週刊映画鑑賞記(2021.9/6~2021.9/12)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
ここ最近、旧作を見返してるばかりで最新作や未見の映画を全然見ていないことに気が付きました。
新作映画を見たのは今のところ8月4日の『竜とそばかすの姫』が最後です。
「これでは映画好きなどと恥ずかしくてとても言えない!」ということで、今週からしばらくの間「自分がまだ見たことのない映画」を優先的にチョイスすることにしました。
とはいえ、今は映画館に足を運ぶ時間がなかなか取れないため全てホームシアターでの鑑賞です。
今週は月曜日からWOWOWでハリウッド映画の裏側を描くドキュメンタリー映画特集をやっていたので、既に見たことある一本を除く4作品を連日見ておりました。
9/6(月)
『ようこそ映画音響の世界へ』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

劇場公開当時からずっと見たいと思っていた作品です。
しかし福井ではかなり遅れて年末にひっそりと上映されていましたが、迂闊にも気付かずに見逃してしまっていました。
後にアマゾンプライムで配信が始まりましたが、見放題ではなく別にレンタル料金が500円(高っ)も必要とのことでパス。
その『ようこそ映画音響の世界へ』が満を持してWOWOWで放映されました。
WOWOWに入っていて本当に良かった!。o(^▽^)o

観ていて凄く腑に落ちたのは冒頭部のナレーションでした。
「人は皆、母親の胎内にいたころは音だけが外界の情報だった。」という一文です。
確かに、妊娠中に母親が聴いた音楽が生まれた赤ちゃんの性格に影響するという胎教の話を聞いたことがあります。
そういえば、テレビが登場するまで家庭内での最大の娯楽はラジオでした。
映像も写真も何も無いなか、人はアナウンサーの解説や俳優(声優)の演技や効果音などよって物語を感じ取っていたのです。

あと、まだ家庭用ビデオが無かった70年代から80年代初頭には、こうのような映画や劇場版アニメの音声だけを収めたレコードが発売されていました。
当時、映画音楽はサントラレコードで聴くことは出来ましたが、映画のセリフや効果音といったものは劇場で観た(聴いた)記憶の中に残っているイメージが全てだったのです。
熱心なファンはこうした<ドラマ編>なるレコードを繰り返し聴きながら映画の場面を脳内に蘇らせていたのでした。
(ただし『スター・ウォーズ』など洋画は独自に日本語吹き替えしたものしか売っていませんでしたが・・・)

そのうえでウォルター・マーチ氏(音響監督)のこのコメントを聞くと「確かに!」と納得させられます。
私は高校時代から映画やアニメを観るときTVの音をラジカセに繋いで音を強化しておりました。
たったそれだけのことでセリフが聴き取りやすくなり、効果音やBGMの強弱などによる演出意図もハッキリしてより、作品世界を理解し易くなることを知っています。
そのことが現在ドルビーアトモスまで完備したホームシアター構築へと繋がっていることは間違いありません。

今回初めて知って驚いたのは、1979年公開の『地獄の黙示録』が初のドルビー5.1ch音響だったということです。
でも、5.1ch音響は1992年の『バットマン・リターンズ』が最初だったはずです。
「これは間違いではないのか?」と疑問に思って図書館の地元新聞縮刷版で調べてみました。

すると・・・!?。

確かに「6チャンネル完全立体音響で上映」と書かれているではありませんか!。
(当時の6チャンネルは5チャンネル+低域専用の1(.1)チャンネルなので現在の5.1チャンネルと表示方法が変わっただけで全く同じものです)
『バットマン・リターンズ』はデジタル方式5.1chの最初であって、5.1chそのものは『地獄の黙示録』がアナログ時代に先に実現していたのですね。
私も(当時は知らなかったとはいえ)その世界初の5.1ch音響を体験していたのだと分かってなんだか嬉しくなりました。
9/7(火)
『キャノンフィルムズ爆走風雲録』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

最初「キャノンフィルムズ」と聞いたときは全然覚えていなくて、「昔の8ミりフィルムカメラのことか?」と思ってしまいました(笑)。

イスラエルで成功した映画製作者メナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスがハリウッドへ進出。
低予算B級映画を乱作して荒稼ぎするものの、『スター・ウォーズ』を機にハリウッドに沸き起こった大作ブームに乗り切れず淘汰されたという話。
80年代のハリウッドで70年代香港映画みたいな作り方をしていたらしく、前日見た『ようこそ映画音響の世界へ』とのあまりの落差に頭がクラクラしました(笑)。

