週刊映画鑑賞記(2021.2/1~2021.2/7)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
と言っても、『ウルトラセブン』と大河ドラマ最終回だけですが・・・。
『ウルトラセブン』(4Kリマスター版)
(ホームシアター:BS4K録画)

第38話からの3本は前作『ウルトラマン』のメイン監督であった飯島敏宏監督が担当されています。
そのためか、今までとは少しトーンが違う印象を受ける部分が多いです。
第38話「勇気ある戦い」

<あらすじ>
箱根山中で自動車30台が消失する事件が発生。
これは母星の物資を使い果たし、地球の鉄資源を強奪にやって来たバンダ星人のコントロールするロボットの仕業であった。
ウルトラ警備隊は爆弾を搭載した自動車を使っての殲滅作戦を展開。
一方、アンヌの友人の弟・治の手術に立ち会う約束をしたダンは、病院に向かおうとするのだが。

今回登場するロボット:クレージーゴン。
まるで、ハサミ型のでっかい右手をかざしながら「お?、美味そうなスカイライン発見!」とでも言ってるみたいであります(笑)。
実に愛嬌があって、私の好きな怪獣(ロボット)のひとつです。

あと、車を食う(取集する)とき開いたシャッターが本当にあんぐり口を開けて食べてるみたいで笑えます。
そういえば「斜め30度上を向いて食べると美味しさが増す」と聞いたことがありますが、クレージーゴンも車一台一台を味わっているかのようです。

以前は「きちがいロボット」という二つ名で呼ばれていたこともありました。
かつて被曝星人ことスペル星人を告発した女子中学生(当時)も「きちがい」には寛容だったようですね(笑)。
もちろん、現在はさすがにマズいのでただの「ロボット怪獣」に格下げされています。
ちなみに、作品中に「クレージーゴン」という名前は一切出てきません。
キングジョーと同じくただの「ロボット」としか呼称されていません。

登場怪獣(ロボット)は最高なんですが、ストーリーのほうは全然記憶に残っていません。
その原因はメインゲストのオサム少年です。
この悲劇の主人公気取りの自分ファーストなクソガキに1ミリも共感出来ないのであります。

心臓移植手術を明日に控えたオサムは病院のベッドで縁起でもない新聞記事を読んで不安におののきます。
普通、こんな新聞は手術を受ける前の患者の目に入らないよう配慮すると思うのですがね(笑)。

オサムはウルトラ警備隊隊員:モロボシ・ダンの大ファン。
姉がアンヌの友達だったことから、なんとダンが直接お見舞いに・・・。
「な、なんて羨ましい!、ボクが住んでいるこのド田舎には怪獣すら来てくれないのに!。」
・・・と、当時東京以外の地方にはどれだけオサムのことを羨んだ子供たちがいたことでしょうか?。

手術を怖がるオサムに人間の知恵と勇気の素晴らしさを語って聞かせるダン。
オサムは翌日の手術に立ち会って欲しいと頼み、ダンも(クソ忙しいのに)それを快諾してしまいます。

ところが、手術当日にクレージーゴンが出現。
ダンにも出撃命令が下り、オサムの手術に立ち合うことは絶望的に・・・。

問題はここからです。
ダンが来れないと分かった途端、オサムは姉とアンヌの前でダンのことを口汚く罵り始めます。
なんや?、このガキ!。

オサム「ウソつき!。人間の科学を信じろだなんて、あんなウソつきの言うことが信じられるもんか!」
アンヌ「オサムちゃん!」
オサム「ダンさんは、ウソつきだ!僕は死ぬ。僕は手術をして死んじまうんだ!」(オサム)
全く、ウンザリするくらいの構ってちゃんですな。

オサムは強制的に手術室へ運ばれますが、麻酔で意識が朦朧とする中でもなおダンへの恨み事を言い続けます。
オサム「ダンのうそつきダンのうそつき・・・」
このシナリオには根本的な欠陥があります。
一体これのどこが「勇気ある戦い」なのですかね?。
オサムは結局「勇気ある戦い」から逃げてしまい、何一つ自分の力で克服していません。
子供番組ならば「ダンは自分たちを守るために戦ってくれているのだから来られなくても仕方がない。ボク頑張るよ!」とか言って自ら手術に挑むくらいさせるべきだと思うのですがね。

このお話の中で「勇気ある戦い」を見せるのは実はダンのほうでした。
約束を破ったことを心の中で詫びながらも必死で戦い、ボロボロに傷ついてもなおオサムたちを守ろうと立ち上がる・・・。
ヒーローとしてはカッコ良いかも知れませんが、この場合ダンがいくら傷だらけで頑張ってみせても意味はありません。
オサム本人が成長する姿を描かなければ、子供たちの心には何も響かないと思います。

ところで・・・。
今回のラストシーンでは、傷ついたダンがオサムのお姉さんとなんかいい雰囲気になっておりました。
が!。

そんな二人を見るアンヌの目が怖すぎる!。
ダンにはこのあと、別の意味の「勇気ある戦い」が待っているような気がします(笑)。
第39話「「セブン暗殺計画(前篇)」

<あらすじ>
怪獣アロンと戦うウルトラセブンを探るように見つめる複数の眼。
それは地球侵略を企むガッツ星人であった。
彼らはセブンの能力・戦力を調べ上げることによってこれを倒し、公開処刑して人類に精神的ダメージを与えようと計画していた。
ダンはガッツ星人の挑発を避けていたが、星人の執拗な追撃にやむなくセブンに変身する!

