ありがとう!「午前十時の映画祭」

「あの思い出の映画をもう一度スクリーンで観られるなんて!」
「まさかあの名画を映画館で観られるとは!」
と、この10年間我々映画ファンを喜ばせてくれた「午前十時の映画祭」がこの春ついにその幕を下ろします。。
本当に、本当にありがとう!
3月19日現在、まだ上映は続いているのでちょっと気が早いかも知れませんが・・・。
新型コロナウィルス感染拡大の影響で3月中はもう映画館に足を運ぶことは出来そうにないため、今のうちに感謝の気持ちを記事にしておきたいと思います。
10年といっても、第一回は私は一度も見ていません。
なぜならば、福井での上映は無かったからです。

私が「午前十時の映画祭」のお世話になるのは翌年の第2回からでした。
第2回(赤)と第3回(青)の2年間だけ、鯖江アレックスシネマで開催してくれたのです。
鯖江アレックスシネマは私の家から車で小一時間かかりますが、それでも仕事が休みだったり午後からと開始という日には朝10時までにせっせと通ったものです。
基本的に一作品あたり一日一回・一週間しか上映されないため、どうしても時間の折り合いがつかずに泣く泣く諦めた作品もありましたが、それでもこの2年間で20作品近い名作を劇場体験することが出来ました。
今覚えているだけでも・・・
『雨に唄えば』
『激突!』
『ゴッドファーザー(初見)』
『スティング』
『チャップリンの独裁者』
『北北西に進路を取れ』
『ミクロの決死圏』
『ライトスタッフ』
『ライムライト』
『ローマの休日』
『エイリアン』
『風と共に去りぬ(初見)』
『荒野の七人』
『ゴッドファーザーPartⅡ(初見)』
『サウンド・オブ・ミュージック』
『ザッツ・エンターテイメント』
『鳥』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
ほとんどがテレビ放送(吹替え)やビデオで一度は見たことのある作品でしたが、初めて原語+字幕で見た作品はなんだか新鮮な感覚を覚えました。

中には『風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』など「午前十時の映画祭」が初見となった作品もいくつかありました。
それまで食わず嫌いで見ようとしなかった作品でしたが、「映画館で観られる最初で最後のチャンスかも?」という気持ちと入場料1,000円ポッキリという安さのおかげで鑑賞に踏み切ったのです。
もしも「午前十時の映画祭」が無かったら、私は『風と共に去りぬ』も『ゴッドファーザー』も見たことない「エセ映画ファン」として生涯を終えてしまうところでした(笑)。

あと、『エイリアン』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など学生時代にリアルタイムで観た映画もいくつかラインナップに入っていて、これらも当時とはまた違った感覚で満喫しました。
しかし、残念なことに翌2013年の「新・午前十時の映画祭」以降は鯖江アレックスシネマでの上映は無くなってしまいます。

それでもその魅力的なラインナップに惹かれた私は、お隣石川県のイオンシネマ・金沢フォーラスまで足を延ばしました。
金沢フォーラスへは私の家から車で1時間半近くかかるため、たとえ午前中のみの上映であっても丸一日を費やすことになってしまいます。
それでも「午前十時の映画祭」にははるばる隣県まで出掛けていくだけの価値がありました。
ただ、やはり遠いのでこの年見たのは6本だけでした。
『2001年宇宙の旅』
『タワーリング・インフェルノ』
『メリーポピンズ』
『燃えよドラゴン』
『レイダース:失われた聖櫃』
『ロッキー』
『2001年宇宙の旅』と『レイダース』以外の4作は、この時が初めての映画館鑑賞でした(ビデオ・TV放映では視聴済み)。
『タワーリング~』『燃えよドラゴン』『ロッキー』は封切り当時はまだ小学生でしたし、『メリーポピンズ』に至ってはまだ一歳半くらいだったはずです。
そういった古い映画は大人になってから劇場で見たいと願っても滅多に叶うものではありません。
たとえTV放映やビデオで見たことがあっても、この時の満足度はとても高いものでした。
『レイダース』は封切りで高校時代に友達と見に行って以来の劇場鑑賞でした。
その後ビデオ・LD・DVD・ブルーレイで何度も見ていましたが、約22年ぶりに映画館で観返す『レイダース』はそれらとは全くの別物でした。
この頃の我が家にはすでに120インチスクリーンのホームシアターがありましたが、それでも劇場の大画面と広い空間に鳴り響く音響の迫力にはまるで敵いません。
そして、この年から映画を見るため(だけ)に金沢まで行くことが爆発的に増えました。
「午前十時の映画祭」が、私が大阪のエキスポシティ(IMAX)や京都みなみ会館(特撮映画)など見たい映画のために県外遠征することに躊躇しなくなったキッカケだったと思います。
その後も毎年5~6本は必ず見に行きましたが、いちいち書いていたらキリがないので特に印象的なタイトルについてのみ書き記します。

2016年開催の「午前十時の映画祭7」では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作連続上映がありました。
7月から8月にかけてという真夏のクソ暑い時期でしたが、それでも毎週通って3作とも制覇しました。
そのたびに、同じイオンシネマ金沢フォーラスで『シン・ゴジラ』(の何回目か)も観て帰ったことは言うまでもありません(笑)。

また、この年初めて黒澤明監督の『七人の侍』がラインアップに加わりました。
黒澤作品は他に『野良犬』『羅生門』『赤ひげ』『羅生門』『天国と地獄』『用心棒』『椿三十郎』も上映されましたが、このうち『七人の侍』『用心棒』『椿三十郎』の三作は4Kデジタルリマスター化されていて市販のブルーレイよりも遥かにクリアで見やすい映像になっていました。
いつの日か、あのクォリティで4K-UHD BD化してくれることを願ってやみません。

ここ数年のラインナップには邦画の数も増えてきたのですけど、一昨年の「午前十時の映画祭8」で『裸の島』を上映してくれたのには驚きました。
大学時代、学校の図書館に置かれていた英語字幕入りビデオで見て以来「一度でいいから映画館で鑑賞したい」と願い続けていた作品の一つだったのです。
ただ、これだけ邦画が・・・それも東宝作品が増えてきたというのにあの『ゴジラ』(昭和29年)が一度もラインナップに入らなかったことだけは今も残念でなりません。
昭和の特撮映画やアニメーション映画もラインナップに加われば、「午前十時の映画祭」の客層も広がったと思うのですがね。


これまで「午前十時の映画祭」にはいつも私一人で行っていましたが、現在開催中の「午前十時の映画祭10-FINAL」で初めて妻と一緒に観に行きました。
作品は私も妻も大好きな『E.T.』と『ローマの休日』です。
『E.T.』の時、ラストで大泣きした妻が崩れた化粧を直すためトイレに10分以上籠っていたことが一番記憶に残っています(笑)。
実はこの3月上映の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も妻と一緒に観に行く予定でしたが、昨今の新型コロナウィルス感染拡大のためやむなく諦めることにしました。
こんな形で「午前十時の映画祭」のフィナーレに立ち会えないまま終わってしまうとは本当に残念です。
最後にもう一度。
「午前十時の映画祭」よ、10年間本当にありがとう!
またいつの日か、(隔年でも半年間だけでもいいので)「午前十時の映画祭11」が開催されることを心から願っています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。