キャノンフィルムズの映画で私が見たのはこの3本だけです。
『スーパーマン4』はストーリーもSFXも急ごしらえ感と安普請ぶりがハッキリ見てとれて、中学時代に一作目をワクワクしながら観た者は「製作者の志が低いと作品はここまで落ちぶれるものなのか」と憤りを通り越して哀しかったです。
『サイボーグ』はロクに覚えていないのですが、確か『北斗の拳』や『マッドマックス2』みたいな世界の映画だった気がします。

あ、でも『オーバー・ザ・トップ』は良かったな~。
特に主題歌は今でも好きです。
で、ふと「日本映画だと”どこの誰”に相当するのか?」と考えてみました。
ワンマン経営と五社協定で悪名高い大映社長:永田雅一?。
「読んでから見るか?見てから読むか?」の角川春樹?。
シネマジャパネスクの奥山和由?。
いずれも栄華と凋落との落差が激しい人たちですが、実は最初に思い浮かんだのはこの男でした。

『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサー:西崎義展です。
最初の頃は自らも情熱を持って作品作りに加わったはずなのに、『さらば』の成功に味を占めてから粗悪な続編や類似品を乱造し続けて数年を経ずしてファンや同業者から見放されました。
それだけでなく、実質的なストーリー作者であるSF作家の豊田有恒先生やキャラクター作りに尽力した松本零士先生を差し置いて、『ヤマト』の著作権を自分だけのものにしようと自らを<原作者>と称した俗物です。

作品とファンを食い物としか見ていなかった西崎に比べれば、今も全く新しい映画作りに意欲を燃やし続けるゴーラン氏の情熱は本物だと思います。
もっとも、彼が考える「オスカー確実の映画」がいかほどのものかは別ですが・・・。

8日(水)には『VHSテープを巻き戻せ!』も放送していたんですが、これはつい最近配信で見たばかりだったので今回はスルーしました。
9/9(木)
『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

ハリウッドで活躍する女性スタントマン(スタントウーマン)とその先駆者たちを追うドキュメンタリー。
あまりにも大勢のスタントウーマンが出てくるため途中で誰が誰やら分からなくなりそうでしたが(笑)、メインはTVシリーズ『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』でリンダ・カーターのスタントを務めたジーニー・エッパーさんと、現在女性アクション監督として活躍しているメリッサ・スタッブスさんでしょうか。

最近、女性を主人公としたアクション映画が増えていますが、このドキュメンタリーを見たことで今後こうした女性のアクション映画の見え方が変わりそうな気がします。
男性俳優の中にはジャッキー・チェンやトム・クルーズみたいに危険なアクションも全部自分で演じたがる稀有な人もいたりしますが、女優さんはそうもいきません。
スタントウーマンの需要、そして彼女たちを100%生かせる見せ場を作る女性アクション監督の重要性は高まる一方です。
アクション映画好きならば絶対に見るべき作品です。
彼女たちが見せて(魅せて)くれたスタントシーンの数々をもう一回見返したくなること請け合いです。
9/11(土)
『すばらしき映画音楽たち』
(ホームシアター:WOWOW録画)

実はこの作品も4年ほど前に一度見たことがあるのですが、ほとんど忘れている(笑)ということで今回見返してみることにしました。
内容についての感想は4年前書いた記事(2017/7/22)をご参照いただくとして、今回は数日前に見た『ようこそ映画音響の世界へ』との奇妙な一致についてだけ書くことにします。

この2つはどちらもハリウッド映画の音に関する部分を取り上げたドキュメンタリーですが、各時代のエポックメイキング作品としてチョイスされてるタイトルが笑ってしまうほどに被っていました。
映画に初めて重厚なオーケストラを取り入れた『キングコング』('33)。
たった2音で人食いサメが迫りくる恐怖を表現した『ジョーズ』('75)。
映画の在り方の全てを変えてしまった特異点的作品『スター・ウォーズ』('77)。
何もかも派手なアトラクション映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』('03)
音楽によって映像の見方を誘導していた『インセプション』('10)
面白いのは、そうした音響・音楽面で特出した存在となっているどれもSFやファンタジー系の作品ばかりということです。
撮影や録音用の機材は戦争目的のために進歩することのほうが多いですが、ソフトウェアの発展はいつも夢と娯楽性の追求が元になっていると思えてなんだか嬉しくなりました。
【今週のその他諸々】
■9/6(月)
『ウルトラQ』第24話「ゴーガの像」
(ホームシアター:BS4K録画)

