週刊映画鑑賞記(2021.11/1~2021.11/7)
CATEGORY週刊映画鑑賞記
トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
先週は一本も映画が観られずここに書くネタが無く、苦し紛れに「見たいタイトル」をいくつか挙げてお茶を濁しておりました。
今週はそのリベンジです。
全部で5本の映像作品を見てしまいました。
11/1(月)
『最後の決闘裁判』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

リドリー・スコット監督最新作ということでずっと気になっていた作品です。
今回はマット・デイモンとベン・アフレックの脚本コンビが直接リドリー監督に演出を依頼したとのことです。
『オデッセイ』が縁で今回のオファーに繋がったものと思われますが、それと同時に『デュエリスト』や『ロビン・フッド』などリドリー・スコット監督の中世時代描写には定評があったことも理由の一つだと思います。

この日は仕事が5時で終了となったので、帰りに国道8号線沿いの映画館に寄って観てきました。
ファースト・デーなので1,200円というのもラッキーでした。

観客は私を含めて12~13人でした。
スクリーンはビスタサイズの上下を黒味で潰したシネスコサイズ上映。
これでは家の16:9テレビで見るのと変わりありません。
上映終了間近の作品なので小さい部屋なのは仕方ないですが、やっぱりシネスコの映画はシネスコサイズスクリーンいっぱいに映した状態で観たかったです。

出来れば先入観も前知識も全く無い状態で観たかったんですが、公開日からすでに2週間以上も経っていたためネット上で”ある日本映画の名作との類似点”があることを知ってしまいました。
ある貧乏貴族の若奥さんが、亭主の旧友から性的暴行を受けたと告白。
やがて亭主と旧友の命をかけた決闘へと発展する。
しかし、三人の主張はそれぞれの主観によって微妙に異なっていた。

あ~、なるほど!。
この物語構造は、黒澤明監督の『羅生門』(1950)そのものです。
そう思った途端、ル・グリ(アダム・ドライバー)が三船敏郎に、マルグリット(ジョディ・カマー)が京マチ子に、カルージュ(マット・デイモン)が森雅之に見えて仕方ありませんでした(笑)。

残念だったのは、メインの登場人物3人をそれぞれの主観から視点を変えて3パターン描こうとしていたはずが、私にはそれぞれの違いが今一つ分かりにくかったことです。
特にマット・デイモンが演じたカルージュは、本人も含め誰の視点から見ても「ただプライドが高いだけでえっちが下手糞な癇癪持ちのお坊ちゃん」でしかなかったように思えます。
暴行された奥さんのほうも
ただ一人だけ、ル・グリに関しては「上司に媚び諂う世渡り上手」(カルージュ視点)「実は親友カルージュのことを思いやっていた良い奴」(本人視点)「ちょっと趣味が合っただけで”俺に気がある”と思い込んで夜這いをかけてきたサイコパス男」(マルグリット視点)と三様の解釈が描かれていてとても面白かったです。
どうしてル・グリだけが視点による心情表現が異なって見えたのか、その理由は分かりません。
彼のパートの脚本が他より優れていたのか?、あるいは演じたアダム・ドライバーの演技力のおかげだったのか?。
もう一回見返すには体力&精神力を要する映画なのでちょっと無理そうです。
冒頭の「民間人女性集団首チョンパ」シーンでいきなり引いたくだいでしたから・・・。

ところで、『羅生門』の構成をベースにしたのであれば『羅生門』で真実を知っていた志村喬に相当するのは誰なのか?。
後半はそっちの方ばかりが気になっていました
ル・グリの来訪を知っていたとしか思えない絶妙のタイミングで屋敷を離れた婆さん?。
カルージュにパワハラかまし続けた上司貴族?。
訴訟後、マルグリットを裏切った女友達?。
常にル・グリに付き添っていた従者?。
しかし、結局この映画では客観的な第4の視点は一切描かれませんでした。
エンドロール後になにか出てくるかとも思いましたがそれも無し。
なんだか消化不良気味なまま終わってしまった感じです。
11/2(火)
『フリー・ガイ』🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)

劇場公開で観たかったのですが、仕事が忙しくなったことと567禍で映画館に行きづらい状況だったことで結局観そびれてしまった作品です。
それが先月新しく生まれ変わったディズニー・プラスにラインナップされていたので早速観てみることにしました。、

