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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2020.12/21~2020.12/27)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

12/23(水)
『ムーラン』🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)
『ムーラン』(実写版)ポスター画像
1998年公開のディズニーアニメ『ムーラン』の実写映画版。
最近ディズニープラスで見放題タイトルに加わったということで見てみました。
ちなみに私はドコモの携帯契約時の特典で「ディズニープラス一年間無料」状態なので実質タダ見であります(笑)。

実写版『ムーラン』は、ここ最近の世界情勢(特に中国周辺)の影響をモロかぶりした作品です。
まず、当初は2019年に公開予定だったはずがお目当ての中国市場から「史実と異なる」などのクレームが付いて大幅な撮り直しを余儀なくされ公開延期となりました。
次に主演女優:リウ・イーフェイが香港の「逃亡犯条例」改正案をめぐる抗議デモ時の警察当局の対応に対して支持表明したことで反対派多数からボイコット運動が起きてしまいます。
そしていよいよ公開というときになって、あの新型コロナウィルス騒動が発生しました(しかも発祥は中国)。
そのあおりを受けて劇場公開は断念され、ネット配信オンリーでの発表となりました。
また、ロケ地である新疆ウイグル自治区(イスラム教徒に対する人権侵害が問題視されていた地)の公安当局に対し撮影協力の謝辞をクレジットしていたことでまたもや炎上。
そんなこんなで、「中国を舞台に中国人の映画をこしらえて中国市場で大儲けしてやろう」というディズニーの目論みは木っ端微塵に打ち砕かれたのでありました(笑)。
まさに踏んだり蹴ったりな目に遭った気の毒な映画ですが、ある意味、2020年の世相を最も反映した作品かも知れません。

『ムーラン』(実写版)ムーラン
とりあえず、ムーラン役の女優さんは大人のときはもちろん少女時代もイメージに合っていて合格点であります。
もっとも、そこがダメだったら最後まで見なかったかも知れませんが(笑)。

『ムーラン』(実写版)の美人すぎるスタントウーマン
あと、ムーランのスタントを担当した女性(リウ・ヤーシーさん)もまたかなりの美人さんなのですよ。
しかもまだ10代だそうな!?。
近いうちにこの子主演のアクション映画が見られることを期待しましょう。

『ムーラン』(アニメ版)ムーランとムーシュー
この実写版には、アニメ版で主役のムーラン以上の人気を誇った守護竜ムーシューは出てきません。
代わりに時折「火の鳥」みたいなフェニックスが現れて無言でムーランを導くのですが、その分物語の進行にメリハリがなくなっていて訓練キャンプに到着するまでかなりダレました。

『ムーラン』(実写版)魔女
ムーシューの代わり(?)に登場するのは、ムーランも持っているという”気”を悪用して敵部族に味方する謎の魔女です。
この二人は実は似たもの同士で、魔女もかつて家族や仲間に嘘をついたことに心を痛めていたというのです。
魔女は「お前は私と同じ。手を組もう。」とムーランを誘いますが、これって『スター・ウォーズ』のルークとダースベイダーの関係にそっくりです。
それぞれ片方(魔女/ベイダー)は魔道の道(ダークサイド)に堕ちるが、もう片方(ムーラン/ルーク)は正しい道を選んで最終的に勝利と仲間を得るという図式はまさに『スターウォーズ』オリジナル三部作!。
(そういえば、英語のセリフの中に「フォース」という単語が出てきたような気もします。)
そして最後にラスボスの攻撃からムーランを庇って魔女が死ぬのも『ジェダイの帰還』のルークとダースベイダー(アナキン)と同じです。
う~む。
こんなとこにまでルーカスフィルム買収の影響が?(笑)。



『ウルトラセブン』(4Kリマスター版)
(ホームシアター:BS4K録画)
『ウルトラセブン』4Kリマスター版放送
今週はかの有名な「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」の回が放送されました。

第26話「超兵器R1号」
『超兵器R1号』悲しいマラソン
<あらすじ>
地球防衛のための惑星攻撃用超兵器「R1号」が発射された。
目標は生物がいないと観測されたギエロン星。
実験は成功を収めるが、地球人の過剰なまでの戦略兵器開発を素直に喜べないダン。
やがて、ギエロン星から地球を目指して飛んでくる影。
それはR1号の放射能の影響で変異したギエロン星獣だった。
星獣は人類に復讐しに来たのだ。


