レーザーディスクは永遠に【SIDE 2】
CATEGORYレーザーディスク
トガジンです。
先週書いた「レーザーディスクは永遠に【SIDE 1】」の続きです。

我が家のシアタールームを往年のレーザーディスクジャケットで飾る計画は当初10枚で終わる予定でした。

壁の一部に掛け棚を取り付けていたためこれ以上飾るスペースが無いためです。
・・・しかし。
欲が出ました。

棚を取っ払ってあと6枚追加します(笑)。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1986年9月発売)

まず追加したのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』初回盤です。
元々『カリオストロの城』の次に飾るつもりだったもので、実は既にヤフオクで入手済みでした。
ところが、当初予定になかった『ルパン三世(ルパンVS複製人間)』を妻のゴリ推しで飾ることになったため弾かれてしまたのです。
しかし、あと6枚分のスペースが空いたことで晴れてラインナップに復活する運びとなりました。

私にとって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』初回盤LDは、内容の面白さもさることながらAV面においても思い出深いソフトです。
実は私が本格的にドルビーサラウンドを導入して鑑賞した最初のソフトが『このバック・トゥ・ザ・フューチャー』だからです。

このLDを買った日、マランツ:RV351というドルビーサラウンドプロセッサーも一緒に買って帰りました。
RV351は、アンプ内蔵のプロセッサーで、通常の2chステレオシステムにドルビーサラウンドを付加するためのアドオンタイプのプロセッサーです。
以前友人から譲り受けた小型スピーカーを繋いですぐに4chドルビーサラウンドシステムを構築できました。

また、このディスクにはデジタル音声が収録されていて、LD/CDコンパチブルプレーヤー:CLD-7で再生することで、従来よりさらにクリアでダイナミックな音で映画を楽しめます。
実は5月に発売された『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』も同じ仕様でしたが、プロセッサーと同時購入した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の音のほうが強く脳に刻み込まれています。

この頃(86年)になると、私は映画館で映画を見ていても「120分超えてるからLDは2枚組だな」とか「この映画がLDになったらこのシーンあたりで面替わりになるんだろうな」とか、LD購入前提に観るようになっていました。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の上映時間は116分です。
普通ならディスク(CLV)1枚に収まる長さですが、何故かこの初回盤LDは(メイキングなど映像特典が付いてるわけでもないのに)なぜか2枚組3面に分けられてしまっています。
そのため値段は1枚なら7,800円で済むところが9,800円と高くなっているのです。
当時「売れるのが確実だからって足元見やがって!」とメーカーにイラついたことを覚えています。
(ちなみに再販版は1枚で収められてました)

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は86年9月発売なので、並び順は11月発売の『ゴジラ対ヘドラ』より先になります。
発売日順に並べることに決めているので『ヘドラ』は場所を入れ替えました。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、TVサイズ(4:3)で撮影・編集し、上下をトリミングしてビスタサイズで上映していました。
これは映画のビデオソフト化が映画会社の重要な収入源になった’80年代中盤以降のスタンダードな制作方法です。

ビスタやシネスコで撮影して4:3にトリミングするより、最初から(劇場用フレームを意識したうえで)4:3画面で作ったほうがビデオ化処理が楽ですし、観客としても違和感が少なくて済みます。
ただし、制作サイド(特にカメラマン)は撮影時上下に余計なものが映り込まないよう二重に気を付ける必要があります。
↑の画面は特に不都合なものは映っていませんが、画面上方の空の部分が異様に広くて画面レイアウトが不自然です。
やはり映画は、制作時に監督は意図した画面サイズで見るのが良いようです。

その後'90年代に入ると、ビスタやシネスコをそのまま収録した「ワイド版」がブームになりました。
これはマスターテープがデジタル化されたことにより、有効画面が小さくなっても高画質を維持出来るようになったからとも考えられます。
当然、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にもちゃっかりビスタサイズ版が追加されました。
TVサイズ版もそのまま併売されて、『Part2』と『Part3』は最初からTVサイズ版とワイド版の両方が発売されました。
『プロジェクトA子』(1986年12月発売)

『ゴジラ対ヘドラ』の隣に飾るのは、『うる星やつら』後期作画スタッフが結集して作った怒涛のパンチラアニメ『プロジェクトA子』であります。(*^▽^*)ゞ
このLD、本編は静止画やコマ送りが綺麗に見られるCAV(標準ディスク)で収録されています。
まあ、内容を考えれば至極当然の仕様ですが(笑)、実はそれだけではありません。
この『プロジェクトA子<パーフェクト・ディスク>』は、実はLD史上唯一無二のエポックメイキングな仕様を備えているのです。