『ウルトラQ』の中では、今回みたいな怪獣が出てくる話より日常生活の中に忍び込んでくる怪異を描く作品のほうが好きです。
一般市民である万城目・一平・由利子が率先して怪獣に立ち向かうという展開にどうしても無理が生じるからです。
幼い頃に見ていればそんな疑念は湧かなかったと思いますが、私の場合『ウルトラQ』を初めて見たのが大学生になってからだっためどうしてもそういった点にツッコミ入れたくなってしまうのです。

民間人の万丈目が自衛隊の攻撃車両を運転して、一平がバズーカ砲を構えている?。
しかも助手席には一介の新聞記者でしかない由利ちゃんも!。
自衛隊員もちゃんと同乗しているというのにこんな状況はあり得ません。
いかに関係者とはいえ、同乗はおろか現場に近づくことすら許可されないはずです。
もちろん、正論を振りかざして作品を誹謗するつもりはありません。
しかし、幼少時にこういった偏った状況を当たり前のものとして育ってしまうと、チームに属していることを忘れてスタンドプレイに走ったり、分をわきまえずに他者の職域に勝手に口を出すような失礼極まる歪な大人になってしまいます。
(現に私と同じか少し上くらいの年代にはそんな人が多いです)
「ゴーガの像」は制作No25ということで怪獣路線に変更されて以降の作品です。
企画当初からの三人を無理やり押し込めたためこのようなおかしな構図が出来上がってしまったものと思われます。
だから次の『ウルトラマン』では怪獣退治の専門家チームが設定されたのですね。
9/8(水)
『ブラック・ジャック KARTE10:しずむ女』
(ホームシアター:WOWOWプラス録画)

出崎統監督のOVA版『ブラック・ジャック』は、私と妻にとって共通の思い出が詰まった大事な作品なので、このシリーズだけは絶対に二人一緒に観ることに決めています。
特にこのKARTE10「しずむ女」は、私と妻との馴れ初めに関わる最も思い出深いエピソードなのです。
以下は過去に書いた記事の採録になります

実はこの「しずむ女」は私と妻が付き合うことになるキッカケとなった作品でもあるのですよ。
彼女とはまだ仕事相手の一人として時々顔を合わせる程度の間柄でしかなかった頃、ひょんなことから『ブラックジャック』の話題が上がり、そこで私は出崎監督の『ブラックジャック』を絶賛して「中でも「しずむ女」は何度見ても泣いてしまうんですよ」と恥ずかしげもなく語ったのでした。
実は中高生時代はアニメージュ誌に投稿が載ったことがあるという筋金入りのアニメファンだった妻(そのときはまだ隠していた)は、自分も大ファンだった出崎作品を熱く語る目の前の男(私)に特別な感情を抱くようになったのだそうです(妻の証言より)。
・・・で、今回も例外ではなく、いつものところで涙腺が緩んでしまいました。
公害病に蝕まれた月子の境遇はもちろんですが、影ながら彼女を支えてくれている地元の人たちの暖かさが見ていて微笑ましくも切ないのです。

BJに惹かれて私的に運転手を買って出て、嫌な顔ひとつせず月子の魚売りに付き合ったタクシー運転手。
「工場なんか誘致しないで人魚伝説で観光開発したほうがよっぽどこの街は幸せになったと思うんですがね」

月子が獲ってきた魚を汚染されてると知りながら買い取ってあげる旅館の親父。
「あの子は魚獲るしか能のない子でしてね。それでなんとか生活してるんです。それを知ってる浜の連中や私なんかが食べもしないのにあの子が獲った魚を買い上げてるんですよ。」

月子を蝕む公害病の元凶であるDLケミカル社の社員でありながらも、クビ覚悟で月子の手術道具一式を手配してくれた杉田。
「会社にバレなければどうってことないです!」

そして、上司に罵倒されながらも身元のはっきりしない月子に障碍者認定を与えようと尽力する女性市役所職員。
「ハンデのある人を救うことのほうが優先されるべきです!。」

