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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2021.8/2~2021.8/8)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。



8/4(水)
『竜とそばかすの姫』🈠
(劇場:イオンシネマ白山)
『竜とそばかすの姫』ポスター画像B
このアニメは妻も見たがっていたのですが、彼女は最近「コロナが収まるまでは映画館になんか行かない」と言っているため今回は私一人で見てきました。
それでも「ネタバレは無しで面白かったかどうかだけ教えて」と言ってきたので、どうやら私を毒見役にするつもりのようです(笑)。

2021-08-04 イオンシネマ・5番スクリーン(チケット)
お隣石川県にオープンしたばかりのイオンシネマ白山で見てきました。
北陸地方に初お目見えとなるイオンシネマ独自の高画質上映システム「ULTIRA(ウルティラ)」シアターでの鑑賞です。

非常に高精細なアニメーション映像と主人公の歌が重要とのことなので出来ればIMAXで観たかったのですが、IMAXは京都か大阪へ行かねば見られません。
ここ最近のコロナ感染拡大の様子を見ているととてもじゃないが京都・大阪へ行くわけにいかず、IMAXに準ずる画質を持つというウルティラで観ることにしました。
これがベストの環境だったかどうかは分かりませんが、私としてはとても満足しております。

『竜とそばかすの姫』大画面で見るべき
細田守監督作品初のシネマスコープサイズでした。
細かな部分の描き込み(CG?)がもの凄くて、確かに大画面で見てナンボの作品だと感じました。
DVDや小さなテレビでは細かな部分が潰れてしまうため、あの映像の凄味は万分の1も伝わらないでしょう。

『竜とそばかすの姫』ネット警察
最初のうちは『サマーウォーズ』の焼き直しとしか思えなくて、「これ『サマーウォーズ』の続編で良かったんじゃね?」とか思っていたのですけど、見ていくうちに目指す方向が全く違うことに気づきました。
今回のテーマは、インターネット上の無記名の悪意や独善的な”正義の味方”さんたちによるネットリンチ行為に対する批判のようです。

これはあくまで私の私見ですが、『竜とそばかすの姫』に対する批判の中にかなり幼稚で感情的なものが多い気がします。
今までにネットで他人を誹謗中傷したり、その様子を面白がって見ていたような人は、この映画を見ても反感しか沸かないのではないでしょうか?。

『竜とそばかすの姫』キャストと人物関係
出演者のほとんどが俳優さんや歌手でしたが、全員演技力がしっかりしていることと、最近よくある「話題作りのためだけのキャスティング」ではなくあくまでもそのキャラクターに合った人を選んでいるので違和感は皆無でした。

『竜とそばかすの姫』戸惑いながら
特に素晴らしかったのが主人公:鈴を演じた中村佳穂さんの演技と歌声でした。
私は全く知らなかった方ですが、音楽方面では以前からかなり高い評価を受けているシンガーソングライターだそうです。
ちょっと宇多田ヒカルを思わせる突き抜けるような歌声で、観るものに四の五の言わせない迫力がありました。

特にグッときたのが、初めて<U>の世界に入ってベルとして歌い始めたシーンです。
最初のうちは怖れや緊張のために弱々しい歌い出しでしたが、徐々にスピードとボリュームが上がっていっていつの間にか仮想世界の50億人と同じくベルの歌に引き込まれておりました。

『竜とそばかすの姫』鈴
他人の子供を助けるため命を落とした母を「偽善者」呼ばわりする心無い誹謗中傷に、鈴は大好きだった歌も歌えなくなてしまうほど心に傷を負ってしまいます。

それでも鈴の周囲には良い友達と良い大人たちが居てくれました。

『竜とそばかすの姫』鈴とヒロ
毒舌だが最大の理解者であり親友であるヒロ。

『竜とそばかすの姫』良き仲間
傍目には協調性に著しく欠けて見える鈴に対しても変わりなく接してくれた仲間。

『竜とそばかすの姫』良き友と良き大人たち
鈴を我が子のように見守ってくれる亡き母の友人たち

『竜とそばかすの姫』竜
その対極にいるのが竜とその家族でした。
(ネタバレになるので詳細は書きません)
ラスト、鈴は自らの正体(オリジン)を晒し、現実世界でも竜(のオリジン)を助けるため単身東京に向かいます。

『竜とそばかすの姫』竜の正体
ただ、ここでちょっと気になったことがありました。
このとき、一緒にいた友達や大人たちはどうして誰も鈴に同行しなかったのでしょうか?。
鈴があの相手からどんな酷い暴力を受けるか分からないというのに・・・。

