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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2020.7/20~2020.7/26)

トガジンです。
毎週日曜は、この一週間に観た映像作品について日記代わりに書き留めております。



7/20(月)
『ザ・ドア 交差する世界』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『ザ・ドア 交差する世界』ポスター画像
先週の記事の最後に「来週は日本映画のタイムリープものを・・・」と書いたのですけど、そのことをすっかり忘れて月曜に観たのはドイツ映画でありました(笑)。
そういえば先週観た『タイムトラベラーの系譜』もドイツ映画でしたが、ドイツ人ってタイムトラベルものがお好きなのですかね?。
(邪推ですが)第一次大戦の敗戦とその後のナチス台頭や東西分断といった負の歴史を「全部無かったことにしたい」という願望の現れとか・・・?。
ドイツの皆様、ごめんなさい。
でも、その点では日本も似たようなものなのですがね。

『ザ・ドア 交差する世界』歴史を変える
<あらすじ>
5年前浮気中に幼い娘を事故死させてしまった男が偶然娘の事故死直前にタイムスリップ。
無事娘を助けることは出来たが、そこで出くわした5年前の自分を誤って殺してしまう。
そのまま5年前の自分になりすまし空白の5年間を取り戻すが、そこにもう一人5年前からやってきた男が現れた・・・


『ザ・ドア 交差する世界』マッツ・ミケルセン
あらすじを読んでてっきりタイムスリップものだと思い込んでいましたが、正確には5年分の時間がズレているパラレルワールドの話でした。
しかも、主人公の悔恨の念がこの時空トンネルを開いたのではなく、時空を超える通路がひっそりと街の片隅に存在していてそこを通れば誰でも自在に行き来が可能になっています。
(ただし、住民のほとんどはその存在に気付いていない。)

『ザ・ドア 交差する世界』過去の自分
タイムトラベルものに限らずSF映画には「不思議感覚」を理解・表現出来る俳優さんが不可欠です。
主演はマッツ・ミケルセンさん。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の主人公:ジンの父親:ゲイレン・アーソ役や、『007 カジノ・ロワイヤル』で全裸に剥いたボンドの股間をネチネチいたぶっていたル・シッフル役が特に印象深いです。

後半は娘が入れ替わりに感付いたり、自分の死体が発見されたりしてSFというよりサスペンス映画風になっていくのが少し残念です。
あと、終始暗い雰囲気なので疲れている時に観る映画ではなかったかな?。



火曜は深夜まで仕事だったため、一日おいて水曜日から日本のタイムリープもの映画を観ておりました。
作品選抜は以前WOWOWで録画してレコーダーに貯めこんだままになっていたものの中から初見の和製タイムリープ映画をいくつか選び出すだけです。
それに加えて「アイドル映画でも食わず嫌いせずに最後まで見る」ことを自分に課して観ておりました。

7/22(水)~23(木)
『サクラダリセット【前篇】』🈠
『サクラダリセット【後篇】』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『サクラダリセット』前篇/後篇ポスター画像
<あらすじ>
能力者の存在する街・咲良田に住む浅井ケイは見聞きしたことを完全に思い出す「記憶保持」の能力を、春埼美空は世界を最大3日分擬似的に巻き戻す「リセット」の能力を持っている。
ケイ達は、能力者を管理する公的な機関・管理局の「奉仕クラブ」に属し、依頼されて能力を使いながらも安全を保障されている平穏な日々を送っていた。
そんな中、ケイはかつて自分のミスで同級生だった相麻菫を死なせたことへの自責の念を持ち続けていた。


『サクラダリセット』ケイとハルキ
正直言うと、ライトノベルを原作に若手人気俳優をかき集めてこしらえたアイドル映画という印象です。
今回タイムリープとか超能力が出てくると知らなければ、私が見ることは決して無かったでしょう。

面白いと思ったのはリセット能力者の春埼本人は時間が戻ったことを認識出来ず、その後のケイの報告や態度によって自分が能力を使ったことを知るという2人3脚的な部分でした。
あと、春埼のリセット能力は最大3日しかないのにケイが2年前に死んだ同級生を蘇らせようとしている点です。
映画では何らかの方法でそれに成功することは確かですがその方法に興味がありました。

