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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2020.7/6~2020.7/12)

トガジンです。
毎週日曜は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。

先月『タイムトラベラー』を観て久し振りにタイムスリップもののB級SF映画の楽しさを味わいました。
そこで、仕事が比較的ヒマだった今週、BDレコーダーに録画したまま放置してきたB級SFを片っ端から見ることにしました。



7/6(月)
『グラビティ 繰り返される宇宙』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『グラビティ 繰り返される宇宙』ポスター画像
意外に面白かったタイムループ系SF映画です。

<あらすじ>
惑星の重力に囚われた調査宇宙船アトロパ号は突如出現したもう一隻のアトロパ号と衝突。
その内部には自分たちの死体が・・・?。
時空を超えて次々現れるアトロパ号。
救助に訪れた主人公はこのループを断ち切れるか?。


過去の選択の誤りを正したい主人公。
仲間を裏切った男の残酷な末路。
過ちを犯した男の潔い行動。

予算の関係か映像に派手さがなく、上映時間も1時間10分ほど(かつてのにっかつロマンポルノと同じくらい?)の小じんまりとした作品ですが、それゆえに真面目で良質なSF映画になっていたと思います。
気になったのは、宇宙船に乗り移る時に一度も検疫をしていないことと、音楽が『エイリアン』(一作目)にそっくりだったことですかね。
その辺からはB級の香りがムンムンしてました(笑)。



7/7(火)
『LOOP/ループ 時に囚われた男』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『LOOP/ループ-時に囚われた男-』ポスター画像
2年ほど前にWOWOWで録画したタイムループものです。
アメリカ映画だと思っていたらなんとハンガリー産でした。
これが意外に(失礼!)良く出来ていて、内容をきちんと咀嚼したいと思って2度続けて見返してしまいました。
(と言っても2度目は要所要所を飛ばし見ですが)

『LOOP/ループ-時に囚われた男-』主人公はクズ野郎
<あらすじ>
主人公:アダムは医者の息子でありながら違法薬品密売グループの使い走りに利用されるダメ男で、しかも同棲中の恋人:アンナが妊娠したと知るや即「堕ろせ」と言い放つようなクズ野郎。
アダムは主犯の男から預かった大量の麻薬を持ち逃げする計画を立てていた。
だが出発間際に大事なチケットがないことに気付き、計画に乗り気でなかった恋人アンナが持ち去ったと考える。
街に飛び出して偶然アンナと遭遇したものの、なぜかアンナは「あなたは殺されたはず!?」と驚きアダム自身がデジューに殺される瞬間が写っているというビデオを手渡した。


最後はこの種のお話のセオリー通り、「同じ悲劇を何度も繰り返し体験した主人公は心を入れ替えて彼女と幸せに暮らすようになりましたとさ、メデタシメデタシ」で終わります。
しかし、どこが時間軸の特異点なのかよく分かりません。
一度だけ部屋の明るさが急激に変化してそこにあったはずのアダムの死体が消えているというリセットシーンはあったのですけど、それなら事態の一部始終を録画していたビデオテープもリセットされるはずでは・・・?。

で、2度目を観終わったとき一つ思い当たったことがありました。
映画冒頭、電車の中でアダムの前に現れる浮浪者のことです。
アダムはこの男に一切れのパンを恵んであげて浮浪者はそれを美味しそうに頬張っていましたが、彼はラストシーンでもまったく同じように現れてやはり美味しそうにパンを頬張っていたのです。
ラストで彼にパンを恵んだのは誰なのか?。
そちらの方向を見て「えっ?」と驚くアダムの表情アップで映画は終わります。

そこにいたのはアダム自身だったのでしょうか?。
いや、多分そこにはかつての自分と同じ落ちぶれた風体の別の男がいたのだと思います。
そして、電車の中で施しを求めて歩き回っていたあの浮浪者の正体は?。
私には、彼こそがあのタイムループの特異点、あるいは時の神様みたいな存在のように見えました。

私なんかの文章では、観ていない人には何のことだかチンプンカンプンだと思います(笑)。
『ループ 時に囚われた男』はアマゾンプライムビデオで配信中(会員は無料で視聴可能)ですので、興味ある方は是非ご覧になってみてください。



7/11(土)
『リセット 決死のカウントダウン』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『リセット 決死のカウントダウン』ポスター画像
2年ほど前WOWOWで録画したままHDDの肥やしになっていた中国製タイムループSFです。
プロデューサーはなんとあのジャッキー・チェン!。
ビッグネームが製作に名を連ねているだけあって、出演者もセットも特撮映像もかなり豪華です。
(ただし、ジャッキー自身は出演していないようです。どこかにチラッとカメオ出演していたかも知れませんが・・・)

<あらすじ>
タイムリープ装置を開発する女性科学者シア・ティエンは、わずか110分だが生体組織を過去に送ることに成功。
さらなる研究に邁進しようとしていたその矢先、幼い息子が誘拐されて貴重な研究データを奪われてしまう。
しかし、指示通りにしたにもかかわらず息子は殺されてしまった。
この悲劇を受け入れられない彼女は息子の命を救うべく、危険を顧みず未完成の装置で110分前の世界へと戻るが・・・。

