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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2021.8/16~2021.8/22)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。



8/18(水)&19(木)
『影武者』
(ホームシアター:WOWOW-4K録画)
『影武者』ポスター画像
WOWOW-4Kで8月1日に一度だけ放映されたものです。
録画はしたものの、3時間もの長い映画なためなかなか視聴する時間が取れないままでいました。

18日(水)の夕食後にまとまった時間が確保出来たので見始めたのですが、雨中の仕事で身体が疲れていたのか途中で猛烈な睡魔に襲われついウトウト居眠りしてしまうという、映画ファンとしてあるまじき失態を犯してしまいました(汗)。
そのため、不本意ながらそこで一旦鑑賞を中断し、2日間に分けて見ることにしました。

『影武者』冒頭8分の固定ショット
『影武者』は引きの画が非常に多い映画です。
従来のハイビジョン画質でも小さなテレビ画面では何が描かれているのかほとんど分かりませんし、ましてやDVD等の低解像度メディアでは細部が潰れて俳優さんの細かな動きを見て取ることは困難です。
俳優のアップが少ないうえに、親切丁寧に説明してくれるセリフもほとんど無いため、「分かりにくい」「退屈」といった短絡的評価を下されがちです。

しかし、今回は4Kリマスター版のリアル4K放送です。
そのため、大画面であればあるほど俳優さんの細かな表情演技もよく分かります。
いや、「分かる」と言うより「自然に目に飛び込んでくる」という表現が正しいかもしれません。

『影武者』志村喬さん
今回特に4K化の恩恵を感じたのは、中盤あたりに登場する志村喬さんの演技です。
志村さんが演じたのは、織田信長の命令で信玄が本物か偽物かを見極めるために来た使者:田口刑部。
その役目を果たすべく、常に鋭い眼光を信玄(影)に向け続けておりました。

『影武者』志村喬さんの細かな演技に注目
志村さんは黒澤作品においては『生きる』の主役や『七人の侍』のリーダー役など重要な役を任されてきた名優です。
その志村さんでさえ大写しになるのは1~2カットしかありません。
しかし、実は引きのショットでも志村さんは常に演技を続けています。
その動きと表情で表現されている猜疑心や緊張感は、DVDや画質の悪い東宝版BDでは同じ100インチサイズで見ても非常に分かりづらかったです。
しかし、4Kでは画面の端っこに小さく映っている志村さんの細やかな演技もよく分かります。

実は『影武者』は志村さんの遺作となった作品です。
日本映画界史に名を遺す名優の最後の演技を、低解像度やノイズに埋もれさせてしまうのはあまりにも惜しいではりませんか。

『影武者』評定の席
また、評定の席で影武者の一挙一動をハラハラしながら見ている重臣たちの目線や表情、身体の微妙な動きもしっかり見て取れます。
このように隅々まで作り込まれた映像をじっくり味わえる環境は、劇場の大スクリーンで観たとき以来のことかと思われます。

ただ、この『影武者』という作品は編集が雑なのが本当に残念です。
まるでオールラッシュに音をつけただけとしか思えない冗長なシーンが異様に多いのです。

『影武者』織田信長登場シーン
例えば、信長が最初に信玄の訃報を知ったあと岐阜城広場を馬で駆け回るシーン。
なぜか同じ内容のカットを3回も繰り返して見せられます。
この3つのうちのどれか一つを後で選ぼうとラッシュを切り出しただけだったのを、時間が無くて3カットともに音をつけて世に出す羽目になってしまったという感じです。

こうした「未編集のまま」としか思えない冗長な場面は他にもいくつか存在します。

『影武者』陣を構える
例えば、勝頼の高天神山城攻めを後方援護するため陣を構えるシーンも意味不明に長い1カットだけで済まされています。
次々と高台に登ってくる武田騎兵を1台のカメラが追い続けるだけの1カットが2分以上も延々続きます。
普通なら、今「風」「林」「火」「山」のどの部隊が到着したのかを別アングルのカメラの映像を差し挟みながらテンポよく見せるべきところです。
ところが丘に登ってくる各部隊の動きの映像をダラダラ繰り返し見せられるだけなのです。
確かに「映像としての強さ」は感じますが、これでは観客に対してあまりにも不寛容な気がします。

クロサワ・コッポラ・ルーカス
『影武者』が納得いかない編集状態のまま公開されてしまった理由は、少しでも早く興行収入を得たかった東宝が公開日を早めに設定してしまったからだと言われています。
海外版プロデューサーを務めたコッポラとルーカスは東宝に対して「クロサワさんにもっと編集する時間をあげるべきだ」とプンスカ怒っていたそうです。

海外版『影武者』BD
日本公開後、黒澤自身は「海外版」と称して2時間40分に再編集したバージョンを作っています。
私は見たことないですが、それはおそらく無駄を省いてテンポを良くして外国人にも分かり易い構成になっていて、往年の黒澤映画に近い編集が成されているものと信じます。
しかし、現在は残念ながら『影武者』ファイナルカット版とも呼ぶべきそのバージョンを見る術がありません。
↑のイギリス盤ブルーレイも今は廃盤となっていて入手困難です。
東宝には今回の4K放映と同じくらいの高画質でソフト化していただきたい。
それが映画会社の使命ってもんでしょ?。東宝さん!。

