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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2020.6/15~2020.6/21)

トガジンです。
毎週日曜は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。



6/15(月)
『アイ・アム・マザー』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)
『アイ・アム・マザー』ポスター画像
日本では劇場非公開だったSF映画です。
NETFLIXで配信されていたのを見つけて見てみました。

『アイ・アム・マザー』母と娘
人類がほぼ絶滅した未来の地球。
どこかの施設で「母」と呼ばれるロボット(A.I.)が一人の少女を育てています。
それはまるで二度と争い事を繰り返さない理想的な人類を作り出そうとしているかのよう。
「母」は人間のそれと同じように全身全霊で「娘」を守り育てます。
しかし、一定の年齢に行われる道徳試験(『ブレードランナー』のチューリングテストみたいな感じ)で基準以下の成績であればその子は情け容赦なく殺処分(!)され、「母」はまた次の子をカプセルから取り出し育て・・・。

この構図が見えてきたときは背筋がゾッとしました。

『アイ・アム・マザー』娘と女
それと、この映画には人名というものが一切登場しません。
「娘」「女」「母(ロボット)」そしてこれから生まれてくる「弟」。
数あるディストピア映画のなかでもこの無機質感は突出していると感じました。
私は最後に「娘」に名前が与えられて終わるのかと思っていましたがそれは無かったです。



6/17(水)
『ソイレント・グリーン』
(ホームシアター:BSプレミアム録画)
『ソイレント・グリーン』ポスター画像
ディストピア映画続きでこの古典的名作SFを鑑賞。
昨年BSプレミアムで録画しておいたものです。

初めて見たのは確か中学の時で、「水曜ロードショー」か「ゴールデン洋画劇場」で放送された時だったと思います。
あの頃は2022年(この映画の時代設定)なんて遥か遠い未来だと思っていましたが、今となってはあとわずか2年後のお話なのですね。

『ソイレントグリーン』工場
初めて見たとき、食糧難の時代に登場した合成食品「ソイレントグリーン」の正体にも衝撃を受けましたが、実はそれ以上に印象深い部分がありました。

『ソイレントグリーン』家具って?
一部の富裕層の自宅には「家具」と呼ばれる美女が”飼われて”いるということです。
これは当時中学生だった私には夢のような未来世界でありました(笑)。

『ソイレントグリーン』こんな家具なら
だって、生身だけどお手伝いさんでも居候のお姉さんとかでもないただの「家具」なのですよ!?。
当時10代のエロガキだった私は「人ではなく所有物だから何をしてもいいんだ!。」とリビドーを刺激されてあんなことやらこんなことやらあれこれイケナイ妄想を働かせてしまったのでありました。

しかし、映画『ソイレントグリーン』が公開された1973年といえば、その数年前からアメリカではウーマン・リブ(女性解放運動)が盛んになっていたはずです。
アメリカで初公開された当時は、女性たちからさぞヤリ玉に挙げられたであろうことは想像に難くありません(笑)。
もし現在リメイクされるとしたら美男子タイプの「家具」も登場するかも知れませんね。
そしてその家の主(あるじ)も女性とは限らないかも・・・(以下自粛)。

ところで、この映画って藤子・F・不二雄の短編SF『定年退食』と『カンビュセスの籤』を組み合わせたようなお話なんですよね。

藤子F不二雄『定年退食』
藤子F不二雄『カンビュセスの籤』
『定年退食』の発表は『ソイレントグリーン』の約半年後!。(『カンビュセスの籤』は'77年発表)
あまりのタイミングの悪さにさすがの藤子先生も「決して盗作ではない」と珍しくコメントを出しておられました。

天国の藤子・F・不二雄先生
天国の藤子・F・不二雄先生、どうかご安心ください。
幼い頃から『ドラえもん』を読んで育った僕たちは、先生のことを尊敬こそすれ疑う気持ちなど微塵もありませんから。

