週刊映画鑑賞記(2021.1/11~2021.1/17)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
年が明けて2週間近く経ちました。
今年は正月2日目から仕事始めだったことと、その後親戚の不幸や北陸地方を襲った大雪などがあったため1時間以上の長編映画をまだ一本も見ていないことに気が付きました。
それで、「短めの映画で何かいいのはないか?」と配信サイトを色々物色していたところ、アマゾンプライムにずいぶん懐かしいアニメタイトルが見つかりました。
1/13(水)
『幻夢戦記レダ』
(ホームシアター:アマゾンプライムビデオ)

<あらすじ>
ごく普通の女子高生・朝霧陽子は、自らの思いをピアノ曲にして録音したカセットテープを片思いの男子に渡そうとするがいざとなると尻込みしてしまう。
肩をおとす陽子だったが、次の瞬間異変が起こり見たこともない異世界「アシャンティ」へと飛ばされてしまう。
唐突に命を狙われる陽子に女神「レダ」の力が宿り、ビキニスタイルの鎧に大剣という出で立ちに変身!。
現実世界の侵略をもくろむゼル一派の野望を知り戦いを決意する。

黎明期のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)作品ですが、私は発表当時(1985年)劇場公開で見たことがあります。
同時上映は『吸血鬼ハンターD』(芦田豊雄監督版)でした。
当時は劇場の最後部に高そうなカメラを構えたコアなアニメファンがずらりと並んでいて、陽子の変身(脱衣)シーンとドリスのパンチラ場面でバシャバシャとシャッター音が鳴り響き、一般の客層から失笑と苛立ちの声が上がったことをよく覚えています(笑)。
もっともこの現象は『レダ』に限ったことではなく、まだビデオが普及していなかった80年代前半のアニメ上映館ではよく見られた光景でした。(『うる星やつら』のラムちゃん登場シーンや『マクロス』のシャワーシーン等々)
シャッター音も大概迷惑でしたが中にはフラッシュを焚いて撮影する馬鹿もいたりして、これは流石に他の客からの罵声を浴びせられていました。
その後あのカメラ小僧たちは家庭用ビデオ普及率が上がるのに反比例して姿を消していきましたが、今となってはあれも80年代の風物詩だったのだな~と懐かしく思えてきます。

私としては「新年最初に観る映画がコレじゃなあ。しかも有料?。」と考えてパスするつもりでした。
ところが、アニメ好きの妻が「わあ~、これ昔見たかったアニメだ。見よ!。」と問答無用でポチってしまったのです。
’85年当時、妻の家にはまだビデオデッキが無かったのと、福井では劇場上映もなかったため、アニメ誌で大々的に宣伝されてたこの話題のアニメを見る機会が無かったのだそうです。
ポチッた以上見ないわけにもいきません。
そんなわけで、彼女にとっては今回が初鑑賞、私にはおよそ35年ぶりの再見と相成りました。
それにしても、まさかこの歳(56歳と8ヶ月)になって、半裸の美少女が異世界で戦うアニメを見ることになろうとは・・・。
しかもこれが私が観た令和3年最初の長編作品でありました(笑)。

しかしいざ見始めてみると、内容を綺麗さっぱり忘れていたことと、36年前のフィルムとは思えないくらい綺麗な画面に思わず見入ってしまいました。(〃´∪`〃)ゞ
画質が良い理由は、最近発売された4Kリマスター版ブルーレイと同じ映像データを配信しているからだと思われます。
女の子が主人公のヒロイックファンタジーは現在の日本のアニメでは定番となっていますが、その元祖がこの『幻夢戦記レダ』だったそうです。
今見ると、あんな肌の露出が多い鎧で敵と剣を交わすのはさぞ怖かろうと思ってしまうのですがね(笑)。