映画のビデオをコマ送りで見たことがある人は、そのコマの流れがどこか不自然であることに気付いたと思います。
(ただしブルーレイは除く)
ほとんどの場合、コマの流れが1、2、3、3、4、5、6、7、7、8・・・といった具合に5コマ中に2コマづつ全く同じフレームが挿入されていたはずです。

秒間24コマの映画フィルムを秒間30フレーム/60フィールドのビデオ信号に変換する際には、2-3変換と呼ばれる水増し作業を施します。
それをコマ送りで見ると4コマに一回づつ偽フレームが生じるのです。
動きを分析しようと思ってコマ送りしても、従来のビデオ方式ではフィルムのコマの流れをリニアに見ることは出来ませんでした。
(現在のブルーレイでは、映画の場合最初から24コマ収録なのでこの現象は生じません)

しかし、『プロジェクトA子』のLDは違いました。
驚くべきことに、映画のフィルムそのままに秒間24コマの正確なコマ送りを可能にしたのです。
もちろん通常再生には全く影響ありません。
現在のブルーレイでは当たり前に出来ることですが、当時のビデオフォーマットにおいてこれは非常に画期的なことでした。
しかも、一部の高級プレーヤーだけでなく最も安価なプレーヤーで再生しても全く同じことが可能です。

この「新静止画方式」については当時「HiVi」誌かなにかで解説されていて、(うろ覚えですが)確か「テレシネの段階でコマをLD専用に並び替える」といった内容だったと思います。
この素晴らしさを全ての日本国民に知っていただきたいと願っているのですが、私の拙い文章力ではうまく伝えきれないのがもどかしいです。

『プロジェクトA子』は、この新方式を駆使して楽しむのに最もふさわしいアニメでありました(笑)。
しかし・・・。
残念なことに(私が知る限り)『プロジェクトA子』に続く「新静止画方式」採用LDは一枚も発売されることはありませんでした。
非常に特殊な工程が必要なうえビデオテープ版とは別にテレシネ作業しなければならず製造コストが高くついてしまうからです。

『プロジェクトA子』はLDの歴史だけでなく、日本のビデオソフト史上唯一無二の存在でした。
私はこの栄誉を称えるために我がホームシアターの一角に飾ることを決めたのです。
決してパンチラが理由ではありません(笑)。
あと、意外なことに、この恥ずかしいジャケット(汗)を飾ることを妻も快諾してくれました。

妻も当時アニメ『うる星やつら』のファンで、同じ作画スタッフが参加している『A子』も見たかったのだそうです。
しかし、当時の彼女は花も恥じらう高校3年生。
ぱんつ丸見えな『A子』を女子高生が見に行くというだけでも十分恥ずかしいというのに、同時上映の『旅立ち』に至っては当時かなり有名だったアダルトアニメの続編だったため尚更です。
さらに、当時の彼女は自分がアニメ好きであることを周囲に隠していたため、とてもじゃないが映画館へ見に行く勇気はなかったそうです。
その後ビデオレンタルが始まったときもやはりレジに持っていけなかったのですが、結婚相手(私)がこのLDを持っていたのには相当驚いたそうです。
【LD劣化問題】

ところが、残念なことに当時私が買った『プロジェクトA子』のLDは、数年後に再生してみたところ1枚目ディスクの画面がノイズだらけになっていました。
(2枚目は両面とも無事だった)
↑A子の腕や喉のあたりに点状のノイズが出ています。
静止画で見るとたいしたことないように見えますが、これが全フレームにランダムに出てるため動画になるとひどくザラついた画面になってしまいます。
これが、一時期AV業界で問題になった、レーザーディスクの経年劣化(腐食)です。
これのやっかいなところは、購入時は正常だったのに数年経つと画面全体がスノーノイズまみれになっているということと、盤面を目視しただけではまず判別不可能ということです。
原因は、ディスクの保護樹脂から空気中の水分が浸透してアルミ反射膜を腐食させてしまうからでした。