APPLE TV 4Kでトップページを開いてみて驚きました。
なんと、4K/HDR/DOLBY ATOMS対応ではないですか!?。
さっそく視聴開始です。
ただ、ドルビーアトモスの売りである上部からの音はかなり控えめで、冒頭のゲーム内シーンで派手な爆発やヘリの移動音に使われていたくらいでした。
最新の音響効果を駆使して世界観を構築するまでには至っていなかったです。
ドルビーアトモスに関しては制作者側もまだ手探りなのかも知れません。

RPGやアクションゲームの雑魚キャラが自我を持ってゲーム進行に影響を与えるといった話でした。
私はゲームはせいぜいPS3で進化が止まっている旧型の昭和人なため、「オープンワールドゲーム」とか言われても正直まるでピンときません。
想像ですが、『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』の村人Aとか鍛冶屋の主人とかが、プレーヤーが操るゲームキャラに恋をしてプログラムを無視して勝手にゲームを進めてしまうみたいなものでしょうか?。

ただし、最終的にはゲームキャラの話ではなくゲームのA.Iを開発した現実世界の男女の物語に集約されていきます。
旧型の昭和人にも飲み込みやすい着地点でなんだかホッとしました(笑)。

あと、今作の主人公の一人である開発者のミリー=モロトフ・ガールを演じていたのは、前日観た『最後の決闘審判』にも主演していたジョディ・カマーでした。
なんという偶然!。
見終わったあと、内容よりもそっちのほうが強く記憶に刻まれました(笑)。
11/4(木)
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』🈠
(劇場:イオンシネマ金沢フォーラス)

私は『宇宙戦艦ヤマト2199』に関しては丁寧な再構築設定と出渕裕監督のヤマト愛が嬉しくて今でも高く評価しています。
しかし、別の監督と脚本家に変わった続編『宇宙戦艦ヤマト2202-愛の戦士たち-』はもの凄~く出来が悪くて、「リメイク版『ヤマト』を見るはもう止めよう」とさえ思ったくらいでした。
それでも、やっぱり47年来のヤマトファンの血がそうはさせてくれず、結局は無理矢理時間を捻出して劇場へ(しかも隣県まで)観に行ってしまいました(笑)。
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』(タイトル長い!)上映最終日のこの日。
5時半に仕事が終わるとすぐ高速に乗って、お隣石川県金沢駅前イオンシネマ金沢フォーラスへと向かいました。
体力的には少々キツかったのですが、この日が最終日ということなので劇場で見る最後のチャンスを逃したくはなかったのです。

上映最終日だというのに、意外にかなり大きめのスクリーンでした。
観客は私を入れて7人。
もちろん、全員私と同年代(50代)くらいの男ばっかりだったことは言うまでもありません(笑)。

ストーリーは旧シリーズのTVスペシャル作品『新たなる旅立ち』とTVシリーズ3作目『宇宙戦艦ヤマトⅢ』を融合したもののようです。
『ヤマトよ永遠に』は話がブッ飛び過ぎてたのでスルーしたのかな・・・?、と思いきや、「タイムラインがどうとかこうとか」というセリフがあったり、プレアデス艦内に地球のクラシック音楽が流れていてしかも「針が飛ぶ」などというアナログレコードを連想させる言葉が出てきたりと、「今回の敵(デザリアム)はもしかすると本当に未来の地球なのではないか?」と思わせる部分が多々ありました。
もしかして、『2202』のラストで古代と雪を救出せず次元断層を使い続けて経済と武力発展の道を突き進んだ別次元の地球の未来の姿なのかも?。

今回、最大の不安材料はストーリー担当が『2202』と同じ福井晴敏氏であることでした。
しかし、今回の映画ではストーリーの大きな破綻は感じられず、次回への期待を高めつつうまくまとまっていたように思います。
新キャラと再登場キャラが立っていて彼らと旧キャラとがうまく絡んで相乗効果を上げていました。

特にヤマトを乗っ取ってでもイスカンダル救助に向かおうとする新人たちに、古代が「なぜ相談しない?。こっちは経験者だぞ。」と言い放つシーンは鳥肌ものでした。

映像面でもヤマトをはじめとするメカニックの見せ方に重量感が感じられて見応えがありました。
『2202』が駄目駄目だったのは、もしかすると羽●監督の力量不足のせいだったのかも知れません。
とりあえず、後章も劇場に観に行くことは決定です。
11/5(金)
『ゴジラフェス2021』🈠
(ホームシアター:YouTUBEアーカイブ配信)

