週刊映画鑑賞記(2020.4/6~2020.4/12)
毎週日曜は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。
今週末、映画好きにとって非常に悲しいニュースが入ってきました。

大林宜彦監督の訃報です。

高3の時に観た『転校生』は、映画制作に興味を持ち始めた当時の私にまるで水か空気のように体内に入り込
み今も身体のどこかで息づいている・・・そんな作品です。

もう一本、個人的に大好きなのは『青春デンデケデケデケ』(1992年)です。
公開当時、映画館で鼻水垂らして泣きながら見てました。
『青春デンデケデケデケ』は田舎の高校生たちが文化祭で披露すべくロックバンドを組んで頑張るという話ですが、これを自分に置き換えて見ると、5人の仲間と一緒にビデオ映画作りに打ち込んだ私の高3時代とそっくりそのまま重なるのです。
撮影に参加出来なかったものの仲間を紹介してくれたりしてサポートしてくれた奴がいるところまで同じです。
(もっとも、私の場合は小学校校舎での無断撮影がバレて文化祭での上映はさせてもらえなくなってしまいましたが・・・。)
他にも『時をかける少女』のエンディング(ロケ地ごとに出演者とスタッフが一緒に主題歌を歌う)を自主映画で真似させていただいたこともあります。
10代の頃の私にモノ作りの楽しさを作品を通して教えてくれた監督さんでした。
大林監督のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
4/6(月)
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』('80年公開版)
(ホームシアター:DVD)

先週に引き続き『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』BD発売に先駆けての旧作再視聴です。
今回は公開第2作目『帝国の逆襲』。

’80年公開時のオリジナル版です。
字幕も前作と同じく岡枝慎二による公開当時のものを選びました。
『帝国の逆襲』は<特別編>においても内容改竄は少ないのですが、クライマックスのクラウドシティ脱出シーンで余計なベイダー移動シーンを付け加えたためにテンポが悪くなってしまっています。
しかもその付け足した絵というのが『ジェダイの帰還』の未使用フィルム(つまり残りもの)の流用という体たらくでした。
百歩譲って追加するにしてもせめて新撮しろよ、ジョージ・ルーカス!。
そんなわけで、『帝国の逆襲』の<特別編>も見る価値ナシなのであります。

今回はフォースは「理力」ではなく「フォース」に、ジェダイは「共和騎士」ではなく「ジェダイ」になっています。
前作公開から2年後に作られた字幕ですが、今回は「フォース」という言葉が何度も出てくるため内容的に無理が生じる部分があったのでしょう。
私は「理力」も「共和騎士」も言葉として好きだったのでちょっと残念な気もします。

あと、このDVDに収録されているサラウンド音声は最初期のドルビーサラウンドです。
それをドルビーアトモス規格に準じた5.1.4chに変換して今風のサラウンド音響で見ていました。
40年も前の音響設計ですが、実に上手い具合に上下左右に音が振り分けられています。
惑星ダゴバのシーンでは部屋中に水の音や鳥や獣の鳴き声が充満し、森の中の湿度も上がったような気がします(笑)。
こんな古い作品でも最新フォーマットを通すことでまた新しい楽しみ方が出来るのですね。

『帝国の逆襲』はとにかくハン・ソロがカッコ良いのです。
あの利己主義の塊だった男が、猛吹雪のなか二次遭難の危険を顧みずにルーク捜索に出かけます。

そうやって命懸けで助けたルークに対し最初にかける言葉がコレですよ。
この『帝国の逆襲』のハン・ソロが、公開当時16歳だった私にとって「カッコ良さ」の基準になりました。
それは今でも変わることはありません。

あと、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を見ているならば、このルーク&ハンを捜索するシーンにグッとくることうけあいです。
この捜索隊のコールサインは「ローグ2」。
反乱軍はかつて命を懸けてデススターの設計図を手に入れたあのローグ・ワンへの感謝と敬意の念を忘れてはいないのです。
連日
NHK朝ドラ『エール』🈠
(居間19インチ液晶テレビ:NHK-BS4K)

”例のウィルス”感染対策のために、仕事激減&週のほとんどは自宅で巣籠り状態か?と思っていましたが、ありがたいことに仕事は思ったほど減ることはなくてほぼ毎日出勤させていただいております。
(もっとも、それも出入り先の会社内に陽性感染者が出たら全て失われることになりますが・・・)
仕事があるといっても、以前のように早朝家を出て帰宅は午前様みたいなことはありません。
毎朝7時半に起きて朝食を食べてから家を出るという規則正しい生活が続いております。
そのため、この春始まったNHKの朝ドラ『エール』もほぼ毎回妻や母と一緒に朝メシ食いながら見ております。