パイオニアは当初「レーザーで信号を読み取る非接触式のためディスクの寿命は半永久」と大々的にアピールしていました。
この「半永久」というワードこそ、レーザーディスクがビデオテープやVHDを駆逐してパッケージソフトの頂点に上り詰めることが出来た原動力だったことは間違いありません。
私たちLDユーザーはこの「半永久的寿命」という夢の謳い文句に「今これを買っておけば何十年先にも好きな映画を楽しめる」と信じたのです。
ところが、この件が発覚した頃からパイオニアは「半永久」というフレーズを一切使わなくなりました。
ユーザーの中には「裏切られた」「騙された」と怒り出す者も大勢いたはずです。
また、LDに手を出さなかった(出せなかった)者は「それ見たことか」と嘲笑う者も確かにいました。
パイオニアLDC社をはじめ大多数のソフトメーカーは「経年劣化によってノイズが出たディスクは問題解決後の再プレス版と交換する」としてくれていたので私も十数枚無償交換してもらいました。
それでも在庫が無かったり権利切れや廃盤になっているものについては同額の別商品に替えさせられたりしましたし、メーカーによっては一切対応してくれないところもあったりしてそうした場合は泣き寝入りするしかありませんでした。
また、お店によっては「ノイズが出たから交換して」と言うと露骨に嫌な顔をするところもありました。
しかし、私は初期の頃から販売店の人たちと親しくしていたので、ディスクが不良化した場合も快く交換に応じてもらえました。
ところで、このLD腐食はプレス工場によって発生率が大きく異なっておりました。
パイオニア工場やソニー工場で作られたディスクでは滅多に発生しませんでしたが、エラーが出るディスクは日立のプレス工場で作られたものに多かったように記憶しています。

ソフトメーカーで言うと、ポニーキャニオンLDのほとんどが日立工場製でした。
そして、『プロジェクトA子』はまさにポニーキャニオン発売のソフトだったのです。
この件により、「半永久的」とアピールしていたLDも実は経年劣化(腐食)によっていつかは再生不能になってしまうことが明らかになってしまいました。
それでも、当時AVファンを納得させてくれるクォリティを持つパッケージソフトはやはりレーザーディスクしかありません。
腐食劣化の可能性を知ってしまった後も、私は変わらずせっせとLDソフトを買い続けました。
【1987年(BOX時代到来)】
’87年に発売されたLDタイトルのうち最も衝撃的だったのはコレでした。

TVアニメ『うる星やつら』全195回(218話)を50枚組LDを2つの化粧箱に収めた、世界初の全話収録LDボックスです。
そのお値段・・・なんと33万円!。
それでも初回生産分は予約だけで完売となり、その後様々なLDボックス商品が企画されていきました。
当時の私にとても手が届かない値段でしたが、ここにLD市場の充実ぶりを見た気がしました。
その他、この年発売のLDで印象に残っているものを何点か紹介します。

『エイリアン2』は2枚目だけがCAVになっていて、最後の30分だけ綺麗なスロー&コマ送りで見ることが可能でした。
(ただし『プロジェクトA子』のような正確なコマ送りは出来ません)
また、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じ4:3画面で撮影されたものを劇場公開時に上下をマスキングしてビスタ化していた作品です。
現在のBD/DVDはビスタ版しか収録されていませんので、撮影時の映像を全て見られるのはこの初回盤LDだけです。

また、この年から『ウルトラセブン』『ウルトラQ』に引き続き『ウルトラマン』も全話LD化がスタートしています。
こちらも『セブン』と同様、開田裕治先生のジャケットイラストが楽しみで全巻購入しました。

『超神伝説うろつき童子』三部作
唯一私が買った18禁作品。
「『ヤマト』のディレクターと『Zガンダム』のアニメーターが組んで作ったエロアニメ」との噂を聞いてレンタルしてみたのですが、そのクォリティの高さに驚いてすぐLDを買いに走りました。
声優さんも、森●の人とかブ●イト艦長の人とかエ●・●ーンの人とか、あと、まだ駆け出し時代の山●宏●さんなども出ていて今では考えられない超豪華声優陣でした。(ただし全員匿名)
【1988年】
翌'88年も、映画・特撮・アニメLDは大豊作でした。