『サクラダリセット』色々な能力
ところが『サクラダリセット』にはタイムリープ以外にも様々な種類の超能力者が登場します。
物を破壊する能力。
他人の超能力を奪う(使い方を忘れさせる)能力。
人から人へ超能力をコピーする能力。
挙句の果ては、写真の中の世界(過去)に入り込む能力なんてのも登場します。
それらの能力を組み合わせることで2年前に死んだ元カノを生き返らせたわけですが、設定がごちゃごちゃしたまま強引に話が進行するためなんだか誤魔化された感が強いです。
しかも、蘇った元カノは最初からこの状況を予測していたかのような言動を取るしで、おぢさんにはもうついていけません。
2日間かけて前後篇とも観たのですけど、後篇ではもう出演者のことくらいしか興味が沸かなくなっていました。

『サクラダリセット』野村周平
主人公:ケイは『ちはやふる』3部作の影の主役:真島太一を演じた野村周平さん。
『ちはやふる-結び-』の撮影にエキストラとして参加した時直接拝見したことがあります。

ケイは異常に記憶力が良くて頭も働くという男ですが、その分感情表現が乏しく人間味に欠ける人物です。
嫁が言うにはライトノベルの主人公にはこういう万能イケメン型が多いらしいですが、実写映画では嫌味な奴でしかありません。、
この主人公に付き合って2作合わせて4時間もの映画を見るのはちょっと辛かったです。

『サクラダリセット』黒島結菜
リセット能力を持つ少女:春埼美空。
口数も少なく表情変化もほとんど無くてまるで人形みたいな女の子ですが、顔を見た瞬間「この子、最近どこかで見たぞ?」と気になっておりました。

『カツベン』より 黒島結菜
名前を確認してみたら、昨年暮れに公開された周防正行監督作品『カツベン!』でヒロイン役だった黒島結菜さんでした。
恋人の窮地を救うため壇上で一緒に即興の活弁口上をやり始めるという快活で行動力溢れる女性役を溌溂と演じていました。
女の子って、たった2年でこんなにも大人っぽく成長するのですね。

Ashi-Girl-アシガール
また、『サクラダリセット』とほぼ同時期にNHKのSFドラマ『アシガール』(これもタイムスリップもの)に主演していました。
こちらは『サクラダリセット』の春埼と正反対で、戦国時代という異世界に突然放り込まれながらも恋した若君を守ろうと頑張る女子高生役を溌溂と演じていました。
ちなみに『アシガール』で共演していた若君役の若手俳優は・・・

『サクラダリセット』伊藤健太郎
今回の『サクラダリセット』にも重要な役で出演していた伊藤健太郎さん(当時は”健太郎”名義)でした。
なんだか最近の日本のタイムトラベルもののキャストにはかなり共通性を感じます。



7/24(金)
『コーヒーが冷めないうちに』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『コーヒーが冷めないうちに』ポスター画像
<あらすじ>
いとこが経営する喫茶店“フニクリフニクラ”で働く女性・時田数。
この店には都市伝説がある。
それは店内の“ある席”に座ると望んだ時間に戻ることができるというものだった。
店には幼なじみとけんか別れをしたキャリアウーマンの二美子、若年性アルツハイマーを患う妻を見守る房木、故郷の妹を裏切って東京でスナックを営む八絵子らが噂を聞きつけてやって来るが、“ある席”にはいつも謎の女性が座っていた。


『コーヒーが冷めないうちに』有村架純
主演はNHK朝ドラ『ひよっこ』で一躍有名になった有村架純さん。
そういえば、有村さんは『僕だけがいない街』(タイムリープもの)にも出ていましたっけ。

『コーヒーが冷めないうちに』伊藤健太郎
後半の準主役は朝ドラ『スカーレット』で主人公の息子役を好演していた伊藤健太郎さん。
『サクラダリセット』や『アシガール』にも重要な役どころで出演していました。

『コーヒーが冷めないうちに』人たち
脚本は、平山秀幸監督の『学校の怪談』シリーズや細田守監督のタイムリープ映画の傑作『時をかける少女』(アニメ版)など手掛けた奥寺佐渡子さん。
細田守監督は奥寺さんと組んだ『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』までは傑作続きでしたが、奥寺さんが脚本担当を離れた途端凡作続きになってしまいました。
初期細田監督作品への高評価は実は奥寺佐渡子脚本があってこそのものだったのです(多分)。
その奥寺さんが脚本担当ということで安心して鑑賞に臨むことが出来ました。

『コーヒーが冷めないうちに』現在は変えられない
一番目を引いたのは「過去に戻って何かをしても現実は何も変わらない」という基本設定でした。
これは、これまで見てきたタイムリープ映画にはほとんど無かった厳しい設定で、登場人物の一人も「変わるでしょ、普通!。」と言ってたくらいです(笑)。
しかし、これこそがこの作品の肝でした。
都合の良い歴史改変が何も起こらないことで、過去に対峙した人たちは皆前向きな気持ちで店を後にしていきます。
タイムリープによって過去を変えるのではなく自分自身を変えるというテーマは(このジャンルとしては)新鮮で良かったです。