監督は当時『魔法のプリンセスミンキーモモ』や『戦国魔神ゴーショーグン』などでアニメファンから高評価を得ていた湯山邦彦氏。
湯山監督は現在アニメ『ポケットモンスター』の総監督を務めていらっしゃいます。
キャラクターデザインはいのまたむつみさん。
アニメに詳しい妻によると、当時いのまたむつみさんといえば安彦良和さん美樹本晴彦さん高田明美さんたちと並ぶくらいの人気キャラデザイナーだったそうです。
ちょっと意外だったのは、音楽担当が『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』の鷺巣詩郎氏だったことです。
興味と期待を込めてBGMにも注意しながら見てましたが、まだキャリア最初期の作品だったせいか『E.T.』によく似たメロディなど「どこかで聴いたような」楽曲がやたら多かったのが残念でした。
あと、最後に流れた主題歌「風とブーケのセレナーデ」(唄:秋本理央)ですが、当時TVの宣伝などで何度も聴いたせいかサビの部分をちゃんと覚えていたことに自分でも驚きました。
スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』ではないですが、「80年代のアニメや歌謡曲ってやっぱりいいなあ」などと思いながら見終わりました。
私くらいの年代の者にとってはあの頃観たり聴いたりしたものが一番身に馴染む気がします。
でもやっぱり、56歳8ヶ月のおっさんが年頭に見るタイトルとしてはいかがなものかとは思いますけど(笑)。

福井市内も除雪が進み、幹線道路に限れば車での移動もスムーズに出来るようになってきました。
(それでも除雪が進んでいない生活道路はまだ通行止めのところがありますが・・・)
↑の写真は金曜日の朝に仕事現場近くで撮った風景ですが、この場所は御覧のとおり白一色の雪景色です。
先週末から続いてきた毎朝毎夕雪かきの日々が過ぎ去ったことで気持ちに余裕が出来たのか、なんだか雪国の話を見たくなってしまいました。
そこでBDレコーダーの録画リストを眺めていると・・・あった、ありました!。
雪国を舞台にした痛快アクション映画が!。
1/15(金)
『探偵はBARにいる3』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

<あらすじ>
札幌にあるアジア最北の歓楽街・ススキノ。
この街の裏も表も知り尽くす探偵のもとに、相棒である高田が失踪した女子大生人探しの依頼を持ち込んでくる。
調査を開始した探偵たちは、モデル事務所の謎めいた美人オーナー、マリに翻弄されるうちいつしか大きな事件に巻き込まれていく。

前作・前々作とも面白さと切なさを兼ね備えたなかなかの良作でした。
それでこの『3』も録画していたのですが、この日まですっかり忘れておりました(笑)。

探偵ものなのでネタバレは厳禁です。
あまり詳しいことは書けません。
(実際に「え?コイツもグルだったの?」という展開があったりするので)
前2作から監督が交代(橋本一監督→吉田照幸監督)していますが、ストーリーも面白くて理解し易く意外性もちゃんとあってこのシリーズの良さは変わっていない気がします。
また、俳優さんたちもしっかり自分の役を掴んで演じているので各キャラクターについての違和感はありませんでした。
・・・が。

このシリーズの軸である「たった一つのささやかな幸せのために命を燃やす薄幸の女」の印象がどうにも弱いのです。
1作目の小雪、2作目の尾野真千子に比べ、北川景子では人物の深みがなく貫禄不足の感が否めません。
映画全体としては結構面白かったのですがこの一点だけ惜しかったです。
『ウルトラセブン』(4Kリマスター版)
(ホームシアター:BS4K録画)

今週は『散歩する惑星』と『侵略する死者たち』の二本です。
そういえば、2~3年前に『散歩する侵略者』という映画がありました。
あのタイトルは『ウルトラセブン』から取ったものに違いないと勝手に思っておるのですがどうなんでしょ?。
第32話「散歩する惑星」

<あらすじ>
アステロイド・ベルトから離脱した小惑星は、何者かによって遠隔操作された島のごとき無人基地だった。
そこから発せられる強力な電磁波のために防衛軍の基地機能が麻痺寸前に陥る。
真っ直ぐに防衛軍基地を目指す「散歩する惑星」を調査する警備隊の前に出現する怪獣リッガー。
ダンはカプセル怪獣アギラで迎え撃つ!