秋に発売された『トップをねらえ!』は『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督第一回監督作品です。
第1話をよみうりテレビの深夜アニメ枠「アニメ大好き」で見て気に入ってしまい、そのままLDを全巻購入してしまいました。
怪獣・巨大ロボット・宇宙船という私の好物(笑)が全部入っていて、音楽もノリが良く、何度見ても飽きない面白さがありました。
1話は確かに「エースをねらえ」と「トップガン」のパロディでしたが、2話目から徐々にSF濃度が上がっていき最終回は鳥肌が立つほどの感動がありました。
庵野秀明監督の名前を強く意識するようになった作品です。
(あと、庵野監督が自分と同じ大学の先輩だったこともこの時知りました)

『アキラ』はストーリーや絵はあまり好きではなかったんですが、とにかく音が凄くてサラウンド再生のリファレンスとして何度も再生してました。
ジャケット(帯だったかも?)に「環境が許す限り出来るだけ大音量で再生して欲しい」と書かれていましたが、実際に思い切り音出し出来る人など日本には数えるほどしかいないと思います。

そして、この年の春、待望の『帰ってきたウルトラマン』LD化がスタートしました。
小1のとき毎週何があろうと絶対に欠かさず見ていた番組であり、私にとって初めてのリアルタイムで体験したウルトラマンでした。
しかしジャケットに関しては私的にはちょっと残念でした。
これまでの『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』は怪獣絵師こと開田裕治先生の描き下ろしイラストが使われていたのに、なぜか『帰ってきた~』は単純に場面写真を載せただけのものだったからです。
開田先生は『帰ってきたウルトラマン』がお嫌いだったのでしょうか?。

ジャケットアートやポスターって、写真を使ったものより上手いイラストのほうが数倍よく見えるんですよね。
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のポスターがその典型です。
写真をコラージュしたものと、生頼範義先生のイラスト(オフィシャル)を使ったものの二種類ありますが、私はなんといっても生頼先生バージョンのほうが好きなのです。
写真を使ったほうがよりリアルであるはずなのに、上手いイラストレーターが描いた絵のほうに高級感を感じるのは不思議です。

『帝国の逆襲』LDのジャケットは、写真をコラージュしたタイプのポスターがベースになっています。
このLDは発売日に買って1作目以上に何度も見たものです。
当初は壁掛け候補の一つとして入手はしたものの、ジャケットデザインとしてはイマイチと考えて選外としました。
もしも、これが生頼範義先生のイラストが使われていたとしたら迷わず飾っただろうと思のですがね。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年8月発売)

そんな88年購入LDの中から選んだのはこちらのジャケット。
『逆襲のシャア』初回盤はとにかく高荷義之先生のイラストのカッコ良さに尽きますね。
こうして眺めているだけでアニメ本編の画や音が頭の中に甦ってくる素晴らしいジャケットです。
このように大判のジャケットを眺める楽しさや所有する喜びというものは、現在のブルーレイやDVDのパッケージでは味わえないものですね。
・・・が、しかし!。
これに妻から物言いがつきました
(『プロジェクトA子』はOKだったのに・・・?)
妻「ちょっと待って!。ガンダムと言ったらぜったい安彦良和さんでしょ!。」

実は『ガンダム』のLDはヤフオクで数点まとめて落札したものですが、これがなんと「『1stガンダム劇場版三部作』+『逆襲のシャア』+『F91』を5枚合わせて1,000円(送料別)」という超破格値案件だったのです。
(ダメ元で入札してみたらほんとに1,000円で落札出来てしまった)
ジャケットもかなり状態が良くて『逆襲のシャア』以外は帯も付いていました。
その中から『逆襲のシャア』を取り出して壁に飾り付ける私に妻がこう言いだしたのです。

妻「せっかく安彦さんが描いた1stガンダムのジャケットがあるのに、なんでこっちを飾らないの?。ここは普通『めぐりあい宇宙』でしょ!。」
言われてみれば確かに・・・。
あと、妻は『逆襲のシャア』が嫌いなのです。
アムロとシャアが死んでしまうラストも気に入らないそうですが、それよりもエキセントリックで自己中なクェスが生理的に受け入れられないのだそうです。

追加6枚のうち3枚目にして早くも蹴躓いてしまいました(笑)。
初志貫徹して『逆襲のシャア』を飾り、その代わり何か妻のリクエストに応えてあげるか?。
あるいは、妻の言う通り『逆シャア』は諦めて『めぐりあい宇宙』に変更するか・・・?。