『エール』は、あの「東京オリンピック・マーチ」や高校野球のテーマソング「栄冠は君に輝く」、プロ野球応援歌「闘魂込めて」や「六甲おろし」、そして映画『モスラ』('61)の音楽を手掛けた作曲家:古関裕而先生をモデルにしたドラマです。

・・・で、第一話でいきなり主役二人が原始人夫婦で登場?。
「なんやこれ、輪廻転生がテーマってこと?」と、一瞬自分が今何を見てるのかわからなくなりそうでした(笑)。

始まってから2週間ほぼ毎回続けて見てますが、子役さんたちの演技が素晴らしすぎます。
運動オンチで気の
この二人の友情話が実にいい感じなのです。
でも、残念ながら子役さんの出番は今週で終わり。
来週からは全員イケメン若手俳優にバトンタッチしてしまいます。
鉄男の野性味が失われてしまわなければよいのですが・・・。

もう一人の主人公:音(古関先生の奥さんがモデル)。
こちらも表情豊かな子役さんが演じていて、見ていてパッと明るい気持ちにさせてくれます。
学芸会のシーンで亡き父を想いながら歌い上げるその姿と歌唱力に、私は思わず涙ぐんでしまいました。
子供時代の音を演じたのは清水香帆さん。
これまでどんな映画やドラマに出てたんだろう?と思って調べてみたら、なんとこの『エール』が女優デビュー作とのことでした。
先行き楽しみな子役さん・・・いや、女優さんです。

物語の中では父親が事故で急死してしまって家業存続が危ぶまれたりしましたが、母子で力を合わせてこの苦境を覆します。
ちなみに、お母さん役は薬師丸ひろ子さん。
海に向かって「お父さ~ん」と叫ぶシーンで思わず『野生の証明』の時の13歳の頃の彼女を思い出しておりました(笑)。

裕一と音が出合うのは(モデルの古関夫妻に準じるならば)裕一が海外で作曲家として認められた後のはずです。
それまでは双方のストーリーが交互に描かれることになるものと思われます。
しかし、先週の放送で一度だけ子供時代の裕一と音がお互いのことを知らないまま初めて出会うシーンがありました。
その時ウチの妻が「なんかこの二人、あたしたちみたいやね~。」と言い出しました。
「誰が窪田正孝やねん」とかボケつつ「何のことか?」と聞き返すと、「ほら、あたしたちも子供の頃同じ日に同じ映画館で同じ映画を見てたでしょ。」と少し苛立ちながら答えたのです。
そうでした!。

私たち夫婦はお互い知り合った日から遡ること四半世紀も前、同じ日(昭和53年12月30日)に同じ映画館(テアトル福井)で同じ映画(『ルパン三世』&『ナイル殺人事件』のカップリング)を観ていたことが最近になって分かったのです。
当時私は中学2年生、妻は小学四年生。
もちろん、当時はお互いの存在など認識すらしていませんでしたが、それが現在こうして結婚しているというこの不思議なめぐりあわせ・・・。
そんな風に考えながら見ているうちこの先の展開が俄然楽しみになってきました。
しかし現在は、例のウィルス感染予防のため『エール』の撮影は中断しているとのことです。

なんとか無事に最終回まで完走していただき、特撮怪獣映画『モスラ』の音楽を作るところを見せてほしいです(笑)。
ガンバレ、NHK!。
4/12(日)
『ノンフィクションW 大林宜彦&恭子の成城物語~夫婦で歩んだ60年の映画作り~』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
昨年秋にWOWOWで放映されたドキュメンタリー番組です。
録画したまま忘れかけていましたが、大林監督の訃報を受けて本日鑑賞することにしました。

大林監督を追うドキュメンタリーらしく、ところどころに8ミリフィルムで撮影された映像が挿入されていました。
病魔に侵されながらも決してユーモアを失わず歩みを止めない大林監督。
そして、そんな監督を支え続けた奥様の恭子さん。
荒い8ミリフィルムの粒子感が、今しかないこの一瞬を永遠に封じ込めたかのようです。
8ミリは大学卒業以来触っていませんが、久しぶりにあの荒い画面とカラカラ回る映写機の音が恋しくなってしまいました。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。