アステロイドベルトから外れた小惑星が地球に接近中という報告を受けたフルハシは、「そんな星屑なんか大気圏突入の時に燃え尽きてしまいますよ」と軽くあしらいます。
キリヤマ隊長もマナベ参謀も「警戒せよ」と言うだけで特に反論しません。
私はこのセリフに違和感を覚えました。
ウルトラ警備隊の面々は・・・というよりこの脚本家は「恐竜が隕石の衝突によって絶滅した」という説を知らなかったのでしょうか?。

「そんなはずはない」と考えて少し調べてみました。
すると意外なことが分かりました。
「恐竜絶滅の原因は巨大隕石の衝突」説が発表されたのはなんと1980年のことだったのです。
てっきり私が生まれるよりずっと前からあった学説だと思い込んでいましたが、意外と最近のことだったのですね。
ということは、つまり『ウルトラセブン』制作当時には「隕石衝突により恐竜が絶滅した」という考えは一般的ではなかったことになります。
脚本家が無知だったわけでも、子供番組だからと適当な話を作っていたわけでもないと分かって少しホッとしました(笑)。

今回初登場した3体目のカプセル怪獣:アギラ。
初期シナリオではウィンダムが登場する予定でしたが、子供視聴者受けを狙ってミクラスとウィンダム以外にもカプセル怪獣を出そうということで遅咲きのデビューとなったそうです。
放映前には当時の子供向け雑誌「たのしい幼稚園」や「ぼくら」等で大々的に紹介されていたことでしょう。

アギラも相手のリッガーも四つ足怪獣であるため、この二匹が戦うシーンは絵的に辛いものがあります。
両方とも背が低いので広い絵だとレイアウト的に収まりが悪く、かと言ってアップばかりでは何が起こっているのか分かり辛いうえに着ぐるみの粗ばかりが目立ってしまうのです。
実際のところ、アギラはほとんど二本足状態で戦っておりました。
そういえば、怪獣もので四つ足怪獣同士が戦う場面ってあまり思いつかないですね。
パッと思いつくのは昭和『ガメラ』の対バルゴン戦とか対ジャイガー戦くらいでしょうか?。
そのガメラも、四つ足怪獣と戦うときには二本足で立っていた気がします。
第33話「侵略する死者たち」

<あらすじ>
世界中の防衛軍秘密基地の情報が収められたマイクロフィルムが極東基地に移送された。
時を同じくして、防衛軍基地周辺で頻発する奇怪な交通事故。
被害者は皆身元不明の死体で、何者かが蘇生して動かしていたのだ。
その夜、収容された死体から霊が抜け出し金庫からマイクロフィルムを持ち出すと、宇宙空間に向けて電送し始めた!

タイトルだけ見たらゾンビものかと思ってしまいますね。
円谷プロの次回作『怪奇大作戦』を見ているかのような不気味な回です。
前回怪獣を2匹登場させたから・・・というわけではないでしょうけど、今回は敵怪獣も宇宙人も登場しません。
『ウルトラセブン』には怪獣も宇宙人も姿を現さない回が3話ありますがこれはその一本目です。
(ちなみに、あとの2本はどちらも私が『セブン』全話のうち1,2を争う大傑作です)
ところで、宇宙人が地球防衛軍基地に侵入したのはこれで何回目でしょうか?。
イシグロ隊員に化けたワイアール星人(2話)。
少女に化けたピット星人(3話)
紅白のおめでたい服着た女に化けたゴドラ星人(4話)。
あろうことかアンヌの私室に潜んでいたペガッサ星人(6話)。
潜入しただけでなくウルトラホークまで奪ったキュラソ星人(7話)。
アンヌに食料用の胞子を植え付けたブラコ星人(22話)。
地下動力炉を破壊した怪獣ガンダー(25話)。
傀儡化したノガワ隊員を抹殺しようと潜入したボーグ星人(27話)。
その他、ビラ星人やダリーのように誰かを操って入り込んだ奴も含めると10回以上も敵の侵入を許したことになります。
地球防衛の要としていかがなものかと思います(笑)。