思わぬところで膠着状態に陥ってしまいました。
まだ実質2枚分しか書いてないのに・・・。
とりあえずここで区切って【SIDE 3】に持ち越します。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
先週書いた「レーザーディスクは永遠に【SIDE 1】」の続きです。

我が家のシアタールームを往年のレーザーディスクジャケットで飾る計画は当初10枚で終わる予定でした。

壁の一部に掛け棚を取り付けていたためこれ以上飾るスペースが無いためです。
・・・しかし。
欲が出ました。

棚を取っ払ってあと6枚追加します(笑)。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1986年9月発売)

まず追加したのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』初回盤です。
元々『カリオストロの城』の次に飾るつもりだったもので、実は既にヤフオクで入手済みでした。
ところが、当初予定になかった『ルパン三世(ルパンVS複製人間)』を妻のゴリ推しで飾ることになったため弾かれてしまたのです。
しかし、あと6枚分のスペースが空いたことで晴れてラインナップに復活する運びとなりました。

私にとって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』初回盤LDは、内容の面白さもさることながらAV面においても思い出深いソフトです。
実は私が本格的にドルビーサラウンドを導入して鑑賞した最初のソフトが『このバック・トゥ・ザ・フューチャー』だからです。

このLDを買った日、マランツ:RV351というドルビーサラウンドプロセッサーも一緒に買って帰りました。
RV351は、アンプ内蔵のプロセッサーで、通常の2chステレオシステムにドルビーサラウンドを付加するためのアドオンタイプのプロセッサーです。
以前友人から譲り受けた小型スピーカーを繋いですぐに4chドルビーサラウンドシステムを構築できました。

また、このディスクにはデジタル音声が収録されていて、LD/CDコンパチブルプレーヤー:CLD-7で再生することで、従来よりさらにクリアでダイナミックな音で映画を楽しめます。
実は5月に発売された『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』も同じ仕様でしたが、プロセッサーと同時購入した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の音のほうが強く脳に刻み込まれています。

この頃(86年)になると、私は映画館で映画を見ていても「120分超えてるからLDは2枚組だな」とか「この映画がLDになったらこのシーンあたりで面替わりになるんだろうな」とか、LD購入前提に観るようになっていました。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の上映時間は116分です。
普通ならディスク(CLV)1枚に収まる長さですが、何故かこの初回盤LDは(メイキングなど映像特典が付いてるわけでもないのに)なぜか2枚組3面に分けられてしまっています。
そのため値段は1枚なら7,800円で済むところが9,800円と高くなっているのです。
当時「売れるのが確実だからって足元見やがって!」とメーカーにイラついたことを覚えています。
(ちなみに再販版は1枚で収められてました)

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は86年9月発売なので、並び順は11月発売の『ゴジラ対ヘドラ』より先になります。
発売日順に並べることに決めているので『ヘドラ』は場所を入れ替えました。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、TVサイズ(4:3)で撮影・編集し、上下をトリミングしてビスタサイズで上映していました。
これは映画のビデオソフト化が映画会社の重要な収入源になった’80年代中盤以降のスタンダードな制作方法です。

ビスタやシネスコで撮影して4:3にトリミングするより、最初から(劇場用フレームを意識したうえで)4:3画面で作ったほうがビデオ化処理が楽ですし、観客としても違和感が少なくて済みます。
ただし、制作サイド(特にカメラマン)は撮影時上下に余計なものが映り込まないよう二重に気を付ける必要があります。
↑の画面は特に不都合なものは映っていませんが、画面上方の空の部分が異様に広くて画面レイアウトが不自然です。
やはり映画は、制作時に監督は意図した画面サイズで見るのが良いようです。

その後'90年代に入ると、ビスタやシネスコをそのまま収録した「ワイド版」がブームになりました。
これはマスターテープがデジタル化されたことにより、有効画面が小さくなっても高画質を維持出来るようになったからとも考えられます。
当然、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にもちゃっかりビスタサイズ版が追加されました。
TVサイズ版もそのまま併売されて、『Part2』と『Part3』は最初からTVサイズ版とワイド版の両方が発売されました。
『プロジェクトA子』(1986年12月発売)

『ゴジラ対ヘドラ』の隣に飾るのは、『うる星やつら』後期作画スタッフが結集して作った怒涛のパンチラアニメ『プロジェクトA子』であります。(*^▽^*)ゞ
このLD、本編は静止画やコマ送りが綺麗に見られるCAV(標準ディスク)で収録されています。
まあ、内容を考えれば至極当然の仕様ですが(笑)、実はそれだけではありません。
この『プロジェクトA子<パーフェクト・ディスク>』は、実はLD史上唯一無二のエポックメイキングな仕様を備えているのです。