『竜とそばかすの姫』トラウマ
この場面は鈴にとって幼少期のトラウマ(母親がたった一人で他人の子供を助けに行って命を落としたこと)克服のための追体験であり、だからこそ彼女一人の力で立ち向かわなければならないということは理解しています。
また、大人たちも一緒にどやどや押しかけてしまったのでは、鈴の成長物語としての帰結点が無くなってしまうこともよく分かっています。

『竜とそばかすの姫』友達
でも、鈴には居て竜には居なかった存在・・・つまり”友達”がいます。
彼らなら話は別だったはずです。
親友のヒロは高知から携帯やネットを使って情報面でサポートし、カシミン、ルカ、そしてシノブは鈴に協力して竜(とその家族)を探すのに協力するのではないかと想像しながら見ておりました。

『竜とそばかすの姫』シノブ
せめて、幼い頃から「鈴を守ってやる」と言っていた幼馴染のシノブだけでもボディガードとして一緒に行かせるべきだったと思います。
ていうか・・・そうでなければ彼が登場する意味がどこにも無いような?。

『竜とそばかすの姫』ヒロと鈴
ところで・・・。
最初に「妻も楽しみにしていた」と書きましたが、このアニメは彼女には薦められません。

なぜならば・・・。

妻は「強者が弱者を虐待する」「子供が辛い目に遭う」ことを人並み以上に嫌う人だからです。

映画の終盤、我が子を虐待する独善的な父親が登場します。
それは、数年前親が我が子を虐待死させるという痛ましい事件を思い起こさせる見ているのが辛い場面でした。
それらの事件では、子供が「もうおねがい ゆるしてください」と親に懇願する手紙が公表されたり、学校に親の暴力を相談したにも関わらず当地の児童相談所が放置していたことが明らかになったりしていました。
私たち夫婦には子供がいないので特に腹立たしく感じましたし、妻はあのニュースを泣きながら見ていたくらいです。
この映画には、明らかにそれらの事件を元にしているとしか思えない描写がありました。
おそらく妻はあの場面を正視出来ないと思います。

帰宅後、「どうだった?」と訊かれて「凄く良かった。けど、お前は見ないほうがいいかも。」と正直に答えておきました。



8/5(木)
『怪獣総進撃』
(ホームシアター:4K日本映画+時代劇ch録画)
『怪獣総進撃』ポスター画像
昭和ゴジラシリーズ最終作として作られただけあって、ミニチュアやセットにもふんだんにお金をかけたであろう作品。

4K『怪獣総進撃』ゴジラ新スーツ
最終作品と言いながらもゴジラとアンギラスのスーツは新調されていて、それらの作り込み具合も4Kリマスター化された画面によく映えて見えます。

4K『怪獣総進撃』最も馴染み深いゴジラ
「総進撃ゴジラ」と呼ばれるこのフェイスはこのあと『ゴジラ対ガイガン』まで補修を繰り返しながら4年間使われました。
『ゴジラ対ヘドラ』もこのスーツだったので、私にとって最も馴染み深いゴジラです。

4K『怪獣総進撃』小林夕岐子さん(デレ)
4Kリマスターは怪獣のためではなく、女優さんの美貌を後世に残すためのものであります。
思わず溜息が出る小林夕岐子さんの輝くような美しさ。
(スマホで撮ったスク写ではその素晴らしさは伝わらないと思います・・・)

4K『怪獣総進撃』小林夕岐子さん(ツン)
小林さんが演じる真鍋杏子は、中盤キラアク星人に操られて感情を無くした冷たい表情を見せるようになります。
『ウルトラセブン』のアンドロイド01役のイメージが強いせいか、こっちの表情のほうがピンときます。(失礼!)

4K『怪獣総進撃』小林夕岐子さん(ツンツン)
まさに60年代ツンデレ女王!。
庶民的な笑顔も素敵ですが、無表情なツンツン状態の時のほうが素敵な気がします。(ほんとに失礼・・・)

4K『怪獣総進撃』愛京子さん
そして、忘れてはならないキラアク星人愛京子さんの妖艶さも!。
本作は女優さんの顔アップが非常に多いのですが、お肌が艶々で4K高解像度の画面でも幻滅することなど全くありません。

4K『怪獣総進撃』出光石油、日東証券
防衛軍の弾丸がほとんど当たっておらず、街を破壊したのはゴジラじゃなく防衛軍の流れ弾だったことが4K画質でよく分かります(笑)。

