週刊映画鑑賞記(2020.10/26~2020.11/1)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
今週は「午後に出て深夜に終わる」仕事が多くて、家に帰ってゆっくり長編映画を観る時間が取れませんでした。
どちらかというと「朝早く出て日が沈むまでに終わる」ほうが、夜自分の時間が多く持てるのでインドア派としてはありがたいのですがね。
しかし、こんなご時世ですから贅沢は言っていられません。
仕事があるだけ感謝です。
『ウルトラセブン』(4Kリマスター版)
(ホームシアター:BS4K録画)

長編映画を観る時間は取れないながらも、週に一度の楽しみ4K版『ウルトラセブン』を観る時間だけは死守しております(笑)。
第9話「アンドロイド0指令」

<あらすじ>
ある夜、パトロール中のフルハシ隊員が謎の美女に襲われた。
どうやら、実際に狙われたのはモロボシ・ダンだったらしい。
敵の目的は何か?。
ダンは調査中に精巧な玩具を売っている"おもちゃじいさん"に出会った。
この老人と美女は事件に関係しているのだろうか?
やがて彼らの意外な正体が明らかになっていく。

以前、母や祖母から聞いた話です。
私は幼い頃、テレビを見ているとき急に逃げ出すように部屋を出て行ってしまったり、「怖いのイヤ~」とか言って母の後ろに隠れたりしたことが度々あったそうです。
それは大好きな『ウルトラマン』や『セブン』などヒーローものを見ている時にも、そうやってよく怖がっていたのだそうです。
奇怪な姿形の宇宙人が怖かったのでしょうか?。
いいえ、そもそも主役のヒーローがこいつらをやっつけるところが楽しみで見てるのだから別に怖くはなかったと思います。
物語や雰囲気が怖い?。
いや、4~5歳の子供がストーリーの内容まで理解していたとは思えません。
あくまでも視覚や聴覚に訴える範囲内のものだと思われます。
で、今回「あ、小さい頃の自分が怖がったのはもしかしてこれかも?」と思い当たる場面がありました。

幼少時の記憶など全くと言っていいほど残っていないため「なんとなく・・・」ではありますが、アンドロイド・セロワンのマネキン形体に恐怖心を覚えたのではないかと思います。
というのも、当時箪笥の上に母が大事にしていた人形が数体飾られていたのですが、幼い私は「お人形怖い~」と和人形・洋風人形を問わずに怯えてよく泣いていたと聞いたことがあるからです。
母が人形を片付けながら「男のくせに怖がりやねえ」と笑うと、祖母は「怖がるというのは感受性が豊かな証拠だよ」と優しく言ってくれていたそうです。

幼い頃の私が人形を怖がった理由は分かりませんが、当時の自分がアンドロイド・ゼロワンに怯えてTVの前から逃げ出したことは十分あり得ることだと思います。
今だって『怪奇大作戦』の「青い血の女」を見るときはつい身構えてしまうのですから。

もっとも、現在の私は人間体を演じる小林夕岐子さんの美貌から一瞬たりとも目を離せずにいるのですがね(笑)。
4K&HDRリマスターの小林夕岐子さんは眩しいくらいに美しかったです。

現在の私が「アンドロイド0指令」に感じた不気味さは、この銃を持つ子供たちの映像に対してのものです。
オモチャの銃で戦争ごっこするくらいならまだ微笑ましいですが、こんな風に銃を持って整然と行進する姿を見せられると心底ゾッとします。

というのも、私はつい最近『沖縄スパイ戦史』という、「護郷隊」や「鉄血勤皇隊」と呼ばれた少年兵部隊のドキュメンタリー映画を見たばかりだったからです。
沖縄戦では、戦争に駆り立てられた10代の少年たちのうち半数近くが犠牲になったとのことです。

「アンドロイド0指令」の脚本家は沖縄出身の上原正三さんです。
子供ばかりの軍隊のイメージには沖縄少年兵たちの姿が重なっているように思えてなりません。

なんだか重苦しい話になってしまったので(;´∀`)、気分を変えて少し出演者の話でも・・・。
今回はアンヌ(菱見百合子さん)の出番が全くと言っていいほどありません。
男性隊員たちの後ろで看護婦と何事か話しているだけで、まるで医療スタッフの一人に過ぎないといった扱いです。
これは結構有名な話なのですが、最初の頃、酒好きな菱見さんは毎晩朝まで飲み明かして撮影現場に入ったとき顔が腫れていたり声が嗄れていたりして監督やカメラマンの怒りを買い、一時期出番を削られたり干されたりしたことがあったそうです。
アンヌ干され回はこのあと数本続きますが、当の菱美さん自身は「セリフが無くて楽♪」と呑気なものだったそうです(笑)。
第10話「怪しい隣人」

<あらすじ>
アンヌ隊員と親しいアキラ少年は、隣人がいつ見ても同じ姿勢で座ったままでいることを疑問に思いウルトラ警備隊に連絡した。
早速、アキラ少年の家に赴いたアンヌとダン。
ダンは異変を感じ取って行動を開始するが、その姿はアンヌたちの眼前で消えてしまう。
実はダンは四次元空間にいた。
未知の領域に苦戦するダン。