ビキニ環礁の水爆実験
1945年8月、アメリカが広島・長崎に世界初の原子爆弾を投下。
その高い技術力と攻撃力によって自国の優位性を誇示した。
しかしそのわずか4年後には旧・ソ連が原爆開発に成功、そして7年後にはイギリスも原爆保有国に・・・。
負けじとアメリカは1952年に広島型原爆の600倍の破壊力を持つ水素爆弾を開発。
アメリカが「今度こそ我が国が世界の王者だ」と喜んだのも束の間、その翌年にはソ連も水爆保有を明らかにし、さらに数年後には広島型原爆の3300倍もの破壊力を持つ史上最大の水爆も・・・。

まさに「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」。
こういった大国間による核開発競争を痛烈に皮肉ったのが『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」なのであります。
当時これを見た子供たちには、こうした世界情勢を理解していた者などおそらく一人もいなかったと思います。
それでも、この「超兵器R1号」という子供番組の一遍は大勢の子供たちの心の片隅に「あの衝撃は一体何だったんだろう?」といった楔を打ち込み、やがてこの寓意性に気付いた者たち(オタクとも呼ばれる)によって後年広く世間に知られるようになっっていったのです。

『超兵器R1号』言い争い
更に衝撃的なのは、兵器開発競争の正当化論法を嬉々として語っているのがダン以外のウルトラ警備隊員たちであるという点です。
『北へ還れ!』であれだけ人間味を見せてくれたあのフルハシでさえ、「地球防衛のためにはやむなし」とダンの進言に耳を貸そうとしません。
これはマッドサイエンティストたちだけでなく一般の人々もこんな思考から抜け出せなくなっていることを揶揄しているだけだと思いたいです。

ところで、こうしたウルトラ警備隊の「地球人ファースト」な考え方はこれまでの話にも何度か表現されています。
第6話のペガッサシティの爆破。
惑星探査を侵略と誤解した第14/15話のぺダン星人と第16話のアンノン。
いずれもウルトラセブンが仲介に入ってはいますが、平和的解決に成功したのはアンノンの時だけでした。
こうした地球人類と、異邦人であるセブンとの心理的乖離はやがて第41話「ノンマルトの使者」で決定的なものとなります。

・・・と、まあカタい話はこのくらいにして(笑)。

『超兵器R1号』前野博士
幼い頃はともかく中学生になって真正面から『セブン』を見返した私は、当時もまだ続いていた核開発競争とか冷戦とかいった世界情勢との関連性なんかより、前野博士を演じた田村奈己サマのあまりの美しさに目が釘付けだったのでありました(笑)。
「超兵器R1号」を子供たちのために本気で作ってくれた当時の円谷プロスタッフの皆様に申し訳ない限りです。

東宝スリーペット
田村奈己さん(当時の芸名は田村まゆみ)と浜美枝(日本人ボンドガールの一人)と星由里子さん(『モスゴジ』『地球最大の決戦』)の三人は「まるでペットみたいに可愛いから」と東宝スリーペットというトリオ名で売り出されていたそうです。
(現代の感覚からすると女性をペット扱いするというのはいかがなものかと思いますが・・・)

田村さんは他のお二人と比べると傑出した代表作が思い当たらず、特撮ファン以外には印象が薄いかもしれません。
これは、三人の中では大人しいイメージが売りだったのに加えて途中で芸名変更したことが遠因ではないかと思われます。
それでも90年代には女優業にカムバックされてTVドラマや岡本喜八監督の映画にも出演されています。
現在もお元気なはずだと思うので、出来るものなら何かの特撮イベントに登壇していただきたいものだと思っております。

『超兵器R1号』放射能
R1号の核爆発を受けたギエロン星獣は復讐のため地球に襲来し口から放射能を吐き散らします。
ん?。
これってゴジラそのものではないですか?。
ギエロン星獣は『ウルトラセブン』制作チームによる『ゴジラ』(昭和29年)へのオマージュなのかも知れません。

『超兵器R1号』科学者
放射能をまき散らし、しかも殺してもすぐ前より強力になって生き返るギエロン星獣。

R1号を作り出した科学者はここでとんでもないことを口走ります。

セガワ博士「この危機を救うものは、超兵器R2号だけです。」

おいおい、おっさん。
R2号の破壊力は1号以上なんやろ?。
そんなもん使ったら地球そのものがギエロン星同様に消滅してしまうやないか!。

そんなセガワ博士に美人すぎる科学者:マエノ博士が反論します。

マエノ博士「でもR2号を使って、さらに巨大な生物に変化したら?」

え、そこ?。
心配の方向を間違えてません?。

このテンパった科学者たちのトンチンカンなセリフも行き過ぎた兵器開発競争を皮肉ったこの話のテーマを凝縮したものなのです。
・・・と、そう思うことにしております(笑)。