11/3のゴジラの日に生配信された「ゴジラフェス2021」。
当日は仕事でリアルタイム視聴が叶わなかったため、この日アーカイブ配信を視聴しました。
といっても7時間以上もあるので、そのうち3パートのみをチョイスしています。
【ゴジラS.P<シンギュポイント>】

一つ目はTVアニメ『ゴジラS.P<シンギュポイント>』の監督:高橋敦史氏と脚本:円城塔氏を交えたスペシャルトーク。
私も毎回欠かさず見ていました(しかも各回とも2~3回づつ!)。
しかし、あまりにも内容が難しく、多分10分の1も理解出来ていないと思います。
作ったご本人たちのトークを聴けば少しは分かるかと思ったんですが、やっぱり難解なことには変わりませんでした(笑)。
それでも「あの膨大な情報量を含んだセリフはBGMのようなもの」と言った監督のアドバイス(?)とか「内容と連動していなかったサブタイトルの秘密」などといった面白い話が聞けましたが、それでも高橋監督のジェット・ジャガー愛を直接本人の口から語っていただけなかったことは物足りなかったです。
【モスラ4K復活プロジェクト】

来月「午前十時の映画祭」で上映される『モスラ』の4K化密着ドキュメンタリー。
実は今回最も前のめりで見ていたパートだった気がします。
具体的に感想など書いていたら大変なボリュームになってしまうため泣く泣く割愛しますが、これだけは言わせて(書かせて)いただきたいです。
東京現像所の皆さん、本当にありがとうございました。

我が福井県(グループA)は年末から新年(12/24~1/6)にかけての上映になります。
今から待ち遠しくて仕方ありません。
【対談:笠井アナXアダム・ウィンガード監督】

続いて司会の笠井信輔アナと『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督のオンライン対談。
一番驚いたのはウィンガード監督が実はヘドラ好きだということ。
「お、俺もっス、カントク。」と思わず声が出そうになりました(笑)。
ひとつ物足りなかったのは「どーして小栗旬の扱いがあんなにヒドかったのか?。」を笠井さんが突っ込んでくれなかったことです。
あんなセールストークなんかいらねーよ!。
【新作特撮作品『ゴジラvsへドラ』】

わずか5分ほどのショートフィルム。
失礼ながら、予算はおそらく『ゴジラvsコング』の5秒分くらいしか無いんじゃないかと思います。
怪獣プロレスに特化していて、ゴジラがヘドラに16文キック(古っ)をぶちかましたりと動きにはかなり違和感があったりもします。
でも・・・でも!。
『俺はこんな怪獣映画が好きなんだよぉ~~~~!
今では日本でも河崎実監督作品以外ほとんど作られなくなったオール着ぐるみ&ミニチュア特撮です。
爆発も切れた電線からほとばしる火花も飛び散るヘドラの体液も、すべてセットに隠れた人間(スタッフ)たちが「3,2、1、せ-の!」で動かしているのです。
なんか、ここ数年喉の奥にずっと残っていた痒みが取れた気がしました。

中川和博監督は『シン・ゴジラ』にも助監督の一人として参加していたそうです。
そういえば『シン・ゴジラ』の撮影にエキストラとして参加したとき、総勢160人ものエキストラの前に出てきて説明しながら皆の気分を盛り上げてくれた人懐っこい助監督さんがいました。
お顔までは覚えていませんでしたが、その助監督さんの名前が中川さんだったことだけはよく覚えています。
というのは、他にも助監督は何人かいましたが参加者みんなが愛嬌のある中川さんの班になりたがっていたからです(笑)。
今回の中川和博監督は、樋口監督に”ナカちゃん”と呼ばれて可愛がられていたあの中川さんなのでしょうか?。

思えば・・・『シン・ゴジラ』公開から早5年。
そろそろ本家日本のゴジラ映画新作が観たいなあ。
もちろん、イベント上映用のショートフィルムではなく正規の劇場用新作映画として!。
職人スタッフによる着ぐるみゴジラと特撮愛に満ちた手作り特撮がまた観たいです。
ついでに、その時はまたエキストラの一人として「ゴジラ世界の一部」になりたいなあ(笑)。
11/6(土)
『日本沈没』(ピュア4K)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4Kチャンネル)

