アナログ回帰
突然ですが

30数年ぶりにアナログレコードプレーヤーを買いました
先日、大学進学時に一人暮らしの部屋でささやかなオーディオ機器を揃えた記事を書いてからというもの、無性にアナログレコードの音を聴きたくてたまらなくなっていたのです。

買ったのはオンキョーのCP-1050という機種です。
購入価格は約4万円。
費用は毎月2万円づつ貯めているホームシアター機器専用貯金から捻出しました。
フルマニュアルタイプなので「スイッチオン」で自動的に再生スタートはしてくれません。
箱から出してポン置きで使える機種でもありません。
USBスロット等も付いていないため、録音はアンプを通じて他の機械で行わなければなりません。
なにかと面倒くさいプレーヤーですが、私はプレーヤーを買うに当たってこのCP-1050以外は考えていませんでした。

実は、私には1050というこの型番に強い拘りがあるのです。
なぜならば・・・。

私が中学の時、お小遣いとお年玉を全部はたいて初めて手に入れたレコードプレーヤーがパイオニアのPL-1050という機種だったからです。
「初めて」のプレーヤーであると同時に、実は今まで使ったレコードプレーヤーはこれが唯一だったりもします。
ベルトドライブのベルトを2度交換し、カートリッジも何度か付け変えしながらおよそ12年ほど愛用しました。
しかし80年代半ばから音楽ソフトはCDが主流になり、私も映像ソフト(LD)ばかりを買うようになっていつしかレコードプレーヤーを使う機会は無くなりました。
そして、確か’90年の秋ごろだったと思いますが、ついにモーターが動かなくなって寿命を全うしました。
そして今、新しくレコードプレーヤーを買うにあたって、自分にとって思い出深い機器と同じ1050ナンバーを持つ機種に心惹かれるのも無理からぬことなのであります。
しかも、パイオニアは現在ではオンキョー傘下のブランドとなっています。
考えようによっては1050番の血脈は繋がっているとも言えるのです。
まあ、妻には「もっと安いやつでいいのに。あなたっていつも変なとこに拘るのね。」と呆れられましたが・・・(笑)。

開梱!。
真新しい機械の箱を開ける時って何度やってもワクワクしますね。
あと、段ボール箱に封じ込められていた工場の空気の匂いがふわっと鼻先を刺激する感覚もたまらなく好きです。
この感じは中古品では味わうことは出来ないものです。

固定用の発泡スチロールにこうして細かなパーツがはめ込んでありました。
カートリッジなど精密な部位もあるのでぞんざいに扱うことは出来ません。

永らく空席だったAVアンプの隣に本体を設置します。
黒のボディカラーが精彩でカッコいい!。
アンプのすぐ隣なので付属の1mケーブルで十分届きます。
ちなみにラックはヤマハのGTR-1。
どんな重量級の機器でもがっしり支えてくれる33年来の愛用品です。

ターンテーブルを載せます。
昔買ったPL-1050Wはベルトドライブ方式だったのでモーターとターンテーブルとをゴムベルトで繋ぐ必要がありましたが、今回のCP-1050はモーター直結のダイレクトドライブ方式なので今回はその工程はありません。

ターンテーブルの上にレコード保護&すべり止めのゴムマットを敷きます。
このゴムマットは消耗品なのでいずれ交換が必要になると思いますが、オンキョーをはじめ各オーディオメーカーはこれら消耗品の供給は続けてくれるのでしょうか。
その点が少し心配です。

続いてカートリッジ接続とその調整にとりかかります。
デリケートな作業なので取説を見ながら慎重に作業を進めました。
最近のデジタル機器であれば電源ケーブルと1~2本のケーブルを繋ぐだけで事足りますが、昔ながらのアナログオーディオには色々気を遣わねばならないところが多いのです。

カートリッジを取り付けます。
この作業をするのは最後にPL-1050Wのカートリッジ交換をした時以来なのでおそらく35~6年ぶりくらいでしょうか?。
はめ込んで固定するだけなのになんだか緊張して手が震えました(笑)。

続いてウェイトバランスと針圧を調整します。
この作業も昔カートリッジを交換するたびにやっていたはずですが、コツなどは全然覚えていませんでした。
強すぎると針とレコードを痛めるし、弱いと音が軽くなるうえ少しの振動でも音飛びしやすくなります。
「これくらいかな~」というところで仮決めして、あとは実際に聴きながら追い込むことにします。

取説通りに調整を終えたらケーブルを繋ぎます。
アナログプレーヤーは通常の白・赤ステレオケーブルの他にアース線も繋ぐ必要があります。
ただ、最近のプレーヤーにはフォノイコライザーを内蔵しているものもあって、アース線接続が不要なものもあるようです。
私は昔ながらのアナログ感が味わいたかったのでこれで満足しております。