『タイムトラベラー』『LOOP/ループ-時に囚われた男-』と同じく、一つの時間軸の中に同じ人物が複数存在するタイプのタイムループものです。
面白かったのは、タイムスリップした人間が遺伝子変化かなにかで性格が攻撃的に変化するという点。
(この辺りは『ザ・フライ』に近い感覚か?)
SF設定として良いのか悪いのかは別として、これがこの映画の見どころの一つになっていました。

ただ、SFオタクの端くれとして非常に気になる点がありました。
冒頭に「パラレルワールドの存在が実証された」という説明があるのですが、それでは同じ時間軸に同じ人物が存在するこの映画のストーリーと噛み合いません。
パラレルワールドならば、分岐したそれぞれの時間軸世界にシアは一人しか存在しないはずです。
本作の脚本家と監督は、そうした時間旅行ものSFの最低限のルールすら理解しないまま映画を作っていたのでしょうか?。

あと、たとえ最後に母の活躍によって救われると分かってはいても、子供が殺されるところ(しかも母親の目前で!)は見たくなかったです。
これがお国柄なのかも知れませんがちょっとデリカシーというものが欠けている気がします。

・・・でも。
『リセット 決死のカウントダウン』ポスター誤植
この映画でいちばん気になったのは、実はポスターの誤植だったりします(笑)。
(「い」が一個多い)
図柄はジョン・ウー映画みたいでカッコいいのですがね~。

一瞬「中華クオリティ」と笑ってしまいましたが、よく考えるとこの日本語版ポスターは日本の広報関係者が作ったんですよね。
ああ、日本人として恥ずかしい・・・。



タイムループ(&リープ)ものSFって、細かい突込みどころはあってもどれも面白くてハズレが少ないです。
元の時間軸と変わった時間軸との関係性が頭に入っていないと楽しめない知能指数高めなジャンルでもありますから、作り手側も相当シナリオを練り込まなければならないはずだし見ていても緊張感あります。

私のレコーダーの中には、そんなタイムトラベルもの映画がまだまだたっぷり残っております。

『ザ・ドアー 交差する世界』
『12モンキーズ』
『エンドレス 繰り返される悪夢』
『タイムトラベラーの系譜』三部作
『サクラダリセット』前後篇
『ミッション8ミニッツ』
『隠された時間』
『イルマーレ』(アメリカ版)
『コーヒーが冷めないうちに』


他にNETFLIXやアマゾンプライムにも面白そうな時間ものSF映画がたくさんあります。
来週もB級SFを楽しむか?、あるいは先のお楽しみに今は残しておくか?。


今週もお付きあいいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

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へろん  

いろいろあるものですねえ、タイムループものSFって。どれも知りませんでしたが、何がどのようにループしているのか、というのがそれぞれ個性的で面白いですね。

タイムループとか時間遡行とか、現実にはない(少なくとも確認はされていない)ですから、ルールもどこまで守るものか、作品によっても違うし、ややこしいけどそこがまた面白いところでもありますね。
最大のタイムループといえば、この世のすべてが繰り返しであるみたいな宗教っぽい話にまで行きつきますし……(ちょっと不遜な言い方ですが、宗教や神話もある種壮大なSFという見方もありますし)

『リセット』は誤植も苦笑しましたが、時間ものSFには普通何らかの制限がありそうなのに
「何度でも時を超えて行け!」という思い切りっぷりには笑ってしまいました。
逆に、何度繰り返しても解決しないというバッドループもよくあるストーリーですから、そっちに陥っても怖いな、と……。

ところで『LOOP』のポスター、色合いや雰囲気からはマイケル・クライトンの小説を映画化した『タイムライン』を思い出してしまいました。

2020/07/14 (Tue) 05:51 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

人はなぜタイムトラベルに惹かれるのか?

へろんさん
コメントありがとうございます。

>『リセット 決死のカウントダウン』

「パラレルワールド」という言葉を中途半端に使いさえしなければ(多少の矛盾には目を瞑って)もっと素直に楽しめたと思うのですがね~。
その後の映像表現や俳優の演技が頑張っていただけに残念です。
あと、(記事にも書いた通り)子供の死を直接見せられるのは生理的にキツいので2回目を見ようとは思いませんが・・・。

>『LOOP』のポスター

登場人物の顔アップをそれぞれ向きを変えて配置する図柄は、ハリウッドのポスターではよくある手法なんですよ。
主演俳優を強くアピールして、その周囲に印象的な場面を配置することで内容のイメージも伝わりやすくなりますから。

>『タイム・ライン』

『タイム・ライン』は私も3年ほど前に見ました。
(当時このブログで感想記事を書いてます)
マイケル・クライトンらしい理にかなったストーリーとリチャード・ドナー監督の手際良い見せ方が良かったです。
あえて過去に残った男の人間ドラマも無理なく感動させてくれました。

タイムトラベル物って常に矛盾を抱えていても、エンターテイメントとしては外れが少ないジャンルですよね。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は言うに及ばず『バタフライ・エフェクト』『きみがぼくを見つけた日』『アバウトタイム』など「見てよかった」佳作が多いです。
誰もが心のどこかに持っている「あの時こうすれば良かった」という悔恨がくすぐられるからでしょうか?。

2020/07/14 (Tue) 17:50 | EDIT | REPLY |   

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