4Kリマスター化された『日本沈没』(昭和48年版)。
ピュア4K放送で鑑賞しました。

富士山噴火後の粉塵がきめ細かい!。
この場面は粉塵が潰れて壁のように見えては駄目なのです。
太陽以外の奥から歩いて来る亡霊のような人達の疲れ切った表情が見えなければ意味がありません。
かといって、奥のほうが見えすぎても意味が変わってしまいます。
このカットは、先が見通せない不安感を1カットで表現した『日本沈没』全体を象徴的している画なのですから。
今回は4Kリマスター化によりその両方を兼ね備えた意味ある映像になったと思います。

4Kリマスターの効果が最も顕著に感じられるのは、なんといっても女優さんの美しさであります。
こちらは4年ほど前にWOWOWで録画した旧HD版の花江さん(演:角ゆり子さん)のカット。

そしてこちらが今回の4Kリマスター版の花江さん。
(4K放送からの静止画キャプチャ方法が分からないため、2Kダウンコンバート版からキャプチャした画像を使用)
サムネイルの小さな映像でもノイズの少なさ、立体感、お肌のスベスベ感などの違いが判別出来ます。
4Kの恩恵とはデティール部の向上だけではありません。
古い映像からまるでベールを何枚もはぎ取ったかの如く、美しい女優さんを美しいままに描き出してくれています。

私が初めて『日本沈没』(73年)を観たときの思い出話や感想などは2018年1月24日に記事にしていますのでそちらをご覧ください。
>『日本沈没』(昭和48年版)
今回は、現在TBS系で放映中の新作ドラマ『日本沈没ー希望のひとー』やアニメ『日本沈没2020』と絡めて考えたことを書き記しておきます。

今回の鑑賞では、このシーンでの山本総理(演:丹波哲郎)のセリフが耳に残りました。
「誰かとんでもない大バカ者がいて”東京は地震で全滅する”とキ●ガイみたいに喚きたてて、ジャーナリズムもそれに輪をかけて騒いでくれたらどの政党にしたって政府にしたって渋々なんらかの重点対策を・・・。その<なんらか>が出来ていれば、少なくとも360万もの人が死なずに済んだことは間違いないんだ!。」

現在、新作ドラマ『日本沈没-希望の人-』放送やアニメ『日本沈没2020』の劇場版公開、そして今回の映画『日本沈没』(1973)と74年のTVドラマ版再放送が集中的に行われています。

しかも、つい先日(10/20)阿蘇山の噴火があったばかりです。
また、今後30年の間に70~80%の確率で起きるという南海トラフ地震への警戒も忘れてはなりません。
これらの奇妙な符合には<なんらか>の意図を感じずにはいられません。
今週は私としてはかなり充実した一週間だったように思います。
劇場で2本、ホームシアターで2本、あとユーチューブで短編ゴジラ動画を含むイベント配信の計5本。
でも、心残りも2つありました。

1つはNHK BSプレミアムの『発表!全仮面ライダー大投票』が4K『日本沈没』と重なってしまってリアルタイムで見られなかったことです。
もちろんしっかり録画はしておりましたが、うっかりインターネットで結果を知ってしまったため(時間が無かったこともあり)飛ばし見機能で見ておりました。
結果としてはどの部門も平成ライダーが上位を占めていて、昭和ライダー世代としては寂しいランキングだったと思います。
私が投票したのは、作品部門『仮面ライダーV3』(1作目)でライダーもV3に投票。
音楽(主題歌)は今でもカラオケでよく歌う「戦え! 仮面ライダーV3」(『V3』主題歌)に入れました。
当時「♪父よ母よ妹よ」という風見志郎の家族構成が私の家とシンクロしていたからです。
あと風見家にお婆ちゃんもいたら完璧でした(笑)。
それと2つ目。
ゴジラの日(11/3)にゴジラ作品をひとつも見られなかったことです。

せっかく11月3日「ゴジラの日」に届いた『ゴジラvsコング』のブルーレイも観る時間が取れませんでした。

そして「ゴジラフェス2021」生配信も実際に見れたのは翌日のアーカイブ配信での視聴でした。
来年は何かゴジラ作品に触れてゴジラの誕生日を祝いたいなあ。
出来ればまた京都みなみ会館(この夏笠井さんもへドラ特集に行ったらしい)で「ゴジラ誕生祭」に参加したいものです。
いくらなんでも来年の今頃には567禍も収束していると思いますから。
長くなってしまいましたが、今週もお付き合いいただきありがとうございました。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
先週は一本も映画が観られずここに書くネタが無く、苦し紛れに「見たいタイトル」をいくつか挙げてお茶を濁しておりました。
今週はそのリベンジです。
全部で5本の映像作品を見てしまいました。
11/1(月)
『最後の決闘裁判』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