アンプ側も音声とアース線を繋ぎます。
考えてみると、こうしてアンプのアース端子を使うのはPL-1050Wを手放して以来になるのでおよそ30年ぶりです。
付属の音声ケーブルは安物っぽいので、そのうち同じ長さの良質なケーブル(ベルデン)に交換しようと考えています。

最後にダストカバーと電源ケーブルを繋いで完成です。

新しいプレーヤーで30数年ぶりに聴くアナログレコードは最初からコレに決めていました。
中学2年の時、初めて自分のお小遣いで買った『交響組曲・宇宙戦艦ヤマト』です。
昔買ったアナログレコードはCD化されるたびに次々処分してしまいましたが、この『交響組曲・宇宙戦艦ヤマト』をはじめ何枚かの思い出深いレコードだけは箱にしまって大事に保管しておりました。
家を建て替える時の仮住まいに置き場所が無いと分かった時にはさすがに捨てる覚悟もしたのですが、義弟(妹の旦那)が「レコードくらいならうちで預かりますよ」と言ってくれたので預かってもらい、その後すっかり忘れてしまっていたのでした(笑)。

久しぶりにレコード盤を取り出してターンテーブルに載せます。
あれ?。
レコード盤ってこんなに持ちにくかったっけ?。
指が盤面に直接触れないように持とうとするとこんな風になりますが、どうもフラフラして危なっかしいです。
同じ30センチ盤のレーザーディスクは何十枚も(多分300枚以上)扱いましたけどこんなに不安定ではありませんでした。
でも、そういえばLDの中央の穴はもっと大きかったから指をしっかり引っかけられたんでしたっけ・・・?。

震える手で針を置き再生開始!。
アナログレコード特有のパチッパチッというノイズは入りますが、深みがあるというか広域の伸びと低域の響きが心地よい昔懐かしい音です。
聴いているうちに、このレコードを何度も何度も繰り返し聴いた中学時代の自分に戻った気がしました。
この感覚は同じ音源のCDを聴いたときにはついぞ蘇ってこなかったものです。

それもそのはずです。
今聴いているのは同じ音源を使ったCDではなく、まさに中学時代に私が聴いていたレコード盤そのものなのですから。
再生するプレーヤー・アンプ・スピーカーは変わっても、当時夢中になって聴いた音が再現されているのです。
時折プチプチと鳴るノイズも当時のままで、それがあることで私の記憶を呼び覚ましてくれているのだと思います。
また、こうして音楽を聴きながら音が収められているディスクを眺めていられるというのもアナログレコードならではです。
CDもLDもDVDもデッキの中に完全に入ってしまって回転するところは見られないブラックボックスですから。
結局『交響組曲・宇宙戦艦ヤマト』はA面・B面通して最後まで聞き入ってしまいました。
全曲通して聴くのは本当に久し振りだったのですが、「真っ赤なスカーフ」(B面1曲目)がこれほど大胆にアレンジされていたことをすっかり忘れていました。
途中まるでサンバのような曲調になったりして、中学時代の私は「こんなの『真っ赤なスカーフ』じゃない!」といつも飛ばしてB面は2曲目から聴いていたものでした。

CDだと好きな曲だけ選んで聴くのも簡単ですが、LPレコードは操作が面倒なので通しで聴くことが多いです。
そのため、制作者たちはA面の1曲目からB面の最終曲までいかに気持ちよく聴いてもらうかを真剣に考えて構成していたに違いありません。
CDや配信で好きな曲だけを選んで聴くのが一般的になった現代では、こうした制作者の熱い想いを汲み取ることも無くなってしまったように思います。

次に取り出したのは高校時代に買った『レイダース 失われたアーク<聖櫃>』のサントラ盤です。
30センチ角の大きなジャケットを眺めながら聴く映画音楽はまた格別です。
ブルーレイで高画質な映画本編を手に入れられるようになった今でも(いや、今だからこそ?)、映画好きにとってサントラレコードを聴きながら映画の場面を思い起こすひと時は格別なものです。
こちらはあえてメインテーマ「レイダースマーチ」だけを聴いてみました。
レコード盤の溝をよく見て楽曲と楽曲の間に針を落とすのですが、昔はほぼ確実に狙った場所から再生出来た私も腕が落ちていて(笑)前曲の終わり際からの再生になってしまいました。
リハビリが必要ですね。

あと、NHKのドキュメンタリー番組『シルクロード』の音楽でファンになった喜多郎さんのLPの中から『敦煌』。
ジャケットの紙質のせいか他のLPに比べて汚れが目立ちますが、レコードの盤面にはカビなどは無く奇麗な音で楽しめました。