映画のビデオをコマ送りで見たことがある人は、そのコマの流れがどこか不自然であることに気付いたと思います。
(ただしブルーレイは除く)
ほとんどの場合、コマの流れが1、2、3、3、4、5、6、7、7、8・・・といった具合に5コマ中に2コマづつ全く同じフレームが挿入されていたはずです。

秒間24コマの映画フィルムを秒間30フレーム/60フィールドのビデオ信号に変換する際には、2-3変換と呼ばれる水増し作業を施します。
それをコマ送りで見ると4コマに一回づつ偽フレームが生じるのです。
動きを分析しようと思ってコマ送りしても、従来のビデオ方式ではフィルムのコマの流れをリニアに見ることは出来ませんでした。
(現在のブルーレイでは、映画の場合最初から24コマ収録なのでこの現象は生じません)

しかし、『プロジェクトA子』のLDは違いました。
驚くべきことに、映画のフィルムそのままに秒間24コマの正確なコマ送りを可能にしたのです。
もちろん通常再生には全く影響ありません。
現在のブルーレイでは当たり前に出来ることですが、当時のビデオフォーマットにおいてこれは非常に画期的なことでした。
しかも、一部の高級プレーヤーだけでなく最も安価なプレーヤーで再生しても全く同じことが可能です。

この「新静止画方式」については当時「HiVi」誌かなにかで解説されていて、(うろ覚えですが)確か「テレシネの段階でコマをLD専用に並び替える」といった内容だったと思います。
この素晴らしさを全ての日本国民に知っていただきたいと願っているのですが、私の拙い文章力ではうまく伝えきれないのがもどかしいです。

『プロジェクトA子』は、この新方式を駆使して楽しむのに最もふさわしいアニメでありました(笑)。
しかし・・・。
残念なことに(私が知る限り)『プロジェクトA子』に続く「新静止画方式」採用LDは一枚も発売されることはありませんでした。
非常に特殊な工程が必要なうえビデオテープ版とは別にテレシネ作業しなければならず製造コストが高くついてしまうからです。

『プロジェクトA子』はLDの歴史だけでなく、日本のビデオソフト史上唯一無二の存在でした。
私はこの栄誉を称えるために我がホームシアターの一角に飾ることを決めたのです。
決してパンチラが理由ではありません(笑)。
あと、意外なことに、この恥ずかしいジャケット(汗)を飾ることを妻も快諾してくれました。

妻も当時アニメ『うる星やつら』のファンで、同じ作画スタッフが参加している『A子』も見たかったのだそうです。
しかし、当時の彼女は花も恥じらう高校3年生。
ぱんつ丸見えな『A子』を女子高生が見に行くというだけでも十分恥ずかしいというのに、同時上映の『旅立ち』に至っては当時かなり有名だったアダルトアニメの続編だったため尚更です。
さらに、当時の彼女は自分がアニメ好きであることを周囲に隠していたため、とてもじゃないが映画館へ見に行く勇気はなかったそうです。
その後ビデオレンタルが始まったときもやはりレジに持っていけなかったのですが、結婚相手(私)がこのLDを持っていたのには相当驚いたそうです。
【LD劣化問題】

ところが、残念なことに当時私が買った『プロジェクトA子』のLDは、数年後に再生してみたところ1枚目ディスクの画面がノイズだらけになっていました。
(2枚目は両面とも無事だった)
↑A子の腕や喉のあたりに点状のノイズが出ています。
静止画で見るとたいしたことないように見えますが、これが全フレームにランダムに出てるため動画になるとひどくザラついた画面になってしまいます。
これが、一時期AV業界で問題になった、レーザーディスクの経年劣化(腐食)です。
これのやっかいなところは、購入時は正常だったのに数年経つと画面全体がスノーノイズまみれになっているということと、盤面を目視しただけではまず判別不可能ということです。
原因は、ディスクの保護樹脂から空気中の水分が浸透してアルミ反射膜を腐食させてしまうからでした。