リドリー・スコット監督最新作ということでずっと気になっていた作品です。
今回はマット・デイモンとベン・アフレックの脚本コンビが直接リドリー監督に演出を依頼したとのことです。
『オデッセイ』が縁で今回のオファーに繋がったものと思われますが、それと同時に『デュエリスト』や『ロビン・フッド』などリドリー・スコット監督の中世時代描写には定評があったことも理由の一つだと思います。

この日は仕事が5時で終了となったので、帰りに国道8号線沿いの映画館に寄って観てきました。
ファースト・デーなので1,200円というのもラッキーでした。

観客は私を含めて12~13人でした。
スクリーンはビスタサイズの上下を黒味で潰したシネスコサイズ上映。
これでは家の16:9テレビで見るのと変わりありません。
上映終了間近の作品なので小さい部屋なのは仕方ないですが、やっぱりシネスコの映画はシネスコサイズスクリーンいっぱいに映した状態で観たかったです。

出来れば先入観も前知識も全く無い状態で観たかったんですが、公開日からすでに2週間以上も経っていたためネット上で”ある日本映画の名作との類似点”があることを知ってしまいました。
ある貧乏貴族の若奥さんが、亭主の旧友から性的暴行を受けたと告白。
やがて亭主と旧友の命をかけた決闘へと発展する。
しかし、三人の主張はそれぞれの主観によって微妙に異なっていた。

あ~、なるほど!。
この物語構造は、黒澤明監督の『羅生門』(1950)そのものです。
そう思った途端、ル・グリ(アダム・ドライバー)が三船敏郎に、マルグリット(ジョディ・カマー)が京マチ子に、カルージュ(マット・デイモン)が森雅之に見えて仕方ありませんでした(笑)。

残念だったのは、メインの登場人物3人をそれぞれの主観から視点を変えて3パターン描こうとしていたはずが、私にはそれぞれの違いが今一つ分かりにくかったことです。
特にマット・デイモンが演じたカルージュは、本人も含め誰の視点から見ても「ただプライドが高いだけでえっちが下手糞な癇癪持ちのお坊ちゃん」でしかなかったように思えます。
暴行された奥さんのほうも
ただ一人だけ、ル・グリに関しては「上司に媚び諂う世渡り上手」(カルージュ視点)「実は親友カルージュのことを思いやっていた良い奴」(本人視点)「ちょっと趣味が合っただけで”俺に気がある”と思い込んで夜這いをかけてきたサイコパス男」(マルグリット視点)と三様の解釈が描かれていてとても面白かったです。
どうしてル・グリだけが視点による心情表現が異なって見えたのか、その理由は分かりません。
彼のパートの脚本が他より優れていたのか?、あるいは演じたアダム・ドライバーの演技力のおかげだったのか?。
もう一回見返すには体力&精神力を要する映画なのでちょっと無理そうです。
冒頭の「民間人女性集団首チョンパ」シーンでいきなり引いたくだいでしたから・・・。

ところで、『羅生門』の構成をベースにしたのであれば『羅生門』で真実を知っていた志村喬に相当するのは誰なのか?。
後半はそっちの方ばかりが気になっていました
ル・グリの来訪を知っていたとしか思えない絶妙のタイミングで屋敷を離れた婆さん?。
カルージュにパワハラかまし続けた上司貴族?。
訴訟後、マルグリットを裏切った女友達?。
常にル・グリに付き添っていた従者?。
しかし、結局この映画では客観的な第4の視点は一切描かれませんでした。
エンドロール後になにか出てくるかとも思いましたがそれも無し。
なんだか消化不良気味なまま終わってしまった感じです。
11/2(火)
『フリー・ガイ』🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)

劇場公開で観たかったのですが、仕事が忙しくなったことと567禍で映画館に行きづらい状況だったことで結局観そびれてしまった作品です。
それが先月新しく生まれ変わったディズニー・プラスにラインナップされていたので早速観てみることにしました。、