『影武者』杉崎昭彦
ところで、信玄を撃った鉄砲兵を演じていた俳優さんを見て思わず「あ?」と声が出てしまいました。
『ウルトラマン80』のセラ役でレギュラー出演していた杉崎昭彦さんでした。
ちょうど今、『ウルトラマン80』の再放送を見ているところなのでちょっとビックリです。

『まあだだよ』の杉崎昭彦さん
あと、杉崎さんは黒澤監督の遺作『まあだだよ』にも内田百聞の教え子役の一人として出演されていました。
大宴会の中で一人延々と日本中の駅名を言い続ける小太りの男の役です。
黒澤監督はこの小太りな俳優さんのことが案外気に入っておられたのかも知れません。



【今週のその他諸々】

■8/16(月)
『ウルトラQ』第21話「宇宙指令M774」

(ホームシアター:BS4K録画)
「宇宙指令M774」ルパーツ星人・ゼミ
『ウルトラセブン』最終回で有名な満田かずほ監督の第一回監督作品。
「宇宙指令M774」は前からファンだったという女優さんに出演してもらい、彼女を綺麗にそしてミステリアスに描くことに全ての情熱を傾けている気がします。
それは「執着」と言っても良いかもしれません。

満田監督は、後年『ウルトラセブン』のゴドラ星人が化けた紅白女(#4)やアンドロイド・ゼロワン(#9)、そして「ウルトラ警備隊西へ」(#14/#15)のドロシー・アンダーソンなど強く印象に残る女性キャラクターを多数演出しています。
そしてなんといっても、主人公ダンとレギュラーヒロイン:アンヌとのロマンスをシリーズの縦軸に持ち込み、当時の少年少女に(そして再放送で見た私たち世代にも)「『セブン』は恋愛ストーリーだった」という強い印象を残しました。
映画監督は誰も皆、処女作のイメージを引きずり続けるものだと申します。
それ以前に、男の子は初恋の女性の面影を追い続けるものだとも・・・。
そう考えてみると満田監督の作品にクールな女性が多く登場するのも頷ける気がします。

「宇宙指令M774」藤田進さん
あとちょっと気になったのが艦長役の藤田進さん。
後の『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』では防衛軍の高官、東宝特撮映画では自衛隊指揮官などを演じてきた「軍人役ならこの人!」という俳優さんです。
でもこのお話の藤田さんは実に頼りないのです。

「エンジン停止してボスタングをやり過ごす」ことも「客船を救うためエンジンを始動して囮になる」ことも、発案は全てルパーツ星人のゼミですし、号令するときも万城目に決断を促されてようやく決めたという感じです。

こんな役に藤田さんをキャスティングするのは勿体ないですね。
でも、これもまた満田監督が主演女優に意識を集中させ過ぎたことの弊害だったのかも知れませんが(笑)。



8/17(火)
『ブラック・ジャック KARTE7:白い正義』
(ホームシアター:WOWOWプラス録画)
OVA『ブラック・ジャック』KARTE7
WOWOWプラスで全話録画したOVA版『ブラック・ジャック』第7話。
同じような内容の原作エピソードを複数組み合わせて作ったストーリーのようです。

『ブラックジャック』プライドと嫉妬
今回のゲストキャラ:白拍子泰彦医師。
根はいい奴なのですが、超大金持ちのボンボンとして育ったせいかいちいち正論を振りかざして「俺、なんか間違ったこと言ってるか?」とドヤ顔したがるめんどくさいタイプです。
現実的には絶対付き合いを持ちたくないタイプですが、映画やドラマだと主人公と協力したり逆境を味わったりすることでその後一番の理解者になることが多いです。

白拍子を見ているうち、ふとある特撮ドラマの登場人物を思い出しました。
『帰ってきたウルトラマン』郷と岸田
『帰ってきたウルトラマン』('71~'72)の岸田隊員(演:西田健)です。
歴代軍人の家系に生まれ、伯父は地球防衛庁長官というサラブレッド。
そのためか郷の行動や言動を頭ごなしに非難することが多く、初めて見た小1のときはこの正論を振りかざす「嫌な先輩」が大キライでした。

『帰ってきたウルトラマン』岸田
しかし、第11話で自らのアイデンティティをも失いそうな大ピンチを郷に助けられたことにより、頑なだった性格が徐々に軟化していきます。
そして、その後はMAT隊員の中にあって郷とは最も仲の良いメンバーとなりました。

そういえば、大学時代にこんな奴がいたっけなあ。
親が金持ちで「俺、コネあるから」とロクに就職活動もしないまま某有名企業に入った奴。
もっとも、私はそいつとは最後(卒業)まで友達にはなれないままでしたが・・・(笑)。



8/20(金)
『マジンガーZ』 第38話「謎のロボット ミネルバX」
(居間49インチ液晶テレビ:東映チャンネル録画)
『マジンガーZ』第38話 なんか強い画だ
女性型マジンガー、ミネルバX登場回。
どんな話かなんてすっかり忘れてましたが、まさかこんなだったとは!(笑)。
変だ・・・変すぎる!