パイオニアは当初「レーザーで信号を読み取る非接触式のためディスクの寿命は半永久」と大々的にアピールしていました。
この「半永久」というワードこそ、レーザーディスクがビデオテープやVHDを駆逐してパッケージソフトの頂点に上り詰めることが出来た原動力だったことは間違いありません。
私たちLDユーザーはこの「半永久的寿命」という夢の謳い文句に「今これを買っておけば何十年先にも好きな映画を楽しめる」と信じたのです。
ところが、この件が発覚した頃からパイオニアは「半永久」というフレーズを一切使わなくなりました。
ユーザーの中には「裏切られた」「騙された」と怒り出す者も大勢いたはずです。
また、LDに手を出さなかった(出せなかった)者は「それ見たことか」と嘲笑う者も確かにいました。
パイオニアLDC社をはじめ大多数のソフトメーカーは「経年劣化によってノイズが出たディスクは問題解決後の再プレス版と交換する」としてくれていたので私も十数枚無償交換してもらいました。
それでも在庫が無かったり権利切れや廃盤になっているものについては同額の別商品に替えさせられたりしましたし、メーカーによっては一切対応してくれないところもあったりしてそうした場合は泣き寝入りするしかありませんでした。
また、お店によっては「ノイズが出たから交換して」と言うと露骨に嫌な顔をするところもありました。
しかし、私は初期の頃から販売店の人たちと親しくしていたので、ディスクが不良化した場合も快く交換に応じてもらえました。
ところで、このLD腐食はプレス工場によって発生率が大きく異なっておりました。
パイオニア工場やソニー工場で作られたディスクでは滅多に発生しませんでしたが、エラーが出るディスクは日立のプレス工場で作られたものに多かったように記憶しています。

ソフトメーカーで言うと、ポニーキャニオンLDのほとんどが日立工場製でした。
そして、『プロジェクトA子』はまさにポニーキャニオン発売のソフトだったのです。
この件により、「半永久的」とアピールしていたLDも実は経年劣化(腐食)によっていつかは再生不能になってしまうことが明らかになってしまいました。
それでも、当時AVファンを納得させてくれるクォリティを持つパッケージソフトはやはりレーザーディスクしかありません。
腐食劣化の可能性を知ってしまった後も、私は変わらずせっせとLDソフトを買い続けました。
【1987年(BOX時代到来)】
’87年に発売されたLDタイトルのうち最も衝撃的だったのはコレでした。

TVアニメ『うる星やつら』全195回(218話)を50枚組LDを2つの化粧箱に収めた、世界初の全話収録LDボックスです。
そのお値段・・・なんと33万円!。
それでも初回生産分は予約だけで完売となり、その後様々なLDボックス商品が企画されていきました。
当時の私にとても手が届かない値段でしたが、ここにLD市場の充実ぶりを見た気がしました。
その他、この年発売のLDで印象に残っているものを何点か紹介します。

『エイリアン2』は2枚目だけがCAVになっていて、最後の30分だけ綺麗なスロー&コマ送りで見ることが可能でした。
(ただし『プロジェクトA子』のような正確なコマ送りは出来ません)
また、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じ4:3画面で撮影されたものを劇場公開時に上下をマスキングしてビスタ化していた作品です。
現在のBD/DVDはビスタ版しか収録されていませんので、撮影時の映像を全て見られるのはこの初回盤LDだけです。

また、この年から『ウルトラセブン』『ウルトラQ』に引き続き『ウルトラマン』も全話LD化がスタートしています。
こちらも『セブン』と同様、開田裕治先生のジャケットイラストが楽しみで全巻購入しました。

『超神伝説うろつき童子』三部作
唯一私が買った18禁作品。
「『ヤマト』のディレクターと『Zガンダム』のアニメーターが組んで作ったエロアニメ」との噂を聞いてレンタルしてみたのですが、そのクォリティの高さに驚いてすぐLDを買いに走りました。
声優さんも、森●の人とかブ●イト艦長の人とかエ●・●ーンの人とか、あと、まだ駆け出し時代の山●宏●さんなども出ていて今では考えられない超豪華声優陣でした。(ただし全員匿名)
【1988年】
翌'88年も、映画・特撮・アニメLDは大豊作でした。