足をケガして部屋から出られなくなり、暇を持て余して隣の家を覗きしていたらそこにトンデモナイ事が・・・。
この掴みの部分はヒッチコックの『裏窓』から着想したことは間違いなさそうです。
『ウルトラセブン』は対象年齢を高めに設定してたせいか、今回のように子供が中心の話、あるいは話の発端となるストーリーは珍しいです。
また、『セブン』には昭和ウルトラシリーズ中唯一子供のレギュラーキャラが存在しません。
『ウルトラマン』のホシノくん、『帰ってきたウルトラマン』の次郎くんなどといった、視聴者の男の子が自分を投影できるのような子供が登場しないのです。
私の想像ですが、子供が感情移入しやすいキャラクターがいないことや、ここまでの数回はセブンの戦闘シーンが少なめだったことなどから視聴率に影響が出始めていて、この作品から若干軌道修正し始めたのではないかと考えています。
最初から子供が出てくるし、終盤にはセブンと宇宙人との戦いもたっぷり描かれていますから。

イカルス星人が地球侵略の拠点とするべく作り上げた四次元空間。
そこに隣人の通報を受けたウルトラセブン(ダン)がやってきて四次元空間に拉致されてしまいます。
これは単なる偶然なのでしょうか?。
あるいは空中に静止する鳥など異常現象をわざと見せてダンを誘い込んだ罠なのでしょうか?。
どちらにせよ、ダンは敵の懐に入り込んだことになり結果的に四次元コントロール装置を破壊してイカルスの計画を阻止することになります。
イカルス星人はダンを四次元に捉えた時点ですぐ銃とウルトラアイを奪うべきでした(笑)。

イカルス星人の地球人形態を演じたのは山本廉さん。
東宝特撮の常連さんで、昭和29年の『ゴジラ』では海難事故から生還した漁師役(のちに死亡)、『ゴジラの逆襲』では自衛隊のゴジラ生き埋め作戦地上指揮官役、『ガス人間第1号』では、ガス人間の名前を語るチンケな便乗強犯役など、脇役ながらも妙に印象に残る俳優さんです。
あと、前作『ウルトラマン』にも「宇宙から来た暴れん坊」の欲望にかられて怪獣ギャンゴを生み出してしまう男と「まぼろしの雪山」の猟師役で出ていました。
悪役を演じても全然憎めない庶民的な感じの俳優さんなので、今回のイカルス星人のようなクールな役柄は珍しいんじゃないかと思います。

現在の我が家は代々続いている持ち家なのでご近所さんも小さい頃から見知っている人ばかりで「怪しい隣人」などと呼べる人はいません。
しかし、大阪でマンションに一人暮らししていた頃は、(私が時間が不規則な仕事をしていたこともあって)お隣さんはおろかマンションの住人と会うことさえ稀でした。
隣に引っ越してきたばかりの人が若い人なのか年寄りなのかもどんな仕事をしているのかも全く知らず、たまたまエレベーターで一緒になった人が隣の部屋に入ろうとするのを見てお互い「あ?、お隣さんでしたか!」とお互いにペコペコ頭を下げて初の挨拶を交わした、なんてこともありました。
都会には「怪しい隣人」がいっぱいです。
あ、その時のお隣さんはもちろん普通の地球人でしたよ。
・・・多分。
連日
『エール』
(居間49インチ4K液晶テレビ:NHK総合)

今週の『エール』は、かの名曲「栄冠は君に輝く」誕生秘話です。

裕一の友情を受け、「栄冠は君に輝く」をアカペラで(しかも甲子園球場で!)歌う久志の姿と声に思わず鳥肌が立ちました。
久志も裕一と同じく軍歌を歌っていたことに対する罪の意識に苛まれていたのです。
このドラマでは「栄冠は君に輝く」に乗せて久志の転落と復活を中心に描かれていました。
ただ、この構成について、私にはかなり不満もあるのです。

「栄冠は君に輝く」の歌詞は全国から公募されたものの中から選ばれたものでした。
そしてこれは実際の話なのですが、当初その当選者の名は高橋道子という女性の名前だったのです。
しかし本当の作者は石川県在住の文筆家:加賀大介氏でした。
野球好きだった加賀氏は怪我で右足を切断してもなお失うことのない野球に対する熱い想いを「栄冠は君に輝く」の歌詞に込めていたのです。
しかし、加賀氏はプロの文筆家であったため「賞金目当てで詞を書いた」と思われるのが嫌で、そのため婚約者(のちの奥さん)の名前を使って応募したのです。
(発表からおよそ20年後に本当の作詞者が加賀大介氏であることが公表されました)
『エール』では、加賀氏を思わせる右足の無い男性が球場を訪れる場面が1カット挿入されただけでした。
福島三羽カラス(+池田さん)以外にも、加賀氏のように日本の片隅から若者たちへエールを送った人物がいたことにも光を当てていただきたかったです。

『エール』は例のウィルス感染拡大の影響により7月から9月中旬までの約2か月半放送休止していました。
もし順調に放送されていたならば、今週の「栄冠は君に輝く」編は8月上旬頃に放送されていたはずです。
それはつまり「夏の高校野球」開催の真っ最中だったはずで、『エール』がこのタイミングに合わせてシリーズ構成を組んでいたことに疑う余地はありません。
高校球児たちのプレイを生中継で見つつ、その合間に『エール』で「栄冠は君に輝く」誕生裏話を楽しむ・・・。
スポーツとドラマとが音楽を通じてリンクするという、滅多に巡り合えないであろう楽しみを奪われたことが残念でなりません。

昨日(10/31)、初代ジェームズ・ボンド役で知られるショーン・コネリーさんの訃報がありました。
私には男臭さをムンムンさせていた若い頃より『アンタッチャブル』『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』『ザ・ロック』などの脇に回ったコネリーさんの印象が強いです。
「自分もこんな歳の取り方をしたいものだ」と思わせてくれる役者さんでした。
どうか安らかに・・・。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。