『ウルトラセブン』3クール目と4クール目を繋ぐ前後編です。
登場するのは現在も人気が高いガッツ星人。
怪獣アロンと戦わせてセブンの能力を事前に調査し、地球での姿がウルトラ警備隊のダンであることも察知している。
しかし、あえて人間体のダンを殺すことはせず、地球人類の目の前でセブンを処刑することで地球人の戦意を挫くというメンタル重視の作戦を立てる策士です。

「勇気ある戦い」と「セブン暗殺計画」前後篇の3本は、前作『ウルトラマン』のメイン監督の一人だった飯島敏宏監督の作品です。
軽妙で小気味良いセリフ回しとハイテンポな編集センスで多くの情報をスピーディーに見せてくれます。

飯島監督の持ち味なのか、今回のウルトラ警備隊本部の雰囲気がなんとなく前作の科学特捜隊に似ている気がします。
特にソガが妙に軽妙なキャラになっていて、ソガとフルハシのやりとりがまるで科特隊のイデとアラシみたいに見えてきます。
ソガは元々イデのような3枚目キャラになるはずだったのが、阿知波信介さんが真面目に演じ始めたために2~2.5枚目になったそうです。
それが飯島監督の手にかかると、イデ・アラシの凸凹コンビを彷彿とさせてくれるだけでなく違和感も全くありません。
今更こんなこと言ってもなんですが、飯島監督が最初から『セブン』に参加してくれていたら、子供たちの『ウルトラセブン』離れも少しは違っていたんじゃないかという気がします。

今回はクール変わりの節目にあたるためか特撮にもお金がかかっている感じで、いつになく大量のミニチュアを使った戦闘シーンが描かれています。
映像面でも見応えのある回になっています。

また、カプセル怪獣:ウィンダムがこの回限りで殉職していしまいます。
ダンはビーム直撃を食らったウィンダムをカプセルに戻そうとしますが、一瞬遅く爆発して消滅してしまいます。
直接の続編となる『平成ウルトラセブン』にもウィンダムは登場しましたが、あれはおそらく別個体だと思われます。
昭和シリーズだと、『レオ』に登場したセブンガーがウィンダムの後継機になるのかな?

タイトルは「セブン暗殺計画」となっていますが、ガッツ星人は別にセブン暗殺を狙っていたわけではありません。
というより、意外に卑怯なことは一切していないのです。
和平したと見せかけて騙し討ちしたぺダン星人やアマギを人質を取ったゴース星人とは違い、あくまでも事前調査に基づいて立てた作戦を冷静に遂行していくのみです。
そんなところが今も人気を保っている理由だと思います。

分身能力でセブンのエネルギーを消耗させ、弱り切ったところを十字架に封じ込める。
そして、そのまま殺すことはせず地球人の目の前で処刑してみせることで地球人類の戦意を失わせる・・・。
実に理に適った計画です。
過去、戦争や革命においてもリーダーを公開処刑することで相手の心の拠り所を奪うことは当たり前に行われていました。
アメリカがビン・ラディンの殺害をことさら大っぴらに報道したのも多分同じ理由によるものと思います。

セブンは捕らえられて処刑の時を待つばかり。
しかし、アンヌの気がかりは行方不明になったダンのことばかり・・・。
続きはまた来週!。
現代はビデオ化やネット配信などで見たいものをいつでも見られるようになっていますが、そんな中であえて一週間続きを待ちわびるというのもまたオツな気分です。

本日(2/7)、ついさっきまでNHK大河ドラマ『麒麟がくる』最終回を見てました。
あまり熱心な視聴者だったわけではないのですが、途中(中断から復帰後)福井の朝倉氏が登場したあたりからは晩飯食いながらちょくちょく見ていたので大体の流れと登場人物配置は分かっておりました。
ネタバレになりますが、ラストは光秀生存を仄めかしていましたね。
本能寺後の山崎の戦い(光秀が秀吉軍に敗れた戦い)がナレーションだけで簡単に済まされていたので「もしや?」とは思いましたが、この一年間の流れを考えれば非常に爽やかな落としどころだったと思います。
助演女優の逮捕による撮り直しやコロナによる中断・話数短縮などもあって大変だったと思いますが、NHKの皆さん、お疲れさまでした。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。