秋に発売された『トップをねらえ!』は『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督第一回監督作品です。
第1話をよみうりテレビの深夜アニメ枠「アニメ大好き」で見て気に入ってしまい、そのままLDを全巻購入してしまいました。
怪獣・巨大ロボット・宇宙船という私の好物(笑)が全部入っていて、音楽もノリが良く、何度見ても飽きない面白さがありました。
1話は確かに「エースをねらえ」と「トップガン」のパロディでしたが、2話目から徐々にSF濃度が上がっていき最終回は鳥肌が立つほどの感動がありました。
庵野秀明監督の名前を強く意識するようになった作品です。
(あと、庵野監督が自分と同じ大学の先輩だったこともこの時知りました)

『アキラ』はストーリーや絵はあまり好きではなかったんですが、とにかく音が凄くてサラウンド再生のリファレンスとして何度も再生してました。
ジャケット(帯だったかも?)に「環境が許す限り出来るだけ大音量で再生して欲しい」と書かれていましたが、実際に思い切り音出し出来る人など日本には数えるほどしかいないと思います。

そして、この年の春、待望の『帰ってきたウルトラマン』LD化がスタートしました。
小1のとき毎週何があろうと絶対に欠かさず見ていた番組であり、私にとって初めてのリアルタイムで体験したウルトラマンでした。
しかしジャケットに関しては私的にはちょっと残念でした。
これまでの『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』は怪獣絵師こと開田裕治先生の描き下ろしイラストが使われていたのに、なぜか『帰ってきた~』は単純に場面写真を載せただけのものだったからです。
開田先生は『帰ってきたウルトラマン』がお嫌いだったのでしょうか?。

ジャケットアートやポスターって、写真を使ったものより上手いイラストのほうが数倍よく見えるんですよね。
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のポスターがその典型です。
写真をコラージュしたものと、生頼範義先生のイラスト(オフィシャル)を使ったものの二種類ありますが、私はなんといっても生頼先生バージョンのほうが好きなのです。
写真を使ったほうがよりリアルであるはずなのに、上手いイラストレーターが描いた絵のほうに高級感を感じるのは不思議です。

『帝国の逆襲』LDのジャケットは、写真をコラージュしたタイプのポスターがベースになっています。
このLDは発売日に買って1作目以上に何度も見たものです。
当初は壁掛け候補の一つとして入手はしたものの、ジャケットデザインとしてはイマイチと考えて選外としました。
もしも、これが生頼範義先生のイラストが使われていたとしたら迷わず飾っただろうと思のですがね。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年8月発売)

そんな88年購入LDの中から選んだのはこちらのジャケット。
『逆襲のシャア』初回盤はとにかく高荷義之先生のイラストのカッコ良さに尽きますね。
こうして眺めているだけでアニメ本編の画や音が頭の中に甦ってくる素晴らしいジャケットです。
このように大判のジャケットを眺める楽しさや所有する喜びというものは、現在のブルーレイやDVDのパッケージでは味わえないものですね。
・・・が、しかし!。
これに妻から物言いがつきました
(『プロジェクトA子』はOKだったのに・・・?)
妻「ちょっと待って!。ガンダムと言ったらぜったい安彦良和さんでしょ!。」

実は『ガンダム』のLDはヤフオクで数点まとめて落札したものですが、これがなんと「『1stガンダム劇場版三部作』+『逆襲のシャア』+『F91』を5枚合わせて1,000円(送料別)」という超破格値案件だったのです。
(ダメ元で入札してみたらほんとに1,000円で落札出来てしまった)
ジャケットもかなり状態が良くて『逆襲のシャア』以外は帯も付いていました。
その中から『逆襲のシャア』を取り出して壁に飾り付ける私に妻がこう言いだしたのです。

妻「せっかく安彦さんが描いた1stガンダムのジャケットがあるのに、なんでこっちを飾らないの?。ここは普通『めぐりあい宇宙』でしょ!。」
言われてみれば確かに・・・。
あと、妻は『逆襲のシャア』が嫌いなのです。
アムロとシャアが死んでしまうラストも気に入らないそうですが、それよりもエキセントリックで自己中なクェスが生理的に受け入れられないのだそうです。

追加6枚のうち3枚目にして早くも蹴躓いてしまいました(笑)。
初志貫徹して『逆襲のシャア』を飾り、その代わり何か妻のリクエストに応えてあげるか?。
あるいは、妻の言う通り『逆シャア』は諦めて『めぐりあい宇宙』に変更するか・・・?。

思わぬところで膠着状態に陥ってしまいました。
まだ実質2枚分しか書いてないのに・・・。
とりあえずここで区切って【SIDE 3】に持ち越します。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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