APPLE TV 4Kでトップページを開いてみて驚きました。
なんと、4K/HDR/DOLBY ATOMS対応ではないですか!?。
さっそく視聴開始です。
ただ、ドルビーアトモスの売りである上部からの音はかなり控えめで、冒頭のゲーム内シーンで派手な爆発やヘリの移動音に使われていたくらいでした。
最新の音響効果を駆使して世界観を構築するまでには至っていなかったです。
ドルビーアトモスに関しては制作者側もまだ手探りなのかも知れません。

RPGやアクションゲームの雑魚キャラが自我を持ってゲーム進行に影響を与えるといった話でした。
私はゲームはせいぜいPS3で進化が止まっている旧型の昭和人なため、「オープンワールドゲーム」とか言われても正直まるでピンときません。
想像ですが、『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』の村人Aとか鍛冶屋の主人とかが、プレーヤーが操るゲームキャラに恋をしてプログラムを無視して勝手にゲームを進めてしまうみたいなものでしょうか?。

ただし、最終的にはゲームキャラの話ではなくゲームのA.Iを開発した現実世界の男女の物語に集約されていきます。
旧型の昭和人にも飲み込みやすい着地点でなんだかホッとしました(笑)。

あと、今作の主人公の一人である開発者のミリー=モロトフ・ガールを演じていたのは、前日観た『最後の決闘審判』にも主演していたジョディ・カマーでした。
なんという偶然!。
見終わったあと、内容よりもそっちのほうが強く記憶に刻まれました(笑)。
11/4(木)
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』🈠
(劇場:イオンシネマ金沢フォーラス)

私は『宇宙戦艦ヤマト2199』に関しては丁寧な再構築設定と出渕裕監督のヤマト愛が嬉しくて今でも高く評価しています。
しかし、別の監督と脚本家に変わった続編『宇宙戦艦ヤマト2202-愛の戦士たち-』はもの凄~く出来が悪くて、「リメイク版『ヤマト』を見るはもう止めよう」とさえ思ったくらいでした。
それでも、やっぱり47年来のヤマトファンの血がそうはさせてくれず、結局は無理矢理時間を捻出して劇場へ(しかも隣県まで)観に行ってしまいました(笑)。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』(タイトル長い!)上映最終日のこの日。
5時半に仕事が終わるとすぐ高速に乗って、お隣石川県金沢駅前イオンシネマ金沢フォーラスへと向かいました。
体力的には少々キツかったのですが、この日が最終日ということなので劇場で見る最後のチャンスを逃したくはなかったのです。

上映最終日だというのに、意外にかなり大きめのスクリーンでした。
観客は私を入れて7人。
もちろん、全員私と同年代(50代)くらいの男ばっかりだったことは言うまでもありません(笑)。

ストーリーは旧シリーズのTVスペシャル作品『新たなる旅立ち』とTVシリーズ3作目『宇宙戦艦ヤマトⅢ』を融合したもののようです。
『ヤマトよ永遠に』は話がブッ飛び過ぎてたのでスルーしたのかな・・・?、と思いきや、「タイムラインがどうとかこうとか」というセリフがあったり、プレアデス艦内に地球のクラシック音楽が流れていてしかも「針が飛ぶ」などというアナログレコードを連想させる言葉が出てきたりと、「今回の敵(デザリアム)はもしかすると本当に未来の地球なのではないか?」と思わせる部分が多々ありました。
もしかして、『2202』のラストで古代と雪を救出せず次元断層を使い続けて経済と武力発展の道を突き進んだ別次元の地球の未来の姿なのかも?。

今回、最大の不安材料はストーリー担当が『2202』と同じ福井晴敏氏であることでした。
しかし、今回の映画ではストーリーの大きな破綻は感じられず、次回への期待を高めつつうまくまとまっていたように思います。
新キャラと再登場キャラが立っていて彼らと旧キャラとがうまく絡んで相乗効果を上げていました。

特にヤマトを乗っ取ってでもイスカンダル救助に向かおうとする新人たちに、古代が「なぜ相談しない?。こっちは経験者だぞ。」と言い放つシーンは鳥肌ものでした。

映像面でもヤマトをはじめとするメカニックの見せ方に重量感が感じられて見応えがありました。
『2202』が駄目駄目だったのは、もしかすると羽●監督の力量不足のせいだったのかも知れません。
とりあえず、後章も劇場に観に行くことは決定です。
11/5(金)
『ゴジラフェス2021』🈠
(ホームシアター:YouTUBEアーカイブ配信)