こちらは大阪に出てから買った『2001年宇宙の旅』のサントラです。
サントラと言っても、皆さんご承知の通り『2001年~』は既存のクラシック音楽を使っているので、それらの楽曲が収められているだけですが。
ただし、重要なのはこのレコードに収録されているのは映画『2001年宇宙の旅』で使われた演奏バージョンそのものであるということです。
大学時代の私は他の演奏による「ツァラトゥストラはかく語りき」や「美しく青きドナウ」で代用することに飽き足らなくなって、中古レコード店でこれを探し出して買ったのでした。

久しぶりにライナーノートを取り出して見てみたら、「2001年宇宙の旅」の日本語ロゴがあまりにもB級スペースオペラ風なものなので思わず吹き出してしまいました。
見開きジャケットにはたくさんのスチール写真。
このレコードを買った頃はすでにレーザーディスクも持っていて映画本篇を何度でも見返せる状態にありましたが、それでもこのサントラ盤は所有する喜びを感じさせてくれました。

CP-1050にはEP(シングル盤)用のアダプターも付属していますが、私はシングル盤は全部処分してしまったため出番はありません。
子供の頃祖母が買ってくれた『仮面ライダー』や『ウルトラマン』シリーズ、アニメ番組の主題歌などのドーナツ盤がいっぱいあったのですがね・・・。

・・・と思っていたら、妻が「ドーナツ盤なら実家にまだあるよ!。」と何枚か持ってきました。
さすが中高生時代は筋金入りのアニメファンだったという我が妻であります。
彼女が持ってきたレコードのそのほとんどはアニメの主題歌でした。
特に出崎統監督作品のファンだったという彼女は「『あしたのジョー2』の主題歌が聴きたい」とのことでした。
あと、初めて映画館で観た映画である『ルパン三世(ルパン対クローン)』のメインテーマも。
これらが公開された当時、妻はまだ小学生か中学生でした。
そのためお小遣いを貯めてもLPレコードまでは買えなくて、こうした主題歌のドーナツ盤をいくつか買っていたのだそうです。

ちょっと驚いたのは、劇場版『あしたのジョー2』の主題歌レコードが「非売品」だといこと。
お前、これどうやって手に入れたんや?。

あと、保護袋に印刷されているレコード店の名前を見て猛烈に懐かしさがこみ上げてきました。
松木屋さんというのは、かつて福井駅前大通りにあった福井最大のレコード&楽器店の名前です。
この店では上映中の映画の前売り券も売っていて、ここで安く券を買って映画を見て、帰りにまたここに寄ってサントラを眺める(そしてたまに買う)というのが映画観に行く時の定番でした。
現在はCD販売からは撤退して楽器と音楽教室だけになり縁遠くなってしまいましたが、こうしてロゴを見ていると当時の光景が懐かしく思い起こされます。
福井の人(それも40代以上)にしか分からない話ですね。
スミマセン。

シングル盤を聴くときは回転数の切り替えも忘れずに。
関東と関西で電気の周波数が違っていて、そのため東京で買ったプレーヤーをそのまま福井や大阪で使うと回転数が狂うと聞いたことがありましたっけ。
(関東は50Hz、関西は60Hz、福井は関西圏と同じ60Hz)
私は結局関東で暮らす機会は無かったので今となってはそれを確かめる術(すべ)はありません。
現在の製品は自動で切り替えてくれていると思います。
まあ、昭和オヤジのどうでもいい四方山話です・・・。

ドーナツ盤は片面3~4分しかないのですぐに終わってしまいます。
これでも当時5~600円くらいしましたから結構割高だったのですね。
まあ、回転数が早い分音質が良いという利点もありますが・・・。

アナログプレーヤーが加わったことにより、我がシアタールームはオーディオリスニングルームとしての側面も合わせ持つことになりました。
プロジェクターによる大画面で映画を観るも良し、音楽を聴きながら読書に勤しむも良し。
これにて我が家の巣籠り体制は更に盤石なものへと進化したのであります。

・・・と思っていた矢先、本日我が福井県も含めた39県の緊急事態宣言が解除されてしまいましたが(笑)。
50代おっさんのお買い物忘備録とノスタルジー談にお付き合いいただきありがとうございました。
書き終わった後、投稿チェックしていて気が付きました。

当ブログもいつの間やら4万アクセスを超えておりました。
どうやらこの記事を書いている最中に4万越えしていたようです。
いつもご来訪いただいている皆様、本当にありがとうございます!。
3年半で4万アクセスという数字が多いのか少ないのかは分かりませんが、私にとってはとても励みになる数字です。
楊枝の先ほども世間様のお役には立たない趣味丸出しブログではございますが、これからも変わらずお付き合いいただけますようよろしくお願い申し上げます。