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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2020.8/31~2020.9/6)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週は仕事に加えてご近所関係の作業(今年は地元の秋祭りの役に就いてるため)もあって何かと忙しく、見れた映画は一本だけでした。



9/5(土)
『天使のいる図書館』🈠
(ホームシアター:日本映画専門チャンネル録画)
『天使のいる図書館』ポスター画像
<あらすじ>
合理的な考え方を持ち主観で物事を語ることを嫌う性格の吉井さくらは、新人司書として地元の図書館に就職したものの“レファレンスサービス”という慣れない仕事にとまどう日々を過ごしていた。
ある時、古い神社の写真について尋ねてきた芦高礼子と名乗る老婦人に出会う。
礼子と二人で何度も葛城地域の名所をまわるうち、さくらは礼子に他界した自分の祖母への思いを重ね始めていた。
しかし、ある日を境に礼子は図書館に姿を見せなくなってしまう。


普段なら見向きもしないジャンルですが、この映画には気になる要素が3つもあったため観ることにしました。

『天使のいる図書館』小芝風花
一つは、『トクサツガガガ』(2019年のNHKドラマ)の小芝風花さんが主演であることです。
対人関係やコミュニケーションに問題を抱えているいわゆるアスペルガー症候群な主人公のさくらを演じています。
また、大阪出身の小芝さんはネイティブ関西弁と標準語を使い分けていて、家の中では関西弁ですが仕事の時は他人に対する防衛本能から標準語で喋るさくらの二面性と次第に自分の殻を打ち破っていく変化を表現していました。

『天使のいる図書館』アンドロイド喋り&歩き
ただし、かなり演出過剰気味なのが気になりました。
A.I.みたいに変なところで文節を区切りながら喋ったり、ロボットのように直角に曲がりながら歩くなど、かなりマンガチックな表現が多いのです。
見る人によってはアスペルガー症候群とか発達障碍の人を馬鹿にしていると受け取りかねない気もします。

『天使のいる図書館』左利き
あと、右利きのはずの小芝さんに何故か無理矢理左手で食事させています。
その演出意図というか必然性がまるで分かりません。
彼女がお箸でうどんを食べているシーンがあまりにもたどたどしいのですが、食事という日常的動作があんなにぎこちないはずはありません。
何に拘ってああしたのかは知りませんが、あれではリアリティが削がれますし何より見ていて可哀そうです。
あれは小芝さんの演技の問題ではなく監督のセンスの問題だと思います。

『天使のいる図書館』小芝風花と香川京子
さくらの前に現れる老夫人を演じるのは、黒澤明や成瀬巳喜男など名監督の作品に出演してきた名女優:香川京子さん。
邦画好きな私としては、この方が出演されているというだけで安心感が得られます。

『天使のいる図書館』ラスト
実際、香川さんが画面に登場しただけでそれまでマンガチックだった作品のトーンが一気に落ち着きましたし、礼子(香川さん)との会話を重ねるごとにA.I.みたいだったさくらの言動が次第に人間らしく変わっていく過程も自然に受け入れられました。
らすとでは、私も妻もさくらが礼子に心情を吐露するシーンでついホロリとしてしまいました。

何故SF・ファンタジー?
2つ目の気になる要素とは、この映画が日本映画専門チャンネルのHP内で何故か「SF・ファンタジー」にジャンル分けされていたことです。
『いぬやしき』とか『テラ戦士Ψ BOY』と同じ扱いになっていますが、それがどういうことなのかが気になっていました。

『天使のいる図書館』天使?
映画の冒頭とラストでさくらの元に”あるもの”が舞い落ちます。
これはつまり”図書館にいる天使”とはさくらのことではなかったということなのですかね?。
たぶん監督か脚本家がヴィム・ベンダース好きでそうしたのだろうと想像しますが、見終わってみればこの映画には特に必要ない要素だった気がします。

『天使のいる図書館』風景
3つ目は奈良県葛城地区という舞台そのものです。

葛城市は大阪との県境にあるのですが、実は私が通った大学はそのすぐお隣の大阪府河南町にあるのです。
奈良から通っていた友達もいて何度も遊びに行ったこともある土地なので、なんだか懐かしい気分で見ておりました。

『天使のいる図書館』神社
町おこしを目的に作られた映画ですが、こうした類の作品にあちがちな名所巡りのシーンに不自然さがありません。
舞台を県全域でなく特定の地域に絞ったことと、情報とコミュニケーションの場である図書館を核にしたことで、名所巡りの要素も無理なくストーリーに組み込んでいます。

余談ですが、我が福井県でも『えちてつ物語』『恐竜を掘ろう』『旅の贈り物』等といった地域振興映画が作られたことがありますが、どれも県内の名所を無理やりねじ込もうとして肝心の物語が破綻していました。
上記三作品の制作者たちにはこの作品を見て勉強し直してもらいたいです(笑)。

『天使のいる図書館』屯鶴峯
最後に個人的な思い出話を。
本作に登場する屯鶴峯(どんづるぼう)という岩山地帯も大学からほど近い場所にあるのですが、私は仲間と一緒にここへ8ミリ自主映画(ヒーローもの)の撮影をしに行ったことがありました(もちろん無許可で)。
そんな懐かしい気持ちも手伝って、他県の街おこし映画でありながらついホロリとさせられてしまいました。



『ドラゴン危機一発』ポスター画像
先週の記事の最後のほうで「『ブルース・リー復活祭2020』補完計画ということで来週は『ドラゴン危機一発』を見る」と書きましたが、それは次週に持ち越しです。

なぜならば。

9月にWOWOWブルース・リー特集
WOWOWの9月放送予定を見ていたら、なんと9月7日から12日までの6日間[生誕80年 ブルース・リー特集]と銘打って『危機一発』『怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』に『死亡の塔』と『燃えよドラゴン』も加えた全6作品を毎日放送するというではありませんか!。

『危機一発』は現在アマゾンプライムで無料(プライム会員)で見られますが、せっかくWOWOWで全作品放送してくれるなら録画保存も兼ねてこっちで観ることにしました。
今回放送されるバージョンが「ブルース・リー復活祭2020」と同じ日本初公開英語版かどうかはわかりませんが、公開当時(’73年)劇場で見ていない私にとってそれは大して重要なことではありません。
問題は「来週どれだけ映画を楽しむ時間が取れるのか?」です。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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