今回ウルトラセブンは何の役にも立っていない気がします。
というより、敵の策略にまんまと利用されてるような?。
最初は小さくされてコップの中に閉じ込められ、そこから脱出しようと火災報知器を鳴らしますが、そのドサクサの間に機密情報を奪われてしまいます。

その後、やはりコップ状のカプセルに閉じ込められてウルトラ警備隊に助けてもらうという役立たずぶり。
最後だけはワイドショットで敵にトドメを刺したものの、これもウルトラホークで十分だった気が?。
もしかすると脚本家の上原正三さんは、「宇宙人や怪獣の出ない話」というオーダーに対し、敵宇宙人だけでなくウルトラセブンさえ登場しないお話を書いたのではないでしょうか。
でも「『ウルトラセブン』にセブンが出ないのは困る」ということで後から無理やりセブンのシーンを付け足した・・・とか?。
本日、1月17日は阪神淡路大震災が発生した日でした。

当時私は大阪のTV番組制作プロダクションに努めておりました。
当然電車は止まっていたため、同じ大阪方面へ行く4~5人でタクシーに相乗りして2時間以上かかって会社に到着。
そのとき同僚たちが一心に見ているテレビ画面には↑の阪神高速が崩れ落ちたニュース映像が映っていました。
当然、その日以降の仕事は全てキャンセル。
代わりに東京キー局のワイドショー番組の仕事を請け負うことになり、クルーと一緒に丸一日かけて神戸入りしました。
そしてそのまま1ヶ月ほど神戸に滞在し続ける破目に・・・。

肉体的な大変さはもちろんですが、中でも一番苦痛だったのは「親を亡くした幼い子供たちを撮らなければならない」時でした。
両親が亡くなったことを認識できないまま保護施設で与えられたご飯をぽかんとした表情で食べている幼い女の子。
泣きながらその子を撮ったことを今でも昨日のことのように思い出します。
そして、東京から物見遊山気分でやって来る若いスタッフたちと接することもまた違った意味で苦痛でした。
焦土と化した長田区の惨状を見て「うわ~、まるでゴジラが来たみたいですね~。」とヘラヘラ笑いながら言う奴らが何人もいたのです(※1)。
それは、あの惨状を「番組ネタの宝庫」と喜んでいるとしか思えない不愉快極まる言い方でした。
血の気の多い音声さん(元ヤンキー)などは「オンドレ、なに他人の不幸を喜んでんねん!」と怒鳴って胸倉掴んだりして、ディレクターが交代するたびに必ずひと悶着起こしていました。(※2)
戦争を知っているお年寄りが「まるで空襲のあとみたいや」と言っていたのとは意味が違います。
しかも、よりによってゴジラを比喩に使うとは・・・。
確かにゴジラ(初代)は戦争や自然災害のメタファーですが、あの状況下でゴジラの名を出してしまうと何もかもが絵空事のように思われてしまうのです。
そして、『ゴジラ』という作品そのものも不謹慎なものと捉えらえているみたいで怪獣映画ファンとしてはひどく悲しかったです。

あれからもう26年も経ったのですね。
改めまして、阪神淡路大震災で犠牲になられた方々に弔意を表します。
(※1)
もちろん東京のスタッフ全員がこんな奴らばかりだったわけではありません。
真摯に神戸の惨状を伝えようとしていたディレクターさんも確かにいらっしゃいました。
(※2)
大阪の事務所にはこの暴力行為に対して東京側からクレームが来ていたらしいです。
しかし、音声さんを交代させようにも神戸-大阪間の往来が非常に困難な状況だったため、この気性は荒いが実は優しくて頼りがいのある元ヤン音声さんとはそのまま一緒に仕事を続けることが出来ました。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。