付けを終え、DRX-7.1の設定も5.1.4トップスピーカー構成に調整しました。
まだ最終決定ではないので、各スピーカーの距離やボリュームは手作業で入力します。

この状態で先日と同じDolby ATMOSデモ映像を再生してみました。
森の中で頭上を飛び交う鳥の声や降り注ぐ雨やカミナリの音がしっかり頭上から鳴るかどうか・・・?。

ドドーン。
ザザザ~。
チュンチュンチュンチュン。
おお~なんて素晴らしい!。
これこそ私が求めていたサウンドであります。
これにて完成~!
ドルビーアトモス始まります!
ケーブル配線を手伝ってくれた甥っ子(高校2年)と、天井にスピーカーを取り付けるなどという奇行を許してくれた妻に感謝です。
(本当はこの記事の倍くらい右翼曲折あったのですけど、長くなりすぎるので割愛しました。)
およそ3週間かけて遂にリニューアルを果たした我が家のシアターシステム。
最初に鑑賞した栄えあるBDソフトはコレでした。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
実は昨年12月の発売日に購入済みでしたが、我が家にドルビーアトモス再生環境を導入するまでは封を切らずにいたのです。
頭上から音が鳴ることにより、ゴジラの尻尾が頭上を横切る轟音やキングギドラの咆哮などを音で感じ取ることが出来ます。
そしてキングギドラに襲われる輸送機内部のエンジン音や軋みが部屋中から響いてきて、怪獣に襲われる恐怖を追体験しておりました。
【後日談】

最後になりましたが、これまで6年半愛用してきたTX-NR5010のその後についてです。
取り外した後は清掃したり写真を撮ったりしてヤフオク出品準備をしていたのですが、有難いことに友人の一人が「欲しい」と言ってくれたので7万円で譲ることになりました。
彼はこれまでマルチチャンネルには全く興味無かったそうですが、自室のTVの音も良い音で聴きたくなって2チャンネルでも良質なHDMI装備AVアンプを探していたのだそうです。
私も6年半お世話になったアンプですから、友人宅でも活躍してほしいものです。

そして今回迎え入れたDRX-7.1とはこれから先何年付き合うことになるのでしょうか?。
5年?10年?
いずれにせよ、故障することなく永く楽しませてくれることを期待しています。
世間が新型コロナで騒がしいこんな時に、私の趣味の話にお付き合いいただきありがとうございました。