『超兵器R1号』喉をかき切る
セブンはギエロン星獣の喉元をかき切ってなんとか息の根を止めます。
どうして喉を切れば復活を阻止出来るのか?。
それはセブンにしか分からないことであり、別に地球人が知る必要もありません。
だってギエロン星の生物はこれで一匹残らず死滅したのですから。

しかし、これは実に後味の悪いエンディングです。
喉を切るという残酷描写もその一因ですが、ここでのギエロン星獣の死には別の意味も含まれるからです。

母国を核兵器によって焼き尽くされ自身も被爆者となったただ一人の生き残りが、核を落とした相手国に抗議しようと出向いた先で逆に殺されてしまうという残酷な図式になっているのです。

あ?。
だからギエロン星獣は星人(人間)ではなく星獣(ケモノ)だったのですね。
仮にこれが全身ケロイド状態のギエロン星人だったとしたら、今頃は「遊星より愛をこめて」と同じく「超兵器R1号」も欠番扱いにされていたことは間違いないでしょうから。

第27話「サイボーグ作戦」
『サイボーグ作戦』どつきあい
<あらすじ>
防衛軍のノガワ隊員は朝日沼において謎の宇宙船に捕らえれてしまう。
ボーグ星人はノガワの脳に催眠プレートを埋め込み、さらには強力な爆弾を持たせて基地に帰す。
星人の狙いは防衛軍の隊員たちが集中する午前6時に基地を爆破することであった。
それを辛くも防いだセブンとボーグ星人の力と技の応酬が展開される。


前回の「超兵器R1号」では科学技術を弄ぶ人類の業について考えてみましたが、お次はボーグ星人のお間抜けな侵略作戦を笑って気分を直しましょう(笑)。

『サイボーグ作戦』能面のような女
能面のような無機質な女(ボーグ星人)が不気味すぎ。
前半のトーンはどちらかといえばホラータッチで、まるで後年の『怪奇大作戦』でも見ているようです。

『サイボーグ作戦』こういう役は土屋嘉男さんがベスト
ボーグ星人に操られたノガワは基地の各要所に爆弾を仕掛けていく。
第5話でユシマ博士を操ったビラ星人と全く同じ作戦で、今回もダン(ウルトラセブン)によって見破られます。
しかし、仕掛けられた爆弾の最後の一個がどうしても見つかりません。

『サイボーグ作戦』わざわざ処刑しに来るボーグ星人
そしてここからがこの回の笑いどころであります。
ボーグ星人は作戦に失敗したノガワを「裏切り者」呼ばわりしてなんと自ら警備隊基地に乗り込んできてノガワを処刑しようとします。
どうしてわざわざ?。
最後の爆弾はまだ見つかっていないのですから、爆破時間になればノガワも自動的に死ぬはずなのですがね。

『サイボーグ作戦』ペラペラしゃべるボーグ星人
実は爆弾の最後の一個はダン(セブン)の足に付けられていました。
そのことに全く気付いていないセブン。
それなのに・・・。
そのまま黙っていればセブンに勝てたはずなのに、勝ち誇ってそのことをペラペラ喋るボーグ星人。

『サイボーグ作戦』首チョンパ
セブンは無事爆弾を取り外し、ボーグ星人はアイスラッガーで首チョンパ。

『ウルトラセブン』には確かに傑作エピソードが多いですが、中にはこうしたツッコミどころ満載な話も結構多いです。
まあ、だからこそ『北へ還れ!』や『超兵器R1号』などの名作がひときわ輝いて見えるのかも知れませんが。

それにしても、ウルトラセブンの決め技ってアイスラッガーを使った首チョンパがやたら多い気がしますね。
ギエロン星獣の最期に痛ましさを感じたことと、『ウルトラマンコスモス』あたりからむやみに怪獣を殺さなくなっていることから、今改めて見るとその無邪気な残酷性が気になりますね。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

4 Comments

There are no comments yet.