でも、今回は4K高解像化によって背景の特撮セットの看板にやたら目が行きました。
「パイオニア(旧ロゴ)」「ソニー」「バヤリース(東宝いつものタイアップ会社)」「安田生命」「日東証券」と、今でも存続している企業ばかりです。
ただし、このうちパイオニアはその後経営難に陥って今では同業のオンキョーのグループ企業となりました。
(そのオンキョーも先ごろ経営悪化のため株式の上場廃止に追い込まれて身売りすることになっています)
でも、この頃('68)のオーディオ業界はかなり好調で、こうした特撮映画にスポンサーとして出資する財力もあったのですね。
なんかこの1カットから「時代の流れ」というものを感じてしまいました(笑)。

「時代の流れ」といえば、1968年公開のこの映画にはそれまでのゴジラ作品とは少し異なる感覚の演出が盛り込まれています。
4K『怪獣総進撃』アナウンサーがカメラ目線でレポート
それは作品中におけるテレビの扱い方です。
この映画では、キラアクの怪獣コントロール装置発見の記者会見会場でアナウンサーがカメラ目線でレポートしていました。
これは明らかにテレビニュースを模した演出です。

1968年といえば、テレビの急速な普及に伴い映画産業の斜陽化が表面化しつつあった時期でした。
この後、映画業界はテレビに押されて衰退の一途を辿ることになります。

4K『怪獣総進撃』画面が一瞬フリーズ
内容面ではなく技術面で、気になる部分が2箇所ありました。
59分52秒目のSY3号が敵月基地に着陸するカットと、1分47秒目の副長が「脱出しますか?」と訊くシーンで一瞬画面が止まります。
電波障害か?と思いましたが天気は快晴。
また、止まったのは映像だけで、その間音声はちゃんと出ています。
コマ送りで見てみるとその部分はやはり静止画になっていました。

「元々こうだったのかな?。」
そう思って、ブルーレイや過去の放送録画ディスクの同じ個所を見てみると、やはり同じ一瞬静止画状態になっていました。
これらの部分は東宝チャンピオンまつり上映用に再編集されたときカットされた部分でした。
それをオリジナルバージョンに復元するとき、繋ぎ目の数コマが紛失していて仕方なく静止画で間を埋めたと思われます。
コストを惜しんでオリジナルネガを切り刻んでしまうという過去の所業の傷跡が、図らずも最新の4Kリマスター化によって露わにされたということですかね。

『ゴジラ対ヘドラ』4K予告編
最後に、来月放映の『ゴジラ対ヘドラ』の予告編も4Kリマスターの高画質版で放映。

かなり久し振りに見たんですが、『ヘドラ』の予告編には伊福部昭先生の音楽が使われていたのですね。
伊福部音楽とヘドラの組み合わせも非常にマッチしています。
考えてみれば、『ゴジラ対ヘドラ』のコンセプトは初代『ゴジラ』の戦争や核兵器といったモチーフを公害に置き換えたもので、昭和ゴジラの中では初めて一作目をリスペクトした内容になっています。
だから伊福部先生の音楽と合わないわけがないのです。

『ゴジラ対ヘドラ』空間表現
映像は、暗部諧調が豊かになった印象を持ちました。
『ゴジラ対ヘドラ』は後半予算が尽きてしまったため戦いの舞台のセットが非常にシンプルでしかも暗い画面ばかりです。
それが、こうして暗い部分も見えやすくなって奥行き感が出ているのは喜ばしいです。
ただ、見えすぎてセットの安普請具合が分かってしまうと困りますが・・・(汗)。

『ゴジラ対ヘドラ』ドロドロも4K
どうやら、ヘドロもより汚くドロドロになっているみたいです(笑)。
本編放送日の9月2日を指折り数えながら待つといたしましょう。



【今週のテレビ番組視聴】
『竜とそばかすの姫』と『怪獣総進撃』が長くなり過ぎたので以下は出来るだけ簡単に・・・。

■8/2(月)
『ウルトラQ』第19話「「2020年の挑戦」

(ホームシアター:BS4K録画)
「2020年の挑戦」ケムール人
この回には何度見返しても理解が追い付かない謎がいくつも含まれています。

「2020年の挑戦」帰還者たち
書籍「2020年の挑戦」を書いたという神田博士が最後まで1カットも姿を見せないのは何故なのでしょう?。
ラストの遊園地で戻ってきた人々の中に神田もいて、親友の宇田川刑事と再会する場面があって然るべきだと思うのですがね。
神田博士は完全に名前のみ登場するキャラクターにされていました。
彼は自ら望んでケムール星に残ったのでしょうか?。