『ソイレントグリーン』緯度0の人
あと、映画冒頭で殺されるソイレント社幹部の男。
どこかで見た顔だと思ったら・・・

『緯度0』
『緯度0大作戦』のマッケンジー艦長だったジョゼフ・コットンさんでした。



連日
『エール』
(居間49インチ液晶テレビ:NHK総合)
2020年春のNHK朝ドラ『エール』ポスター画像
今週の『エール』にはビックリ仰天!。

『エール』父との再会
死んだはずの音の父(演:光石研)が幽霊となって戻ってきたのです。
なんと、あの世でのくじ引きに当たって期間限定で現世に戻ることを許されたとのこと・・・!?。

おいおい、先週裕一の父(演:唐沢寿明)が世を去ってシンミリした直後だというのに・・・。

ア太郎の父ちゃん
私、思わず「『もーれつア太郎』の父ちゃんかよ!」と突っ込んでしまいましたよ。

『エール』帰ってきた父
私としてはあまりの展開に「こんなんありか~?」と戸惑ってばかりいましたが、これまでも幾多の朝ドラを見てきた妻は「あら、死んだ肉親が幽霊になって戻ってくるなんて最近の朝ドラでは当たり前よ。」と当然といった顔で言っておりました。(ʘ╻ʘ;)
「へえええ?、そうなん?」とそれはそれでビックリです。

『エール』バンブー夫妻のなれそめ編&双浦環の過去編
今週の『エール』は幽霊父の話の他、喫茶バンブーの梶取夫妻のなれ初めと柴咲コウ演じるオペラ歌手:双浦環の過去の悲恋が描かれて、脇のキャラクターを掘り下げるスピンオフ週でした。

これからドラマは後半戦に向かっていくはずだったものと思いますが、例のウィルス感染拡大のせいで『エール』は来週いっぱい(6月27日まで)で一時休止となります。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

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へろん  

こんばんは。
『ソイレント・グリーン』と『定年退食』って、藤子・F・不二雄先生ご自身がコメントされたそうですけど、世間で言われたほど似ているとはどうしても思えないんですよね。具体例がぱっと出てこないのですが『ソイレント・グリーン』的なアイデアは比較的「よくある」ネタだと思いますが、『定年退食』の方はちょっとずらせば現実の日常生活の延長線上にいつ出てきても不思議ないような、じわじわ来る怖さがあります。

それにしても『ソイレント・グリーン』は2022年ですかあ。ハリスンの原作では1999年の世界人口70億。現実の2019年は77億。これから先を考えるとやっぱり怖いですね。

2020/06/28 (Sun) 23:10 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

老後2000万円時代と『定年退食』

へろんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

>世間で言われたほど似ているとはどうしても思えない

私も、ただ『ソイレントグリーン』と発表時期が近いからといって『定年退食』を盗作呼ばわりするのは違うと思っています。
この2作品の類似を鬼の首を取ったみたいに指摘したのは米澤ナニガシとかいう漫画評論家らしいですが、いつの世もつまらん輩はいるものなのですね。

>『定年退食』の方はちょっとずらせば現実の日常生活の延長線上

昨年の今頃だったと思いますが、金融庁が「老後を生きるには年金以外に2000万円必要」という報告を出したことがありましたよね。
まあ確かに2000万円あれば政府による年金・食料・医療の保障を受けられなくなっても生きていけるでしょうけど・・・。
あれってまさに『定年退食』の世界の始まりではないかと思ってしまいます。

あと、『定年退食』を読んでいて気になったのは、主人公の老人が『ドラえもん』ののび太に似ていたことです。
(そういえば主人公の友人もスネ夫に似た風貌でした)
まるでドラえもんが来なかった世界ののび太の老後を見ているようでした。

藤子・F・不二雄先生は、子供たちに対しては優しい口調で(ただし微量の毒も混ぜ込みつつ)明るい未来を描いておられましたが、大人に向けては同じ絵柄で胸をえぐるようなディストピアを描いて見せていました。
F先生にとってはSF短編集と『ドラえもん』は表裏一体のものなのかもしれないですね。

2020/06/29 (Mon) 22:04 | EDIT | REPLY |   

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