11/3のゴジラの日に生配信された「ゴジラフェス2021」。
当日は仕事でリアルタイム視聴が叶わなかったため、この日アーカイブ配信を視聴しました。
といっても7時間以上もあるので、そのうち3パートのみをチョイスしています。
【ゴジラS.P<シンギュポイント>】

一つ目はTVアニメ『ゴジラS.P<シンギュポイント>』の監督:高橋敦史氏と脚本:円城塔氏を交えたスペシャルトーク。
私も毎回欠かさず見ていました(しかも各回とも2~3回づつ!)。
しかし、あまりにも内容が難しく、多分10分の1も理解出来ていないと思います。
作ったご本人たちのトークを聴けば少しは分かるかと思ったんですが、やっぱり難解なことには変わりませんでした(笑)。
それでも「あの膨大な情報量を含んだセリフはBGMのようなもの」と言った監督のアドバイス(?)とか「内容と連動していなかったサブタイトルの秘密」などといった面白い話が聞けましたが、それでも高橋監督のジェット・ジャガー愛を直接本人の口から語っていただけなかったことは物足りなかったです。
【モスラ4K復活プロジェクト】

来月「午前十時の映画祭」で上映される『モスラ』の4K化密着ドキュメンタリー。
実は今回最も前のめりで見ていたパートだった気がします。
具体的に感想など書いていたら大変なボリュームになってしまうため泣く泣く割愛しますが、これだけは言わせて(書かせて)いただきたいです。
東京現像所の皆さん、本当にありがとうございました。

我が福井県(グループA)は年末から新年(12/24~1/6)にかけての上映になります。
今から待ち遠しくて仕方ありません。
【対談:笠井アナXアダム・ウィンガード監督】

続いて司会の笠井信輔アナと『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督のオンライン対談。
一番驚いたのはウィンガード監督が実はヘドラ好きだということ。
「お、俺もっス、カントク。」と思わず声が出そうになりました(笑)。
ひとつ物足りなかったのは「どーして小栗旬の扱いがあんなにヒドかったのか?。」を笠井さんが突っ込んでくれなかったことです。
あんなセールストークなんかいらねーよ!。
【新作特撮作品『ゴジラvsへドラ』】

わずか5分ほどのショートフィルム。
失礼ながら、予算はおそらく『ゴジラvsコング』の5秒分くらいしか無いんじゃないかと思います。
怪獣プロレスに特化していて、ゴジラがヘドラに16文キック(古っ)をぶちかましたりと動きにはかなり違和感があったりもします。
でも・・・でも!。
『俺はこんな怪獣映画が好きなんだよぉ~~~~!
今では日本でも河崎実監督作品以外ほとんど作られなくなったオール着ぐるみ&ミニチュア特撮です。
爆発も切れた電線からほとばしる火花も飛び散るヘドラの体液も、すべてセットに隠れた人間(スタッフ)たちが「3,2、1、せ-の!」で動かしているのです。
なんか、ここ数年喉の奥にずっと残っていた痒みが取れた気がしました。

中川和博監督は『シン・ゴジラ』にも助監督の一人として参加していたそうです。
そういえば『シン・ゴジラ』の撮影にエキストラとして参加したとき、総勢160人ものエキストラの前に出てきて説明しながら皆の気分を盛り上げてくれた人懐っこい助監督さんがいました。
お顔までは覚えていませんでしたが、その助監督さんの名前が中川さんだったことだけはよく覚えています。
というのは、他にも助監督は何人かいましたが参加者みんなが愛嬌のある中川さんの班になりたがっていたからです(笑)。
今回の中川和博監督は、樋口監督に”ナカちゃん”と呼ばれて可愛がられていたあの中川さんなのでしょうか?。

思えば・・・『シン・ゴジラ』公開から早5年。
そろそろ本家日本のゴジラ映画新作が観たいなあ。
もちろん、イベント上映用のショートフィルムではなく正規の劇場用新作映画として!。
職人スタッフによる着ぐるみゴジラと特撮愛に満ちた手作り特撮がまた観たいです。
ついでに、その時はまたエキストラの一人として「ゴジラ世界の一部」になりたいなあ(笑)。
11/6(土)
『日本沈没』(ピュア4K)
(ホームシアター:日本映画+時代劇4Kチャンネル)