「2020年の挑戦」見かけによらず頼れる老刑事
もう一点分からないのは、老練な刑事として由利子を守ってみせた宇田川刑事のあまりにも迂闊な行動です。

「2020年の挑戦」ラスト
宇田川は、事件後現場に残留したケムールの転送剤に「まあ大丈夫だろう」と自ら足を踏み入れて消えて(転送されて)しまいます。
これらの描写の意図が未だに掴めません。
ただ、ケムール星に親友の神田博士が居残っているとしたなら、博士の協力で宇田川が戻って来ることも可能なのかも知れませんが。

8/3(火)
『ブラック・ジャック KARTE IV:拒食、ふたりの黒い医者』
(ホームシアター:WOWOWプラス録画)
OVA『ブラック・ジャック』KARTE4
WOWOWプラスで全話録画したOVA版『ブラック・ジャック』第4話。
たった50分程度の中編ですが、2時間くらいの長編映画を見たような満腹感と心地よい疲労感が味わえます。
安楽死を生業とするもう一人の黒い医者:ドクター・キリコが登場。
原作のキリコはまるで患者を安楽死させることを楽しんでいる世捨て人のように描写されていますが、出崎アニメ版のキリコはもっと思慮深い男に変えられていて、この話ではなぜかBJの調査に協力までしてくれます。
出崎版『ブラック・ジャック』にキリコが登場するのはこの回のみ。
監督がご存命でシリーズが続いたとすれば、このキリコの登場機会ももっとあったはず。
それがとても残念です。

8/6(金)
『ブラック・ジャック KARTE V:サンメリーダの鴞』
(ホームシアター:WOWOWプラス録画)
OVA『ブラック・ジャック』KARTE5
こちらは出崎アニメには珍しい古谷徹さん(アムロ・レイ、星飛雄馬など)がメインゲスト。
第3話に似た戦争ものですが、こちらは戦争によって焼け出された人々と彼らを助けた無名の医師の物語です。
旅行中の汽車内で出会った青年の背中に大変な難手術の跡を見たBJはその名医に是非会いたいと彼に同行します。
そうしてようやく出会ったその名医”サンメリーダの鴞”とは実は・・・?。
書き出すと説明が長くなるので端折りますが、青年が元医師に「今はもう知るものなどいないこの地の子守歌」を歌って聴かせるシーンは何度見ても身体が震えてしまいます。



■8/7(土)
『ウルトラマン80』
(ホームシアター:ファミリー劇場録画)
第39話「ボクは怪獣だ〜い」
『ウルトラマン80』テツオン
何をやらせてもダメなテツオは、ある日謎の卵を飲み込んでしまう。
目が覚めるとテツオは怪獣になっていた。

『ウルトラマン80』映画撮影
80年代の子供たちは怪獣化した友達にもドライです。
立派なセットを作って怪獣映画を作ったりしてましたが、やがて彼のことを避けるようになっていきます。

『ウルトラマン80』体内での戦い
最初は完全に「カネゴンの繭」のリメイクですが、解決方法は『セブン』の「宇宙細菌ダリー」そのまんまでした。

第40話「山からすもう小僧がやって来た」
この回から第4クールに突入。
オープニングとエンディングの曲が全く新しいものに変わりました。
映像は前と全く同じ。
オープニングは爽やかな感じの歌に変わったことでより主演の長谷川初範さんのイメージビデオっぽくなりました。
控えめに言ってもかなり変です(笑)。

『ウルトラマン80』はっけよい
『ウルトラマンタロウ』でやってた民話シリーズみたいなお話。
でも印象に残っているのは、本編ではなく前の回に付いていた予告編のナレーションでした。

「こうなったら千代の富士に出てもらわなくてはならない」
「千代の富士も驚くほどの相撲技」

千代の富士
’81年初頭の千代の富士はまだ関脇だったはずですが、こうしてウルトラマンに名前が出てくるくらい人気関取だったのですね。

大鵬や北の湖など、人や世代によってそれぞれ自分の横綱(マイヒーロー)が居ることと思いますが、私にとっての横綱は千代の富士ただ一人です。
通算1000勝という大記録を達成した直後のインタビューで「次の目標は?」と訊かれて「1001勝目」とサラッと答えたカッコ良さは今でも忘れません。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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