『マジンガーZ』第38話 イチャイチャ
兜十蔵博士がマジンガーZのパートナーとして設計した女性型ロボット:ミネルバX。
ドクター・ヘルの手で建造され機械獣としてマジンガーに差し向けられますが、電子頭脳に組み込まれたパートナー回路が働いてマジンガーZとイチャイチャし始めます。

『マジンガーZ』第38話 膝まくら
でも、だからといってこの画はないでしょ(笑)。

『マジンガーZ』第38話 修羅場
う~む。
俺は一体何を見ていたのだろうか・・・



■8/21(土)
『ウルトラマン80』
(ホームシアター:ファミリー劇場録画)

第41話「君はゼロ戦怪鳥を見たくないかい?」
『ウルトラマン80』桜井浩子さん
母親役が『ウルトラQ』『ウルトラマン』の桜井浩子さん。
現在『ウルトラQ』(4K版)も視聴中なので、一週間のうちに同じ女優さんの10代と30代の姿を立て続けに見ることになりました。
アスペルガー気味の息子と子供みたいな亭主に挟まれてなんだか疲れた感じのお母さんでした。

『ウルトラマン80』最近なんだかチーフが変
前回に続き、イトウチーフのキャラ崩壊が著しいです。

イトウ「怪獣が出た! すぐUGMに報告しろ!」
ヤマト「チーフ、僕達がUGMですよ」


赴任してきた頃の鬼軍曹のイメージは一体どこへ行ってしまったのか・・・。
沢子さんも草葉の陰で泣いてるぞ。

第42話「さすが! 観音さまは強かった!」
『ウルトラマン80』倉田まり子出演
80年代初頭は『金八先生』などの学園ドラマからデビューしたアイドルたちが日本全体を席捲していった時代でした。。
しかし、悲しいかな我が福井県は朝日系列局が無かったため『金八先生』は一切見られず、そのため金八チルドレンに熱狂する中高生も少なかったように思います。
その代わりと言っては何ですが、男子の間では日本全国平等に見られるNHKの「レッツゴーヤング」で人気を博した石川ひとみや倉田まり子に人気が集中していた気がします。
この二人はなんだか顔も似ていて、ファン層も二分された記憶があります。
私は断然倉田まり子派でした。

でも、投資ジャーナル事件はショックだったな~
初恋の女の子を汚された気分でした・・・。

『ウルトラマン80』菊池英一さん
悪党二人組の片割れを演じていたのはなんと菊池英一さんでした。
菊池英一さんと言われても一般の方は「誰?」って感じでしょうが、実は『帰ってきたウルトラマン』のスーツアクターだった方です。
お顔を一目見Tだけで「菊池さん」と分かってしまう自分がなんだか誇らしかったりなんかします(笑)。
『80』の終盤には親子視聴を狙ってか第1次・第2次ウルトラシリーズの俳優さんが多数出演していますが、まさかスーツアクターまで登場するとは思いませんでした。

『ウルトラマン80』柳谷寛さん
信心深い村の長老(?)役は柳谷寛さん。
『ウルトラQ』の中でも特に印象深いエピソード「2020年の挑戦」「あけてくれ!」の2本にゲスト出演されたことで特撮ファンにとっては名優と呼んで差支えない存在です。
ただ、終盤いきなり登場してきて観音様に祈るだけという中途半端な扱いだったことが残念でした。
おそらく序盤でヤマトやノブオ少年に観音様の由来などを語って聞かせるといった役どころだったのだろうと思いますが、時間の関係かなにかでその部分がカットされてしまったものと思われます。

『ウルトラマン80』ネタバレ全開な予告編
次回はエミ隊員のXデーであります。
・・・ていうか、予告編でモロにネタバレしてるではないか~ッ!?。
ほんと、『80』のナレーションは喋り過ぎで困ります(苛)。



【今週のトピック(映画以外)】

2021-08-16 コロナワクチン接種会場
今週月曜日に1回目のワクチン接種を受けてきました。
病院ではなく町役場の大会議室に30名づつ受付順に並んで待ち、お医者さんが順番に注射を打ちに回ってくる方式でした。

ファイザー製ワクチン
ワクチンはファイザー製。
職域接種でモデルナワクチンを打った知人が「当日夜から翌日いっぱいまでずっと気分が悪かった」と言っていたため念のため翌日は休業日にしましたが、幸い少し左腕が痛くなっただけで発熱だとか倦怠感といったものは無かったです。
まあ、身体が痛むのは「ワクチンが体内に浸透してきた証拠」なのでしょう。

2回目接種はちょうど3週間後の9月6日(月)を予約しました。
まだ1回目が済んだだけですし、もともと不特定多数の人と会う機会が多い仕事なだけにまだまだ油断は出来ません。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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