4Kリマスター化された『日本沈没』(昭和48年版)。
ピュア4K放送で鑑賞しました。

富士山噴火後の粉塵がきめ細かい!。
この場面は粉塵が潰れて壁のように見えては駄目なのです。
太陽以外の奥から歩いて来る亡霊のような人達の疲れ切った表情が見えなければ意味がありません。
かといって、奥のほうが見えすぎても意味が変わってしまいます。
このカットは、先が見通せない不安感を1カットで表現した『日本沈没』全体を象徴的している画なのですから。
今回は4Kリマスター化によりその両方を兼ね備えた意味ある映像になったと思います。

4Kリマスターの効果が最も顕著に感じられるのは、なんといっても女優さんの美しさであります。
こちらは4年ほど前にWOWOWで録画した旧HD版の花江さん(演:角ゆり子さん)のカット。

そしてこちらが今回の4Kリマスター版の花江さん。
(4K放送からの静止画キャプチャ方法が分からないため、2Kダウンコンバート版からキャプチャした画像を使用)
サムネイルの小さな映像でもノイズの少なさ、立体感、お肌のスベスベ感などの違いが判別出来ます。
4Kの恩恵とはデティール部の向上だけではありません。
古い映像からまるでベールを何枚もはぎ取ったかの如く、美しい女優さんを美しいままに描き出してくれています。

私が初めて『日本沈没』(73年)を観たときの思い出話や感想などは2018年1月24日に記事にしていますのでそちらをご覧ください。
>『日本沈没』(昭和48年版)
今回は、現在TBS系で放映中の新作ドラマ『日本沈没ー希望のひとー』やアニメ『日本沈没2020』と絡めて考えたことを書き記しておきます。

今回の鑑賞では、このシーンでの山本総理(演:丹波哲郎)のセリフが耳に残りました。
「誰かとんでもない大バカ者がいて”東京は地震で全滅する”とキ●ガイみたいに喚きたてて、ジャーナリズムもそれに輪をかけて騒いでくれたらどの政党にしたって政府にしたって渋々なんらかの重点対策を・・・。その<なんらか>が出来ていれば、少なくとも360万もの人が死なずに済んだことは間違いないんだ!。」

現在、新作ドラマ『日本沈没-希望の人-』放送やアニメ『日本沈没2020』の劇場版公開、そして今回の映画『日本沈没』(1973)と74年のTVドラマ版再放送が集中的に行われています。

しかも、つい先日(10/20)阿蘇山の噴火があったばかりです。
また、今後30年の間に70~80%の確率で起きるという南海トラフ地震への警戒も忘れてはなりません。
これらの奇妙な符合には<なんらか>の意図を感じずにはいられません。
今週は私としてはかなり充実した一週間だったように思います。
劇場で2本、ホームシアターで2本、あとユーチューブで短編ゴジラ動画を含むイベント配信の計5本。
でも、心残りも2つありました。

1つはNHK BSプレミアムの『発表!全仮面ライダー大投票』が4K『日本沈没』と重なってしまってリアルタイムで見られなかったことです。
もちろんしっかり録画はしておりましたが、うっかりインターネットで結果を知ってしまったため(時間が無かったこともあり)飛ばし見機能で見ておりました。
結果としてはどの部門も平成ライダーが上位を占めていて、昭和ライダー世代としては寂しいランキングだったと思います。
私が投票したのは、作品部門『仮面ライダーV3』(1作目)でライダーもV3に投票。
音楽(主題歌)は今でもカラオケでよく歌う「戦え! 仮面ライダーV3」(『V3』主題歌)に入れました。
当時「♪父よ母よ妹よ」という風見志郎の家族構成が私の家とシンクロしていたからです。
あと風見家にお婆ちゃんもいたら完璧でした(笑)。
それと2つ目。
ゴジラの日(11/3)にゴジラ作品をひとつも見られなかったことです。

せっかく11月3日「ゴジラの日」に届いた『ゴジラvsコング』のブルーレイも観る時間が取れませんでした。

そして「ゴジラフェス2021」生配信も実際に見れたのは翌日のアーカイブ配信での視聴でした。
来年は何かゴジラ作品に触れてゴジラの誕生日を祝いたいなあ。
出来ればまた京都みなみ会館(この夏笠井さんもへドラ特集に行ったらしい)で「ゴジラ誕生祭」に参加したいものです。
いくらなんでも来年の今頃には567禍も収束していると思いますから。
長くなってしまいましたが、今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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