「ありがとう・・・ここにも月子の味方がいてくれた。」
私は何度見てもここで目頭が熱くなってしまうのです。
ブラック・ジャック自身も幼い頃の不発弾事故で重傷を負い、以来ずっと虐げられながら生きてきた男です。
彼は月子の境遇に自分自身を重ね合わせていたのかも知れません。

実は出崎統監督のOVA版『ブラック・ジャック』全10話のうち、本作品だけ監督自ら脚本・演出の両方を一人で手掛けています。
その気合の入りようは杉野昭夫さんの作画にも間違いなく影響を与えていたはずで、今回のキャラクターたちは悪役を除くほぼ全員がとても表情豊かで影も濃いめについています。
そして登場人物に魂を吹き込む声優さんたちも、監督の気概に背中を押されて神がかった名演を聴かせてくれています。
全員がまさに絵にかいたような善人ばかりなのに、見ていて全く気恥ずかしさを感じません。

次にこの作品を見返すのが何年後になるかは分かりませんが、その時も今までと変わらず素直に月子の純真に涙出来る自分でありたいと思います。
■9/10(金)
『ウルトラマン80』
(ホームシアター:ファミリー劇場録画)

第47話「魔のグローブ 落し物にご用心!!」
前回の魔法の壺を奪ったいじめっ子の突然の改心や前々回の偽UFO写真で友達を騙した異常な少年像と同じく、今回の原因を作った下手糞野球少年の行動や言動にもかなり問題があります。
自分のエラーをグローブのせいにして投げ捨てたタダシくん。
母親に叱られて探しに戻るが、そのグローブが化け物化し姿を消してしまった。
「グローブがないと家に入れてもらえない。うぇ~ん。」
おいおいタダシくん、嘆くべきはそこではないぞ。
自分の下手糞さをグローブのせいにしたことと、物を大事にしなかったことを反省すべきだろう!。

ユリちゃんの吐く息が白い?。
’81年3月放映なのでこのシーンが冬場に撮影されたことは確かですが、この基地司令部はスタジオセットのはずです。
スタジオならガンガン照明が焚かれて熱いくらいのはずなのにどうして役者さんの吐く息が白いのでしょうか?。
昔、『ウルトラマン』か『ウルトラセブン』に出演した俳優さんが「セットは円谷プロの建物内にあって、夏は灼熱で冬は厳寒だった。」「雨の日は屋根に当たる雨音が五月蠅くて相手のセリフも聞こえない。だからセット撮影なのにセリフは全部アフレコ。」という話をされていたことを思い出しました。
それから十数年経った『80』でもその状況は変わっていなかったのですかね・・・?。

第48話「死神山のスピードランナー」
脚本担当は第40話「山からすもう小僧がやって来た」と同じ水沢又三郎氏。
競技がすもうからマラソンに、悪役がインチキ興行師コンビから学校の名声のため手段を択ばない校長とコーチのコンビにそれぞれ変わっただけのような気がします。

春から始まったHDリマスター版『ウルトラマン80』も来週放送の2話で終了です。
次回はついにユリアン変身の回。
でも「女ウルトラマン」って、今の世に中では「女性蔑視」と叩かれそうな気がしますがね(笑)。
【今週のトピック】

月曜日は2回目のワクチン接種の日でした。
1回目からちょうど3週間後、時間も前回と同じです。
前回(8/16)はまだお盆休みの時期だったせいか参加者はかなり多かったですが、この日は通常の月曜日とあってか人数はかなり少なかったです。
私のグループは30人中10人程度しかいませんでした。
その代わり、中学生か高校生くらいの若い子が数人1回目の接種を受けに来ていました。
3時半からの回だったので下校してから来ていたのですかね。

気になっていた副反応ですが、1回目と同じで注射した左腕上部が少し痛くなった(というより重い感じ?)だけで済みました。
こんな軽い副反応だと本当に体内で効いているのか?とかえって不安になったりします。
知人の一人が「接種の翌日は痛みと倦怠感Bが酷くて仕事にならなかった」と言っていたため、用心のため翌日は仕事は断って休養日にしていたのですがこんな程度なら無理して仕事を断らなくても良かったかな?。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。