『コーヒーが冷めないうちに』夫婦
キャッチコピーは「4回泣けます」ですが私は1回だけでした。
奥さん(薬師丸ひろ子)が認知症になってしまった旦那さん(松重豊)が彼女がまだ自分のことを覚えていた頃に行く話です。
夫婦役のお二人の演技が本当に素晴らしくてついホロリとしてしまいました。
観る人それぞれの立場や年代にもよるでしょうが、4つのストーリーのうちどれか一つでも心に染みる話があればそれでいいと思います。

『コーヒーが冷めないうちに』決まり事
ただ、映画全体としてはひどく物足りないです。
ストーリーも映像も演技も決して悪くはないですが、それらをまとめる演出に工夫がありません。

まず状況を画ではなくセリフやナレーションで表現(説明)することが多くて気持ちが醒めてしまうことも多かったです。
特に、過去に戻った人たちが心境の変化をセリフで語る(しかもカメラ目線で)ラストの一連のシーンは蛇足以外のなにものでもありません。
また、妙に軽くてハイテンポな音楽もこの作品には合っていません。
映画というよりなんだかテレビドラマでも見ているみたいでしたが、それもそのはず、塚原あゆ子監督は元々テレビドラマの演出家で劇場用映画は本作が初めてだったそうです。


ところで、店の名前の“フニクリフニクラ”って、「♪鬼のパンツはいいパンツ~」の原曲の「フニクリフニクラ」のことだと思うのですけど、内容となにか関連性があるんでしょうかね?
ちょっと気になります。


あ、もちろん「おにのパンツ」じゃなくて原曲の方の話ですよ。



7/25(土)
『空の青さを知る人よ』レンタルBD
この日の晩は本当は『晴天の霹靂』を見るつもりでいたのですけど、妻が「早く見たいアニメがある」というのでシアタールームを明け渡しました。
そのタイトルは昨年秋に劇場公開された『空の青さを知る人よ』です。
かなりの人気作でなかなか借りることが出来なかったそうですが、先日諦め半分でゲオのネットレンタルを覗いたら「すぐ借りられる」マークが付いていたので即ゲットしたとのことでした。

『空の青さを知る人よ』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)
『空の青さを知る人よ』ポスター画像
9年前に「泣けるアニメ」として話題になった『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のスタッフが再集結して作った劇場用アニメーション映画です。
妻は「化粧がドロドロに溶け落ちるほど泣いた」というくらい『あの花~』の大ファンで、その制作チームの最新作をずっと楽しみに待っていたのですが、「映画館でボロ泣きすると化粧直しが大変だから」とブルーレイが発売になるまで待っていたのだそうです。
(確かに50過ぎたおばちゃんがアニメ観て泣いてるところなんて見たくないな~)

『空の青さを知る人よ』ポスター
<あらすじ>
ミュージシャン志望で17歳の高校生・相生あおいは、両親を亡くして以来、恋人との上京を断念し親代わりに自分を育ててきた姉のあかねに負い目を感じていた。
あるとき、あかねの元恋人で上京してから音信不通になっていた金室慎之介が、音楽祭のために町へ戻ってくる。
同じころ、13年前の過去から時間を超えてきた18歳の慎之介があおいの前に現れた。


私は最初スルーするつもりだったのですけど、妻におおまかなストーリーを聞くとどうやらタイムスリップものっぽいじゃありませんか!。
「こりゃちょうどいい!」ということで、私も妻の隣に椅子を並べて一緒に見ることにしました。

『空の青さを知る人よ』吉沢亮
”13年前の元カレが時間を超えて現れる”というシチュエーションは確かにタイムスリップ的ではありましたが、実際は彼の昔の精神体だけがかつての練習場に留まっているということのようです。
タイムトリップものではありませんでしたが、それでもストーリーテリングの小気味好さと映像の美しさに惹かれて夢中で見入ってしまいました。

『空の青さを知る人よ』キャスト
少し驚いたのは声の出演者に顔出し俳優が多いにも関わらず少しも違和感なく最後まで鑑賞し得たことです。
正直なところ、私は演技経験の乏しい顔だけのアイドル俳優がアニメの声優や洋画の吹き替えを担当することに嫌悪感を持っています。
そういった連中のほとんどは声の抑揚も張りもなくセリフは棒読みで作品全体を台無しにしてしまうことが多いのですが、本作では全くそんなことはありません。