へろん  

超兵器R1号。
放射能が絡むあたり、『ゴジラ』のオマージュみたいですね。
しかし「地球防衛のため」といいながら「惑星攻撃用」というところがすでに典型的な過剰防衛ですね。下手すると行きつく先は防衛のためと称して周辺諸惑星を侵略してまわる「地球帝国」……で、やりすぎた地球帝国は宇宙の平和を守るウルトラ警備隊に滅ぼされる……そんな姿は子供たちには見せたくないものです(そうしたプロットは小松左京が『人類裁判』で描き出してますが)。

2020/12/29 (Tue) 06:34 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

ウルトラセブンを敵にしたくはないですね

へろんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

>やりすぎた地球帝国

考えてみれば地球以外の星にも光の国からウルトラ戦士が派遣されている可能性もあるわけですよね。
もしも地球人がそこに超兵器R●号を撃ち込んでしまったりなんかしたら・・・?。
「知らなかった」じゃ済まされません。
地球は光の国から見限られ、本当にウルトラセブンによって成敗(首チョンパ?)されてしまうかも?。

2020/12/30 (Wed) 00:11 | EDIT | REPLY |   

A-chan  

セブン第26話「超兵器R1号」について

こんばんは。
このエピソードは痛ましいです。本当に酷過ぎる。許してなんて言えませんよ。
ギエロン星獣は、きっとオカメインコに似た小鳥だったと思います。確かに、小動物であれば怪しい物体(調査用カメラの類)が迫ってくれば、岩の隙間にでも隠れてしまうから見つかりっこありません。ハナから無生物惑星と決めてかかった杜撰な調査が伺えます。
それ以上に、侵略者を迎撃するのになんで必要以上の爆発力を持った兵器を開発する必要があるのでしょうか?

ギエロン星獣は超兵器で体をバラバラにされたら再生する(過剰な身体破壊に反応する)体質に変異したようですが、そんな彼が超兵器に頼らない普通のやり方(喉元を斬る)であっさり倒れてしまいました。この展開は、ギエロン星獣が身をもって「過度の超兵器に頼らなくても敵は倒せる」という事を示してくれたようなものと受け取っています(結果として悲しい事ではありますが)。
ゴジラ映画の「怪獣大戦争」や「ゴジラ対ガイガン」では、地球人は科学万能主義の侵略者の盲点(生理的弱点や鉄壁の装備の脆い部分)をついて超兵器に頼らずに侵略者を撃退しています。地球防衛軍の科学者陣は、地球の平和を過剰に求めるあまりに大切なものを見失っていたのではないでしょうか?
ともあれ、地球人がギエロン星獣の死から何かを感じ取り目を覚ましてくれれば、彼の死は無駄では無くなると思います。地球人が生物なら、侵略者も生物(もしくは生物に作られた物)。それを理解していれば戦い方はいくらでもある筈ですから。

今年は色々ありましたが、どうもお世話になりました。希望を持って2021年を迎えたいですね。では、良いお年を。

2020/12/30 (Wed) 23:36 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

血を吐きながらのマラソンは30年後もまだ続いていました・・・

A-chanさん、コメントありがとうございます。

この「超兵器R1号」は記事を書くために3回見返したのですけど、最後には美人すぎる科学者マエノ博士が「実験が成功すればギエロン星は宇宙から姿を消すでしょう。」と楽しそうに言うシーンが妙に怖く感じてしまいました。

『ウルトラセブン』世界の地球防衛軍はどうも疑心暗鬼に陥り易く、また好戦的に過ぎるきらいもあるようで、続編の『平成ウルトラセブン』では「地球侵略の危険性がある知的生命体には攻撃を受ける前に先制攻撃をかける」という愚かな計画が発動されていました。
その計画の名は悪趣味にも「フレッドシップ計画」。
最後には新開発の惑星間航行ミサイルによって相手の母星を完全破壊していたと記憶しています。

しかし、この馬鹿げた計画に反対を唱えたのは意外にも「超兵器R1号」でダンと口論を交わしたフルハシ(このときは参謀に昇格していたと記憶しています)でした。
防衛軍上層部はぺダン星事件やこのギエロン星事件、そしてノンマルト事件からも何一つ学んでいなかったようですが、少なくとも同じウルトラ警備隊の仲間たちだけはダンの想いを汲み取ってくれたものと思いたいです。


こちらこそ、今年もありがとうございました。
来年もまたよろしくお願いいたします。
お互い良いお年を!。

2020/12/31 (Thu) 16:59 | EDIT | REPLY |   

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