主要人物のうち、主人公の姉:あかねを演じたのは『時効警察(第3シーズン)』の吉岡里帆さん。
妹のために東京へ出る夢を諦めた優しく強い姉を自然に演じていました。
私はてっきり本職の声優さんだと思い込んでいたくらいです。

その元カレ:慎之助の声を担当したのは、いわゆる若手イケメン俳優の一人:吉沢亮さん。
吉沢さんは底抜けに前向きな明るい18歳の慎之助と、夢破れてやさぐれた31歳の慎之助の両方を全く違和感なく演じ切っていてこれには驚かされました。

吉沢亮 元仮面ライダー
吉沢さんはキャリアの初期に『仮面ライダーフォーゼ』にレギュラー出演(仮面ライダーメテオ役)していた人です。
特撮番組のセリフはほとんどアテレコ(別録り)で、しかもマスクを被ったライダー形態時(中は別の人)の声も演じなくてはいけません。
時間が限られた中でベテラン揃いの特撮スタッフに揉まれながら一年間演じ切った経験が、彼の演技力を鍛え上げたのではないかと思います。
ふとそんなこと考えてしまうほどに見事な声の演技でした。

『空の青さを知る人よ』歌
ついつい作品に引き込まれてしまう理由の一つが作中で演奏される音楽です。
その楽曲というのが何故かゴダイゴの「ガンダーラ」なのです。


「ガンダーラ」は私が中学生だった昭和53年、TV特撮ドラマ『西遊記』のエンディング曲として発表されて大ヒットした楽曲です。
余談ですが、当時近くの高校の文化祭にはゴダイゴのコピーバンドが何組も出場して、それが4組目くらいになると「またゴダイゴか」とブーイングを受けたりして気の毒になったくらいでした(笑)。

『空の青さを知る人よ』練習
映画は古びた建物の中で高校生バンドが「ガンダーラ」を練習しているシーンから始まるため、私はてっきり昭和53年頃とその13年後の話だと思っておりました。
そのあとすぐスマホが画面に登場することで平成の話だと分かりましたが、この導入の仕方は(良い意味で)ズルいと思います。
「ガンダーラ」を使うことで、私たち50歳代の者も自分が中高生だった時代(ゴダイゴが流行った時代)を思い出して感情移入出来る仕組みになっているからです。
若い頃少しでも何かに打ち込んだことのある者なら、このストーリーはじわっと心に染み入ってくると思います。

また、「♪そこに行けばどんな夢も叶うというよ 誰も皆行きたがるが遥かな世界」という歌詞も登場人物たちの想いをストレートに表してします。
この歌詞と、故郷に残る選択をしたあかねが好きな言葉「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」とが対になってテーマを表現しているのですね。

『空の青さを知る人よ』言葉

いい言葉ですねえ。
私も高校時代は都会に出たくて仕方がなくて、地元のことなど一切顧みようとしませんでした。
福井にUターンして20年ほど経った今、この言葉が余計胸に沁みてきます。

このアニメ、なんだか妻より私のほうが堪能していた気がします(笑)。




今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

There are no comments yet.

mikaidou  

こんにちは

今回の邦画タイムリープもの、そう言えばその系列だなあと改めて思い出しました。
私も「あの花」、「ここ叫」で泣く50代なので
トガジンさんの奥様に共感です^ - ^
このところ読むライトノベルもおが付く文學も
ちょっとSF風味な不思議な話が多くて
すんなり感情移入できなくて困ります。
スパッとわかりやすい近未来小説(?)が読みたくなります。

2020/07/27 (Mon) 11:02 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

『空の青さを知る人よ』お薦めです。

mikaidouさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

実は私『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』と『心が叫びたがっているんだ』にはあまりピンと来なかったクチで妻の絶賛にも「へえ~」と生返事しか出来なかったのですけど、今回の『空の青さを知る人よ』は身につまされる部分がかなりあってガチで見入ってしまいました。
ちなみに、私は慎之介とあおい目線で観ていましたが、県外生活経験のない妻はお姉さん視点で観ていたそうです。
あと、彼女も70年代後半のゴダイゴ人気を知っているので「楽曲から世界観に引き込まれた」と言っておりました。
『空の青さを知る人よ』是非ご覧になって下さい。

あと、(ご存じかも知れませんが)『コーヒーが冷めないうちに』にはmikaidouさんご贔屓の林遣都さんも出演してましたよ。
作品毎の雰囲気に自然に馴染んで場面の密度を上げてくれるいい俳優さんですね。

2020/07/27 (Mon) 20:37 | EDIT | REPLY |   

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